今日はなんだか物々しい雰囲気がある。そう感じとった矢先にこんこんとドアがノックされ医者の先生が入ってきた。
「やぁ元気かね。今日は特別な検査をするからよろしくね。」
「はぁい。」
どうやら特別な検査とやらで雰囲気が違うらしい。医者の先生にも緊張が見てとれる。一体何をするんだろうか。
「まずはこのお薬をのんでもらえるかい?」
「はい。」
出てきたのはコップいっぱいの水と何やら錠剤。躊躇いなく飲むと数十分後には眠気が訪れた。どうやら睡眠薬だったらしい。
「眠くなったら寝ていいからね。そうしたら検査に行くから。」
「ふぁい・・・」
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「先生、検査の方はどうですか?」
「ああ、はやてさん。順調です。」
生体ポッドに浮かぶのどかを見ながら先生に話しかける。のどかの体は調整が施されておらず、あらゆる環境への適応力が低かった。清潔な病院でさえ危機となるほどに。本来なら生体ポッドの中でなければ生きられない体だったのだ。
「間に合って良かったですよ。身元引受人もいなかったらこのような大掛かりな検査調整も出来なかったですから。」
「ええ、私も養子縁組を急がせましたから。本当に間に合って良かったです。」
「このまま調整作業を進めれば五日ほどで大丈夫になるでしょう。」
「ありがとうございます。よろしくお願い致します。」
何もかもがギリギリだった。あと一日でも助け出すのが遅かったら命を落としていただろうのどかはポッドの中で目を閉じたまま浮かんでいる。
「本当に、間に合って良かった。」
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うん・・・?
なんだかふわふわする・・・それに温かい・・・なにがあったんだろう検査まだやってるのかな
「目を覚ましたぞ!」
「いかん睡眠薬が切れたみたいだ!予定より早い!」
あわあわする白衣の人たちが目に入る。まだ検査中だったのか。しかしここは・・・?
「睡眠薬、注入します!」
「大丈夫だからね〜まだちょっと眠っててねー」
はぁいと頷くが周りの人達には見えていないようだった。ここはそうか。生体ポッドか何かか。そう結論付けると再び眠気が襲ってきた。
「・・・。」
「眠りました・・・!」
「ふぅ・・・」
「良かった・・・」
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2、3日後、はやては再びのどかの元へと訪れていた。今度は数人引き連れて。
「主、彼女が・・・?」
「そうや。新しい家族やで。」
「はやてそっくりだな・・・当然か。」
「シグナムもヴィータも仲良うしてやってな。」
「もちろんです。シャマルとザフィーラにも伝えておきます。」
「うんうん。ま、2人も退院前に連れてくる予定やけどな。」
「のどかはまだどこかわりーのか?」
「うん・・・まだ環境への適応力みたいなのが不十分でな。危ない状態やったんや。」
「そうだったのか・・・変わらず変態どもは適当なことしやがる・・・!」
「この調整が上手くいけば問題無くなるんやけどな。無事を祈るしか出来へん。」
「主・・・」
「シグナム、のどかが家に来たらしばらくかかりっきりになるかもしれへん。私もなるべく休み取って一緒にいるようにはするけど・・・」
「はい、わかっています。のどかはこの身に替えても守り抜きます。」
「ヴィータも頼むな。」
「おう!」
「ま、まずは無事に終わってくれるよう祈ろう・・・」
はやてたちはガラス越しにのどかを見遣り戻っていく。家族の無事を祈りながら・・・
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ふわ・・・あ・・・
なんだか前に比べると硬い。それがベッドにいる事だと気づくと体を起こす。
「あ、目が覚めた?」
「おはよーのどか。」
不意に声をかけられ目を擦りながら横を向くとフェイトさんとはやてちゃんがいた。
「おはよーさん・・・検査、終わったの?」
「そうやで。すっきりぽっきり全部終わりや。」
「そうなんか・・・ふわ・・・」
「まだ眠いなら寝ててもいいよ?」
「んや・・・大丈夫。終わったってことは退院か?」
「んー・・・退院は経過観察が終わってからやな。もう少しかかる。」
「そうなんや・・・早く退院したいなぁ。」
「それももうすぐだよ。のどか検査頑張ったからね。」
「寝てただけな気がするけどなぁ」
「ふふっそうかもね。でも頑張ったことには変わりはないよ。」
「そか。じゃあそういうことで。」
「んっふっふーそんな頑張ったのどかにお土産があるでー」
「えっ!?お土産っ!?」
そう言ってはやてちゃんが足元の袋から包装紙に包まれた箱を取り出す。箱はずっしりと重く、結構な大きさだった。
「開けてええ?」
「ええよー。」
ぱりぱりと包装紙を剥がし、箱が露わになっていくとはやてちゃんはにこにことフェイトさんはええー・・・と顔を歪ませた。
「わぁ・・・!」
「のどかはおもちゃが好きみたいやからなぁ!奮発したで!」
「ええ・・・はやて・・・女の子のお見舞い品にこれはどうなの・・・・」
「ええやん喜んどるし。」
はやてちゃんのお土産は完全変形!戦闘機バルキリーと描かれたおもちゃだった。ウチはワクワクが治らずぎゅーっと箱を抱きしめる。
「おーきにはやてちゃん!!」
「うんうん喜んでくれて何よりや。」
「喜んでるなら・・・まぁいいか・・・」
ウチはそーっと箱を開けおもちゃを取り出し遊んだ。こんなにワクワクしたのは初めてだった。心の小さな隙間が埋まるようでとても楽しかった。
「入院長引いてもいいかも・・・」
「こら、縁起でもないこと言うんじゃあらへんよ。」
「てへへごめんて」
「これからフェイトちゃんも私もちょっと忙しくて来れへんようになるけどそれで我慢してな。」
「来れへんくなるん・・・?」
「そんな寂しそうな顔せんでも大丈夫や。私達はもう家族やからな!」
「私も、家族じゃないけどもう家族みたいなものだよ。」
「そか・・・ウチお利口にしとるから。」
「うんうん。それじゃフェイトちゃんのお土産のケーキでも食べよか。」
それからケーキを食べ、おしゃべりをし、夕方になる頃に2人は帰っていった。ウチは夕暮れに照らされた部屋でバルキリーを変形させながら1人呟いた。
「家族か・・・」
家族、共同生活を送る集団とされるが果たしてウチがソレに加われるか、まだ不安だった。はやてちゃんは不安をなんとかするだけの力があると言ってくれていたが。それでも不安が無くなるわけではなかった。
「ウチ、ちゃんと家族になれるんやろか。」
ロボット形態へと変形させたバルキリーを眺めながら。私は夕飯の時間を寂しく待つのであった。