ありふれない天龍姫と魔王の異世界無双   作:ゆきほたる

38 / 43
3章
さよなら姐さん。旅立ちのブルック


 □noside

 

 ライセン迷宮の攻略を終えた一行はシアの提案でブルックの町に戻ることとなった。なんだかんだ疲れは溜まり、双葉も未だ眠ったままであるが故に。全力を出し切った彼女を車の後部座席に放り込んで次の迷宮を目指すのは哀れだろうとハジメも考えたのだ。

 

 彼女の見せたあの力、この世界を軋ませるほどの力だとハジメたちは目の当たりにして。封印するべきモノである、と理解する。気軽に使うべき力ではなく、今後また邪龍と交戦するかもしれないことを考えると──自分達もアレらに対応できないとまずいと考えた。

 

「とはいえ、32倍加した双葉が返り討ちに遭うとは……めちゃくちゃなステータスしてやがるぞ、邪龍って奴らは」

「私たちもドラゴンの力を手に入れるべきなのかな」

「ん……私がいる」

「それにハジメさんの作った神器(セイクリッド・ギア)が、邪龍を切り裂いてましたよね?」

「双葉の強化ありきで、な。でも、明らかにオーバーキルだったからあそこまで極限強化の必要はないかもしれん」

 

 サイドカーに寝ている双葉を乗せ、香織が運転する魔力駆動二輪の後ろにシアが乗る。ハジメとユエが青い方に乗っていた。

 なお、シアがその高い身体能力を活かして運転する事もできるが、香織のセクハラに驚いてウィリーしかねないとハジメの配慮だった。

 数日ほど魔力駆動二輪を走らせ街道に。ブルックの街近くまで行く途中で初めの気配感知に反応があり、急いで徒歩に切り替える。魔力駆動二輪を見られるわけにもいかないのだ。

 

 そして、泉を通りかかったところへ。

 

「あらぁ〜ん、香織ちゃんたちじゃなぁい」

「あ、クリスタベルさん」

「……な、なんだあんたは」

 

 話しかけてきた‘化け物’相手に思わずドンナーを抜きかけるハジメの手をシアが若干蒼白になりながら押さえ、首をブンブンと横に振る。ついでに耳打ちで「‘化け物’は禁句ですからね!?」と囁かれたのに訝しく思いつつ。

 香織がにこやかに、普通に相対していることを見て、クリスタベルなる巨漢が悪い人間ではないとなんとなく悟る。

 

「そちらのお兄さんはなんて名前なのぉ〜ん?」

「は、ハジメだ」

「ハジメ、くんね。イイオトコじゃなぁ〜い!」

「あ、手出し無用でお願いしますね、クリスタベルさん。私の愛しの君ですから」

 

 ハジメの腕を引き、胸を押し付けるように抱きつく香織。今にも‘野獣(ビースト)モード’に移行しかね無い様相、ミチミチと筋肉、天然の鎧を弾けさせるクリスタベルに一歩後ずさったハジメを見かねた香織とユエが守るように抱きついた。まるで自分の占有物と言わんばかりである。

 

「……クリスタベル、どうしてここに?」

「隣町に仕入れに行ってたのよぉ〜。ユエちゃんたちは……あらぁ、その子もお友達?」

 

 シアの背負う双葉に目が行き、クリスタベルは思わず身構える(・・・・・)。数瞬だけ警戒する様な気色を浮かべるが、すぐに臨戦態勢を解いた。

 

「……そのコ、龍人族なのぉ〜ん?」

「は……いや、違うが」

「気配が似ている気がしたけど、違うのねぇん。ごめんなさい、ちょっとヤバい気配がしたから。気分を害したなら何度でも謝るわぁん」

「いや、コイツが起きたとしても気にしないと思うぜ。かまわねぇよ」

「懐が広い男はモテるわよぉん。ありがと、ハジメくん」

 

 話す中でクリスタベルが見た目的にもただのオネェなんだろうと、悪いやつではないとハジメは若干現実逃避しつつ。彼女(?)の話を聞いてるとどうやらクリスタベルたちもブルックの町に戻る最中だったらしく。ハジメたちもそれに便乗させてもらう事にした。

 

「昼食は食べたのかしらぁん?」

「そういやまだだったな……」

「んぐ……? ん?」

 

 そんな話をしていた時、シアに背負われていた双葉がようやく目を覚ました。辺りをキョロキョロと見回し、クリスタベルと目があった。

 

「お目覚めみたいねぇ〜ん」

「……だ、誰だこのバケモノっ!?」

 

 目覚めて最初に見たのがクリスタベルだったのが災いして、双葉は禁句を口走る。それを聞いてその場にいた他の冒険者たちの間で空気が凍りついた。‘ビキィッ’と青筋を浮かべたクリスタベルにびびったシアが双葉をその場に下ろしてハジメの後ろに逃げ出すと、ハジメは逃げてきたシアを盾にする様にその後ろに隠れる。

 

「だぁ~れが、伝説級の魔物すら裸足で逃げ出す、見ただけで正気度がゼロを通り越してマイナスに突入するような化物だゴラァァアア!!」

「テメェじゃボケぁぁああ!!」

 

 その言葉の応報、ある意味通じ合った二人はそのまま拳を放つ。同時に踏み込み、双葉も迎え撃たんと突き出した拳。ドガアッ!!と人間が出す様な音じゃない、トラックとトラックの衝突音の様な轟音が鳴り響く。

 

 二人して、双葉の左拳がクリスタベルの左頬に。彼女(?)の拳が双葉の右側に突き刺さっていた。クロスカウンター。綺麗なそれを見つつ黄昏れる面々。しかし、彼らは気を失うことなくお互いを見つめ合い続けた。

 そしてお互いに拳を納め、残心を解きながら。次の瞬間にはがっしり、と握手をする。まるでお互いを讃えあう様に

 

「ごめんなさい、勘違いしてたわ。こんないい拳を持つヒトがこの世界にいたなんて、自分がどれほど小さいかよくわかった」

「それはこっちのセリフよぉ〜ん。いい、パンチだったわぁ〜ん❤︎」

「どういうことだよ!?」

 

 思わずツッコんだハジメに対して、双葉はサムズアップで返すだけだった。なお、双葉もクリスタベルもノーダメージという相応が意味不明であった。

 

「「この筋肉に嘘はないわ(よぉ〜ん❤︎)」」

 

 意味不明なその返答にハジメは宇宙猫となったとか。そんなこんなで、目覚めた双葉が振る舞った料理にソーナが頽れ、レシピをいくつか聞き出そうと奮戦して折れた彼女にレシピを教えてもらい小躍りしているソーナがいたとかなんとか。

 

 ■双葉side

 

 グレンデルとの戦い。双禁手化(コスモス・ブレイク)の反動で数日寝てたあたしは完全に体が鈍っていた。本気じゃなかったとはいえあたしと打ち合えた筋肉だるま店長ことクリスタベルさんの店で色々とほつれたり、破れたあたしの戦装束の補修をしてもらった。

 なお、服のデザインがユエの完全オリジナルと聞いて彼女に弟子入りしようとするなど結構柔軟な思考力をお持ちのようだった。一応、ユエはデザインノートをベルさんに渡して後は独学で研究してくれと丸投げしていたが。

 ちなみに何故かデッサンのモデルに使われてるのが、おおよそあたしだったのを問い詰めたい。なんで‘逆バ○ー’のデザインしてんだよ、‘○ニーガール’とか危険やろがい!拳骨くれたろか!

 っといかんいかん。可愛い弟子との戯れの時間だし、切り替えなくては。

 

「師匠! 今日もよろしくお願いします!」

「はいよ。そんじゃ今日は‘キッシュ’の作り方教えるわよ」

「はい!」

 

 そんなこんなであたしの療養ついでに、あたしらは幾日かブルックの街に逗留する事となった。世話になってる宿屋であたしにどうしても弟子入りしたいと突撃してきたソーナにあたしは、‘味噌’の作り方や秘蔵の‘麹菌のタネ’を与えた。

 なお、麹菌を分けてもいいのかと聞かれると、麹菌の確保はもう完全にできる様になった。なので、味噌は安定量作れる様になったのだよ。

 

「麹菌はかなり繊細なの。全滅させ無い様に気をつけなさい」

「はい、師匠!」

「これを譲るってことは、その意味はわかるよね?」

「……はい! 今までのご指導、ありがとうございました!」

 

 ソーナを撫でながら、その取り扱いを教えて。受け継いでいく様にと、それがあたしから麹菌を受け取ったあなたの使命だと教えておく。

 後日、行く先々で‘料理女帝ソーナ’の異名を聞く事になるがその辺はまあ、いつか語ろうと思う。

 指導を終えて、あたしは部屋に戻る。明後日には出発だ……次の街に向けて。

 

 □noside

 

 チロン、チロン……

 

 涼やかな鈴の音を立てて冒険者ギルドがブルック支部の扉は開いた。入ってきたのは五人の人影、ここ数日ですっかり有名人となったハジメ一行である。ギルド内のカフェには、何時もの如く何組かの冒険者達が思い思いの時を過ごしており、ハジメ達の姿に気がつくと片手を上げて挨拶してくる者もいる。男は相変わらず女性陣に見蕩れ、ついでハジメに羨望と嫉妬の視線を向けるが、そこに陰湿なものはない。

 

 ブルックに滞在して二週間、その間にシアを手に入れようと決闘騒ぎを起こした者は数知れず。かつて、‘股間スマッシャー’という世にも恐ろしい所業をなしたユエ本人を直接口説く事は出来ないが、外堀を埋めるようにハジメから攻略してやろうという輩がそれなりにいたのである。

 なお、決闘を挑もう者は。面倒くさがりな双葉がオートで放つオーラ弾を当てられ、弾き飛ばされて気絶させられていた。

 

 オーラの攻撃は常人には不可視の弾丸。故に、ハジメが何かやってるものとして恐れられていた。挑む者もなくなり、ハジメには‘バトルスマッシャー’やら‘戦いにならぬ者’なんて異名を被っていた。

 ちなみに、香織は‘白金の聖女’、シアは‘蒼雷のウサ乙女’で双葉は‘黒曜の戦乙女’の異名を賜っており。それを知ったハジメは、その格差はなんだと嘆いたのは無理もないことだろう。

 ちなみにギルドでパーティー名の申請等していないのに‘ムテキ・ラヴァーズ’というパーティー名が浸透しており、自分の二つ名と共にそれを知ったハジメがしばらく遠い目をしていたのは記憶に新しい。

 その理由は仲睦まじいラブラブな場面をあちらこちらで目撃されている上にめちゃくちゃな強さのハジメを筆頭にする‘やべー奴ら’。お触り禁止と言うことで‘ムテキ’と名がつけられた様だ。

 

「おや、今日は全員一緒かい?」

 

 ハジメ達がカウンターに近づくと、いつも通り、‘キャサリン姐さん’がおり、先に声をかけた。キャサリンの声音に意外さが含まれているのは、この一週間でギルドにやって来たのは大抵、全員揃って無い……大体ハジメ一人か双葉とシア、香織とユエたちやそのほかの組み合わせだったからだ。

 

「ああ。俺たちは明日にでも町を出るんで、あんたには色々世話になったしよ。一応挨拶をとな。ついでに、目的地関連で依頼があれば受けておこうと思ってな」

 

 世話になったというのは、ハジメとがギルドの一室を無償で借りていたことだ。せっかくの重力魔法なので生成魔法での試行錯誤するのに、それなりに広い部屋が欲しかったのである。

 キャサリンに心当たりを聞いたところ、それならギルドの部屋を使っていいと無償で提供してくれたのだ。その間ユエは香織やシアに手伝ってもらいつつ、郊外で重力魔法の鍛錬である。

 

「そうかい。行っちまうのかい。そりゃあ、寂しくなるねぇ。あんた達が戻ってから賑やかで良かったんだけどねぇ~」

「勘弁してくれよ。服飾店のヘンタ……んんっ、変人といい。こいつらに踏まれたいとか言って町中で突然土下座してくる変態どもといい、‘お姉さま’とか連呼しながらストーキングする変態どもといい、決闘を申し込もうとしてくる阿呆共といい……碌なヤツいねぇじゃねぇか。出会ったヤツの七割が変態で二割が阿呆とか……どうなってんだよこの町」

「あ、あはは……なんなんだろうね、あの子たち」

「百合を拗らせたヤンデレ幼馴染でもあそこまでしないでしょ」

 

 遠い目をする双葉に同意する様、ユエとシアが疲れたように頷く。ちなみにクリスタベルは会う度にハジメに肉食獣の如き視線を向け舌なめずりをしてくるので、何度寒気を感じたかわからないが。

 それ以上に困った存在がブルックの町に出来た「派閥」だった。その派閥は日々しのぎを削り合い、日に日に勢力を増していくのを放置した結果。「踏まれ隊」、「奴隷になり隊」、「姉妹になり隊」の三つだ。それぞれ、文字通りの願望を抱え、実現を果たした隊員数で優劣を競っていたらしい。

 

 「踏まれ隊」は双葉に、あるいはユエに‘踏まれたい’連中で構成されているドMな変態の集まり。最初の頃はやんわり断っていた双葉でも何度もやられればキレる。最終的に、双葉が名も知らない踏まれ隊の隊員の隣。その地面を踏み砕き……「死にたいなら頭をそのままにしとけ」と脅してからは鳴りを潜めた。

 

 「奴隷になり隊」はシアの奴隷になりたいと言うツッコミどころしかない集団である。とりあえず放置していたがあんまりにもしつこいので付き纏う連中全て、双葉が一時的に喋れなくなる魔術をかけて高いところに吊し上げたりしてやっと全滅した。

 

 最後に一番厄介だったのが「姉妹になり隊」だ。

 

 彼らはユエ、シア、香織に陶酔しており。彼女たちの妹、あるいは姉になりたいと言う女性たちだ。だいたいが身の程も知らずハジメを排除せんと動いて返り討ちにあっている。最終的にはハジメに対しての殺人未遂にまで発展してしまったが、その下手人が半裸で高いところに吊るされるという見せしめを最後に収束した。

 

 そんな‘濃い’出来事を思い出し、顔をしかめるハジメに姐さんは苦笑いしつつ。

 

「まぁまぁ、何だかんで活気があったのは事実さね」

「嫌な活気だよ」

 

 やりとりを思い出したのか、苦虫を噛み潰したように顔を歪ませながら双葉は瞑目して何も言わなかった。

 

「今後そういったことがない様に気をつけるよ。本当に苦労かけたねぇ……ごめんよ。で、あんたたちは何処に行くんだい?」

「俺たちはフューレンに行く」

 

 そんな風に雑談しながらも、仕事はきっちりこなす姐さんは早速、フューレン関連の依頼がないかを探し始める。

 ちなみに‘フューレン’とは中立商業都市のことで、ハジメ達の次の目的地は【グリューエン大砂漠】にある七大迷宮の一つ【グリューエン大火山】である。その為、大陸の西に向かわなければならないのだが。

 その途中に【中立商業都市フューレン】があるので、大陸一の商業都市に一度は寄ってみようという話になったのである。なお、【グリューエン大火山】の次は、大砂漠を超えた更に西にある海底に沈む大迷宮【メルジーネ海底遺跡】が目的地となるので潜水艇を作る必要があるだろう、と一行は考えていた。

 

「う~ん、おや。ちょうどいいのがあるよ。商隊の護衛依頼だね。ちょうど空きが後三人分あるよ……どうだい? 受けるかい?」

 

 姐さんが差し出した依頼書を受け取り内容を確認するハジメ。確かに、依頼内容は、商隊の護衛依頼のようだ。大〜中規模な商隊のようで、二十人程の護衛を求めているらしい。ユエとシアは冒険者登録をしていないので、ハジメ、香織と双葉の分でちょうどだ。

 

「連れを同伴するのはOKなのか?」

「ああ、問題ないよ。あんまり大人数だと苦情も出るだろうけどね」

 

 冒険者の事情として戦利品などの持ち運びに手が必要な際に奴隷や格下の冒険者を雇うこともある。個人で持てる量に限りがあるが故に、そう言うことも多いのだと姐さんは語った。

 

「まして、ユエちゃん、シアちゃんも結構な実力者。三人分の料金でもう二人優秀な冒険者を雇えるようなもんだろう?断る理由もないさね」

「そうか、ん~。どうすっかな?」

 

 ハジメは少し逡巡し、意見を求めるように女性陣の方へ振り返る。正直な話、配達系の任務でもあればと思っていたのだが。というのも、ハジメ達だけなら魔力駆動車があるので、馬車の何倍も早くフューレンに着くことができる。わざわざ、護衛任務で他の者と足並みを揃えるのは手間と言えた。

 

「……急ぐ旅じゃない」

「そうですねぇ~、たまには他の冒険者方と一緒というのもいいかもしれません。ベテラン冒険者のノウハウというのもあるかもしれませんよ?」

「ノウハウは冒険者としてはヒヨッコの私たちにとっては役立ちそうだねー」

「その辺はそうね。あたしたちにない技術があるかもだし」

 

 ハジメは面々の意見に「ふむ」と頷くと姐さんに依頼を受けることを伝える。ユエの言う通り、七大迷宮の攻略にはまだまだ時間がかかるだろう。急いて事を仕損じては元も子もないというし、シアの言うように冒険者独自のノウハウがあれば今後の旅でも何か役に立つことがあるかもしれない。

 

「あいよ。先方には伝えとくから、明日の朝一で正面門に行っとくれ」

「了解した」

 

 ハジメが依頼書を受け取るのを確認すると、ハジメの後ろにいた香織たちに姐さんは目を向ける。

 

「あんた達も体に気をつけて元気でおやりよ? ボウヤに泣かされたら何時でもウチにおいで。あたしがぶん殴ってやるからね」

「……ん。お世話になった。ありがとう」

「はい、キャサリンさん。良くしてくれて有難うございました!」

「色々お世話になりました。でも……ふふ、そんな事はあり得ませんよ」

 

 香織はハジメの肩を指先で撫でつつ「ね?」と妖艶に微笑んで見せた。

 

「……すごいお嬢さんだこと。お前さんに関しちゃそんな心配もないだろうねぇ」

「ええ、そうですね」

 

 姐さんの人情味あふれる言葉にユエとシアの頬も緩む。特にシアは嬉しそうで、この町に来てからというもの自分が亜人族であるということを忘れそうになる。

 対照的に双葉は申し訳なさの混じった曖昧な笑み。かけた迷惑を考えると素直に笑え無い様子だった。

 ただ、彼らはこう感じる。ここの土地柄かそれともそう言う人達が自然と流れ着く町なのか、それはわからないが、いずれにしろ彼らには温かい場所であった。

 

「あんたも、こんないい子達泣かせんじゃないよ? 精一杯大事にしないと罰が当たるだろうからね?」

「……ったく、世話焼きな人だな。言われなくても承知してるよ」

 

 その言葉に苦笑いで返すハジメ。そんな彼に、姐さんは一通の手紙を差し出す。疑問顔で、それを受け取る。

 

「これは?」

「あんた達、色々厄介なもの抱えてそうだからね。町の連中が迷惑かけた詫びのようなものだよ。他の町でギルドと揉めた時は、その手紙をお偉いさんに見せな。少しは役に立つかもしれないからね」

 

 ウインクする彼女に、ハジメは若干ときめきそうになるが。相手が美魔女である事を思い直し、咳払いをしつつ。手紙一つでお偉いさんに影響を及ぼせるアンタは一体何者だ? という疑問がありありと表情に浮かんでいる。

 

「おや、詮索はなしだよ? いい女に秘密はつきものさね」

「……はぁ、わーたよ。これは有り難く貰っとく」

「素直でよろしい! 色々あるだろうけど、死なないようにね」

 

 謎多き、片田舎の町のギルド職員キャサリン。ハジメ達は、そんな彼女の愛嬌のある魅力的な笑みと共に送り出されるのであった。

 

 ──

 

 to be continued .

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。