ありふれない天龍姫と魔王の異世界無双   作:ゆきほたる

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ライセン迷宮 決着編

 ■双葉side

 

 ……私の中で大きな力が渦巻くのがわかる。貴方は……

 

《くくく、貴様はバカなのか。我を目覚めさせると分かっていてなぜ調和した。否! 深淵へと降りる》

 

 わかっている。どれほど愚かなのかを、貴方が目覚めるきっかけを与えることがどれほどの愚行なのかも。

 

《まぁいい、手始めに貴様の肉体を奪おうか、そして人を、人の世を文明を破壊する……》

 

 待って、ヴォーティガーン。私は貴方の力を借り受けるつもりはない、ただ。貴方に知っておいてもらいたい……私は貴方を解放したいの。

 

《く、くはははっ! 何を訳の分からないことを、ほざくなよ人間が》

 

 いいえ、私は人間じゃない。貴方と同じ龍種よ!

 

《……わかっておるわそれくらい。だが、貴様が元は人である以上、我の殺したい蛆虫の1匹のうち一つだ》

 

 ……だからこそ、よ。かつて、人が犯した神秘への冒涜その逆鱗に触れた貴方は大暴れした結果の果てに。貴方は赤き龍を模した存在に下され、倒された。その亡骸は神器(セイクリッド・ギア)のシステムへ捧げられ、マイナスを司る《擬/神滅具》に、影の二天龍たちに分けられて封印された……貴方は‘真なる白龍神皇’へ至ることもできた器でしょう? アルビオン・グウィバーの後継にして、最後の龍種よ。

 

《過去など変えられぬよう、我が妄執も変えられぬ! 貴様がどれほど優れた存在であろうと、我を糺すなど。そんなものは、夢物語と思えよ小娘が!》

 

 吠えるヴォーティガーンの悲痛な叫び。そう過去は変えられない、そりゃそうよ。だけど……前を向いて歩くことはできる! だから、行こうよヴォーティガーン。あたしは何度でも、貴方に手を伸ばして見せる。

 

《くどいぞ小娘……我はヒトとは相いれぬ。何度来ようと同じだ。だが、我を恐れずここに来たその殊勝な心掛けに免じて、今は見逃してやろう。さあ、()ね》

 

 精神世界に潜り、新たに芽生えた意志の横槍に牽制するために降りたけど。哀しみに染まったドラゴンを見てあたしは……思わず手を伸ばした。孤独に染まって絶望に身を任せるドラゴン。そんなの、放っておけるわけがない……だからいつかまた話せたらいいな……

 おやすみ、ヴォーティガーン。また来るね。

 

《変な小娘だ。内側より貴様を喰らい尽くす劇物に、また合おうなどと……》

 

 そうしてあたしの意識は現実へと戻る。

 

『んぎゃー! ごめぇん、核砕かれちゃったぁぁ!』

「ようやく死にやがるか、あばよ金属塊が!」

 

 ごしゃん、グレンデルの足に踏み潰されたゴーレムの胸部装甲。そこにあったであろう核を潰されてミレディと名乗っていたゴーレムは破壊された。

 

「ありがと、変なゴーレム。あとは任せろ」

「双葉、なんだそのオーラつーか際どいカッコは!?」

「す、すごく露出が多いですよぉ!?」

 

 言われて思う。まぁ、うん。谷間が見えて、その上に鎧を見に纏ってるようにしか見えない胸元。太ももにスリットの入ったショートドレスは絶対領域が丸見えのそれ。というか丈短いぞどーなってんだよ。股下から数える方が早えよ!?

 

「うるさいなー、ヴァルキリーの正装の方がもっとヤバいわよ」

 

 わちゃわちゃと騒ぐハジメとシア、手をわきわきさせてる香織を無視してグレンデルを見上げる。

 

「待ってたぜこの時をよぉ……さぁ、やろうぜ赤龍帝……いや、白龍皇?」

「どっちもよ、ど三流。あたしは‘其天龍’。いまは唯一無二の天龍よ」

『その通りだ、俺たちは今』

『三身一体と化している。故に貴様など取るに足らんぞ、グレンデル!』

『セリフを取るなアルビオン!』

『勿体ぶって先に言わぬドライグが悪い』

『なにおお!?』

「はいはい、やめなって。ったく」

 

 苦笑いながら、あたしは二人の仲裁。そして、槍を召喚して構え直す。さて……

 

「行くわよ、二人とも! みんなは下がっててね、あるいは援護よろしく!」

「双葉、こいつを使え。それには劣る割に使い捨てだがな」

 

 ハジメから手渡されたのは黄金の剣。しかし、あたしは思わずそれを凝視する。だって……神秘が含まれた代物だったのだから。

 

「ハジメ、神器に目覚めてたけど、まさか……」

「ああ、金床で俺が再生した。だけど、‘本物だが脆すぎる’。定着できてない不完全な代物だ」

「上等よ。ああ、でもこれ帰ったらどう説明しようかしら……今悩んでも仕方ねぇな!!」

 

 その説明も聞いてる暇もしている暇もない。《夢幻の金床(インフィニティ・フォージ)》……聞いたことのない神器だ。そして何より、‘夢幻’の名で‘インフィニティ’だなんてどう言う縁よ。

 

「とりあえず、突っ込むから援護よろしく!」

「「「「(……)応っ!」」」」

 

 そうしてケリを着けるべくあたしは飛翔するのだった。

 

 □noside

 

「さっきと比べたら痛い目見るからな!」

 

 ‘Boost!boost!boost!boost!boost!boost!boost!boost!boost!boost! ──Explosion!’

 ‘Divide!divide!divide!divide!divide!divide!divide!divide!divide!divide!’

 

「数撃ちゃ当たるわけじゃねぇよ……!?」

「あら、ご自慢のレジストはもう在庫切れみたいね」

 

 双葉がとんでもない速度での倍加を重ね、一気に最高出力へ到達する。ちなみにだが、現在。1024倍へ出力を上げた。生み出されるその莫大な力は世界を軋ませる。

 さらに半減の力を連発する事でレジストの隙を与えず、そして何より。触れず(・・・)に半減させられた。

 これは双葉の力が極限にまで高められた結果に過ぎない。そして何より、先程ボコボコにされたことに相当ご立腹な彼女は……半減した力をオーラと魔力にしてまとめ上げるとそれを蒼き炎の塊に変化させる。

 

「あんたを守る鱗は魔力の大半を失った以上、耐性を根こそぎ失ったんだし脆くなってるわ。それでも硬いけど……そんな状態で攻撃を喰らえば──‘蒼炎’」

「ぐがぁぁぁ!? クソが、アチィじゃねえか!」

「こんなもんじゃ済まさない!立て、グレンデル……どれほどの屈辱だったか、思い知らせてやる!」

「そうだな、俺たちもそれ相応に馬鹿にされてイラッとさせられたのは確かだ。それでも……いや、双葉に全部任せる方がいいだろうな」

 

 ハジメはグレンデルを憐れんだ。構えていたドンナーとシュラークをホルスターに納める。ソレは、双葉の怒りを感じて手を出す余地がないと感じたのだ。その様はまさにブラックホールと言うべきか……深淵を覗く気分になるのだ。

 

「そう? なら……とっとと終わらせよっか」

 

 そのまま双葉のオーラが世界を震わせる。一歩進むだけで軋む世界。莫大なソレはまるで……強大たる絶対強者(ドラゴン)の如き存在感だった。重厚なるオーラの質は……まさに触れる物全てを焼き焦がす。

 

『グレンデル。貴様が何を怒らせたのかをよく覚えておけ』

『天龍の逆鱗を踏み躙ったその罪を、今一度認識して死ぬがいい』

「頑丈なんだよねー。なら、これくらいは耐えなよ」

 

 双葉は瞬間に地を蹴り、その懐へ潜り込む……‘ボッッッッ!!’とソニックブームを発生させながら移動。蹴られた地面は‘バガンッッッッ!’と叩き割られ、クレーターが如き異様になっていた。

 そして、軽く。撫でるように鳩尾へ掌打を叩き込む。しかし、ソレは一撃を慣らす……力加減を調整するための一撃だった。

 

「がっ! ぐげげ! 楽しいぜ、天龍フタバァァ!!」

「煩い、喋んなサンドバッグが」

 

 笑うグレンデルに不快感を露わに。次にはまさしく閃光のように。拳打の雨がその巨体を揺らす。鳩尾、胸部、腹を的確に狙い、グレンデルはその圧迫感に喋ることを禁じられる。

 音速の拳。それすら超えて突き出される拳の速度は‘超音速’すら置き去りにした──秒間100発。その初速はとあるバルカン砲に匹敵する‘1050m/毎秒’となる。

 

「──‘無間・千手拳打’」

 

 10秒の暴風の如き蹂躙。千発の拳打の末にグレンデルの腹は抉られたかのように鱗が剥がれ、割れ、砕け散っていた。なんなら、真皮まで到達した傷もあった。

 

「がはっ……かかっ、こっちの番だ!」

 

 堪え切ったグレンデルの応報。双葉はそこに佇み、避ける様子も見せず……

 ズンッ!とその一撃をガードもなしに受ける。ニヤリと笑うグレンデルはさらに拳を上から潰さんと振り下ろす。

 

「……こんなもの? あたし、つまんなくて欠伸でそうなんだけど」

「なっ!? てめ、無傷だと……!?」

「軽い軽い。障壁張らなくてもダメージ受けないわよ」

「言ってくれるじゃねえかぁぁ!」

 

 激昂。激情のままにグレンデルは足を振り抜いた。当然避けない双葉に直撃するが……ゴシャァッ!と響く音と共にグレンデルの右足がへし折れた。

 双葉はその場に佇んでいる──一歩も動いていなかった。

 

「んぁ? 足が折れっちまったぜ、げはははっ!!」

「今度はこっちの番よ」

 ‘Boost!boost!boost!boost!boost!boost!boost!boost!boost!boost!──Transfer!!’

 

 そのままハジメに託された神器に譲渡の力を流し、強化して剣を振るう。

 最大出力の強化を受けた神器は危険な煌めきを生む。双葉は咄嗟にグレンデルを結界に封じ込めてそのまま斬撃を繰り出す。

 

「最大解放。煌めけ、‘永久に至らぬ黄金の剣(エクストラ・ロスト・カリバーン)’。破砕すべき敵を滅ぼせ!」

 

 上段に斬り込み、さらにかえす刀でさらに中段を斬る。それは‘翡翠’と呼ばれる刀技の応用技だ。結界内にのみダメージを与えるようにしたそれ、しかし余波でライセン大迷宮跡地を真っ二つに両断した。

 

「あっ、しまった」

「ぐぎゃっ……!?」

 

 そして神器はその二撃で砕け散る。シカタナイネと内心呟きながら。上半身と下半身が泣き別れしたグレンデルの元へ歩み寄る。

 

「……いい気味ね。体の自由がない気分はどうかしら?」

「はん、腕があれば殴れる。顎がありゃ噛み砕けんだよぉぉぉ!!」

「鬱陶しいから動くな」

 

 元気に殴りかかってくるグレンデルを蹴飛ばし、壁に叩きつけ、ガングニールを投擲。心臓あたりを貫き、そのまま磔にする。

 

「ごへっ……ちぃ、やっぱ届かねえなぁ」

 

 ようやっと、血の塊を吐き出すグレンデルに双葉は無表情で歩み寄る。その目は冷酷さを滲み出していた。

 

「自身がいかに低俗なドラゴンであるか理解できた?」

「テメェにそれを言う権利があんのか?」

「少なくとも今のアンタ相手に言う権利はあると思うわ」

 ‘Boost!boost!boost!boost!boost!boost!boost!boost!boost!boost! ──Explosion!’

 

 双葉は掌に生み出した赫赫としたオーラ・魔力エネルギーを集約させると、それを空中に打ち上げる。背中の青き光輪を手元に掴むと、それをエネルギーに向かって飛翔させた。

 

 ‘Reflect!boost!reflect!boost!reflect!boost!reflect!boost!……’

 

 光輪の中でエネルギー体を反射させ、その度にエネルギーを倍加していく。

 倍加の力でどんどんエネルギーが高まっていく。その密度は惑星を容易く消し去るほどのエネルギー量となったのを双葉は感じ。そこで倍加と反射を止める。

 

「だぁぁぁぁクソッ! 離せや!」

「これで、終わりだ」

 

 ガングニールを手元に召喚し、グレンデルの腕を掴むとその場で回転させ、空に投げ上げ、それを追うようにして双葉も飛翔する。

 赫赫としたエネルギーに手を添えて。圧縮されたそのエネルギーに術式をインストールした。

 

「魂すら残さない。バレルフルオープン」

 ‘Boost!boost!boost!boost!boost!boost!boost!boost!boost!boost! ──Explosion!’

 

 最後の最終倍加。それは今から放出するエネルギーに対しての逆噴射のためのもの。

 暴虐なエネルギーの塊が操作された力場目掛けて放出されようとした。

 

「これこそ、赫の齎す終末。受けるがいい……ロンギヌスぅぅぅぅ……スマッシャァァあぁぁぁっっ!!!」

 

 グレンデルに目掛けて放出されたそれはまさしく赫の極光。その巨体を容易く飲み込むエネルギーの塊だった。それは断末魔も許さぬほどの致死性の高い‘夢幻’のエネルギーだった。

 

ギュァァァァァァァァァァァン……!

 

 空が染まる。血よりも赫い色で。その日、数分ほど世界中の空が赫に染まったのだ。昼間だろうと、夜だろうと。関係なしに……それほどのエネルギーが解き放たれたのだろう。

 

「ふぅ……おとといきやがれ」

 

 そう言い捨てて双葉は気を失うのだった。

 

 ■ハジメside

 

「ちょっ双葉!? そんなところで気を失うなぁぁぁぁ!?」

 

 げっ、双葉が落ちてくるぞ!? しかし、誰よりも早く。「……ん、大丈夫」とユエが言う。

 

「‘来翔’!」

「ナイスですぅ、このまま……!」

 

 ふわりと双葉の体が宙に浮く。そしてそこへシアが跳び上がり。双葉を抱きとめて着地した。ふぅ、ヒヤヒヤさせやがって。

 

「ん、寝てるだけだねぇ。双葉も魔力、スタミナも全部すっからかんみたい」

 

 よく見ればその姿も元に戻っている。穏やかな寝息を立ててるのを見る限りは大丈夫なんだろう。香織の太鼓判もあり、シアが双葉を背負ってくれるらしいので、任せることにした。

 

「それにしても、すごかったね、アレ」

「ああ、そうだな。こいつほんとにとんでもねぇよ」

 

 戦闘能力が鬼高い双葉がここまでしないと勝てない相手。邪龍、か。対策は必要だな……絶対何度か出会うだろうよ……そう予感を感じる。

 

 ‘‘ヤッホー、よくやってくれたね! 正直、君たちの力はもう十分な領域にあることはわかったし、ぜひミレディちゃんの住処へお越しくださいませー(^^)”

「「「「……」」」」

 

 そんな文字が床に出てきたのを見てそういえば試練の途中だったなと思い出す。俺たちは、地下に向けて足をすすめた。

 

 □noside

 

『ようこそおいでませ、私の、ミレディちゃんの住処へ〜♪』

 

 目の前にいたのは先ほどの巨大ゴーレムのミニチュアのような存在だった。

 

「核を砕かれてくたばったわけじゃねぇんだな?」

『これが最後の予備ボディな訳なのですよー』

 

 頭部にニコちゃんマークのお面をつけているのでデフォルメされた様相だとハジメは思ったが。中身はあの悪辣な迷宮の生みの親である。それ故に警戒を怠ることはなかった。

 

『じゃー、まずは神代魔法の授与からー』

「寝てても書き込めるもんなのか?」

『もちろん、そっちの寝てる子が赤龍帝さんなのかなぁー?』

「むにゃ、むのゅ……」

『あら、みんな可愛い女の子だね、君のハーレムなの?』

 

 面倒そうにハジメは頬を掻き。それを無言の肯定と見たミレディがハジメの脇を突いた。愛想つかされんなよーと言わんばかりだ。ウザい

 

「オッサンかよテメェは。さっさとしてくれ」

『もー、美少女におっさんは禁句だゾ?』

 

 ゴーレムが何言ってんだという無言の抗議を流しながら、ミレディは魔法陣を操作すると、そこにハジメたちを立たせた。

 流れ込んでくる情報にぐらつきかけるが、終わればそれもなくなる。目を開けて初めの第一声は

 

「ここの神代魔法は‘重力魔法’だったのか」

『そーだよー。そっちの赤龍帝の子と金髪ちゃんはバッチリ適性あるから頑張って修練してねー♪』

「その辺は想定内だよ、あとは証をくれ」

『はい、これね。うちの紋章入りだから大事に扱うんだぞー?』

 

 やけに素直なミニチュアミレディ。そういえば、とニコニコしたシアがゴーレムに歩み寄る。

 

「助けてもらったのは確かですし、色々言いたいこともありますけどぉ……一発殴らせてもらいますぅー!」

『ぎぇ、ちょっと待って、ねぇ待って!』

「待ちません♪ 真空砲爆拳んんん!」

『ぎーやー!?』

 

 一応手加減した魔力拳でミレディの頭を強かにドついたシアは「これで勘弁してあげます!」と鼻息荒くも引っ込んだ。

 

『うう、あとはこれ。役に立つと思うアーティファクトを渡しておくね。君たち、エヒトを殴りに行くんでしょ?』

「ついでだけどまぁ邪魔だからな。とりあえずついで、だよ。‘感応石’もついでに寄越せ」

『え!?』

「減るもんじゃねぇだろ、寄越せ」

『……君、セリフが完全に強盗と同じだからね? 自覚ある?』

 

 呆れた雰囲気のミレディは素直に鉱石を差し出す。それはどこか虚空から出てきたような。宝物庫を彼女も持っている様だった。

 

「こうでもしねぇと割に合わねぇよ。とりあえずそれでいい、ありがとよ」

『あれ、てっきりこれも寄越せって言うと思ったけど?』

「あんまり俺を見くびんなよ? 山賊になったつもりじゃねぇ」

 

 宝物庫の指輪。できれば欲しいが、そこまでやるつもりは無いとハジメは呆れた。

 

『ふーん。なら、強制的に君たちを放り出すのはやめにしとくね!』

「……ロクでもない対応されるのが確定するくらいならいらんわ」

「あ、そうだ。迷宮ぶっ壊したままにするのはちょっとかわいそうだし、魔石押し付けとこっか」

「あん? ……まぁ、あれくらいなら別にいいか。おいミレディ、こっちは被害者だがまぁ慈悲の心くらいはあるつもりだ。こいつをくれてやる」

 

 ハジメは香織の提案で宝物庫の肥やしになりつつあった魔石の半分程を放出する。

 

『いいの!? 修復が助かるんだけど!』

「まぁ、いいよ。俺らもやり過ぎたしな」

 

 使い道、そして何より世に出回ると色々ヤバいことになりかねない、扱いに困るものを押し付けた様なものなのだ。お礼を言われる筋合いはない、とハジメは返す。

 

『助かるよー、ありがとね!』

 

 こうしてハジメ達はミレディの住処を後にする。

 

『ふぅ~、濃い連中だったねぇ~。それにしてもオーちゃんと同じ錬成師、か。ふふ、何だか運命を感じるね。願いのために足掻き続けなよ……』

 

 彼らを案じるミレディはどこか、優しい声音でそう呟くのだった。

 

 ──

 

 to be continued .

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