ありふれない天龍姫と魔王の異世界無双 作:ゆきほたる
□noside
青白い光を感じ、微睡みを越える。穴蔵の奥で、双葉は目を覚ました。彼女は異様な匂いに顔を顰め、あたりを見回した。
奥には魔物の骨が置かれており、あたりには人はなく。双葉はテーブルのように真っ平らに加工された岩の上に、毛皮を毛布がわりに引いた所に寝かされていた。
「香織……ハジメ? どこ?」
居るはずの友人の姿が見えず、彼らを求め右腕を上げようとしてハッとなる。肘から先がなく、肩と二の腕から先の感覚がない。その現状を認めた双葉は、ため息を吐きながら起き上がる。
手元には時計が置いてあり、それによると彼女は3日ほど眠っていたようである。幻肢痛の後遺症もなく、経過は良好とみるべきなのだろうか?
そして、しばらくすると。ぐるるるる……と腹が泣いた。
「う、お腹すいた……餓死しちゃう……」
双葉は呟きながら壁伝いに立ち上がり、彷徨こうと岩から降りた時に。視界の端で穴蔵の壁がぬう、と開いて。そこから白髪の青年と、銀髪の美女が現れた。
「おっ、目が覚めたんだな。おはよう、双葉」
「双葉!? よかった、「もう二度と目を覚まさないんじゃ」とか思って心配したんだから!」
青年はいや、そうはならんやろと言わんばかりの苦笑。美女は一直線に、双葉に抱きついた。真正面から抱きつかれ、挟まれ潰れる二つの山。双葉も胸の大きさは自慢であったが、相手の方がやや大きいか。
「大袈裟だなぁ、香織は。ごめん、心配かけて」
しかし、姿は違えど双葉にとっては掛け替えの無い友を間違えるなどあり得ないと言わんばかりに、彼女は2人の正体を見抜いていた……戸惑いがないといえば嘘になるが、「それでも」である。
そして、最近までの顛末を聞き、情報を整理した双葉はハジメが下げているバックを見て指摘した。
「2人とも、魔物の肉を食べて生きながらえてたのね。そして、今はこの仮拠点の拡張と神水の抽出待ち、と」
「正確には拠点の拡張と言うよりブランチマイニングしつつ、鉱石を集めてる最中だな。この壁の中には色々と埋まってるし、錬成の習熟を積むためであり……これの確保だな」
ハジメは錬成で動けなくなるまで痛めつけ仕留めた二尾狼を掲げるようにして見せる。
香織も少しドヤ顔しながらもう2体を持ち上げていた。
「何か口にしないと死にそうなんだけども」
その様子を見て双葉は抗議代わりなのか、偶然にぐるるるる。彼女の、腹の音が盛大に鳴り響く。
「悪い悪い、3日も飲まず食わずだった訳だし、食べれるか?」
「食わなきゃ死ぬわ。ともかく、その神水とやらをもらっても良い?」
双葉はハジメが石を加工して作ったコップに注いだ神水をまじまじと見つめた後、それを呷った。途端に疲労感、倦怠感が晴れると胃の調子も良くなるのを感じつつ。
解体され、肉を切り出し炙った魔物肉に噛みつき、噛みちぎり。硬い、まずい、臭いと自身が出会ってきた食べ物の中で一番クソまずいと評しながら仏頂面で肉に食らいついた。
食らいに喰らい尽くす。双葉は自身の胃袋を満たすために、1匹分の肉を全て平らげて見せた。そして……案の定。
「あぐっ……体が……千切れそ……うぐぅぅぅあああ!!」
「大丈夫だよ。わたしに任せて、双葉」
「死ぬ、死ぬ死ぬって……あれ? もう痛くないんだけど」
双葉も体の変容が起こり、慣れた手つきで香織は回復魔法を詠唱もなしで行使する。
しかし、その劇痛はすぐに退き。ハジメと香織は真顔で「え、もう終わりなの?」と言う顔をする。
少なくとも神水で体の破損を前もって防ぎ、魔力を回復させ続けて耐えた香織も1時間は苦痛に苛まれたというに。対して双葉は1分ほどお腹を押さえて蹲っていただけである。
「何がどうなってるのコレは」
「ちょっ、まさか、痛覚を遮断してるんじゃないか!? 香織、回復魔法を!!」
「あー、なるほど。無自覚で死ぬね、コレを放置したら!」
香織はやはり絶えず双葉に回復魔法をかけるハメになった。なお、魔力操作の恩恵をフルに受けているため……今更ながら、香織も無詠唱で魔法を扱えるようになっていた。
双葉の肉体がメキ、ミシミシと軋む音を立てているにもかかわらず。彼女は痛みなどないと言わんばかりの顔で。自身の体が壊れるさまを平然と見ている。
その様子を見て、ハジメはふと気がついた。
「まさか、俺たちは……精神的に異常を発生させている気がしてきたんだけど……なんでそんなに落ち着いてるんだよ、双葉!?」
「え、落ち着いて行動しないとダメでしょ」
「正論で殴り返すな」
真顔で、ハジメは思わず双葉をビンタした。
「ひでぶっ!? 女の子を殴るなんて最低!?」
「痛くもないくせに言うなよ!? なんだよ痛覚遮断って!?」
「ヴァルキリーには必須技能だよ!?」
「さすが戦闘民族! そこに痺れないし憧れたくもねぇな、ちきしょう!」
素の性能差に愕然とさせられながら。双葉の肉体変質は落ち着きだし……数分後には彼女の肢体も、髪も大きく変化を遂げていたのであった。
■双葉side
「はぁ、やれやれ。これで変異はストップかな?」
「うん、経過良好ってところかな。変な感じはしないでしょ?」
アタシの身長が伸びて。176センチメートルになるほどの超成長を実感する。そして、ふふふ、胸の大きさも2カップサイズアップだな……素直に喜べなくて笑うわこんなもん。どこが大きくなってんだよ、動きを阻害するから邪魔なんですけど。
なお、香織も2カップサイズアップしていた。質量兵器がさらに凶悪になっていた気がする。
とりあえず……意味がなくなったブラを外して放り投げ捨てると、私はカバンに入れていたサラシを巻いておく事にする。香織みたいに、
「髪の色が赤と白と黒が混じったトリコロールな髪色はまぁ良いとするけどさ。まじでこれは無いわ」
「
「……ふっ、俺より酷い症例のやつがいて助かったぜ」
「「ハジメ(ハジメくん)も大概だと思うわよ(思うよ)」」
容赦ない私と香織の指摘に膝をつき、四つん這いになって項垂れるハジメをよそに。
アタシはステータスプレートを確認する。
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天龍双葉 17歳 女 レベル:7
天職:
筋力:1700
体力:900
耐性:1000
敏捷:900
魔力:1500
魔耐:1100
技能:全属性適性・全属性耐性・全魔法適性・魔力操作[+魔力放射][+魔力圧縮] ][+遠隔操作][+効率上昇][+身体強化]・物理耐性・魔力耐性・複合魔法・槍術[+刺突速度上昇][+ダメージ効率上昇][+無拍子]・神速・縮地・擬/赤龍帝の籠手・擬/白龍皇の光翼・高速魔力回復・気配感知[+特定感知]・魔力感知[+特定感知]・ノルンの瞳[+並行世界観測適性]・限界突破・胃酸強化・纏雷・言語理解
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……なんじゃこの化け物のは。自分か?
天職がなんか二天龍姫て……嫌すぎる、嫌すぎるんだけど!?
つか、何があったんだ、アタシの体には!?
『タガが外れたんだろうな。完全にヴァルキリーとしての能力を失ってるが、それを糧に天龍としての力がお前に宿ったんだろう』
『我ら龍種の力を肉体が完全に取り込んだんだろう。ノルンの瞳はフタバ固有の力だと言う訳だと思うが』
ドライグとアルビオンの説明はそんな感じであった。つまり、アタシは……半魔物化したハジメと香織とは違い、擬似魔物くらいに魔物化が進んでるのかな?
『どちらかと言えば、魔物としての力は少ない。むしろ、ほぼ無いな』
『きっかけにすぎないと言う訳だろう。そして今のフタバは……
『ガッデームママ助けて』
『キャラ崩壊するなフタバ。まぁ、あれだ。なぁ、白いの』
『私に振るのか、赤いの!? ……まぁ、事実だけを告げる。
ドライグは気不味そうに、アルビオンの気遣いが心に染みる。優しいドラゴンだよアンタらは。
茫然自失としてるアタシを少しそっとしておこう、と香織とハジメはどうやら錬成で銃を作るらしい。‘纏雷’のスキルを活かして魔術的、小型レールガンの作成を行う事にするとして。アタシも鉱石集めを手伝って、数ヶ月、試行錯誤を繰り返し続けた結果。
ハジメは‘ドンナー’と‘シュラーグ’。香織用に‘デュランダル’と言うリボルバー型の小型レールガンを作り出し。アタシに作ってくれたのは……
「まさかの黒いルガーランス!?」
「ルガーランスの‘ガングニール’だ。大事に使えよ? まだ試作だけどな」
同化覚えなきゃ。緑色の結晶撒き散らさないと……冗談はともかく。テンション爆上がりしたのは言うまでもなかった。
──
to be continued
双葉はハジメのハーレム入りすべき?
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NOハーレム入り。孤高で
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YESハーレム入り。ラブラブ目指して
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別のキャラと良い感じに?
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何故かティオのご主人様に