ありふれない天龍姫と魔王の異世界無双   作:ゆきほたる

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ハジメの覚悟と結末

 □noside

 

 飛来する光弾を槍を用いて弾き、切り裂きながら。双葉は抗っていた。

 

「ちっ、やっぱまだ毒が残ってるか……あと何秒持つかな」

『およそ五分。中和に専念すれば解毒はできるが……そんな余裕もないか』

『フタバ、素直に下がれないか? このままでは……』

「アルビオン、それは無し。今、まともに動けるのはあたしだけよ」

 

 飛翔して、相手のブレスを避ける双葉はその懐に潜り込み。銀頭の顎を蹴り上げながら後退する。その異様なタフさで双葉のモンスターフィジカルを受け切る銀頭……これにはカラクリがある。

 この銀頭には、‘金剛’を始めとした対物理能力を多く備えているため、近接物理攻撃が主体の双葉にとっては天敵たりうる存在なのだ。ハジメの火器もシュラーゲンならばともかく。ドンナー、シュラークではかすり傷も与えることはできないだろう。

 

「底が見えない。対してあたしは……衰弱し切ってるわね」

“双葉! ハジメが復帰したから、早く引いて! 毒に侵されて瀕死になる前に!”

“……さすが香織。お見通しってわけね”

 

 自嘲の笑み。拾った命をこうも雑に扱ってしまうのは悪い悪癖だ、と双葉は反省しつつ。聞こえてきた‘念話’に応え、すかさず後退する。銀頭は双葉に追撃を行おうとするも、目の前に飛んできた閃光手榴弾を見ると目を閉じて後退。しかし、同時に……ギィィィィィンッ!! と大音響が鳴り響き、聴覚にもろに受けてのたうち回る。

 

「──‘縛煌鎖’」

 

 そこへダメ押し、香織の魔法である。先ほどハジメが‘音響手榴弾’を投げた──これは八十層で見つけた超音波を発する魔物から採取した素材を加工して作った物だ。その魔物は体内に特殊な器官を持っており音で攻撃してくる。この魔物を倒し食っても固有魔法は増えなかったが、代わりにその特殊な器官が鉱物だったので音響手榴弾に加工したのだ。

 

 仲間の援護もあり、双葉はふらつきながらも着地して、ハジメ達と合流した。

 

「まずは駆けつけの聖母の微笑み(トワイライト・ヒーリング)!」

「……ウッソでしょ。一瞬で解毒されたんですけど」

「ふふん」

「ユエがドヤ顔してどうすんだよ」

 

 ハジメが苦笑いながらユエにツッコミ。そんな彼に対して双葉は頭を下げた。

 

「ハジメ、ありがとう……あたしのせいで……ごめんなさい」

「構わねえさ。左腕の一本で済んだだけマシだよ……落ち込むなよ? 自分の女くらい守れないと男が廃る」

「……ハ?」

「あん? なんだよ、双葉……鈍感の真似事か?」

「いや、えっと……!?」

 

 急速に赤くなる双葉。ハジメは畳み掛けるように……双葉に追撃する。彼女の額に軽く、口付けを落としたのだ。直後に、赤いまま硬直する双葉。

 

「ちゃんと生き残ってくれてる、ご褒美だ……」

「!?」

「本番は、夜にでもどうだ?」

「どうしちゃったの、ハジメさん!?」

「愛してる。とか好きって言葉だけじゃお前は止まりそうにないからな……自己犠牲は美談かもしれないが、俺は嫌いだよ」

「……っ」

 

 言葉に詰まる双葉は、赤い顔のまま俯いた。ハジメの言いたいことを理解して、彼女は悔いた訳である。

 

「ごめん……どうしても、ハジメの代わりに頑張りたかったんだ……」

「わかってるさ。お前と俺の付き合いだろ? ……伊達に友達やってねーんだよ」

「……しおらしい双葉……新鮮」

「そうだねー。いつも自信満々だから貴重なシーンだよ」

 

 コツ、と双葉の額を小突くハジメ。外野の声は双葉には聞こえておらず、ただ呆然とハジメの顔を眺めた。ハジメは、まだ推しが足りない。そう感じていたので……ガリガリと頭を掻き。覚悟を決めて真剣な眼差しを双葉に向ける。

 

「ヤツを殺して生き残る。そして、地上に出て地球に、日本に……故郷に帰るんだ。……みんな一緒に、な?」

「ハジメ……?」

「──前に、俺のことを好きだって口走ったよな? 俺はきっちり覚えてるぞ?」

「──な、なんでその話を今ここでするのかな!?」

「極限状況だ。なにより、ここで伝え損ったら俺は死んでも死に切れねーからさ……その答えを出しとく。その方がお前も動けるはずだ」

「へ? なんd──!?!?!?」

 

 ハジメは反射でものを言おうとする双葉の口をキスで塞いだのだ。──ほんの少し触れさせるだけのものだが、その反応は劇的で。彼女は目を白黒させて、戸惑いと困惑、嬉しさを滲ませて……そんな様子にハジメは若干恥ずかしそうにしながらも双葉に向き直る。

 

「全部終わらせて、落ち着いたら……結婚しよう。誰が一番とかそんなもんはどうでもいい。今の俺は強欲だから、双葉の全部が欲しいんだ……香織とお前、二人とも俺の(モノ)だ! 誰にも、神にも渡さねえ!」

「ハジメ……私は……?」

「へっ、もちろんユエも、だ!」

 

 思う、ハジメは。ここまで来れたのは彼女たちのおかげなのだ、と。誰か一人でも欠けていたら自分は生き残れなかったかもしれない。彼女たちを支え、支えられ。の関係であるとハジメは強く認識する。

 

 なによりも。双葉はかけがえの無い友……いつから、どうしてそう認識していたのだろうか? 

 

 今思えば、自分が奈落に落ちた時、双葉は香織を連れて助けに来てくれた。たしかに香織が行きたいと願えば双葉は動く。彼女は香織の望みに忠実だから……しかし、助かる見込みもない地獄にどうして、迷う事なく飛び込めたのだろうか? 

 

 双葉はハジメを見捨てることなど出来るはずがなかった。ハジメも、双葉の中では親友に値する、親愛(・・)を抱いた相手なのだから。

 

 その思いは本物に。嘘偽りのない好意へと双葉は変化させてしまっていたが、香織はその彼女の想いにも気がついていた。知って知らぬふりをした訳ではない。でも、あえて双葉に指摘をしなかった……だって、今、双葉はハジメにとって必要な人へと昇華されたのだから。

 

 もちろん、ユエのことも香織は容認する構えである。ハジメのハーレム計画。双葉を自分の物にしても問題ない関係性が手に入るならば……そして何より、愛するハジメの望みなら香織は暗躍も辞さない構えであった。

 

 そう、香織はハジメを唆した。双葉はハジメに好意を抱き、そして一推しすればコロリと堕ちると。実際、双葉の好感度はハジメに対して最大値にまでなっていたのは明白の理。愛する人がいればヒトは、限界以上の力を引き出せるのはよく知られた事実。

 

 そして、現に双葉も……

 

「ったく、どいつもこいつも強欲だよ──ホントに、さ。でも、求めてくれるのね? ハジメはあたしを」

「男に二言はねえよ。約束する……幸せにして見せるってな」

「日本に帰ったらどんなことになるやら……ハーレムになりそうだよ? ほんとにいいの?」

「邪魔する奴がいるなら黙らせるさ……さっきも言ったろ? お前の全てが欲しいってな」

 

 目を逸らすことはなく、ハジメの眼光は双葉を射抜く。視線は交錯して、その言葉が嘘ではないと双葉は確信した。

 

「ドライグ、アルビオン……‘DxD’を解除。擬/赤龍帝の籠手(シャドウ・ブーステッド・ギア)だけ使うわ」

『おう。このまま起動しても意味はねえからな』

『了解、フタバ……おめでとう』

「うっせーわ!?」

 

 アルビオンの祝辞はどこか嗚咽が混じっている気がした一同。それはそうと‘縛煌鎖’の拘束が限界を迎えつつあった。

 

 ■双葉side

 

「とまぁ、時間にしてあと1分。あれをどう片付ける?」

「物理耐性が如何ともし難いから、魔法でケリを着けるべきと思うよ。それに、攻撃を続けてたけど、再生もしてるみたいだから、頭を吹っ飛ばしても一定時間後には復活すると思う」

「なら、トドメはユエに任せる。いいな?」

「……ラストアタックは任せて。ボーナスは……」

 

 ユエはぺろり、と舌舐りしながらこっちを見つめる。目を逸らそうと頑張るが、じっと見つめられて根負けしたあたしは降参の意を称して。

 

「わかった、から。あたしの血ね」

「……前払い」

「え、ちょ、ア────ッ!?」

 

 あたしに襲いかかり、血をせしめたユエは満足そうな顔で首元から口を離し、あたしの首元にはまた噛みつかれた後がついてしまった。キスマークならまだしも、首元穴だらけになると思うわ……すぐに塞がるけど──

 

「──うひゃん!?」

「美味しかった……今晩もよろしく……双葉」

 

 ユエに耳たぶを甘噛みされて変な声が出た……

 

「これで魔力に問題はないな」

「そうだねー(やっぱ双葉の性感帯は耳、と)」

 

 若干一名変なことを考えてる気がするけど、今は捨て置くが吉……びしびしと鎖が千切れ、銀頭のヒュドラが起き上がり出したのだ。

 

「さーて、反撃しますか……双葉、倍加だ!」

「──ったく、あたしより擬/赤龍帝の籠手の使い方上手なんじゃない?」

 

 苦笑いしながら、あたしは赤龍帝の能力を解放した。

 

 [倍加(Boost)ッ!!]

 

 ヒュドラが起き上がれるまであと20秒。あたしはそれに重なるように‘限界突破’を使う。全能力が三倍に引き上げられ、知覚も加速する。

 そして、神器と融合しているガングニールを射撃形態へ移行させて自身に残っている魔力をありったけ流し込む。

 ‘纏雷’の固有魔法も追加起動。レールガンとして最低限の出力を用意したところに……ハジメが右手をあたしの手に絡めるように……握った。すごい、ポカポカする……落ち着かないはずなのに、すごい安心できる。

 

「ちょ、ハジメさん!?」

「気にすんな。俺の魔力も使え」

[倍加(Boost)ッ!! ──Explosionッ!!]

 

 ばりん、と音を立てて鎖が砕けた。怒り狂い、こちらを睥睨する銀頭。だが、怖くもなんともない……これが……恋の凄いところなのかな? 

 

「特製だ。こいつをくれてやる!」

 

 ハジメがガングニールの薬室に弾丸を装填する。それはシュラーゲンに使う物なんだが、ガングニールも共通の弾薬を使用できる。そして、銀頭は極光の発射態勢になるが──遅い。

 

「双葉……ぶちかませ!」

「もちろん。これはあたしたちの始まり……その祝砲だから──外さない!」

 

 チャージは終わっている。あたしはトリガーに指をかけて。引き金を引いた。赤い稲妻、そして白熱化した砲弾が凄まじい轟音を響かせ飛翔する。そして、空間を震わせながら音を置き去りにした直後。赤いオーラが尾を引く超音速の弾丸が銀頭に迫り……衝突した。

 

 ドガァンッ! と激しく爆裂した砲弾に頭部を吹き飛ばされ、傷口は熱波に焼かれて炭化、そのまま銀頭の首がズン! と地に伏せるが、炭化して塞がっているはずの傷口から肉が盛り上がるように再生して行く。

 そこへ……

 

「──‘蒼天’!」

 

 か細いくせに、覇気のある……ユエの声が響く。そのあと、巨大な青白い炎の球体をヒュドラが本体……その胴体に叩き込まれていた。

 

 首がのたうちまわり、頭を再生しかけた途中でピタリ、と動きを止めて。そのまま消滅していく……感知系には全く引っかからないのでもう敵はいない……

 

「……おつかれさま……ハジメ」

「双葉もお疲れさん……やべーな……意識が保たねぇ……」

 

 その声を最後に。どこかで扉が開いた音を聞きながら……あたしたちは気絶するのだった。

 

 □noside

 

 ハジメは、体全体が何か温かで柔らかな物に包まれているのを感じた。随分と懐かしい感触だ。これは、そうベッドの感触である。頭と背中を優しく受け止めるクッションと、体を包む羽毛の柔らかさを感じ、ハジメのまどろむ意識は混乱する。

 

(何だ? ここは迷宮のはずじゃ……何でベッドに……)

 

 まだ覚醒しきらない意識のまま手探りをしようとする。しかし、右手はその意思に反して動かない。というか、ベッドとは違う柔らかな感触に包まれて動かせないのだ。背中に、胸元に何やら柔らかい塊を押し付けられているような感覚が……

 

(何だこれ?)

 

 ボーとしながら、ハジメは手をムニムニと動かす。手を挟み込んでいる弾力があるスベスベの何かはハジメの手の動きに合わせてぷにぷにとした感触を伝えてくる。何だかクセになりそうな感触につい夢中で触っていると……

 

「……んぅ……」

(!?)

 

 何やら艶かしい喘ぎ声が聞こえた。その瞬間、まどろんでいたハジメの意識は一気に覚醒する。

 慌てて体を起こすと、ハジメは自分が本当にベッドで寝ていることに気がついた。純白のシーツに豪奢な天蓋付きの高級感溢れるベッドである。

 場所は、吹き抜けのテラスのような場所で一段高い石畳の上にいるようだ。爽やかな風が天蓋とハジメの頬を撫でて……その空間全体が久しく見なかった暖かな光で満たされている。

 

 さっきまで暗い迷宮の中で死闘を演じていたはずなのに、とハジメは混乱する。

 

(どこだ、ここは……まさかあの世とか言うんじゃないだろうな……)

 

 どこか荘厳さすら感じさせる場所に、ハジメの脳裏に不吉な考えが過ぎるが、その考えは隣から聞こえた艶かしい声に中断された。

 

「……んぁ……ハジメくん……ぁう……」

「……まけ、ない……」

「!?」

 

 ハジメは慌てて魔力操作でシーツを吹き飛ばすと隣には一糸纏わない香織が、右手に抱きつくように、背にはユエが巨大なお胸様を押し付けるようにして眠っていた。そして、今更ながらに気がつくがハジメは下着のみの姿であった。

 

「なるほど……これが朝チュンってやつか……ってそうじゃない!」

 

 混乱して思わず阿呆な事をいい自分でツッコミを入れるハジメ。若干、虚しくなりながら二人を起こす。

 

「香織、ユエ。寝てるところ悪いが起きてくれ……どういう状況なのかを説明してくれ」

「ん~……」

「ふみゅ……」

「ぐっ……まさか本当にあの世……天国なのか?」

 

 更に阿呆な事を言いながら、ハジメは何とか右手を抜こうと動かすが、その度に……

 

「……んぅ~……んっ……」

 

 と実に艶かしく喘ぐ香織。

 

「落ち着け俺。いくら付き合って一年経とうとしてるとはいえ、まだお互いに清い身……落ち着け……落ち着け、俺。キスはまぁ、日常茶飯事だから問題ないとして」

 

 爆ぜろ……ハジメは、表情に紳士か変態かの瀬戸際だと戦慄の表情を浮かべながら自分に言い聞かせる。右手を引き抜くことは諦めて、ハジメは何とか呼び掛けで起こそうと声をかけるが二人は起きる気配はなかった。

 

 そして、葛藤が変化して起こったイライラが頂点に達し……

 

「いい加減に起きやがれ!!」

 

 ‘纏雷’を発動した。バリバリとベットに電流が走る。

 

「「「!? アババババババアバババ」」」

 

 ビクンビクンしながら感電する香織とユエ。なぜかもう一人も痺れ、ドサッとベットから落ちたような気がしたが捨て置いた。

 

「「……ハジメ?」」

「おう。ハジメさんだ。ねぼすけども、目は覚め……」

「「ハジメ!」」

「!?」

 

 目を覚ました香織とユエは茫洋とした目でハジメを見ると、次の瞬間にはカッと目を見開きハジメに飛びついた。もちろん素っ裸で。動揺するハジメ。

 しかし、二人がハジメの首筋に顔を埋めながら、ぐすっと鼻を鳴らしていることに気が付くと、仕方ないなと苦笑いして声をかける。二人を撫でようと手を上げようとしたが……左腕を失ったことを思い出す。

 

「わりぃ、随分心配かけたみたいだな」

「そりゃいきなりぶっ倒れちゃったんだし、ね、ユエ」

「んっ……心配した……」

 

 しばらくしがみついたまま離れそうになかったし、倒れた後面倒を見てくれたのは彼女たちだ。だからこそ、気が済むまでこうしていようと、ハジメは優しく交互に二人の頭を撫で続けた。

 

 あのあと、気絶したハジメを香織が背負い。ユエは香織の血を吸って魔力を回復させ、動けるようになると双葉を背負い。一人でに開いた扉の奥を調べたのだと言う。

 その奥で見つけたのはこの空間で、二人の治療を行なったあと。看病のためにあれこれやったあと、力尽きて眠ってしまったそうだ。

 それを聞いたハジメは改めて二人に礼を言う。

 

「……なるほど、そいつは世話になったな。ありがとな、香織、ユエ」

「えへん」

「ん……」

 

 ハジメが感謝の言葉を伝えると、香織は胸を張り、その言葉だけでいいと言わんばかりの顔。ユエは心底嬉しそうに瞳を輝かせる。無表情ではあるが、その分瞳は雄弁だ……二人とも素っ裸なのだが。

 

「ところで……何故、俺は下着のみなんだ?」

 

 ハジメが気になっていたことを聞く。リアル朝チュンは勘弁だった。香織はともかく、別にユエが嫌いという訳ではないのだが……ほら、心の準備とかね? と誰にともなく内心ブツブツ呟くハジメ。

 

「だって、ねえ?」

「……汚れてたから……綺麗にした……」

「……なぜ、舌なめずりする」

 

 もじもじしながら応える香織に、ユエは質問に対して吸血行為の後のような妖艶な笑みを浮かべ、ペロリと唇を舐めた。何となくブルリと体が震えたハジメ。

 

「それで、なんで隣で寝てたんだ? しかも……裸で……」

「……えへへ」

「……ふふ……」

「まて、何だその笑いは! 何かしたのか! っていうかユエ、舌なめずりするな!」

 

 激しく問い詰めるハジメだが、香織はニコニコ。ユエはただ、妖艶な眼差しでハジメを見つめるだけで何も答えなかった。

 しばらく問い詰めていたハジメだが、楽しそうな表情で一向に答えない二人に、色々と諦めて反逆者の住処を探索することにした。ユエがどこから見つけてきたのか上質な服を持ってくる。男物の服だ。反逆者は男だったのだろう。それを着込むとハジメは体の調子を確かめ、問題ないと判断し装備も整える。一応、何かしらの仕掛けがあるかもしれないので念のためだ。

 

「ところで、双葉は?」

「「そこ」」

 

 二人が指さしたのはベットの下。どうやら先程の電流で痺れ、落ちて気絶したようである。なお、双葉も──もれなく服を着ていなかったため、ハジメはシーツをかけてやった。

 

「あー、あれか。服を着てないのは……ボロボロだったからだな」

 

 よくよく考えたらそうである。双葉の体もきっちりと綺麗に拭かれていたのを見たハジメはそう納得。香織とユエも気がついたか、と残念そうな視線である。

 服を着終わり。後ろの二人を見ると……

 

「ちょっ、お、お前ら!?」

「あの、狙った訳じゃなくてね?」

「……サイズがない」

 

 ……二人は何故かカッターシャツ一枚だった。

 

「ユエ……は狙ってるのか?」

「? ……サイズ合わない。さっきも言った」

 

 しかし、かなりの膨らみが覗く胸元やスラリと伸びた真っ白な脚線が、ユエの纏う雰囲気のせいか、何とも扇情的で……ハジメとしては正直目のやり場に困るのだった。

 

「いっつ……あれ? なんであたし裸なの!?」

「ん? おう、おはy」

「ハジメぇぇ!! 何もいきなり既成事実に走らなくてもいいじゃないのぉ!?」

「は……ぐっへえぁ!?」

 

 双葉のノータイム飛び蹴りが炸裂するのは無理もなかったのかもしれない。

 一行はグダグダしながらも、結局双葉も衣服がカッターシャツのみになってしまったのは……仕方のないことなのだろう……か? 

 

 ──

 

 to be continued

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