ありふれない天龍姫と魔王の異世界無双   作:ゆきほたる

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復讐もしくは狩り? ―Revenge or Hunt―

 ■ハジメside

 

 香織と双葉の協力もあり、ドンナーとシュラークが完成した。長い時間をかけて精密な部品を作り。魔法的なギミックの知識は双葉に監修してもらいつつ、なんとか形にした魔導電磁砲としての機能は完璧に近い物だ。

 故に、俺はあの時。俺を殺そうとした蹴りウサギの同族を狩るために。穴蔵から出ているわけなんだが。

 

「ガングニール。ハジメの名付けセンスはいい感じじゃない♪」

 

 武器に頬擦りするヤベー奴(フタバ)もついてきたがまぁ、コイツも殺りたい相手がいるのでわからなくもない。右腕を喰われ、不自由な思いをしてる鬱憤は溜まってるだろう。

 

 両手利きとはいえ、やはり隻腕だと不自由だろうしなんとかしてやらんと。義肢でも作るか? 

 などと考えながら。ピッタリと横に並んで歩いてくれる香織の肩を抱き寄せながら俺たちは索敵をしていると……いた。蹴りウサギだ

 

「双葉。そろそろ帰ってこい。目標を見つけたぞ」

「あいさー。新しい魔物肉だし、どんな能力を寄越してくれるのかなぁ?」

 

 ニヤリ、と嗤い。双葉は漆黒の機械槍を構えた。俺の作った武器の中でもドンナーとシュラーク、デュランダルよりも巨大なそれは‘ルガーランス’と呼ばれる代物だ。

 

 ルガーランスは蒼穹のファフナーの劇中にて、登場する機動兵器が扱う兵装の一つ。

 

 人間サイズで作ってあるが、双葉の身長ほどもある穂先。そして内部機構には展開した穂先を砲身にすることで発射可能な大型レールガンを搭載させてある。

 タウル鉱石製なので、劇場版のルガーランスみたいにポキポキ折れる心配はないのだ安心したい。

 

「先制攻撃ならあたしの出番だね?」

「おう、頼むぞ?」

 

 双葉は言いながらもう動いていた……目で追えないわけではないが、やっぱり鬼早い。予備動作もなく、魔力放射を用いた加速と縮地を組み合わせてらからめちゃくちゃ早い。

 

 ──あっ、ウサギの頭が吹っ飛んだ。

 

 双葉も「えっ」って顔してるけど……いや、何でやねん。

 

「呆気なさすぎ?」

「お前が速すぎるんだよ……まぁ、弾の節約にはなるけどさ」

 

 槍を振って血を払い。双葉はルガーランスを展開して蹴りウサギの死骸を挟み掴んで持ってきた。

 

「うん、いい感じの重さで使いやすいね」

「およそ五百キログラムはあるはずなんだけどな……筋力の化け物に扱わせたらそうもなるか」

「ふふん」

 

 胸を張り、サラシで無理やり固定されている大質量が天地鳴動する……鳴動はしてないが、激しく揺れ……あれ? なんか固定できないんじゃ……

 

「……ぎえっ!? サラシが千切れてる!?」

「あらら……双葉ってお茶目ね」

「そ、そうだな」

 

 俺は視線を切り、ニコニコしている香織から目を逸らす。見透かされてる気がするが、普通は怒るだろ!? 他の女に色目を使っちまったのは反省すべきか……しかし、双葉がいないときに良く唆されるな。「双葉が同意したら、付き合ってあげてくれる?」と。

 

 つまり、囲えと言うことなのだろうか? それとも、遠回しに双葉が右腕を失うきっかけになったのは俺たちだから、責任を取ろうと言うことなのか。

 まぁ、双葉が行き遅れることなんかないとは思うが。黙って(・・・)りゃ香織に負けないくらいの美少女。いまや、美女か。

 

 なんか双葉にギロっと睨まれた気がするがスルーだスルー。どこ吹く風と俺たちは蹴りウサギ狩りを行うのだった。

 

 □noside

 

 蹴りウサギの肉を喰らい。ハジメと香織はステータスを強化され、新たに《天歩[+空力][+縮地]》の能力を手に入れる。双葉はというと。

 そのステータスも大幅に強化され、縮地が天歩に統合され、上位技能の‘爆縮地’に変化していた。

 筋力の値も二千を突破し、おそらくクラスメイトの誰よりも強いだろうということは明らかだった。

 やはり、半人龍種に覚醒したことで生物としての格が上位にいったことで潜在力(ポテンシャル)がヒトを超えたナニカになっているのだとアタリをつける。

 

 そんな双葉もここまで力をつけたのであればやることは一つ、と天歩の習熟になれるべく特訓を開始した2人と別れ、迷宮をうろついていた。

 そして、特定感知で爪熊の行方を感知すると。真っ直ぐにそちらへ向かう。

 

「やぁやぁ、元気してた?」

 

 食事中だったのか、哀れな犠牲者たる蹴りウサギを一瞥して双葉は爪熊に話しかける。どうにも、この爪熊は階層主らしく。ここの環境下で一体しか存在が確認できなかったことから、双葉はここの爪熊が生態系の頂点であると認識していた。

 

 双葉に話しかけられた爪熊はウサギの遺骸を噛みちぎり、咀嚼して飲み込むと。闖入してきた彼女を見る。愚かな餌が自分からのこのこやってきた、と捕食者の余裕を感じさせるゆったりとした動きで相対する。

 

「とりあえず、喰った右腕の代金、払ってもらおうか──お代はアンタの命でお支払い願えます? ……あたし達の糧にしてやるよ、白熊野郎!」

 

 不敵に笑い、双葉はガングニールを構え爆縮地+神速でいきなりトップスピード、または瞬時加速(イグニッション・ブースト)で距離を詰める。

 爪熊は小虫を払うように腕を振るい、双葉を迎撃せんと巨大な腕が、爪が迫る。しかし、双葉はそれに対して。

 

「そんな緩慢な動きであたしを捉えれると? 舐めんなぁ!」

 

 逆ギレして新たに得た空力を使い。目の前に不可視の足場を作り出すとそれを蹴り、爪熊の懐に潜り込むと。ガングニールを地に突き刺して支えに、腕を支点に爪熊の顎目掛けて両足を揃えたサマーソルトを見舞う。

 

「グゥオ!?」

「だらっしゃぁっ!!」

 

 サマーソルトの勢いを利用し、槍を地から抜いて距離をとった双葉は再び空力を用いて足場を蹴り、空中で体勢を整える。

 そして、そのまま仰反る爪熊の。ガラ空きの腹目掛けてドロップキックを叩き込んだ。

 双葉のステータスで繰り出される蹴りの威力はおよそ6トンを超える威力であり。そんなものをまともに喰らえば……

 

「ゴガァッ!?」

 

 たまらず、爪熊は吹き飛ばされて迷宮の壁に激突。崩れた瓦礫に埋まってしまい、しばらく沈黙していたが。ガラ……とかすかに瓦礫が崩れると。

 ガラガラと瓦礫を押し除け、跳ね除けて立ち上がり。憤怒の形相で咆哮を上げる爪熊。負ったダメージの都合無傷ではないが、それでもこの怒りからすれば誤差であろうか? 

 

「グォァォォォッ!!!」

「いっつ……どいつもコイツもタフすぎんでしょ」

 

 悪態をつきながら、双葉は蹴りの反動で痺れる脚を踏ん張り槍を構える。その巨躯に似合わず、爪熊の敏捷性は高い。彼女は油断なく、地を蹴り側宙転で爪熊の突進を躱すとすぐに。

 

 双葉はガングニールを爪熊に投擲。そしてそれを追うように走り、投げられた槍は爪熊の右肩に深々と突き刺さる。追いついた彼女は跳ねることで爪熊の振り返り薙ぎ払いを躱しながらその背に乗り、柄金を掴むと……躊躇うことなく‘纏雷’を最大出力で発動させる。

 

「ほら、こんがり焼いてやんよ!」

「ゴガギガガガガガガガ!?」

 

 赤黒い雷をフルパワーで放出。これにはたまらず、爪熊もダウンした。爪熊のダウンを確認して双葉は固有魔法の発動をやめると、爪熊の面を拝むべくその背から降りた。

 

「ぐるぉ……ぉぉ……!」

「まだ生きてんの? ……まぁ、瀕死みたいだけど」

 

 ぐったりと動かない爪熊の背に飛び乗り。ガングニールを肩から引き抜くと、双葉は爪熊の首元に穂先を突きつける。爪熊は暴れることもできず、ただ。最後の抵抗に低く唸ることしかできなかった。

 

「あたし達の糧になりなさい」

 

 双葉はその言葉を最後に。爪熊の頸に穂先を突き込み、その首は重力に従い、どちゃりと、地に落ちる。頭部を失った首からは粘性の高い魔物特有の血が吹き出し辺りを黄色く染めた。

 

「……げ、やば」

 

 思わず顰めっ面になる双葉。その理由としては、吹き出した血があたりに充満する。その匂いは洞窟中に広がっていき……双葉の気配感知に多くの反応が急速に近づいてきたのだ。

 

「こりゃ二尾狼の団体さんを呼んじゃったかな?」

 

 双葉はガングニールを背負い、左手で爪熊の遺骸を持ち上げると。その場から全力で離脱していく。目指すは拠点であるが、事情を知らない彼らは大層驚いたとか、驚かなかったとか。

 

 ■双葉side

 

「でっか……コイツが双葉の右腕を食ったやつなのか?」

「うん、首は要らんでしょ。拾ってこなかった……いや、拾えなかったよ」

 

 隻腕のあたしも流石にこのデカブツを持って迷宮の中を走り回るのはキツい。なのでとりあえず肉と毛皮の確保が先決と思い、遺骸を担いで拠点まで突っ切ったのだ。

 

「そして、苦戦らしい苦戦してない……双葉、ほんとに強いなー」

「そら、圧倒的ステータスの龍姫だからね」

「それはわかる。でも、街に戻ったときに手加減とかできるのか?」

「力の制御は宿題ね」

 

 タウル鉱石の原石を指でつまみ、徐々に力を込めていくとぐにゃり、と手の中で潰れる。握力はおそらく一トンを軽く超えてるからその辺も考えないと……あたしのリミッターでも作れる人を探すとか? 

 

「リミッターねぇ……それほどやばいのか」

「まぁ手加減は基本的にするよ。檜山相手にもできるようにしないと、出会って三秒でプチっと潰しかねないし」

「……そうだね」

「……そうだな」

 

 タンパクな反応をする2人にジト目で抗議しつつ。

 

「さて、あたしのわがままにこれ以上付き合ってもらわなくてもいいよ?」

「そうだな。そろそろ進むか」

「「あい!」」

「まぁ、これ食ってからでもいいよな?」

 

 ハジメが指差した爪熊の肉をあたし達は平らげ。そしてその毛皮を三人分の毛皮コートに加工したら。各々、ステータスプレートを確認する。

 

 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 南雲ハジメ 17歳 男 レベル:17

 天職:錬成師

 筋力:400

 体力:600

 耐性:400

 敏捷:650

 魔力:500

 魔耐:450

 技能:錬成[+鉱物系鑑定][+精密錬成][+鉱物系探査][+鉱物分離][+鉱物融合]・魔力操作・胃酸強化・纏雷・天歩[+空力][+縮地]・風爪・言語理解

 

 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 白崎香織 17歳 女 レベル:18

 天職:治癒師

 筋力:400

 体力:650

 耐性:700

 敏捷:400

 魔力:1500

 魔耐:900

 技能:魔力操作・回復魔法[+回復効果上昇][+回復速度上昇][+イメージ補強力上昇][+浸透看破][+範囲回復効果上昇][+遠隔回復効果上昇][+状態異常回復効果上昇][+消費魔力減少][+魔力効率上昇][+連続発動][+複数同時発動][+遅延発動][+付加発動]・光属性適性[+発動速度上昇][+効果上昇][+持続時間上昇][+連続発動][+複数同時発動][+遅延発動] ・光属性適性[+障壁適性連動]・結界術適性[+魔力効率上昇][+発動速度上昇][+遠隔操作][+連続発動]・高速魔力回復・胃酸強化・纏雷・天歩[+空力][+縮地]・風爪・言語理解

 

 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

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 天龍双葉 17歳 女 レベル:15

 天職:二天龍姫(アーク・カイザー)

 筋力:2700

 体力:1900

 耐性:1700

 敏捷:1600

 魔力:2100

 魔耐:1800

 技能:全属性適性・全属性耐性・全魔法適性・魔力操作[+魔力放射][+魔力圧縮] ][+遠隔操作][+効率上昇][+身体強化]・物理耐性・魔力耐性・複合魔法・槍術[+刺突速度上昇][+ダメージ効率上昇][+無拍子]・神速・擬/赤龍帝の籠手・擬/白龍皇の光翼・高速魔力回復・気配感知[+特定感知]・魔力感知[+特定感知]・ノルンの瞳[+並行世界観測適性]・限界突破・胃酸強化・纏雷・天歩[+空力][+爆縮地]・風爪・言語理解

 

 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

「「ドラゴンってやっぱずるいな(ね)」」

「ふふん」

 

 ドヤ顔キメながら胸を張ると、ぶちっ、たゆん……っておい! 

 

「ぎゃぁぁぁぁっ!? またサラシが千切れてるぅぅぅ!?」

「爪熊の毛皮でサラシ作ってもらう?」

「できないわけじゃないぞ」

「……見たいなら見ていいんだよ? ハジメくん?」

 

 わざとらしく、目を逸らすハジメ……見た目はもう何人も抱いてる性豪みたいな厳つい青年っぽさがあるのに。初々しいし、気分的にヤケになったあたしはスルスルと意味がなくなったサラシをインナー下から抜いて捨てる。

 なんで香織がいないんだ? と思ったら……もにゅん、もにゅ。

 

「は?」

「私のハジメを誘惑するわりー娘はいねーがー!」

「かお、香織ぃ!? 揉むなぁ!! こ、こら、そんなところを触るな!? 風呂入ってないんだよ!? ひゃんっ!?」

 

 耳を舐められ……!? コンニャロぉ!? 対抗しようと右腕がないから腕の数だけハンデが……

 

「あー、あー……ちょい、向こう行ってくるわ。サラシも作っとくよ」

「はじ、めぇ!? たすげ……ヤァぁぁぁぁぁっ!?」

「んふふ、楽しも? ふーたーばー♡」

 

 岩のベットに引き摺り込まれたあたしの記憶は。一旦途切れていたのであった。

 そんな一幕もあり、あたし達はステータス、技能を伸ばしつつ、50層下に進んだ。

 そこで待ち受けるのは……

 

 ──

 

 to be continued

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