目指すは孫悟空 作:黒沢
僕のヒーローアカデミア……。
俺はそう神様が呼んでいた世界に転生された。名前は聞いたことがある。だが、この漫画の作品がどういう話かは知らない。俺はこの世界に来て最初に驚いたのは、この世界には個性と呼ばれるものがあるということだ。しかも、それはほぼ全員持っているとのことだ。生まれ育ってから個性を持つ人間が居る世界か……。退屈はしないだろう。
俺はこの世界に転生されてきて一ヶ月ぐらいが経った。肉体年齢は15歳なのでそれに準じて中学校に通い始めていたが学校生活というのには元々慣れていたから、何一つ不自由ない生活を送っていた。
鏡で俺の顔を見る。そこには前世と同じ黒髪ツンツンヘアー。名前も前世と同じで
さて、あの神様に程よい強さで転生させてくれと俺は頼んだ。今のところ俺がどれくらい強いかなんて分かっていない。偶々喧嘩を吹っかけて来た相手をジャン拳で返り討ちにしたら一方的になって過剰防衛になりかけてしまった。あれでも手加減したつもりだったんだが……。
それだけじゃないこの世界では個性を使った悪党の事を「ヴィラン」と呼び、それらを取り締まる者を「ヒーロー」と呼んでいるらしい。ただし、ヒーローになるには免許が必要らしく、それはある一定の教育機関で受けないと手に入らないものらしい。そこで俺は免許を持たずに個性を使ってヒーローのような活動をしている者が呼ばれている「ヴィジランテ」の活動をしてヴィラン退治をしている。あまり俺は未だヴィランとやらに遭遇した回数は少ないが、それなりに修行になっている。難点は殺さずに生かすってのがかなり気のコントロールを難しくさせているが……。これも修行になるから有難いが……。
それにしても、そもそもこの世界にはサイヤ人と同レベルの力を持った人間が居るのだろうか……。ヴィランと呼ばれている所謂、犯罪者には今のところ強い奴は聞いたことがない。候補としては、「ヒーロー狩り」等と呼ばれているステインという奴ぐらいだろうか……。ヒーロー側にはちょっと期待できそうな奴はいる。そいつの名前は、オールマイト……。なんでもただの拳の一撃だけで天候すら変えてしまうほどらしい。だから俺はそのオールマイトとやらに少し期待している。出来れば俺と同じぐらいかもしくはそれ以上であってほしい。まぁ戦う機会があるかどうかは分からんが……
最後に、俺には尻尾がある。やはり個性が「サイヤ人」というだけあって猿の尻尾があるみたいだ。満月のとき、見ないようにするのは正直一苦労だ。見てしまったら、大猿になるからな。大猿化はサイヤ人の本領を発揮できる力ではあるが小さい頃の悟空や悟飯のように制御できるとは限らない。そしてこれはかなり先の話になるが尻尾があることで一応超サイヤ人4の前提条件はクリアできている。まずその前に俺は超サイヤ人にならないといけないが……。
そう、俺は超サイヤ人にはなれない。何度も試したが無理だった。女サイヤ人のカリフラの言葉を思い出して背中のムズムズを試したが何処にそんなのがあるのか分からなかった。今はとりあえず超サイヤ人については保留だ。
「それじゃあ、みんなさようなら、気をつけて帰るんだぞー」
3年生の校舎にある教室に戻り、帰りのホームルームを終えると担任の教師は終礼の挨拶をする。やはり俺は授業というものがあまり好きではない。授業中、修行は出来ないのが難点だ。ちなみに、俺は今身体に自分で作った特製の100キロ以上の重りが入った服を学生服の内側に着けているから充分修行にはなっているが……。常に身体を鍛えるために学校の階段なんて逆立ちしながら上っている。周りからはなんだこいつ?みたいな奇異な目で見られているが、そんなの気にしていない。以前は教師に視られて時は注意を受けたので教師の目の届かないところで行っている。しかし目撃する生徒はちらほらいることもあってか俺は周りから距離を置かれている。別にだからどうしようとか思わない。
「無個性のお前がヒーローなんかになれねえよ!」
聞いたような声が聞こえてくる。この荒々しい声は間違いなく、俺と同じクラスの爆豪 勝巳の声だ。となると、言われている側の人間は緑谷 出久だろう。爆豪は一方的に緑谷を馬鹿にしていることが多い。少しぐらい言い返してやればいいのにと考えることもあるが、何故か緑谷は言い返そうとはしない。
爆豪はそう緑谷に言い残し、去って行った……。俺はそんな一人取り残された緑谷の前に立つ。
「お前本当に何も言い返さないんだな……。まっ、お前の勝手だから別にいいけどよ」
緑谷は俺の個性を珍しがってよく俺と居る事が多かった。自分でも変わり者と自負している俺にだ……。
「竜河君……」
緑谷は俺に何か言いたそうにしている。そんな時間など与えなく俺は帰ろうとしたとき……。
「やっぱり無個性の人ってヒーローになれないのかな………?」
「そうやって無個性だ、個性だなんてのに振り回されている時点でお前はヒーローにはなれないよ。お前が知らないだけで無個性でヒーローをやっていた人間は居るかもしれない。名が知られてないだけで居るのかもしれない。無個性である為にヒーローになれないって勘違いしない方がいいぞ」
口が悪いが一番のところこれだ。こいつは無個性であるが為にヒーローになれないと勘違いしている。無個性がなんだ。個性がなんだ。そんなものクソくらえ。そんなものがなくても強い奴は強いだろ。ヒーローになっている奴はなっているだろ。
「俺が言いたいのはそれだけだ。俺は先に帰るぞ……」
「待って……!前に言ったけど、僕はオールマイトに憧れたんだ……!危機に直面している人たちを次々に救出する姿を見て僕は憧れたんだ……!確かに僕は無個性であるが為にヒーローになれないと考えていた。それは認めるよ……!でも、僕はどうしたらいいんだ……!?どうしたらヒーローになれるの……!?」
「そんなもん決まってるだろ。強くなれ、これ以上強くなれないと考えるまで自分を鍛えて強くなれ。己の限界が来るまでな……」
俺は床に倒れている緑谷に近づき、緑谷の視線に合わせる為に座る。強くなる、その言葉を聞いて緑谷は何処かハッとした表情をしていた。
「僕も、オールマイトのように強くなれるのかな……」
少し弱気になる緑谷。
「そんなものは鍛えてみないと分からない。だが、努力ってのは必ず結果がついてくるもんだ。さて、此処までお前は今自分に足りないのは強さだってことは分かったはずだ。力無い奴は何も守れないからな。というわけで……」
「俺と一緒に修行するか?緑谷?」
俺は立ち上がり、緑谷に手を差し伸べる。その手はまさしく日の光だったのかもしれない。対して、今の緑谷は日陰だっただろう。そんな緑谷は徐々に俺の手を掴もうとする。
こいつは間違いなく強くなれる素質がある。今はかなり小さい気だが……。俺の見込みが正しければ間違いなく成長するはずだ。となれば、今俺にできるのはこいつを強くしてやることだ……。
「えっ?いいの?僕なんかと一緒に……?竜河君も普段から修行してるのは知っているけど、邪魔になるかもしれないよ……?」
掴もうとしていた手は迷いにより一旦引いていた。
「人の好意は素直に受け取っておけ緑谷」
「そうだね、竜河君……。そっ、それじゃあよろしくお願いします!竜河君!!」
俺の手を握り、緑谷は立ち上がる。
さて、厳しく行くとしますか……。