目指すは孫悟空   作:黒沢

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一発ノックアウト

「今から進路希望のプリント配るけど皆、大体ヒーロー科志望だよね!」

 

 俺の周りでそれぞれの生徒が個性を発動しているところを少し邪魔に思っていた。

 本当に邪魔だな……。特に羽の個性。

 

「確か爆豪、緑谷、竜河は雄英志望だったな……」

 

「はぁ!?緑谷が雄英そんなの無理無理」

 

「あーでも緑谷は最近個性が身に付いたみたいだな……まあそういう場合もあるし良かったな緑谷」

 

「えっ!?は、はい……!」

 

 緑谷の個性のことは俺は何も聞かされていなかった。

 だけど、オールマイトの個性と似ていたしなにより緑谷に引き継ぐよう話を通したのは俺だ。きっとあの人から個性を引き継いだのだろう。

 

「あっそれと竜河は早いところ個性登録しておけよ」

 

「個性登録……?」

 

 俺はその言葉に違和感を感じていた。

 個性登録ってなんだ……?この世界にはそんなものが必要だったのか。俺は神様から何も聞いてないぞ。てっきりそういう手続きみたいなものはしてくれると思ったんだが……。

 

「緑谷、個性登録ってどうやるんだ?」

 

「えっと……市役所で自分の個性はこういうものでしたって登録が出来るんだ」

 

「簡単に出来るものなのか?」

 

「そうだね、書類を書いて申請するだけだから簡単だと思うよ」

 

「そんな簡単に出来るのか……。学校終わったらちょっと行って来るか……」

 

 そんな簡単にできるなら神様がとっとと済ませて欲しかったものだ。

 そうすれば面倒な手続きなんてものを踏まなくて済むというものなのに……。

 

「待て緑谷……俺の個性ってなんだ?」

 

「確かに言われてみれば竜河君の個性ってなんだろうね……界王拳は僕たちも訓練すれば使いこなせるようになるから個性とは違うだろうし……その尻尾とかは?」

 

「尻尾って個性になるのか?」

 

「うん、それも立派な個性になるよ……例えば個性:尻尾とかは……?」

 

「安っぽすぎないか?」

 

「そうかな、分かり易くていいと思うよ」

 

 なるほど、確かに分かりやすさというものは大事だ。

 個性なんですか?と聞かれたときに尻尾と答えればトレンドマークともなるし、分かりやすいことこの上ないだろう。

 

「それもそうだがな……」

 

 それでも自分の中で個性:尻尾というのは安直ではないのかと俺は考えていると、ある物が思いつくのであった。これなら、確かにそれっぽくて行けそうだな。

 

 

「邪魔だ、退け」

 

 俺と緑谷が話していると、爆豪が俺達の目の前を通り過ぎようとしていた。

 それを見て緑谷は「ご、ごめん」と謝っていた。

 

「かっちゃん少しだけ話をしないかい」

 

「ぁん!?テメーとお喋りする気なんかねえよ!!」

 

「かっちゃんも強くなりたいよね……?」

 

 緑谷の方を見ている爆豪。

 どうやら俺の話に食いついたようだ。

 

「緑谷お前……」

 

「かっちゃんも気を使えるようになったんだね。でも一人じゃきっと厳しいと思う。だから僕たちと一緒に修行をするっていうのはどうかな?悪くない話だと思うんだ!」

 

 緑谷の話は決して悪い話ではなかった。

 俺達も修行相手が出来るし、なにより基礎から勉強し直すことが出来るいい機会になる。爆豪にとっても気を更に使いこなすいい機会だろう。

 

「爆豪、今のお前は緑谷に負けている。それは自分でも理解しているんじゃないのか?」

 

「ちょ、ちょっと竜河君そんなこと……」

 

 一度だけ今の緑谷に「お前は爆豪に勝っている」と言ったことがあった。

 あいつはかなり謙遜していたがそれでもあいつはかなり伸びてきている。並のヒーローやヴィランじゃ到底勝てるではない。それはつまり、爆豪なんて相手にならないということだ。

 

「俺がクソデクに負けてるって言いてえのか」

 

「自分でも気づいてるはずだろ、今の自分は緑谷より弱いって」

 

 図星だったのか、黙り込む爆豪。

 気を探ればある程度は分かるが……。気自体は自主トレで鍛えてはいるようだ。

 それでもまだ自分で足りないと悟っている辺り爆豪は天才であり努力家だろう。

 

「それに俺もお前がどれだけ強くなれるのか、それを知りたいしな……」

 

 爆豪が強くなれば緑谷並の力を手に入れることが出来るはずだ。

 俺はその期待感に胸が高鳴りながらも答えを聞くのを待っていた。

 

「……話を聞かせろ」

 

 俺の話に完全に興味を持ったようで話に乗ってくれたようだ。

 

「ああ、それとの引き換えなんだが……」

 

「言ってみやがれ」

 

「勉強教えてくれないか?」

 

「あ、ああ……はあ!?テメーそんなもんは自分でなんとかしやがれ……!」

 

 爆豪は一瞬なんだそんなことか、と言う感じで了承しそうになったところを驚きの声を上げていた。

 

 俺は雄英に入学するにあたってあることだけは不安だったのだ。

 恐らくヒーローとしての素質を試されるような試験はあるだろうが、そっちは無問題だ。問題は俺の学力だ。自分で言うのもなんだが俺はかなり学力が低い。オールマイトからもその点は懸念されて教えてもらうことは多かったが、それでも理解することは出来なかった。

 

「そうか、じゃあ……。修行の方はいいんだな?」

 

「テメー汚ねえぞ!!」

 

 この学校で頭がいいと言えるのは緑谷と爆豪ぐらいだ。

 緑谷に教わるのも悪くないが、あいつは俺とオールマイトの修行で忙しいはずだから、あまり頼るのもどうかと思っていたところなのだ。

 

「チッ、分かったよ……!テメーの勉強も見てやればいいんだろ!」

 

「ありがとうな爆豪」

 

 

 

 

 

 

「テメーなんでこんな問題も出来ねえんだ!!ぁん!!」

 

 俺達は今俺の部屋で早速勉強をしていた。

 緑谷も一緒にだ。

 

「テメーが赤点ギリギリな理由がよく分かったぜ!クソドラゴン!!」

 

 俺はこの世界でも赤点ギリギリの点数を取っている。

 この前も補習ギリギリの点数を取って先生に注意されたところだった。

 

「仕方ないだろ、勉強と向き合ったことなんてほとんどなかったんだから」

 

「それでよく雄英に入ろうとしてるな!!」

 

 まさか学力まで前世と同レベルだとは思わなかった。

 こんなことになるなら学力の方も特典とやらでなんとかするべきだったかもしれないな。俺は頭の中で自分の壊滅的の学力のなさに頭を抱えながらも勉強を続けていた。

 

「クソッ!俺は一度外の空気を吸って来るから、テメーらで教え合いやがれ!」

 

 爆豪はそう言いながら、玄関から外に出て外の空気を吸いに行っていた。

 

「悪かったな緑谷、俺が誘ったといえ嫌いな奴と一緒に勉強することになったんだから」

 

「そ、そんなことないよ、かっちゃんはいい人だよ」

 

「あのな……お前のことを虐めてた奴だぞ?それがいい奴って言えるのか?」

 

 誘ったのも俺とはいえ、爆豪が俺はいい奴とも思えなかった。

 確かに力の才能はあるが、あいつの個性は一歩間違えればヴィランだし口の悪さも悪役だ。それがいい奴とはとてもじゃないが俺は思えなかった。口の悪さでも言えば俺も大概ではあるが……。

 

「ほんと違うんだ……かっちゃんは尊敬できるいい人だし個性も凄いんだ」

 

「何故あいつに憧れなどという感情を見せるんだ、お前が思っているような生易しい奴じゃないだろ」

 

 俺はずっとこいつらの関係を見てきたが思っていたより複雑な関係だということは理解していた。

 それでも俺はこいつがただひたすらに言われているだけやられているだけだと言うのが納得できなかった。ウィローの一件があってから、爆豪はあまり言うようなことが無くなったが緑谷の心の中にきっとある感情があることを理解していた。

 

「それでもかっちゃんは凄い人だよ、きっと雄英を卒業したら有名なヒーローになれること間違いないよ」

 

「何故そこまで爆豪が凄い人だとか、いい奴だとかって拘る?それは自分に言い聞かせているだけなんじゃないのか?」

 

 わざと緑谷の逆鱗に触れそうな言葉を使うと、緑谷は自分が使っていたペンを握力で折っていた。

 

「竜河君、言ってたじゃないか!かっちゃんに僕が言われているだけのとき僕の勝手だからいいって!なんで今は問い詰めて来るのさ!?」

 

 少しずつではあるが、緑谷は感情を露わにしてきている。

 あまり緑谷は俺に対して反論を示すようなことを言ってくることはなかった。むしろ、俺が言っているならそうなんだろうという反応を示す奴だったからだ。

 

「それはお前が力の使い方を学んだからだ!学んでお前はどうした、それを何故"復讐"の為に奴を殴る為に気だろうが拳だろうが使えばいいだろう。個性も手に入ったんだからな!!」

 

「僕は……復讐の為に……個性やキミから気を教わったんじゃない!!」

 

 

 

 

「オールマイトのようなヒーローになるためだ……!」

 

 緑谷の顔は酷く醜くなっていた。顔がくしゃくしゃになり、今にも泣きそうになっていた。

 その表情を見て竜河はようやく緑谷の本音を見れたような気がしていた。

 

「悔しかったよ!今までかっちゃんに何も言い返すことが出来ないのが悔しかった!キミから気を教わったとき初めてこれが力だ、なんて思って嬉しかった!でもその力で復讐しようだなんて思わなかった!」

 

 

「もし……その力を復讐の為に使っていたら僕はヴィランになっていたから……!!」

 

 俺は黙ってコップに入っていた水を飲み干す。

 聞きたい言葉は聞けた。俺は少し安堵しながらも立ち上がり、緑谷の方を見る。

 

「それでいい……行くぞ緑谷」

 

「えっ!?ま、待って何処に行くの!?」

 

 俺が緑谷にわざと挑発するような発言をしていたのは爆豪のことを本当はどう思っているの以外にあった……。

 それは……。

 

 

 

 

 

 

「此処っていつも僕たちが修行してる場所だよね……?」

 

「ああそうだ、此処は俺達がいつも修行している場所だ……ちょっと二人の実力が見たくてな」

 

 いつものように俺達は荒野に来ていた。

 此処に来るまで少し面倒だった。爆豪が空を飛べない為、俺の背中か緑谷の背中に乗るよう言ったら全力で拒否してきたため、仕方なく緑谷を先に行かせて瞬間移動で爆豪と一緒に荒野に飛んだ。瞬間移動、便利ではあるが気を探れないと使えないと言う点では不便だな……。

 

「そういうことなら早く言いやがれ……!んで個性の使用はいいのか!?」

 

「ああ、二人共全力で……。と言いたいところだが緑谷お前は個性を使うのは禁止だ。まだ完全に使いこなせてないみたいだからな」

 

「う、うん……」

 

 緑谷が俺と修行する度にボロボロになるのはいつものことであったが、個性を得てからはそれが更にひどくなっていた。オールマイトとの修行で個性を鍛えていると言っていたが、あの人はいったいなにを教えているんだ。

 

 

 「始め」の合図と共に爆豪が攻撃を開始する。

 爆豪の個性は確かニトロと呼ばれている個性だったな。掌の汗腺からニトロのような汗を出す個性……。それが気と合わされば確かにいい感じの力になるだろう。

 

「どうしたクソデク!!」

 

 現に気弾の中に個性を上乗せてして当たれば爆発するようになっている。

 中々に凶悪な個性となっているが緑谷はどう突破するだろうか。

 

「なんて早い気弾なんだ……!」

 

 素早い気弾の対処に追いつけず、いくつかの気弾は身体に命中していたが歯を食いしばり爆豪の懐へなんとか忍び込もうとするが、此処で問題が発生する。

 

「これなら突破できねえだろ!」

 

 四方八方に飛び交う気弾……。

 緑谷は何をしているのだろうと警戒しているだろう。だが、その攻撃方法に俺は見覚えがあった。

 

 

 

 

「魔空包囲弾か……」

 

 その技はかつてピッコロさんが17号戦使っていた技であり、辺り一面に気弾を飛ばすことでそれを囲むように相手に一斉にぶつける技だ。爆豪もそれと同じ技をしようとしている。まさか爆豪があんな大技を使いこなすなんてな……。

 

「これで終わりだ!!」

 

 散らばった気弾は緑谷へと一斉にぶつかろうとしてくる。

 そのときであった、一瞬緑色の丸い円のようなものが見えていた。

 

「はぁ……はぁ……なんとか間に合ったよ……!」

 

 緑谷のやつ、バリアでなんとか防いだみたいだな。

 だけど、間一髪の状態で使用したのだろう。体はボロボロになっている。そこを見計らってだろう、容赦なく爆豪の攻撃が放たれる。大きなエネルギー波が緑谷へ向けられる。

 

「チッ、クソが……!」

 

 緑谷はエネルギー波を回避し、爆豪の方へと向かっていく……。

 あいつ舞空樹を使えば空という安全圏を得られるというのに使おうとしていないな。もしかして、舞空術を使うことなく爆豪を倒そうとしているのか……。面白い、やってみせろよ緑谷。

 

 緑谷は気弾を撃ち込まれながらも近づく事に成功した。

 そのまま懐に入ろうとするが、爆豪の拳が緑谷の腹へと当たる。その威力は凄まじく力強いものであっただろう。よろめきそうになっている緑谷であったが、それでも倒れることはなかった。

 

 爆豪はそろそろしつこさに痺れを切らしてまた大技を使う頃だろう。

 どうする緑谷、近づけたとはいえこれではまた離されるぞ。

 

「喰らいやがれ!!」

 

 来た、爆豪が大技を放ってきた。

 これがきっと爆豪にとっては最後の攻撃になるだろう。油断はせず、そのまま攻撃を続けている爆豪であったがが次の瞬間、信じられない光景を目にすることになったのだ。

 それはまるでスローモーションを見ているかのような錯覚だった。ゆっくりと迫りくる巨大なエネルギーの塊、普通なら避ける事は不可能だと言える程の大きさであるはずなのにそれを回避してみせたのである。

 

 

 

 

 ───次の瞬間。

 爆豪の腹には一発の拳が入っており、そのまま入った拳が爆豪のことを地面へとつかせたのであった。

 

 

「勝負あり!」

 

 何もない荒野のなか、俺の言葉だけが荒野の中で響いていた。

 

「はぁはぁ……僕が……かっちゃんに勝ったんだ……」

 

 勝利者インタビューと言うにはあまりにも殺風景の場所であるが緑谷俺はあることを聞いた。

 

「え?た、確かに……すっきりしたような気持ちはあるかも……でもどうしてだろう……」

 

 俺は緑谷に「スッキリしたか?」と聞いていたのであった。

 本人に自覚こそはなかったがこれまで爆豪に対して溜まっていた鬱憤というものはちゃんとあったんだろう。俺はそれに少し安心を抱いていた。

 

「凄い複雑な気分だったかな……二度とやりたくないかも」

 

「これから一緒に修行していくんだ、二度ってのはそこら辺は折り合いをつけてくれ」

 

 俺はこのとき思っていた。

 緑谷は心優しい奴だ。そんなやつが仮にも親友の爆豪を殴るのは複雑な気持ちだったのだろう。

 

「舞空術を使わなかったのはお前なりのルールか?」

 

「そうだね……かっちゃんにはちゃんと地上で勝ちたかったから」

 

「お前らしいな」

 

 舞空術を使っていればもっと緑谷は楽に勝て……いや、そもそもこいつの場合直前まで爆豪のことを殴って良かったのかと迷っていたのだろう。自分を虐めていた奴のことをあんなに庇ってその上で殴るのまで躊躇うなんて……。

 

 全く何処までも甘い奴だ……。

 

 

 

 

「爆豪お前に力の使い方を教える前に……一つだけ忠告しておく」

 

 復活した爆豪に俺は今から力の使い方の注意点を教えようとしていた。

 

「これは緑谷にも教えていなかったからな……お前にも言っておくぞ」

 

「うん……!」

 

 俺はチラッと爆豪のことを見ていた。

 あの一戦や先ほどの一戦もあったから態度はかなり軟化しているだろう。さっきも起き上がろうとしている爆豪を緑谷が手を指しべようとしていたが、その手を握ることはなかった。

 こいつが変わるかはこいつ次第のところはあるだろうな。

 

 

 

 

 俺は意識を集中させる。

 この段階はまだ到達したことがない領域だ。正直ぶっ倒れるのが目に見えているが……強大過ぎる力というものを何かとは教えるにはいい機会だろう。

 

 

 

 

 

「界王拳……20倍だ!!」

 

 

 

 

 

 気が一瞬で暴発する。

 俺はやはりまだこの領域に到達することは出来ないのだろう。

 

 あの人に近づくにはまだ早いってことか……。

 

 

 

 

「竜河君、大丈夫!?」

 

「ああ、大丈夫だ……」

 

 起き上がるとそこには爆豪と緑谷の姿があった。

 ああそうか、俺は界王拳20倍を使った後に倒れたのか。

 

「悪くない技だと思ったがすぐ倒れちまうなら使いもんにならねえな」

 

「それは言えてるな……」

 

 界王拳は使うだけでも消耗が激しい能力。

 それを20倍まで跳ね上がれば慣れてない俺には体が持たないに決まっているか……。界王拳に関しては課題が多いばかりだな。超サイヤ人のように常時慣らして使うと言う訳にもいかないだろうしな。

 

「緑谷、爆豪さっきも見ただろうが強すぎる力は暴発するときがある。最悪、遅発性乱気症と呼ばれて短い期間で急激な気のコントロールを必要とする術や技を使用すると発症する病気ってのがあるんだ。これになった気のコントロールが困難になって食欲が減り倦怠感が出るんだ」

 

「聞いたことがねえな、そんな病気」

 

「確かに僕も聞いたことがない病気だ」

 

 体が少しダルい……。これは間違いない、デタラメに気を使って暴発させたせいで遅発性乱気症になっているんだ。食欲もかなり減っていることだし、間違いないだろう。

 

「この病気はあまり詳細が知らされてない病気だからな……知られてなくても仕方ないだろう」

 

 問題は此処からだ。

 最も重要なことだ……。

 

「二人共真剣に聞いて欲しいんだが、俺達が教わっているこの気の能力は下手すら相手を一瞬で殺す事も出来るものだ。特に俺がよく使っているかめはめ波なんていうものは一歩使い方を間違えれば人を殺す技にだってなる」

 

「確かに竜河が使っていた瞬間移動かめはめ波とかは特にそうだよね……。待てよ、確か前に竜河君が使っていた気円斬という技もかなり殺傷力が高い技になるんじゃないのか?そもそも大きなエネルギーを生み出す技は……「おいデクぶつぶつうるせえぞ」あっごめん、かっちゃん」

 

 俺は時々緑谷のこの解説力の高さにビビってしまうことがある。

 おっと圧倒されている場合じゃなかった。

 

「まあ加減が出来るような技ばかりじゃないってことだ……分かったか二人共」

 

「うん、分かったよ竜河君!」

 

 緑谷は素直だからちゃんと言ったことを守ってくれるだろう。

 問題は爆豪をどう納得させるか、だ……。

 

「お前もヴィランになって追われる側にはなりたくねえだろ爆豪」

 

「チッ、分かったよ……守ればいいだろ守れば!!」

 

 どうやら爆豪も分かってくれたようだ。

 こういうとき絶対に反論してくるだろうと思ったから、先にヴィランになりたいのか?とでも言っておけば言うことを聞いてくれるだろう。案外こいつは分かりやすい。

 

「さてお前らが俺の忠告を聞いてくれたようだし、帰るか」

 

「そうだね、なんだかんだとっても疲れたよ」

 

「デク、次はテメーに負けねえからな!」

 

 緑谷と爆豪……。

 どうなるかとは思っていたがこの二人いい感じにライバル関係になれそうだ。ライバルか、俺にはそういうのが居ないから少し羨ましく感じるな……。

 

 

 

 

 

 

 ††††††

 

「化け物かよ……たった一人で」

 

 薄暗い路地裏のなか、少年はある不良グループをたった一人で壊滅させた。

 この不良グループは此処最近この街でバイクによる暴走行為を行っていたグループであったのだ。

 

「お前ら俺とタイマン張りたかったから……10万人は連れてこい!!」

 

「10……10万人!?」

 

 黒髪の少年は不良の一人を手から放し、地面につかせていた。

 

 

 

 

「あーでも複数人の場合はタイマンって言わないんだっけ……?」

 

 その男の背中にはある特徴的なものがついていた。

 それは……。

 

 

 

 

 尻尾のようなものであった。

 

 

 

 

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