「弱気な覆面の男Aは容易くメモリを渡したのだが、どこか小物集がするBはメモリを使用。コックローチDへと変貌する」
「大した強さではないが、ラビットタンクだと相性が悪い」
「そこで夢真は玩具のエラーで発売キャンセルとなったアノ姿へと姿を変える! 果たしてどうなる第14話!」
「ところでゲットしたメモリは何に使うんですか?」
「……いろいろ」
〈高貴なる毒針! ゴールドスコーピオン! イェイ!〉
優雅なアラビアンテイストの変身音が響き渡る。姿を変えた私に警戒してマントの様な羽をなびかせながら、こちらを睨む。
「そんな虚仮威し!」
こちらが一歩も動かない事にしびれを切らしたコックローチDが高速で迫りくる。私はただ、振るわれた拳をサソリの腕で受け流す。コックローチDは体勢を立て直し再び突撃してくるが焼き直しの様に受け流した。何度も一直線に突撃して奴に対して、反撃をせずに最小限の動きで裁き続ける。
「へぇ… へぇ… へぇ…」
やがて息を上げ、肩で呼吸を始めたコックローチD。そんな奴の足元に【ゴールドフルボトル】の力で生成した純金の延べ網をいくつもばらまく。
「き、金だ!」
するとさっきまでの疲労が嘘かの様に勢いよく飛びつき、散らばった金をかき集める。分かりやすい、単純思考。四つ足で散らばった金を集めるその様は台所のGの様だ。
「これも!あれも!それも! 全部金だぁぁああああーーーーー!!!!!」
ゴキブリホイホイの餌にガッツク虫の様に純金に夢中の彼。戦闘中を忘れた金亡者に無慈悲な一撃を入れる為ボルッテクレバーを回転、必殺技の準備を始める。
〈Ready go! ボルテックフィニッシュ! イェーイ!〉
右腕の【ポイズンクランガレット】の金色のエネルギーを纏い、そのまま拳を地面に突き刺す。するとガレット内部から放たれた刺突ユニットが地面を掘り進み、コックローチDの足元から腹部目掛けて地面から出現。金に目がくらんでいたコックローチDは回避も抵抗も理解する事すらできず突き刺さり、潰れたカエルの様な声を上げながら地面から浮かび上がる。
「グェ゛」
そのままガレット内部で生成された毒を体内へ流し込む。流す毒は軽い痙攣を起こす毒、死なないよう流す量を調整する。最初は引き抜こうと足掻いていたが、重力に従って手足がぶら下がったところで刺突ユニットを引っこ抜き、コックローチDを地面におろす。
地面に横たわる身体からメモリが排出され、人の姿へ戻った覆面B。排出されたメモリは地面に接触すると砕けた。覆面Bは強制的に元に戻った影響か、目をめいっぱい見開いているが無視。彼のそばに落ちていたメモリの破片を回収し、サイズの合う収納パックへしまう。
『若干、口から泡吹いてません?』
ニャルに指摘され再び視線を向ける。よく見れば多少、泡を吹いているようにも見えなくもない。ガイアメモリを使用した人間という事も有り、本来なら詳しく人体データを取りたいところだけど、騒ぎを駆け付けた民間人や警察に見られたら困るので放置。
本来の目的の未使用のメモリに誰が私かの情報も手に入っているし、このまま帰っていいけど……
5秒以下の思考の末、彼らが守っていた廃工場の扉を開き奥へ進む。天井にはわずかな穴が開いており、そこから日の光が内部へと差し込み周囲を照らす。
中にあったであろう機材はすべて撤去された後、壁や窓はひびが入っている部分も見受けられる。足元の砂には目には見えないほど細かな鉄くずが混じっているようだ。只々広い空間の中心に一人の男がこちらを睨みながら佇んでいる。
「外の騒ぎはお前の仕業か」
ドスのきいた低い声が壁に反響。覆面越しでも分かるほどの殺意を向けている。
正直、メモリさえもらえれば私は良いんだけど… 向こうはそんなつもりなど毛頭ないようで、黒いメモリを取り出し左の掌のコネクタに差し込む。
〈DEMON…〉
覆面Cは蒼炎と共にその姿を異形の物へと変える。鳴り響く単語はDEMON、悪魔の記憶が解放された。薄暗い青の瞳に左右非対称の腕、闇を連想させる生々しい黒の皮膚が特徴の姿、【デーモンドーパント】へその姿を変えた。
自身の変化を確認するかのように拳を何度も開いたり閉じたりする。一見すると隙にも見えるが、マスクの下のモニターにはデーモンDが持つ異常なエネルギーに警告音を鳴らしており、迂闊に近づけは痛い目を見るのは火を見るよりも明らか。
双方の視線が交わる中、時間だけがいたずらに過ぎてゆく。やがて一筋の風が砂塵を巻き上げる、その音が戦いのコングとなった。人知を超えた身体スペックを使った一撃が交差する。互いの身体から火花を散らし、後退。【BLDシグナル】の機能によりアーマーの損傷部の応急補修が行われる。
補修が行われている間に体勢を立て直し、右手を前方へと伸ばす。するとベルトからパイプが伸び、柄の先にドリルの刃が付いた変った形の武器、ビルドの基本武装【ドリルクラッシャー】を生成。右手に【ブレイグリップ】を握りしめ視線をデーモンDへ。
向こうは向こうで細い右手にメリケンサックの先にローラーが付いたような変わった形の武器意を手にしており、腰を低くして構えてる。足をバネの様に一気に伸ばし跳躍、ローラー付きメリケンサックで殴り掛かって来た。
ドリル刃【ドリスパイラルブレード】を回転させながら受け流し、背中目掛けてドリルクラッシャーを突き刺す様に振るう。こちらの一撃はやけに筋肉が発達した左腕に弾かれ、咄嗟に距離を取る。
『見た目に似合わず身軽なんですね』
受け身を取りながら地面を転がる私、ニャルの純粋な感想が頭の中に響く。立ち上がりと同時に後方へ跳躍、私からも距離を取った事でかなり開いた。デーモンDが接近使用を太鼓の様な足跡をたてながら迫りくるのを他所にブレードを取り外し、先っぽの部分を【コネクトランサー】の凹へ差し込む。
ドリルクラッシャーは【ブレードモード】から【ガンモード】へ変化。それに伴い、ブレードモードの時はコネクトランサー(凸)にさしていた部分が銃口【ガンスパイラルマズル】へ。グリップのトリガーを引くことで高速回転と共に標的を貫く加速光弾【スピニングビュレット】を放つ。
何発もの弾丸を受け火花を散らすデーモンDだったが、すぐに火球による遠距離攻撃で対応してきた。迫りくる火球を撃ち抜き、火球が弾丸を焼き尽くす。何度も花火が出来、少しでも調整を間違えれば建物に引火しそう。
しばらくは見栄えの変わらない撃ち合いが続く。そもそもゴールドスコーピオンFは元々至近距離によるカウンターを主体として戦うフォームであり、この様な弾幕戦は苦手。それを可能としているのは向こうも弾幕戦が苦手と予測される。
『それだけなく、これまでの戦闘経験もありますよ? 向こうはどうやら闇雲に撃ってきてますからね!!』
ニャルの言葉を聞きゆっくりと息を吐き、肩の力を抜く。慎重にタイミングを見極めながら片手で撃ち続け、片方の手に赤いボトルを握りしめる。ほんのわずかな時間、ビルドのアシスト機能をフルに活用して導き出した勝利の法則。その最初の一歩の引き金を引く。
打ち合いの中、ゆっくりと振っていたボトルの【シールディングキャップ】を回し、ドリルクラッシャーの【フルボトルスロット】へセットする事でボトル成分が取り込まれ、必殺技発動システムが起動。
〈Ready go!〉
待機音が鳴り響き中、ガンスパイラルマズルに赤いエネルギーが蓄積されていく。
〈ボルテックブレイク!〉
【ボルテックトリガー】を引く事で必殺技が発動。内部発動機の稼働状態を示す【ボルテックメーター】の針が大きく左右に触れる事から、内部状態も良好で想定内の威力で弾丸が放たれる。
セットしたボトルは【スーパー戦隊フルボトル】、仮面ライダーとは違う戦士の力が込められたボトル。放たれた弾丸は二つに割れそれぞれ銀色のVを模したシンボルと金色のSを模したシンボルへと変化、火球を貫きながらデーモンDに命中。小さな爆発を起こし、後方へと吹き飛ばされた。
「っく!」
どうやらとっさの判断で左腕を盾にしたようで撃破まで持っていけなかったが想定内。奴の左腕が大きくえぐれ煙を上げているのを視界に収め、新たなフルボトルを取り出しトランジェルソリッドを活性化。キャップのラベルを正面に向ける。
〈ティラノ!チェーンソー!〉
流れるかの様にボトルを入れ替えてレバーを回す。
〈Are you ready?〉
「ビルドアップ…」
スナップライドビルダーが新たなハーフボディを生成、軽く俯き小さくベルトの問いかけに答える。
〈切断の恐竜王 チェーンソーレックス イェーイ…〉〈アビリティアックス!〉
紫とダークグレーの装甲を身に纏い、右手には見るものに本能的な畏れを感じさせるという欲望を砕く斧に酷似した武器【アビリティアックス】を握りしめる。一呼吸置いた後、床を蹴り一気にデーモンDをへと接近、アックスを縦に振るう。
お待たせしましたm(__)m
思ったより、ゴールドスコーピオンFの設定が定まらなかった。てか、現状でも定まってない。でもこれ以上皆様をお待たせする訳には行かないので、投稿させてもらいました。
もしかしたら後々、シークレット修正してるかもしれません。今回登場した読者案ベストマッチの詳細は次回に回します。