ありふれない天龍姫と魔王の異世界無双   作:ゆきほたる

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ハウリアの事情と双葉の人助け

 ■双葉side

 

 とりあえず、落ち着いた香織がウサミミ少女ことシアに頭を下げていた。

 

「うう、ごめんねシアちゃん……なんだか抑えが効かなくて……」

「いえ、何かご事情があると思ったいましたが、魔物を食べて生きながらえられたとは……」

「え、なんかダメなの?」

 

 あたし達の場合は状況やらが特殊だったし、食べ物が魔物しかなかった極限状態だったしね。

 

「……あの、魔物を食べればもれなくお亡くなりになるはずなんですけど、食べて生存された方は超常の力を得るわけでして」

「まぁ、俺たちは確かに超常の存在扱いされても文句も言えんからな」

 

 神妙な顔をするハジメはその後に続くシアの言葉に眉を顰めていた。まぁ、あたし達全員がしかめたって言っても過言じゃないけど。

 

「そして、その超常の力の代償に。精神汚染されてしまうんですぅ〜……その人が秘める‘七つの原罪’が表層上に活性化して引っ張り出されると言いますか……」

「……そういうのが、半魔物化の代償なのかぁ」

「俺は何も起こってないが……」

「ハジメは傲慢(プライド)だよ。気付いてないと思うけど、他者を糧としてしか見てない時があるわ」

 

 心当たりがないハジメにツッコんでおく。ハジメは自分の大事な人や物以外を糧と判断しているような節が多数見受けられる。本人は気がついてないけど、シアに対しては無関心かつ、メリットがないなら手伝う気はないだろうと思う。

 

「マジで? じゃあ、香織はやっぱ……色欲(ラスト)?」

「否定したいけど否定できないのが悲しい!」 

 

 やたら艶っぽいし、蠱惑的な微笑みを絶やさない香織に関してはあたしの中で女郎蜘蛛と評してる以上、色欲で間違いないとのこと。それに加えて絶対「強欲(グリード)

 

「双葉はなんだろうな……暴食(グラトニー)だな。……食う量が半端ねえし」

「ぐっ、たしかに……これは要注意ね」

 

 一番厄介な暴食があたしの罪、か。まぁ、我慢できないからってさっきもダイヘドアとかいう双頭ティラノモドキのモモ肉焼いて食べたばっかだったしなぁ……なんで地上に戻っても魔物肉食べてんだあたしは。

 

「あのぉ〜、そのぉ〜……そろそろ、いいですか?」

 

 遠慮気味にシアが手を上げる。そして、あたし達の注目が自分に返ってきたのを見てひっ、と小さく悲鳴をあげていた。

 

「ああ、ごめんね? ……香織はともかく、なんであたしにまで怯えてるの?」

「ひどいよ、双葉!?」

「じ、じつは……双葉さんから、ドラゴンの気配を感じてまして……私たちにとって天敵みたいな物ですから、つい……ご気分を害したのなら謝ります! 何卒、命だけは!」

「はいはい、気にしてないから、ね?」

 

 土下座したシアの頭を撫でて落ち着かせてみる。やっぱりビクビクしているが、まぁウサギってごっつい臆病な動物だからそれが人になったような兎人族の場合。

 天敵であるワイバーンっぽい魔物の気配にあたしが似てたらそら警戒もして然るべきかな? 悲しいけどね? 

 

「空気の流れを変えようぜ──とりあえず話は聞いてやる。 判断するのはその後だ。俺は南雲ハジメだ」

「私は白崎香織だよ。さっきは本当にごめんなさい!」

「……ユエ」

「改めて、あたしは天龍双葉。人型ドラゴン……半龍半人の存在とだけ」

「竜人族の方だったんですか!? これは飛んだ御無れ「違うって言ってるでしょうが」ふきゃん!? ぶった! 父様にも打たれたことないのに!」

 

 深読みも大概にしろ、とゲンコツを落とすが。小さく悲鳴を上げただけでシアはピンピンしている……なんだこれ。まぁ、今は指摘せず、シアに続きを促すことにした。

 

「こほんっ、改めまして、私は兎人族ハウリアの長の娘シア・ハウリアと言います」

 

 そして、彼女は語る。自分たちが今どれだけの危機的状況なのかを。

 

 要約すると。

 

 まず、ハウリアと名乗る兎人族達は【ハルツィナ樹海】にて数百人規模の集落を作りひっそりと暮らしている。

 兎人族は、聴覚や隠密行動に優れているものの、他の亜人族に比べればスペックは低いらしく、突出したものがないので亜人族の中でも格下と見られる傾向が強いらしい。

 

 性格は総じて温厚で争いを嫌うらしいが、酷い言い方かもしれないけど、ヘタレな種族と言うことだろう……一つの集落全体を家族として扱う仲間同士の絆が深い種族だそうだ。

 

 しかし、他の亜人族にない特徴がある。それは、総じて容姿に優れており、エルフのような美しさとは異なった、可愛らしさがあるので、帝国などに捕まり奴隷にされたときは愛玩用として人気の商品となる。

 

 言われてみれば、シアも。とびっきりの美少女だろう。

 少し青みがかったロングストレートの白髪に、蒼穹の瞳。眉やまつ毛まで白く、肌の白さとも相まって黙っていれば神秘的な容姿とも言える。

 手足もスラリと長く、出るところは出てる……巨乳と安産型な臀部──そして何より。

 ウサミミやウサ尻尾がふりふりと揺れる様は何とも愛らしい。ケモナー達が見れば感極まって昇天しかねないだろうな、などと考えつつ。

 

 そんな兎人族の一つ、ハウリア族に、ある日異常な女の子が生まれた。兎人族は基本的に濃紺の髪をしているのだが、その子の髪は青みがかった白髪だったのだ。しかも、亜人族には無いはずの魔力まで有しており、直接魔力を操るすべと、とある固有魔法まで使えたのだ。

 

 当然、一族は大いに困惑した。兎人族として、いや、亜人族として有り得ない子が生まれたのだ。魔物と同様の力を持っているなど、普通なら迫害の対象となるだろう。しかし、彼女が生まれたのは亜人族一、家族の情が深い種族である兎人族だ。百数十人全員を一つの家族と称する種族なのだ。ハウリア族は女の子を見捨てるという選択肢を持たなかった。

 

 しかし、樹海深部に存在する亜人族の国【フェアベルゲン】に女の子の存在がばれれば間違いなく処刑される。魔物とはそれだけ忌み嫌われており、不倶戴天の敵なのである。

 何より、樹海に侵入した魔力を持つ他種族は、総じて即殺が暗黙の了解となっているほどだ──亜人の国で、魔力を持つものは淘汰されるべき存在故に。

 

 故に、ハウリア族は女の子を隠し、十六年もの間ひっそりと育ててきた。だが、先日とうとう彼女の存在がばれてしまった。その為、ハウリア族はフェアベルゲンに捕まる前に一族ごと樹海を出たのだ。

 行く宛もない彼等は、一先ず北の山脈地帯を目指すことにした。山の幸があれば生きていけるかもしれないと考えたからだ。未開地ではあるが、帝国や奴隷商に捕まり奴隷に堕とされてしまうよりはマシだ。

 

「そんな私たちの試みは、その帝国により潰えたんです……」

「帝国兵に見つかってしまったんだな?」

 

 ハジメの言葉にシアは力無く頷いた。樹海を出て直ぐに運悪く帝国兵に見つかってしまったらしく。

 巡回中だったのか訓練だったのかは不明で、一個中隊規模と出くわしたハウリア族は南に逃げるしかなかった。

 女子供を逃がすため男達が追っ手の妨害を試みるが、元々温厚で平和的な兎人族と魔法を使える訓練された帝国兵では比べるまでもない歴然とした戦力差があり、気がつけば半数以上が捕らわれてしまった。

 全滅を避けるために必死に逃げ続け、ライセン大峡谷にたどり着いた彼等は、苦肉の策として峡谷へと逃げ込んだ。流石に、魔法の使えない峡谷にまで帝国兵も追って来ないだろうし、ほとぼりが冷めていなくなるのを待とうとしたのである。魔物に襲われるのと帝国兵がいなくなるのとどちらが早いかという賭けだったが、しかし。

 

「帝国兵は一向に撤退してくれませんでした。小隊が峡谷の出入り口である崖の入口に陣取って、私の家族が魔物から逃げ出してくるのを待ち構えてるみたいなんです!」

「……へぇ、たしかに合理的だな」

「ちょっと、ハジメくん!?」

「勘違いすんな。人間の悪知恵は武器だからな……気にいらねぇだけだ」

 

 そうこうしている内に、案の定、魔物が襲来した。もう無理だと帝国に投降しようとしたが、峡谷から逃がすものかと魔物が回り込み、ハウリア族は峡谷の奥へと逃げるしかなかった。そうやって、追い立てられるように峡谷を逃げ惑い……

 

「……気がつけば、六十人はいた家族も、今は四十人程しかいません。このままでは全滅です。どうか助けて下さい!」

 

 必死の訴え。それを聞きあたしは腕を組み、一考する。しばらく考えて、あたしは一つ、提案した。

 

「双葉、どうする?」

「おーけー。あたしは助けるべきだと思うわ」

「その心は?」

 

 ハジメが納得できる答えだ。今の話を聞いていて思ったのは。

 

「まず、フェアベルゲンがあたし達を歓迎してくれるかが怪しい……魔力を使える種族のが四人。片や一名は下手すりゃ国を滅ぼせる存在よ?」

「……そりゃまぁそうだな。俺たちは迷宮に行きたいだけだから無視して隠密行軍すれば問題ないと思うが」

「案内人がいないと迷宮には辿り着けないと思うわ……樹海を焼き払って乱暴に進めば迷うことなんてないと思うけど、流石に亜人の国に迷惑をかけるのもどうかと思う」

「……そんなのは最終手段だろうが。まぁ、でも。たしかに。メリット(・・・・)はあるな」

 

 ハジメは納得したような雰囲気で。ただ、一押し足りていないので。

 

「ここまで聞いて引き下がれないのは知ってるでしょ? あたし一人でもシアの家族を助けに行く選択もあるし」

「……わーったよ。シア、そしてその家族を助けてやる──お前達を樹海の案内に雇わせてもらう。報酬はお前等の命だ」

「あ、ありがとうございます! うぅ~、よがっだよぉ~、ほんどによがったよぉ~」

 

 ぐしぐしと嬉し泣きするシア。しかし、仲間のためにもグズグズしていられないと直ぐに立ち上がる気概……やっぱこの子根性はピカイチだわ。

 

「あ、あの、宜しくお願いします! ハジメさん、香織さん、ユエさん、双葉さん!」

「おう。んじゃ乗れ……って三人乗りなら……双葉、頼んでいいか? バイクの免許持ちお前だけだし」

「あいよー。サイドカーの準備もしとくもんだね」

 

 あたしは赤い魔力駆動二輪に備えられたハードポイントを出すと、ハジメが宝物庫から出したサイドカーを嵌め込み、固定する。これで三人乗りができるようになったわけで。

 

「んじゃ、‘急がば回れ’。もしくは、‘善は急げ’。これに乗ってね、シア」

「なんでしょうか、というか。あ、あの。助けてもらうのに必死で、つい流してしまったのですが……この乗り物? 何なのでしょう?」

「魔力駆動二輪。名前は‘シュタイフ・ローツ’。赤い疾風って意味かな」

「魔力を用いて機関を動かして。馬よりも早く走れる乗り物だ……香織が乗るのか?」

「ユエちゃんがいいって、ねー♪」

「……そろそろ交代する。双葉、後ろに乗せて」

「……小腹が空いてこっちに来たなさては」

 

 サイドカーにシアを乗せて、後ろの席にはユエが乗り、ユエは舌なめずりして、あたしの首元に牙を突き立てて勝手に血を吸う──血を吸われるのはもう慣れた。

 

「双葉の料理も捨てがたいけど、やっぱり血が一番好きな味」

「ユエはまったくもって強欲(グリード)なことで!」

 

 あたしはシアに案内させながら、スロットルを全開にして。赤い稲妻の如く、最高速で飛び出した。瞬間、シアの悲鳴が聞こえた気もするが、きっと気のせいだろう。

 

 □noside

 

 遠くで魔物の咆哮が聞こえた。どうやら相当な数の魔物が騒いでいるようだ。その声を聞き焦るシアを横まで見やりながら双葉は動力に込める魔力の量を倍にする。

 

「双葉さん! あの魔物の声……ち、近いです! 父様達がいる場所に近いです!」

「オーケー! しっかり捕まりなさい、トばすわよ!」

「は、はいで……すぅぅぅ〜!?」

 

 ニトロブースターを使ったが如く、ギュンと加速して。シアはその加速に鼻水を垂らしかけながら、恐怖と闘っていた。

 なにせ、感じたことのない風圧、スピードなのだ。いくら兎人族が俊敏さに秀でた種族だとしても、こんな速度は経験することはない。したがって、シアは粗相しかけるが、なんとか根性、そして乙女の矜持で堪え抜いた。

 

 ──────

 

 ライセン大峡谷に悲鳴と怒号が木霊する。

 

 ウサミミを生やした人影が岩陰に逃げ込み必死に体を縮めている。あちこちの岩陰からウサミミだけがちょこんと見えており、数からすると二十人ちょっと。見えない部分も合わせれば四十人といったところか。

 

「‘頭隠して尻隠さず’ならぬで‘耳隠さず’か」

「ワイバーンモドキの目が白黒で見えるなら問題ないのかも?」

 

 気配感知でハジメは彼らの位置を把握しつつ、ドンナー・シュラークを抜いた。香織もハンドルを片手に握りつつ、デュランダルを構える。

 ‘シュタイフ・ブルード’を現在運転してるのは香織。ハジメは後部座席にて二丁拳銃の構えだ。

 

 上空に存在する物を双葉は認識する。奈落の底でも滅多に見なかった飛行型の魔物で、姿は俗に言う亜竜(ワイバーン)だ。

 体長は三~五メートル程で、鋭い爪と牙、モーニングスターのように先端が膨らみ刺がついている長い尻尾を持っている。

 

「ハ、ハイベリア……」

「いちにーさん……六匹かな。ユエは待機ね?」

「……んっ(カプッ、チュー……)」

「そろそろ血を吸うのをやめてくださる?」

「……むぅ、仕方ない」

「お二人は、怖くないんですか……?」

 

 シアの震える声が聞こえた。あのワイバーンモドキは‘ハイベリア’というらしい。ハイベリアは全部で六匹はいる。その数を呑気に数える双葉にその余裕はどこから来るのかとシアは問いかけると、双葉はこう宣う。

 

亜竜如き(・・・・)に、なんでこのあたしが怯えないとダメなの?」

 

 その返しに面食らって呆けたシアの視界の外。ハイベリアの一匹が遂に行動を起こした。大きな岩と岩の間に隠れていた兎人族の下へ急降下すると空中で一回転し遠心力のたっぷり乗った尻尾で岩を殴りつけた。轟音と共に岩が粉砕され、兎人族が悲鳴と共に這い出してくる。

 

 ハイベリアは「待ってました」と言わんばかりに、その顎門を開き無力な獲物を喰らおうとする。狙われたのは二人の兎人族。ハイベリアの一撃で腰が抜けたのか動けない小さな子供に男性の兎人族が覆いかぶさって庇おうとしている。

 周りの兎人族がその様子を見て瞳に絶望を浮かべた。誰もが次の瞬間には二人の家族が無残にもハイベリアの餌になるところを想像しただろう。しかし、それは有り得ない。

 

 ドパンッ!! ドパンッ!! ズダァンッ!! 

 

 峡谷に三発の破裂音が響くと同時に閃光が虚空を走る。その内の一発が、今まさに二人の兎人族にかぶり付こうとしていたハイベリアの眼窩を狙い違わず貫いた。凄まじい運動エネルギーが逃げ場を求めて頭蓋内をミキサーのように暴れ回り。それに耐えきれなくなった頭蓋内圧は頭部を爆散させ、ハイバリアの死骸が蹲る二人の兎人族の脇を勢いよく土埃を巻き上げながら滑り、轟音を立てながら停止する。

 

 同時に、後方で凄まじい咆哮が響いた。呆然とする暇もなく、そちらに視線を転じる兎人族が見たものは、片方の腕がと尻尾が千切れて大量の血を吹き出しながらのたうち回るハイベリアの姿。

 そのすぐ近くには腰を抜かしたようにへたり込む兎人族の姿と、千切られた尻尾の先端がある。おそらく、先のハイベリアに注目している間に、そちらでもハイベリアの襲撃を受けていたのだろう。一発は、突撃するハイベリアの片腕を撃ち抜き、最後の一発はバランスを崩したハイベリアが地に落ちて、激痛に暴れている尻尾がへたり込んでいた兎人族に迫る前に千切られたのだろう。

 

「な、何が……」

 

 先程、子供を庇っていた男の兎人族が呆然としながら、目の前の頭部を砕かれ絶命したハイベリアと、後方でのたうち回っているハイベリアを交互に見ながら呟いた。

 

 すると、のたうち回っていたハイベリアを極太の閃光が貫いていく。ハイベリアの胴体より上が、消失(・・)して。残っていた部分がズズンッと地響きを立てながら崩れ落ち動かなくなった。

 

 上空のハイベリア達が仲間の死に激怒したのか一斉に咆哮を上げる。それに身を竦ませる兎人族達の優秀な耳に、今まで一度も聞いたことのない異音が聞こえた。

 キィィイイイという甲高い蒸気が噴出するような音だ。今度は何事かと音の聞こえる方へ視線を向けた兎人族達の目に飛び込んできたのは、見たこともない乗り物に乗って、高速でこちらに向かってくるふたつの影。

 

 その内の五つの人影の中、一人は見覚えがありすぎる。今朝方、突如姿を消し、ついさっきまで一族総出で探していた女の子。一族が陥っている今の状況に、酷く心を痛めて責任を感じていたようで。

 普段の元気の良さがなりを潜め、思いつめた表情をしていた。何か無茶をするのではと、心配していた矢先の失踪だ。つい、慎重さを忘れて捜索しハイベリアに見つかってしまった。彼女を見つける前に、一族の全滅も覚悟していたのだが……

 

 その彼女が赤い乗り物の横についた部分に立ち上がり手をブンブンと振っている。その表情に普段の明るさが見て取れた。信じられない思いで彼女を見つめる兎人族。

 

「みんな~、助けを呼んできましたよぉ~!」

 

 その聞きなれた声音に、これは現実だと理解したのか兎人族が一斉に彼女の名を呼んだ。

 

「「「「「「「「「「シア〜〜〜っっ!?」」」」」」」」」」

 

 その様子を見て、双葉は「愛されてるんだなぁ」と一言。そして、危険を顧みず、シアを探していた一族の心意気に胸打たれたのか、ガングニールを手にして。

 

「ユエ、運転お願いね」

「安全運転しかできないけど?」

「構わん、ロースピードで十分……ハジメ、香織。援護よろしく!」

「いいぜ、派手に暴れてこい!」

「まっかせてー!」

「アルビオン、いくよ! 擬/白龍皇の光翼(シャドウ・ディバイン・ディバイディング)!」

『亜竜の分際で‘天’を掴んだと。その思い上がり、ここで粉砕してやろう!』

 

 双葉は光翼を展開して、飛翔する。それを見たシアは手を振りながら、驚愕に染まった顔で双葉を見送った。シアの登場に驚いていた兎人族達も同じく、その光景に目を疑った。

 

「まずは一つ! ‘ダークネス・リパルサー’ッ!」

 

 双葉は無垢なる白銀の右腕(ゼニス・イノセント・アガートラム)に魔力を込め、そして手近にいたハイベリアに照射する。その速度は‘光’と同等。避けれるはずもなく……頭部を蒸発させられた魔物は地に落ちていく。

 

「さぁ、まだまだ! 射撃モード、からーのー!」

 

 がしゅん! と縦に分かれるようにして。ガングニールがまるで顎門を開くように展開し、双葉の纏雷を受けて赤黒くスパークが迸る。そして、双葉は小柄なハイベリアに対して空力で作った足場に足を添えて。足場を蹴り、爆縮地による超加速で距離を詰めると。

 その胴体に展開した穂先を抉り込む。当然激痛で咆哮を上げようとしたが。魔物は突如として全身から力が抜ける感覚を覚えた。

 

[半減(Divide)ッ‼︎]

「お前の力、いただくよ!」

 

 白龍皇の力がハイベリアの力を半減させる。そして、半減させた力を双葉がオーラに変換して取り込んでみせる。

 

「そしてぇ、最大、出力でぇぇぇ!!」

「グルォアアア!?」

 

 バリバリバリバリバリバリッッ!! 魔物の体内で雷を解放。ハイベリアの内臓器官は機能を低下させてしまい、魔物はぐったりと動かなくなり。その様子は瀕死と言えようか。

 

「あれ、抜けない!?」

 

 振り回すが食い込んだ肉が雷により灼かれて。硬直した魔物の体からガングニールが抜けぬと焦る双葉。その隙を逃すものかと残りのハイベリアは仇を取るためなのか。あるいは腹を満たすためか彼女に躍りかかる。

 

「おい、遊んでないで仕事はきっちりしろよ。双葉」

「三文芝居だよー」

「ちぇ、バレたか」

 

 ドパンッ! ズダンッ! 

 

 二発の銃声がワイバーンモドキの頭蓋を弾けさせて叩き落とす。

 

「これで全部……いや、まだいるな」

 

 先の咆哮は仲間を呼ぶためのものだったよう、遠くから唸り声が聞こえたのだ。やはり、このタイプの魔物は群れで動くのかと双葉はなるほど、と頷きながら。纏雷を発生させ、生焼けのワイバーンモドキは完全に火を通されたようになる。

 生き物が焼ける嫌な匂いがあたりに充満するが気にすることなく。ワイバーンの魔物肉。翼腕に齧り付く。

 

「まぁ、やりようはあるさ。はむっ……んぐ、うぇ、やっぱ不味いなぁ」

 

 肉を噛み、引きちぎり、咀嚼。また噛み付き、引きちぎり、咀嚼して飲み込む。その光景を見て、兎人族達は唖然としていた……人が魔物を喰っているのだから、当然だろうか。

 

「まぁ、燃料になるのはお腹に収めたし……はぁぁぁ……」

 

 双葉は纏雷の出力を上げて。ガングニールに膨大な魔力を注ぎ込む。そして、臨界まで達した赤黒い雷の魔力は‘魔力的プラズマ’へと変貌した。

 

「セット、狙いは外すつもりはないから……これで吹っ飛べ!」

 

 ガングニールを両手で構え、プラズマは赤い太陽の如き。火球を生み出し、双葉はそれを照射した。

 ‘魔導電磁加速砲’もまた砲弾を放つ。秒速五.六キロメートルの初速で砲弾が放たれる。そしてその砲弾はエネルギーを指向させる。砲弾が突き抜けた衝撃のベクトルを増幅し、双葉はそれらを一気に解放する。

 

「その身悉く、焔に抱かれて灰塵に帰るがいい!」

 

 直後、魔物達は絶命した。双葉が開放したエネルギーはおよそ一万℃以上。それが宙を舞う魔物達を一瞬にして消し炭とした。

 直径にして20mの極太の焔が魔力の塊。そんなものが秒速五.六キロメートルで迫ったのだ。避けれるはずもなかった。

 

 何が何だかわからない。取り残された兎人族達の前に、双葉が降り立ち。ハジメ達と合流する。

 

「さて、これでよし。怪我人はいない? ……なんでドン引きされてるの!?」

「目の前で魔物をくった奴を見たらそうなるだろうが」

「……あ」

 

 双葉はやらかしたかぁ、と後悔するがもう遅い。そこへ

 

「ハジメ殿にフタバ様で宜しいか? 私は、カム。シアの父にしてハウリアの族長をしております。この度はシアのみならず我が一族の窮地をお助け頂き、何とお礼を言えばいいか。しかも、脱出まで助力くださるとか……父として、族長として深く感謝致します」

 

 そう言って、カムと名乗ったハウリア族の族長は深々と頭を下げた。後ろには同じように頭を下げるハウリア族一同がいる。

 

「まぁ、礼は受け取っておく。だが、樹海の案内と引き換えなんだ。それは忘れるなよ? それより、随分あっさり信用するんだな。亜人は人間族にはいい感情を持っていないだろうに……」

 

 交渉を始めたハジメに後を任せて。双葉は休息のために、一度下がるのだった。

 

 ──

 

 to be continued .

双葉の進化先、バランスブレイクはどちらを優先する?

  • 赤龍帝の鎧ベース。これしか勝たん
  • 白龍皇の鎧ベース。銀の腕だし映える
  • 二天統一ベース。オリジナル亜種禁手化
  • 禁手化を状況的に使い分けろ!
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