目指すは孫悟空 作:黒沢
「竜河君、何処に行くの?」
二人はウィローの戦いの後も修行に明け暮れていた。
修行に明け暮れている間も竜河はあることを考えていた。それはウィローがこの世界にいるということは他のドラゴンボールのキャラもこの世界に居る可能性があるかもしれないということを再度考えていた。
考え過ぎ……。
だけならばいいのだが、どうしても気になった竜河は緑谷と話している間あることを気になり無空術で飛び始めるのであった。
「悪い、緑谷……地球一周旅行してくるからちょっと待っててくれ」
「えっ!?」
いきなり竜河がそんなことを言い出した為、驚いていた。
竜河はそれ以上何も言わず、何かを確認するように周りを見ているのであった。
「やっぱりか……」
かなりの高度から空を飛んでいたが、あるものを見つけていた。それはカリン塔のようなものが見えていた。
「如意棒が刺さってないのはこの世界にあの人が居ないから……か」
少し残念そうにしている竜河。
憧れの人物が居ないということを少し寂しく感じながらもカリン塔の更に上空へと飛んでいく……。
「カリン様にも用はあるけど、今はとりあえず……」
竜河は更なる上へと目指していた。
そして……。
「やっぱりあったか……」
そこに存在していたのは神様の神殿であった。
本来であれば、無空術のような技では弾き返される場所であるがそこを竜河を何事もなく辿り着いていた。そのことを疑問に思いながらも診断に足を踏み入れると……。
「お待ちしておりました……異界の人」
神殿の奥の方から声が聞こえてくる。
そこから聞こえてきたのは年若い声のようなものであった。
「俺がこの世界の者ではないと見抜くとは……流石は神様ですね」
中から徐々に現れてきたのは若く緑の肌をしている人であった。
しかし、その風貌はただならぬ雰囲気を漂わせていた。
「……私はこの場所より下界を見ております。貴方のような者はすぐにでも見分けることが出来るんです。ですが……」
そこで言葉を詰まらせてしまう。
何故言葉を詰まらせたのかはすぐに分かった。
「ですが……貴方が来る少し前この世界と別の世界が何らかの原因で混ざり合いました……」
「あの神様が言っていた救いを求めるってのは……そういうことだったのか……」
自分がこの世界に転生されたときのことを思い出していた竜河。
そして、本来であればこの神殿には最初の神様が居るはずである。だが、今目の前に居るのはかつてナメック星でデンデと呼ばれていた少年である。これもまた異変の一つなのであろう。
「知っているかもしれませんが……この世界では異変が起きております……。あのような強大な力を持つ者がまた現れるかも知れません」
「ウィローのような奴が……ですか」
もし、あのような強敵が現れるようなことがあれば今度こそ竜河は死ぬことになるかもしれない。ウィローの戦いでもギリギリまで出力を上げた界王拳を使ったのである。あれでもかなり体は消耗していて病院から復帰できるまでそれなりに時間が掛かったのだ。
「そこでです……。この神殿の奥にある精神と時の部屋と言う場所で貴方達の修行をサポートしたいのです……」
精神と時の部屋。
竜河にとってもその場所はかなり知っている場所であった。修行場所にはもってこいの場所である。ただ、少しだけ問題がある。あの場所はかなり過酷な場ということだ。
それを知っていた竜河であったが、考えることもなく……。
「分かりました、ありがとうございます。ですが……一つだけもう一人此処に連れて来て構いませんか?」
「ええ……構いませんよ」
精神と時の部屋の中……。
「やっぱり実践じゃまだ使うの難しい……か。瞬間移動からのかめはめ波……こいつ会得できれば最高なんだが……」
彼がやろうとしていたのは瞬間移動を行ってのかめはめ波であった。
実はウィロー戦ではいきなり実践で試すという行為をして成功したが元々瞬間移動を併用しているということもあり、今までできるかを試したことがなかったのである。
初見殺しとも言えるこの技を完全に会得できれば更なる技を身に着けることもできるのであったが、この通り竜河がかめはめ波を溜めてから瞬間移動を使った先は緑谷はおらず、ほぼ地面真下にかめはめ波を当ててしまったのだ。
「い、今の攻撃……まともに喰らっていたら死んでたかもしれない……」
「まあ相手が緑谷だから死にはしないだろ……だけどまあ……緑谷の言う事も一つあるな」
と言うのもかめはめ波は元々高火力の技なのである。それに合わせて瞬間移動なんてものを使えば体は八つ裂きになること間違いないだろう。
「強力の技とはいえ、使い方は気を付けないと駄目か……」
だがもしこれが有効打となることがあり得るとしたら、それはきっとウィローを越える強敵が現れたときであろうと考えていた竜河。と言うのも、この世界にウィローが居るということはもしかしたら他の敵たちも居る可能性もあるからだ。
考えたくはない選択肢だが、竜河にとって頭に入れて置かなくてはならないことである。
「それにしても……緑谷の個性あれは中々に強力だな……詳しくは分からないが身体能力向上系のものだろう……」
竜河の読みは当たっていた。
緑谷が引き継いだワンフォーオールは瞬間的に爆発的な力を引き出せる能力である。最初こそ緑谷は制御できずに困っていたが、竜河とオールマイトの特訓で10%ほどの力が出せるようになったのである。それ故、現時点では竜河の方が明らかに力は勝っているがもし完全にコントロールが出来るようになれば、自分よりも強くなるかもしれないと竜河は考えていた。
「擬似超サイヤ人……あれは自分で引き出せるもんじゃねえ……。今俺がやるべきなのは……ただ純粋に力という力を見に付けるだけだ……!」
気を解放しつつ、一気に緑谷の間合いを詰める。
その間に緑谷が放っていきていた気弾を全て解放された気で弾き返す。しかし、完璧には弾けなかったようで竜河の後ろで気弾が爆発していたのであった。
竜河は緑谷の腹に力を込めた拳を打ち込もうとするが、それを簡単に受け止められるが……。
すかさずそこにもう片方の拳を打ち込むと、防御が崩れそうになっていた。それに気づいた竜河は当然首辺りに足蹴りを入れて緑谷は地面へと落下していく……。
次はどう来る……。
そう言った感じで緑谷のことを待っていると、丸い気弾のようなものが竜河の背後から来ていることに気づき、竜河はその気弾を気弾で相殺しようとするが、緑谷の気弾の軌道が変わり避けられてしまうのであった。
「繰気弾か……!」
その技なんなのかはすぐに竜河には理解できた。
そう、その技はドラゴンボールでヤムチャが使っていた技であったのだ。普通の気弾とは違い、軌道を変えることが出来る特殊な気弾なのである。
竜河はどうやって相殺しようか、考えていたがあることを思いつくのであった。
気弾を四方八方にぶちかまし軌道を変えようとすれば起爆する仕組みにしたのであった。
「ちとヤケクソだけど……これならいけ……ぐっ!?」
狙いは的中した……。
だが、竜河は攻撃を被弾していた。何故自分が被弾したのかは全く考えずに居たが、その理由はすぐに分かった。それは緑谷が指先に力を溜めて風圧のようなものを飛ばしてきたのである。
「繰気弾も陽動に使うとはやるな……緑谷!」
「キミがそうしてくるだろうというのは読んでいたからね……!そしてこれで終わりだよ……!」
「波ぁ…!!」
その技名に竜河は驚かされていた。
この技は天津飯が使っていた技なのである。しかも、この技はかなり早く回避するのが難しいのである。竜河は防御の構えを取っていたのだが、気を解放しながら緑谷が近づいてきていることに竜河は気づくのが遅れたが……。
「瞬間移動!?いったい、何処に……!?」
「かめはめ……波!!」
「なに!?」
背後からのかめはめ波……。
今度はかめはめ波を溜めてから瞬間移動するのではなく、瞬間移動してからかめはめ波を放つという違う構図で瞬間移動かめはめ波を放つのであった……。
「はぁ……はぁ……やっぱ使いこなすにはまだ工夫が必要だな……」
気功波からギリギリのところで回避していた為、竜河は少し掠っておりなにより瞬間移動かめはめ波をするのにかなり体力を消耗していたのであった。
「大丈夫か?緑谷」
「いてて……大丈夫……。それにしても、その技かなり初見殺し要素が強いね……」
「ああ、当たれば絶対無傷で済まないだろうな……」
二人は舞空術を回避して地面につき、そのまま座り込もうとしていたが二人共疲れのあまり大の字になって倒れていたのであった。
「そういや……あの二つの技……。何処で身に着けたんだ?」
「うーん……ノートに戦術を纏めているときにかめはめ波以外の大技を考えた方がいいかなって思ってね……。それで思いついたんだ」
緑谷は少し自慢そうにしながらも答えていた。
彼は竜河やオールマイトの特訓を受けながら自分の戦術をノートに纏めたりしていたのであった。更には二人の戦い方を分析したりなどもしていた。
「最後のはちょっと焦ったぞ……。あれが成功してなきゃ自分が恥ずかしく感じるところだった」
事実、竜河は気功波を撃たれたときかなり焦っていたのだ。
回避するにも時間が掛かる為、緊迫しながらも一か八かの瞬間移動に出たのであった。
「それにしても此処の環境かなり地獄だね……」
「ああ、まさか此処までとはな……」
竜河と緑谷はプラス50℃からマイナス40℃まで変化する気温、地上の1/4ほどしかない空気……。更に加えて地球の10倍に相当する重力という地獄のような環境。最初に入った二人もかなりの重力の重さに嘆いていたが、今ではようやくを体を動かせるほどになっていたが……。
「あの人が一ヶ月も居られなかったってのをまさか肌で体感することになるとはな」
彼が尊敬するあの人は幼少期の頃、此処に入り一ヶ月の間地獄の修行を行うことになったのだ。
それをまさか自分が体験することになるなんて、と少し嬉しくなりながら緑谷にこう告げる。
「まだ行けそうか緑谷?」
「うん……!」