私、月読調   作:火野ミライ

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「いつも読者に這い寄る混沌、ニャルラトホテプです!今回は私一人であらすじ紹介していきますよぉ~~~! 新しい形態、ゴールドスコーピオンの活躍でゴキブリ怪人を難なく撃破した夢真!! しかし新たな刺客、デーモンドーパントが立ちふさがるのだった… その強さはゴキ怪人をはるかに凌駕し、苦戦を強いられる。それでは第15話どうぞ!」


私、悪魔の科学者。分岐点は気づかぬ間に過ぎる…

廃倉庫内に響き渡る金属音。斧とナックルがぶつかり合い火花が散る。双方、複眼を光らせ止まる暇なく攻防は激しさを増してゆく。二つの影がぶつかり合う衝撃は長年にわたり積み重なった埃と鉄混じる砂埃を宙へと舞わし、建物全体を大きくを揺らす。

 

その揺れは2階渡り廊下の先、廃材が積みあがったまま放置されている倉庫まで届いており、覆面を被りグレーの衣に身を包む男性が必死にバランスをとる。そんな男性の背後では銀色の髪を腰ぐらいまでに延ばし、少し大きめのワンピースを着た少女がゆっくりと目を覚ます。

 

「………っ!? ん~!」

 

手足は縛られ、口にはガムテープを張られた状態で横倒しにされている少女。だんだんと自分が置かれた状態が鮮明に思い出され、目に涙をため暴れ出す。しかしか弱い少女の力ではロープをほどく事は出来ず、ただただ服を汚し自身の体に傷を増やすだけ。

 

そんな少女の様子に気が付いた覆面Dは近くに置いてあったドラム缶を支えに立ち上がり揺れる建物の中、慎重に歩みを進める。何度も倒れそうになりながらも少女の目の前とたどり着き少女に睨みを利かす。

 

「そう暴れんな! もうじきお前を引き取りにあの女が来るから大人しくしてろ、k………っ!」

 

恐怖を植え付けるかのようにドスを利かせる覆面Dだったが、これまでで一番大きな揺れが倉庫を襲いバランスを崩す。目に涙を浮かべる少女は恐怖で体を震わせるのだった。その様子を青空が広がる窓の向こう側から見つめる小さな影にどちらも気が付かずに………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

斧とナックル、それぞれの得物が宙を舞う中ぶつかり合う二つの拳。込められた力は均衡し、その衝撃を受けそれぞれの背後で砂塵が舞う。デビルDが瞬きする間もなく左腕を薙ぎ払い、迫りくる剛腕をしゃがんで回避。その体制のまま足払いをして転倒させ、背中から地面にぶつかる光景をしり目に大きく後ろへと転がる。

 

立ち上がると共に先程、デーモンDによって弾き飛ばされたアビリティアックスを回収。持ち手付近のフルボトルスロットに【トラフルボトル】をセット、ボトルをスキャンさせた機械音が鳴り響く中ボルテックトリガーを引く。

 

〈シングル! ボルテックファング!!〉

 

トラの成分がアビリティアックスの刃を満たし、ゆったりと起き上がったデーモンDに向けて大きく振りかぶる。振るわれた得物から3つのエネルギー刃が放たれデーモンDに迫るが、咄嗟に回避された。背中部分をかすめたエネルギー刃は建物を支えるコンクリート柱を切り裂いた時点で消失。

 

先程の一撃を受け背中から煙が上がるデーモンD。そこに追い打ちをかける為、再びフルボトルをスロットにセット。アビリティアックスが成分を読み取ったのを目視すると今度は、トリガーを引かずにスロットからボトルを抜き2本目のボトルをセット。

 

〈ダブル! ボルテックファング!!〉

 

一気にデーモンDへと接近に腹部に押し付ける。刃が高速で回転し先程セットした【電車】【ライト】の効果により、緑の電流を纏う白熱した刃の一撃は豆腐を斬るかの様に肉を切り裂き、体内にボトルの力が流し込む。簡易に説明すると刃に熱を持たせることで切りやすくし、できた傷口に電流を送り込んだ。

 

「ぐぁぁ… 一体何が!?」

 

その影響かは分からないが、デーモンDの表面に火花が走り動きが止まる。流れる手つきで【恐竜】【ティラノ】【チェーンソー】の順でボトルをセット、トリガーを引きながら何度もデーモンDを斬りつける。

 

〈トリプル! ボルテックファング!!〉

 

縦・横・斜め・上・右・下・腕・足・腰……… 斬りつけた衝撃で後方に飛んでいくのを追いながらも我武者羅に、けれど正確にその身を切り刻んでいく。

 

ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛!!!!!!!

 

取り込んだ成分が無くなるタイミング、アビリティアックがボトルの力を持続できる限界まで斬り続け、最後に大きく振り吹き飛ばす。立ち上がったデーモンDはふらつき、先程までの理性は消え、獣様な雄たけびを上げその身体を人ならざる何かに変化させていく。

 

身体は蒼炎に包まれ、左腕の剛腕は溶けるかの様に消た。なんとか人型を保っているソレは天井に向け、ゾンビの様な擦れた咆哮をあげる。

 

『斬られすぎてSAN値が急降下したみたいですね』

 

飽きて壊れた玩具を見つめるかのように呟いたニャル。実際にこの邪神にとって私達(にんげん)は退屈しのぎでしかないのだろう。ニャルの事を理解しようとするだけ無駄、そんなことを考えながらアビリティアックがスキャンできる最大数、【ラビット】【ドラゴン】【イガリマ】【シュルシャガナ】の4本を順にセット。

 

ボトル成分が蓄積され、光が渦巻くアビリティアックを握りしめ、腰を大きく下ろし、デーモンDを見つめる。もはや悪魔と言うよりも火の魔人と言った方が適切な見た目へと変貌しており、このまま気温が上がれば建物に引火。そうなる前に決着をつけるべく大地を踏みしめ走行。大きく振りかぶった一撃がデーモンDの肉を断つ。

 

〈ギガボルテックファング!!〉

 

赤・蒼・緑・桃のエネルギーを纏った刃の一撃は暴走するデーモンDを沈め、体内に入り込んだメモリを破壊(ブレイク)。地面に横たわるのは皮膚や服が多少、焼き焦げた男性。被っていた覆面は全焼しており素顔がハッキリと分かる。正直、男の方はどうでも良く、メモリの破片を回収して周囲を見渡す。

 

さらわれた少女も最後の誘拐犯も居ないし、隠れられる場所や物もない。

 

~~~~♪

 

「あっち………?」

 

正面に舞降りて来たのはクローズD。クローズDが首挿す方向に視線を向ける。そこには錆び付いて途中からしかない階段の残骸があった。その先には今でも使えそうな道があり、隣の倉庫へと続いている。クローズDの視線が動かない事からその先に何かが有るのは明白。

 

足腰に力を籠め跳躍、渡り廊下の上に着地。そのままクローズDの案内の元、奥へと進む。後にして思えばこの時、前に進まずに引き返していればめんどくさい事に首を突っ込まずに済んだと思う。まぁ、後の祭りだ。




似たような展開続き、淡白な状態が続いていますが後2.3話で終わると思いますので、もうしばらくお付き合いください。m(__)m



オリジナルフォーム:チェーンソーレックス(募集案より一部抜粋)

変身音「切断の恐竜王 チェーンソーレックス」
「ティラノフルボトル(紫)」「チェーンソーフルボトル(ダークグレー)」を使用して変身。「ティラノ」の超パワーで2トントラックも持ち上げることができ、威圧で相手を怯ませ、「チェーンソー」は物によって時間はかかるが切断できる。

オリジナルベストマッチウェポン:アビリティアックス
オーズに出てくるプトティラコンボが使っている斧のような形、最大四本のボトルをスキャンし、そのボトルの効果を同時にぶつけることができる。

演出上の関係で「シングル! ボルテックファング!!」「ダブル! ボルテックファング!!」「トリプル! ボルテックファング!!」「ギガボルテックファング!!」の音声を勝手に設定しました。

『シャチ虎8810』さん、ありがとうございました。また音声に付きまして意見がありましたら遠慮なくお申し付けください。

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