まぶしい・・・
ウチはあまりのまぶしさに目を覚ます。・・・まぶしい?ウチは光の届かない研究所の奥にいたはずだ。それが何故?
体を起こし目を擦るとそこは清潔感のあるベッドの上だった。もしかして、助かった?
「うう・・・」
ぐぅーと鳴るお腹。点滴の繋がれた腕を見るとどうやら病院のようだ。間違いない。誰かがウチを見つけてくれて、助かったのだ!
「おなか空いた・・・」
ベッドの側のナースコールを押し、起きた事を伝える。するとナースさんがすぐさま飛んできて先生を呼んでくるからねとまたすっ飛んでいった。
「うう・・・」
とにもかくにもお腹が空いた。幸いにも手足は動くようになっており辺りを見渡す。特に変わり映えの無い病室だ。ふと枕元のテーブルに水のボトルがおいてありすぐさまてにとってごっきゅごっきゅと飲み干す。
「ああ−!水うま!」
・・・・・・
・・・・・
・・・・
・・・
・・
・
そのあとすぐにやってきた医者の先生の話を聞き、非常に危ない状態だった。でももう安心ということだった。それよりお腹空いたと伝えるとすぐに食事を用意すると言ってくれた。助かる。
「むしゃむしゃ!」
「ksjdhalsijenrmkvals」
「もぐ!もぐもぐ!」
「mdmeijcifje?kejkskjdjduhgvncjdsks」
ご飯を食べ始めたところで一人の女性がやってきた。短い茶髪の女性はウチの様子を見て何かいったようだがなんと言っているか聞き取れない。何語?
「んっ!」
水で食べ物を流し込み。聞き耳を立てる。
「msdjfhkwoslakwkwe8wsns」
「・・・?」
「amsjdjftbgnjdsowlwskdjfjfh3?」
「・・・???」
「あれ?おっかしいなぁ・・・医者の先生達は翻訳魔法使っとったのか?」
「なぁなぁ何語でしゃべってん?」
「うぇ!?・・・日本語で喋るんか?」
「せやで?」
「そういや手紙日本語やったな・・・あはは〜?」
「はぁ・・・?」
「ん。まずは自己紹介やな。私は八神はやて。君の保護者や。」
「はぁ。さいですか。」
「それだけ!?」
「いうてもウチ、何がどうなってるかわからんし。」
「ああ・・・せやなぁ・・・」
はやてちゃんはあらましを説明してくれた。遺棄された研究所から助け出したこと、保護者がいなかったから名乗り出たこと。
「そういえば君、名前はあるんか?」
「名前・・・」
ふむ、名前か。名前はぶっちゃけ無い。いやぶっちゃけなくても無いが。
「名前はないんよ〜目が覚めたのも遺棄された後やったから管理番号みたいなのも無かったし。」
「さよか・・・じゃあ私が付けてあげようか?これから手続きとかするようになっても必要になるしな。」
「せやな・・・はやてちゃんにお願いするわ。」
「よし。んーどんなのがええかなー」
うんうん唸るはやてちゃんを横目に水を飲む。名前か・・・どんな名前になるんだろう。カワイイやつがいいなぁ。
「よし!決めた!」
「へぇどんなん?」
「のどか!今日から君はのどかや!」
「わーぱちぱち」
「なんやあんま嬉しそうやあらへんな。」
「そんなことないで?目の前で自分の名前が決まるなんて経験ないからちょっと困っとるだけや。」
「そかそか。それじゃあこれからのどかで手続き進めとくな。あともう一つなんやけど。」
「もうひとつ?」
「のどか、うちの子にならへんか?」
・・・・・・
・・・・・
・・・・
・・・
・・
・
はやてちゃんのうちの子にならへんかに対しては保留ということにした。どこか行くところがあるわけじゃないけどいきなりはいなりますというのはやはり変だという感じがした。
「ウチがオリジナルのところにか・・・」
一晩考えさせてくれと言ったがウチがそこそこの記憶を持たせられて生まれたからか
「はあ・・・」
正直気が進まない。何故ならウチはクローンだし、貧弱な体でもあるからだ。絶対に迷惑をかけるということが決まっている。世間体もだがあまりよろしくないんじゃないだろうか。世間体とかよく知らんけども。
「どうしてあんな簡単に言えるんやろ・・・」
不思議だった。ついこないだ会ったばかりの子に家族にならないかと言える根性。どうしてそんなことが言えるのだろうか。同情にしても行き過ぎている気がする。本当にどうなっているんだ。
「はぁ・・・」
考えても答えは出ない。明日も来ると言っていたし明日聞いてみようと思う。だから今日はもう寝よう。
「・・・ぐぅ」
だから、おやすみなさい。
・・・・・・
・・・・・
・・・・
・・・
・・
・
「おはや〜」
「うわ出た。」
「出たとはお言葉やな。」
「ごめんごめんおはよう。」
はやてちゃんは朝から来てくれた。にこにこと機嫌が良さそうな雰囲気を出している。
「さて、早速やけど昨日の答えを聞こかな?」
「・・・。」
「のどか?」
昨日の答え・・・それは養子になるかならないかの答えだろう。正直なところ答えは出ていない。
「・・・。」
「・・・のどか?」
「・・・正直、気が進まん。」
「それはどうしてや?」
「・・・ウチは、ある程度記憶を持って生まれとる。だから、養子になるとかならないとかどんな問題が出るかなんてのはある程度予測出来る。」
「・・・さよか。」
「正直言って体は貧弱に作られとるし、クローンやし。絶対に迷惑かかると分かりきってるんよ・・・それで尚ウチを養子に迎えよう言うんがわからへん。」
「・・・さよか。」
「なぁなんでなん・・・なんで昨日今日会ったばかりの子を養子に迎えよう思ったん?」
「そんなん私がなりたいからに決まっとるやろ。」
「は?」
「のどかが不安に思っとることもわかる。でも私にはそれを跳ね除けるだけの力もあるし何も問題あらへんよ?」
「・・・。」
「のどかがひとりぼっちなのもわかる。でもクローンとか同情とか無しにのどかをひとりぼっちにさせたくない思ったんや。ほっとけなかったんやな。」
「・・・。」
「あかんかなぁ。家族って案外簡単になれるもんやで。深く考えるなって言うんのは無理やと思うけど・・・受け入れる側はそんな深いこと考えてへんよ?」
「・・・ははっなんやそれ。」
「あっもちろん引き取る際の責任とかはちゃんと考えてるで。」
「当然やな。」
「ぐう正・・・!」
「ふふっ・・・なんやウチ、考え過ぎやったんかなぁ。」
「多分そうやな。家族になれるチャンスがあったら乗っとくのがベストだと思うで。」
「そっか・・・ふふっ」
どうやらウチは考え過ぎだったらしい。はやてちゃんはほっとけなくてウチを家族にしたくて、ウチはそれに乗っかることにした。
「じゃあはやてちゃん。お世話になります!」
「そうか!そうかそうか・・・こりゃ賑やかになるでぇ。他の家族も紹介するからな!」
「・・・ん?」
「ん?」
「はやてちゃん、他の家族て・・・?」
「あれ?知らんのか?ある程度記憶があるって・・・」
「いやいやいやある程度やで?知らんに決まっとるやん。」
「・・・??」
「・・・???」
あれ・・・なんか噛み合ってない。ウチの記憶はある程度の常識に関する記憶だけだからはやてちゃんのいう他の家族については全くわからない。どういう勘違いが起きてるんだ?
「・・・あっ?」
「ん?どうしたんや?」
「もしかしてはやてちゃん、ウチにはやてちゃんの記憶が使われとる思ってない?」
「え、違うんか?」
「違う違う!一般常識に関する記憶がそこそこあるだけで他は何も知らんのよ?インストールされたのはウチが八神はやてのクローンいうのと関西弁?いう日本語だけや!!」
「ええ!!なんやそうだったんか・・・そういや記憶転写なんてされた覚えは無いしな・・・」
「せやろ?ウチははやてちゃんの記憶があるんじゃないんやで?」
「はー危うく勘違いするところやった。それじゃのどか。私は養子縁組の手続きやりに帰るから大人しくしてるんやで?」
「はぁーい」
そういってはやてちゃんは帰っていった。そうかこれで家族か。家族になるって簡単やったんやな。ふふ、家族か。どうにも顔がにやけてしまう。助けられてからてんてこ舞いだが悪くない。つい先日までお腹が空いて死にかけていたとは思えない。幸せが押し寄せてきている。流れが来ている。完全に。八神のどか、リリカルマジカル、始まります。