「展開の都合、戦闘シーンは割愛。」
「今回はさらに数年後の世界から送りします!」
「まだ説明が続く、第四話どうぞ。」
自由の女神がそびえたつ某国の街中を歩く私達。
人通りが多く周囲の人々は楽しいそうな笑い声を響かせ、今日と言う日常を過ごす。そんな人々の中には今の私ぐらいの年齢(8歳)ぐらいの男の子が母親と思わしき人物に涙混じりに露店の食品をねだっている姿も拝見できる。
『せっかくアメリカに来たんです、【クトゥルフ神話】の本を何冊買っていきましょうよ!』
(ここにあるの?それにさっき実験体にあげたから、そんな残って無いし…)
一応ニャルの言っていたクトゥルフ神話について軽い解説をすると、20世紀のアメリカで、創作として創られた架空の神話。詳しく説明するといろんな意味で疲れるのでしない。
ちなみにニャルラトホテプこと【ナイアルラトホテップ】もこの神話の神だったりする。
閑話休題
特にこれと言った予定も目的も無く、ぶらぶらと街並みを見ながらニャルと会話する。
そんな時だった……
『…どうやら、この辺に出るみたいですよ。』
ニャルが空間の歪み、この時代・この世界の人々が共通して恐れる【認定特異災害】の出現を感知…… その名は【ノイズ】。
2030年に国連にて認定された特異災害で未知なる存在。その外見は生物の様であり、共通して液晶ディスプレイのように輝く部位が存在する。彼らは空間からにじみ出るように出現し、人間のみを襲い、触れた人間を自分もろとも炭素の塊に転換させる能力を持つ。一定範囲内に人間が居なければ、その場でとどまり自壊するまで動かない。
ちなみに人間と言うのは生きている物のみで死体には反応せず、自身に向かってくる他の生物にも全く興味を示さない。あとノイズに遭遇する確率は、東京都民が一生涯に通り魔事件に巻き込まれる確率を下回るらしい。
「キャァアアアアアーーーーーー!!」
ニャルがノイズの出現を感知してから少ししてから、サイレンの音が周囲に響き渡り、先程まで日常を過ごしていた人々は一変して、恐怖の声を上げながら出来るだけ遠くへと逃げる。しかし時はすで遅し、ノイズはこの通りに出現していた。
人々がノイズを恐れる理由、それは【位相差障壁】と言う特性が原因だ。
ノイズの存在を人間の世界とは異なる世界にまたがらせることで通常物理法則下のエネルギーによる干渉をコントロールする能力。ノイズ自身の現世に存在する比率を自在にコントロールし、物理的干渉を可能な状態にして相手に接触できる状態、相手からの物理的干渉を減衰・無効化できる状態を使い分ける事が出来る特性。
この特性によって、ノイズは物理法則に則った兵器ではゼロから微々たる効果しか及ぼすことができない。もちろん、私が使うライダーシステムもノイズ相手では意味が無い。
私の前世の記憶を元に例えるなら、ノイズに襲われるのはスペ○スビー○トのゴ○○レムの大群に襲われるのと同じだ。
『生物の恐怖心で繁殖するスペー○○ーストと比べたらマシだと思いますけど…』
一般人からすればどっちも一緒。
なんてノイズにつて軽い解説と、ニャルと会話をして間も人々はノイズに襲われており、我先に逃げようとする人で通路はあふれかえっている。
そんな様子を横目に見ながら私は
普通の転生者なら、貰い物の力に慢心して戦闘するだろうが私はしないし、そもそも誰かを守るために戦う気も無い。そう言う偽善とか綺麗事とかを持って戦っている人をバカにはしないけど、私にはできない。
だって、私はもう他人を信用する事が出来ないから。
私がこんな性格だからビルドドライバーの真の性能のを引き出せてない。後、私はハザードレベルが上がりにくい体質なのか、現在のレベルは3.4。
その代わりになるか分かんないけど、ビルドシステムの相性は【葛城忍】レベル。
まぁ、そうなるようにシステムを設計したんだけど……
そんな場違いな事を考えながら歩く。悠々と道を歩く私の姿をノイズは興味を示さず、私の後方で逃げている人めがけて進行する。吹き荒れる風は命だった物を連れ空に舞う。
『おぉ、地獄絵図が広がってますね。』
何で嬉しそうなのよ……と言うか、始めて見る景色でも無いでしょ?
『分かって無いですねぇ~ 映画は何回見ても面白い。それに私、こういう事もする神ですし!』
あっそ………
邪神の感覚?もしくはニャル独特の感性の話になって来たので適当に流す、
頭の中で抗議するニャルの声が聞こえてくるが、頭の隅に追いやるような感じでスルー。
のびのびと道を歩いていたら、ノイズから逃げる親子の姿が視界に入る。どうやら完全に逃げ遅れたようで、四方八方ノイズだらけ。そんな絶望的な状況の中でも、子供だけでも守ろうと必死に足掻く母親の姿。
その光景に数年前の光景が脳内に浮かび上がる。
突然、機内が揺れその衝撃でうっすらと目を覚ました私。状況を理解するよりも先にさらなる揺れが襲い掛かり、飛行機は墜落。結果、機内は混乱に陥り出れもが詩を練げく中、私は二つの影に覆われる。
影の正体、それは現世の父と母だった。
前世の記憶+αを持っている為、普通の子供とは到底言えない私。正直、気味悪がられても可笑しくはない。そんな私でもふたりは娘として文字道理、命がけで守ってくれた。家族との縁を捨てた今でも調神社のお守りを持っているのは、私の未練なのかもしれない。
逃げ惑っていた親子に向かって1体のノイズが飛び掛かる。その様を見た母親は息子を抱え込みノイズに背を向け目を瞑る。ノイズが母親に触れる寸前、攻撃を受け崩壊。ノイズが灰になる音を聞き、自身が無事な事を悟った母親が周囲を見渡し、最終的にこちらを見つめる。
『ナイスショット!』
私の手には船の錨と海賊船が合わさったような弓が握られている。
ノイズは人間に触れる瞬間、こちらの世界に自身の存在を100%とこちらに置くため、そのわずか一瞬に何かしらの攻撃(手足以外)を与える事で撃破する事が可能。どれだけの時間なのかははっきりとしたデータは無いが、少なくとも0.1秒は攻撃できる隙があるのは確か。
『解説しているところ悪いんですけど、助ける気なかったんじゃないんですか?』
うん。だから私は、今日と言う日を一生後悔する。
なんて頭の中でボヤキながら、手に持つ武器を投げ捨てるように異次元に収納。それと同時にビルドドライバーを腰に装着。オレンジ色の【タカフルボトル】、濃灰色の【ガトリングフルボトル】を取り出し、内部物質をボトルを振る事で活性化。
この時、私の周囲では様々な物理法則の式が浮かび上がっている。それを気にする必要も無く、ボトルのキャップを閉めベルトにセット。
〈タカ!ガトリング!〉
ベルトのレバーを回している中、プラモデルのランナーを思わせるパイプが前後に出現し、それぞれの成分をスーツとアーマーに変化。
〈Are you ready?〉
腕を水平に伸ばした後、ボクシングの様なポーズ…… 仮面ライダービルドの主人公:桐生戦兎と同じ構えを取る。
「変身。」
〈ホークガトリング!イェーイ!〉
黒いスーツの上に斜め状のにそれぞれの意匠がデザインされたアーマーがされ、頭部はタカの全身を模した翼がアンテナ風と2つのガトリング砲を模しその1つがアンテナ風になっている。
仮面ライダービルド【ホークガトリングフォーム】へと変身を遂げた私は、タカの意匠が特徴の機関銃型武器【ホークガトリンガー】からタカ型の弾丸を放つ。
頭部の【ライトガトリングアイ】により命中精度が上がった弾丸が、親子に向かうノイズに風穴を開ける。なぜ、攻撃寸前でも無いノイズに攻撃が通ったのか?それはガトリング側の弾帯の様な胸部装甲に秘密が隠されている。
位相差障壁と言うはノイズが持つ自信を守るための防護機能。頭部の【BLDシグナル】で収集したデータを基に防御特性に応じた特殊弾を生成、装備中の武器に自動で装填する機能により、ノイズに攻撃を当てることが出来る。
この過程が無ければノイズに攻撃する事が出来ない。でも逆に言えば、理論上は物理学上でノイズを撃破する事が可能と言う事。まぁ、ノイズを攻撃するためのアイテムやシステムを作るにはこの時代の化学でも難しく、何か必要な物が抜け落ち要る気がする。
〈10,20,30,40,50……〉
回転式リロードユニット【リボルマガジン】を手動で回転。現在装填されている弾数を機械が読み上げていく。背中の翼【ソレスタルウィング】を広げ、上空へと飛ぶ。
〈60,70,80,90,100!フルバレット!〉
【ボルテックトリガー】引き、上空からノイズを狙い撃つ。放たれた弾丸により次々とノイズを撃破していく。センサーに映るノイズの反応が無くなったのを確認して下降、着地と同時に変身解除。
「
この場を去ろうとしたその時、助けた男の子からお礼の言葉を言われた。視線を向けると男の子は笑顔でこちらを見ていたが、すぐに母親が男のを連れ逃げるように去っていく。
『子供からすれば助けてくれたヒーロー、大人からすればノイズを倒せる怪物と言ったところでしょ。』
ニャルの呟きを聞きながら足を進める。………はぁ、最悪だ。
次回からセレナ救済編!多分、数話にかけてやると思う…