TSして自由なVtuber生活!   作:ae.

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やっとVtuberになります。

また、今話には挿絵が付いています!是非「挿絵表示あり」でご覧ください!


4『TSして自由な…本当に自由にやっていいんですか!?』

 

 

 

 

 

 

読み込み中

 

 

 

 

 

■ ▶❘ ・ライブ
 
 ❐ ▭ ▣ 

【初配信】はじめまして【オンライブ】

 5,255 人が待機中・~に開始予定
 
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 宵 あかり 
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 チャンネル登録者数 902人 

 

 じーん。そんな効果音がバッチリ似合いそうなくらいには、今オレは目の前に広がる光景に心を揺さぶられていた。

 

 オレに合わせてその表情をコロコロと変える美少女。

 バーッと、もはや読めない程に速く流れていくコメント達。

 

 すごい世界だ。

 

「あと二十分ほどで本番になりますので」

「あ、はい」

 

 返事をしてゆっくり深呼吸する。

 すぐ近くではスタッフさんが機材の最終確認をしてくれていた。

 

 さて…

 

 どうしてこうなったんだっけ??

 

 落ち着いて考えよう。というか振り返ってみよう。

 事の始まりは、ある日いきなり送られてきた一通のメールだった。ネットショッピングの注文確認メールや、公式サイトからのお知らせくらいしか来ないオレのメールボックスに届いた謎の合格通知。

 これといった心当たりも特になく、新手の悪戯メールかと思いつつも一応開いてみれば…そこにはオンライブからの一次審査合格という知らせと、二次面接の案内文が。

 

 再三確認したものの、それは間違いなくオレ宛のメールだった。初めの方にオレの名前もバッチリ書いてあったし。どうやらオレは栄えある三期生オーディションの一次審査を通過したらしい。……いやいや!! 待て待て待てっ!?

 

 そもそもオレ、応募してすらいないんだが!?

 

 そう、確かに送ろうとはした。したが…結局は募集期間を過ぎてて送れなかったはずである。なのに合格。え? そんなことある??

 などと言ってるうちに早くも数日が過ぎ、心の準備も出来ないまま面接の日がやって来てしまった。

 オレはその面接で頑張って今回の事情を説明しようと試みたのだが…悲しい(かな)、日常会話もなかなかに怪しいオレがこんな普段の数倍緊張するような場で上手いこと説明できるはずもなく。最終的には自分でも何を喋っているのかあやふやになりながら面接を終えた。

 

 しかしあの時は事情説明こそ上手くいなかったものの、そもそもあんなんじゃ合格しないだろうから大丈夫だと、そう高を括っていたのだが…。

 

 後日送られて来たのはまたしても合格通知。

 で、あれよあれよと言う間に初配信日。つまり今に至る、と…。

 

 なるほど──何も分からん!!

 

 ツッコミどころが多すぎんだろ、いったい何がどうなったら送ってもいないオーディションに受かってデビューする羽目になるんだよ。百歩譲って応募してたとしてもあの面接内容じゃ普通は通らないって。いや、正直緊張してて何言ったかオレ自身覚えてないけども!

 

「機材の確認、完了しました。こちらへお願いします」

 

 なんてことを考えているうちに諸々の準備が整ってしまったらしい。呼びに来たスタッフさんの指示でディスプレイの前に腰掛ける。

 すると、スーツを着た美人さんがこちらに近づいてきた。面接の時にもいた人で、名前は確か「神無月(かんなづき) 志姫(しき)」さん。

 オンライブに所属しているライバー達の上司にあたる人らしく、オレも既に何度か顔を合わせている。

 

「やあ。もうすぐ本番だね。さっきは何か考え込んでいたみたいだったけど、大丈夫かい?」

「はい、えと…たぶん…」

 

 無理です、駄目です、帰らせてください!! ──と喚き散らしたいのは山々だが、こんな本番直前でそんなことが言えるほどオレの肝は太くない。

 そもそもここに来てしまった時点でもはや逃げ場なんてないんだから、大丈夫じゃないなんて言っても意味はないであろうということは明白である。

 

「ふふ、そうか。自由にやってくれて構わない。三期生の一番手、期待してるよ」

 

 それだけ言うと周りのスタッフさんに何事か指示を出しながら神無月さんは戻っていった。

 ………オレ、これからマジでVtuberとして配信するのか。ヤバい…そう思ったら急に緊張の波が…!

 

「配信の開始と同時にまずムービーが流れます。それが終了したらそこからは流れ通り進行してください」

「ひゃ、ひゃい…」

「それでは開始します」

 

 その声の直後にディスプレイではムービーが流れ始めた。

 

..

..おおお!!!.

..

..はじまた.

..

..キタ―――(゚∀゚)―――― !!.

..

..ムービー導入.

..

..SSRかな?.

 

 太陽が沈み始め、夜が始まるほんの少し前の空。そんな空に一際目立つ輝く星が現れる。

 

..

..星か.

..

..手が込んどる.

..

..わくわくさせるやん.

..

..まさかこの星が…?.

 

 そしてその星がさらに強く輝き出して空を埋めて──光が収まると空から一人の少女が姿を現した。

 

..

..親方!空から女の子が!.

..

..かわいいいいい!!?!.

..

..星が美少女に!?.

..

..マジかよ、俺も星捕まえてくるわ.

 

 ムービーが終わり、画面が切り替わってオレのLive2Dモデルが表示される。

 宵の空を表現したというグラデーションの入った長めの黒髪に、前髪に一束だけある純白の髪。中身がオレで本当に良いのか聞きたくなる出来の美少女だ。

 企業Vtuberとして使うためにその道のプロが作っただけあって、表情の変化なんかもとても細かい。笑顔に、変顔、ウインク…うむむ、どれもバッチリ、モデルの方へ反映された。す、すごい…。

 

 …すー…ふー…さて、現実逃避はこの辺にしておくとしよう。

 

『えっとオレは──って、あ』

 

..

..俺!?.

..

..お?.

..

..俺って言った??.

..

..俺っ娘ですか!?!.

 

 さ、さっそくやっちまった!!?

 サッと血の気が引いていくのが分かる。なーんも考えず自然とオレって言ってしまった。当たり前だが、打ち合わせの時に「このキャラはオレっ娘だよー」なんて一言も言われてない。

 冷や汗を流しながらチラッと神無月さんの方に目を向けると何故かこっちを見てサムズアップしていた。

 

 いいのか!? いいんだな!? ならこのまま行くぞ!?

 

『お、オレは(よい) あかり。オンライブ三期生の新人バーチャルユーチューバーだ。えーと…よろしく?』

 

..

..マジで俺っ娘だ….

..

..この胸で俺っ娘はヤバい.

..

..好きになるからやめろ.

..

..なんで俺っ娘なの??.

 

『えっ、そりゃあオレが元々男で──じゃない!! 今のなし! なしっ!!』

 

 何言ってんだお前!? オレっ娘だけならまだしも今のはさすがにマズイ!

 だがそう思った時にはもう遅く、コメントは爆速で進んで行ってしまっていた。

 

..

..元男…だって?.

..

..これで男ってマジ?.

..

..TSかな?.

..

..TS美少女Vtuber!?!?.

 

 微妙に確信を突いたコメントも見える…が、まさか本気で言ってるわけではないだろう。今のうちにどうにかして方向転換しなくては…!

 自由にやっていいとは言ってたが、さすがにこれは神無月さんも怒って…ない??

 なんかめちゃめちゃ笑ってる。腹抱えて笑ってるぞ。これもセーフなのか? 本当に自由にやっちゃっていいのか?

 

 …そうだよな、よく考えたらいきなり女になるなんて怪現象を経験したオレに怖いものなんてないはずだっ!

 

 ここまで来たら最後まで自由にやっちまえ!!

 

『今コメントで言ってたやついたけどさ、TSってのが当たり。オレ、元々男だったんだよ。けど朝起きたら美少女になってたんだ』

 

..

..あ さ お ん.

..

..あさおん美少女Vtuberとか個性の塊すぎる.

..

..こ れ が オ ン ラ イ ブ だ.

..

..これマジ?俺も美少女になりたい.

 

 

【挿絵表示】

 

 

『あー、やめといた方がいいぞ。いきなり美少女になっても良いことなんて全然ない…てか、なかったからな。美少女ってのはお前らが思ってる以上に大変な生き物なんだぞ』

 

..

..なんかめちゃめちゃ実感こもってて草.

..

..やめとく…いややっぱでも….

..

..美少女になったら美少女と友達になれるって本当ですか??.

 

『美少女になったら美少女と友達になれるってのは嘘。ソースはオレ。それどころか普通の友達もできるか怪しいくらいだから。これもソースはオレ』

 

 なんかよく分からんが楽しくなってきたぞ。コメントも盛り上がってるみたいだし!

 

..

..あかりちゃんはボッチ.

..

..あかりくんはボッチ.

..

..泣いた.

..

..世知辛ぇなぁ….

 

『まぁ、そんなわけだから。TSは創作の中だけで我慢しとけ。これがTSに憧れるお前らにオレが伝えたい一番のことだ。よーく覚えておくように』

 

..

..はーい.

..

..あかりちゃんで我慢します.

..

..あかりくんで我慢します.

..

..ちゃん派とくん派の溝は深い.

..

..この子を見て先輩達ははたしてどう思うのか.

 

『先輩…あ、そうだよな。オレ、(さくら)ちゃんや永遠(とわ)さんの後輩なんだ…』

 

..

..桜「ちゃん」???.

..

..さてはリスナーだな、オメー.

..

..推しが見える見える.

 

『うん。ガッツリ推し。桜ちゃんと永遠さんはボッチだったオレの大切な癒しだったから。あ、そういやこの前の桜ちゃんと永遠さんの配信見た!? あれヤバかったよなっ! 桜ちゃんと話してるときは永遠さんもいつもより声が安らいでる感じがするって言うかさ。誰にも邪魔できない信頼関係があるんだなぁってのが伝わってきて…』

 

..

..わかる.

..

..わかりみが深い.

..

..ただのオタクじゃん、すき.

..

..よーくわかる.

 

『桜ちゃんと永遠さんのお泊り配信また見たいなぁ。眠くなると普段世話好きの桜ちゃんが永遠さんにお世話される側になるの、マジで…!』

 

..

..あ〜〜.

..

..着眼点が限界オタク.

..

..モロ自分の願望出てて草.

..

..マジで…!(言葉を失う).

..

..自己紹介枠じゃなくて推しの紹介枠やんけ!.

 

 楽しくなってすっかり何する配信か見失ってた。

 そういえばこれ自己紹介枠だっけ。

 

『ごめん。こんな風にVtuberの話できるの楽しくって…今までできなかったから。こんなこと』

 

..

..あっ….

..

..あっ.

..

..泣かせるな.

..

..そういやボッチって言ってたな.

..

..いいんやで.

 

『そろそろ本題に戻ってタグとかファンネームとか…ってあと三分で配信終わり!?』

 

 推しの話をしていたら軽く一時間が過ぎようとしていたらしい。

 本来の流れ通りならファンネームや推しマーク、ファンアートタグなど決めておく予定だったが…無理か、これは。

 

 スッとスタッフさんが机に置いていったメモには「Twitterやマシュマロで募集して次回の配信でタグ決めなどやりましょう」と書いてあった。

 申し訳ないが時間的にそうする以外になさそうだ。

 

『時間が迫ってるから今回はこれで終わり! Twitterの固定のところにタグとかの募集を置いとくから後は頼んだ! じゃな!』

 

..

..じゃな!!.

..

..じゃなー.

..

..おつー!.

..

..チャンネル登録しとけ.

..

..Twitterもフォローしろ.

..

..隈なく切り抜け.

..

..コメントの方がしっかりしてて草.

 

 

 

 

 

 

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