目指すは孫悟空 作:黒沢
「おい、早くあの子を止めることはできないのか……!」
既に現場では洗脳された爆豪が爆破の個性を使って暴れ回っているようだ。
「無理だ、こっちは消火活動で手いっぱいだ。他のヒーローはどうなってるんだ?」
「私、二車線以上じゃないと入れないから無理……。シンリンカムイは?」
「爆炎系の個性は我の最も苦手な分類だ……!救援はまだなのか?」
現場に集まっているヒーロー達では最早救援を待つことしかできない。到底どうすることもできない事態である。
「おい、なんかヒーローやばくね?」
そんな危機的事態を察知したのか見ていた市民の一人が不安そうな声を出す。
「しまった……!?そっちは市民たちが……!?」
今度は市民の方に爆破が行きそうになるが……。
「大丈夫ですか……?」
「あ、ありがとう……。助かったよ……」
そこに颯爽と現れたのは緑谷。
気でバリアを張り、人々に危害を及ぶのを阻止したのだ。
「かっちゃん……!目を覚ますんだ……!」
爆豪にそう訴えるが、爆豪の耳に届くことはなく爆豪は緑谷に対して、攻撃を開始してきた。すぐさま回避行動を取り、緑谷は攻撃を受けることはなかった。
しかし……。移動した先で爆発が発生する……。
「凄い爆破だ……。かっちゃん、僕が知らないうちに個性の特訓をしていたんだな……。いや、多分それだけじゃない。恐らく洗脳されたことで気がいつものかっちゃんより上がっているんだ。これ以上、被害を出さない為にも早くかっちゃんを止めないと……!」
爆発の攻撃を受けて少々ダメージを受けてしまう緑谷。
次に爆豪は掌に力を蓄え始めていた……。蓄えた力は手から放出されていった。
「なんて威力だ……!気弾にかっちゃんの個性が上乗せされている……!」
爆豪の個性である爆破が気弾と混ざり合い、威力を高めている。
その威力はまさにコンクリートの建物の壁を一瞬で崩壊させる程度の威力はあるだろう。
「あれはかっちゃんの個性……!」
今度は気弾ではなく、掌からニトロのような汗が放出されそうになっている。そう、それは爆豪の個性だ……。
「マズい、あれはかなりの威力だ……!」
放ってきたのは、連続の爆発が生じる……。
緑谷は何度も何度も回避してその攻撃を避けていた。そして、爆豪に近づこうとするが……。掴まれてしまい、そのままもう片方の手でニトロを噴出させようとしていた。
しかし、咄嗟に脇腹に蹴りを入れると爆轟は体勢を崩しそうになっていた。それを見て、緑谷はすぐに背後に回り、爆豪を拘束するのであった。
「かっちゃん……!目を覚ますんだ……!」
拘束されても尚、爆豪は暴れていた。何度も何度も体に爆発を受けていたが、それでも緑谷は倒れないようにしていた。
「もうやめるんだ……!かっちゃん……!」
それでも緑谷の声は届くことはない。
まるで深海の底に沈んだかのように爆豪に声は届くことはなかった。
「キミがこの程度の洗脳ぐらいで……!」
「洗脳されるほどの人間じゃないだろ……!」
その声は周りに響いていた。響いたと同時に……。
周りで沈黙が続き、爆豪の体の動きが止まった……。
「か、かっちゃん……?」
動きが止まった爆豪を見て緑谷は驚いていた。
「うるせえんだよ……!ああ、そうだよ……!俺はこの程度の洗脳ぐらいで洗脳されるような男じゃねえんだよ……!」
「か、かっちゃん……!」
爆豪の意識は戻り、頭の血管のようなものはどんどん引いていった。
そう、洗脳が解かれたのである。
「や、やったー!かっちゃんの洗脳が解かれた……!」
「耳元でうるせえんだよ……!てめえはいつまで俺を拘束しているつもりだ……!早く放しやがれ……!」
「あっ、ごめん……。かっちゃん……」
緑谷は力を緩めて、拘束を解いた。
拘束を解き、周りからは安堵の溜め息が吐かれる中、何処からともなくかなり素早いエネルギー弾が流れてくる。それに気づいた、緑谷は急いでエネルギー弾をエネルギー弾で爆発させていた。
「良かった……。かっちゃんの洗脳が解かれて……」
一安心したのか緑谷は息を吐いていた。
「ぁん?俺は助けてくれなんて一言も言ってねえぞ!」
「それでもいいんだ。かっちゃんが助けられたから僕は嬉しい……!ヒーローなら誰だってそうでしょ……?」
緑谷は爆豪に笑顔を向ける。
爆豪はそんな緑谷を見て少し苛立っていたが……。何も言わなかった。かつての爆豪なら此処でキレていたに違いないだろう。成長している緑谷を見てこいつはもう弱くないと感じていたのだ。
再び平和な空気になり、ヒーロー達も安心している様子であり、市民たちもホッとしている様子であった。
そう、今までは……。
「ほう、この私の洗脳で強くした者と戦えるとは……。面白い小僧だ。その体気に入ったぞ……!オールマイトの体を奪うまでお前の体を奪うとしよう……!」
何処からともなく聞こえてくる声……。
その声を聞きながら、緑谷と爆豪を姿を探していた。
「テメエが俺のことを洗脳した奴か……!コソコソ隠れてないでその面見せたらどうだ……!」
「いいだろう……。お前たちに私の姿を見せてやろう……」
そこに現れたのは、黒の大きい機械の体……。中心には脳と思われるものがある。
「で、デカい……!それになんて気だ……!」
緑谷は思っていた。
間違いない、先ほど戦った敵と比べ物にはならない程の力を秘めていると……。
「体を奪う前に教えてやろう……!私の名前は、Dr.ウィロー……!この世で最も偉大なる頭脳を持つ者だ!」
そう、彼はかつてドラゴンボール、この世で一番強いヤツに登場した敵キャラである。何故、彼が此処に居るのか……。
「Ⅾr.ウィローだって……!?50年前の悪魔の科学者のヴィランじゃないか……!もう死んだって話じゃ……!」
「確かに私は50年前永久氷壁の中に閉じ込められた。私は脳だけを機械に移すことに成功し、再びこの世界に現れることができた……!」
「私は復讐を望んでいるのだ……!私をこんな醜い体にした奴らに……!私の偉大なる研究を侮辱した奴らにな……!その為に現代社会の最強ヒーロー、オールマイトの体が必要なのだ……!」
明かされるウィローの狙い……。
「復讐をしたいって割には自分の力を使わずに他人の力を使いやがるんだな……!言っておくが、テメエにオールマイトの体を奪えねえし……」
「クソデクの体も奪ねえよ!」
「かっちゃん……僕のこと認めてくれるんだね」
爆豪は笑いながら言っていた。
「勘違いすんじゃねえ、俺はただこいつがムカつくから今此処で粉々に吹っ飛ばすだけだ……!」
掌に力を込める爆豪……。
その力は気そのものであった……。
「テメエのおかげで俺は今まで以上に強くなっている……!今からテメエに特大の力をお見舞いしてやるよ……!」
「喰らえ、跡形もなく消えやがれ……!」
何度も何度もウィローに対して爆発を繰り返し、部品が無くなるぐらいまで木っ端微塵にしようとする爆豪。
「後ろだ、かっちゃん……!」
既にウィローは爆豪の背後に回っており、爆豪が気づいたときには遅かった。ハサミのような拳で爆豪の首辺りを攻撃しそのまま爆豪は気絶し建物の壁へと突っ込んでいた。
「かっちゃん……!大丈夫……!?」
「奴の下へは行かせはせんぞ……!大人しく私の体となるのだ……!」
吹っ飛んでいった爆豪の様子を見に行こうとするが、ウィローに阻まれる。
「退いてくれ……!かっちゃんを助けるんだ……!」
気を一気に解放し、緑谷はウィローに挑もうとする。まず、接近しようとするが何度も何度も放ってくる気弾に緑谷は一発、一発かなりの威力なもので苦戦していた。更に遠くから遠距離で攻撃しようとすると、近づかれてしまいそのまま蹴りが腹部に入ってしまった。
それでも尚、緑谷は諦めることなく次の作戦を考えた。今度は何度も何度も移動して攪乱させようとしていた。
「悪くない戦法だ。だが、この私にそんなものは通用しない……!喰らえ、私の特大エネルギー波を……!」
ハサミのような場所から巨大なエネルギー波が放たれる……。
その攻撃はなんと市民たちのほうに向かおうとしていた。
「さァ、どうする?後ろには市民たちが居るぞ……?」
「なっ……!?」
やるしかない……。此処で迎え撃つしかない。
そんな考えを胸にしながら、手に気を集中させる。
「かめはめ波……!」
緑谷はこの一か月間、かめはめ波何度も何度も練習してきた。そして今こうして緑谷は放出することに成功した。気と気のぶつかり合い。制した者がこの勝負を勝つだろう。
「踏ん張れ……!踏ん張るんだ僕……!」
ウィローが勝てば、この世界は終わりを迎えるかもしれない。緑谷が勝てば、この世界のヒーローになれるだろう。
「踏ん張れェェェェ!」
押されていたはずの緑谷であったが、ウィローのエネルギー波を押し返すことに成功したのだ。
「はぁ……はぁ……やったか?」
先ほどまでの戦いもあり、かなり疲労している緑谷。
出来れば、あれが最大の攻撃であって欲しいと願っていた。そして、勝っていてほしいと……。
「中々な攻撃だ……。だが、私を仕留めるには足りなかったようだな」
だが、現実は非情であった。
「そ、そんなさっきのが全力のかめはめ波だったのに……!掠り傷程度しか与えられないなんて……!」
緑谷の体全体が震えており、その震えはまさに望みが断たれた。そんな感じであった。
ウィローの体を見ると、機械の体に凹みを与えた程度の損傷レベルだった。
「実に楽しかったぞ……!さあ、私の体となれ……!」
襲い掛かろうとするウィローに最早為す術はない。そう考える、緑谷であったが……。まだ、残っている人が居る事に気づく……。
そう、彼だ……。
「悪い、今の緑谷が何処まで出来るのか気になってずっと黙って見ていた」
異常な速さで現れて倒されそうになっていた緑谷を助けたのは竜河。
「僕何もできなかった……。強くなれたと思ったのに……」
後悔の念を感じている緑谷。
「そんなことねえよ……。お前はちゃんと強くなれている」
緑谷と爆豪を一旦瞬間移動でヒーロー達に任せて竜河はウィローの前に再度立つ……。
「また一人現れたか……。そのパワーかなりの達人と見えるな……。気に入ったぞ、そのパワー……!オールマイトの体を手に入れる前にお前の体を手に入れるとしよう……!」
「そいつは無理だろうな……」
「大した自信だ、何故そう言い切れる……?」
「お前を此処で倒すからだ」
白いオーラは徐々に色が変色し始めようとしている。
そして、徐々に色に赤いオーラになり始めていた。そう、この技は……。
「界王拳……!!」