ありふれない天龍姫と魔王の異世界無双   作:ゆきほたる

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いじめる側の私

 ■双葉side

 この地にきておよそ2週間が経過した。地球で一般流通してなかった物がこのトータスにはある。それは‘魔法’である。

 

「魔法は、体内の魔力を詠唱により魔法陣に注ぎ込み、魔法陣に組み込まれた式通りの魔法が発動するというプロセスを経る。魔力を直接操作することはできず、どのような効果の魔法を使うかによって正しく魔法陣を構築しなければならない……か」

 

 こっちと地球での魔法、魔術と違い使い勝手が悪いと印象を受けるが仕方ないだろう……仕組みが全く違うのだから。

 それで現在。その魔法の訓練をするべく、その予習を行なっている訳なのだが。

 その予習以外に私が持つ能力を調べる必要があるとメルド団長に指示されていたがやっとその全貌の把握が可能になったわけである。

 

 まずは自分の能力を把握しようと思う。

 

 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 ・全属性適性

 全ての属性を行使できる技能。魔力を用いて炎や光を生み出せるなどなど様々な属性魔法を使える事が保証される技能と言われる

 

 ・全属性耐性

 属性がある物全てに対してダメージを軽減できる技能。闇魔法とかの精神に作用するものも例外なく抵抗力を上昇させるヤベー奴。

 

 ・全魔法適性

 全ての魔法を扱える適性技能。ぶっちゃけ全属性適性があるのになんであるのこれ? と言ったところ。

 

 ・物理耐性

 物理ダメージに対してダメージカットが発揮される技能。当たらなければどうということはない訳なんだが、体力に依存するとのこと。

 

 ・魔力耐性

 魔力ダメージに対してダメージカットが発揮される技能。魔法も実は避けれるんだよね……範囲外に逃れればだけども。魔耐に依存するとのこと。

 

 ・複合魔法

 属性を組み合わせて魔法を放てる技能。炎と氷で極大消滅呪文(メドローア)とかそんな感じだと思われる。魔法使う前だからまだなんとも言えない技能。

 

 ・魔力操作

 詠唱なしで魔法を放てる技能。ぶっちゃけ魔法士なら絶対欲しい技能だと思う。使い手は私以外にいない。

 また、魔力を武器に付与もできるので、魔法をぶった斬るなどなどの無茶もできるようになるらしい。

 

 ・槍術

 特定の武器に対して補正を得られる技能で、私の場合は槍である。

 軽く振り回してみたが、いつも以上に綺麗な武踊ができた。

 

 ・神速

 よくわからない技能。メルド団長の言い分だと敏捷のステータス依存で超高機動力を可能にする技能だそうな。そして、必ず先制できるらしい……聞いてると‘でんこうせっか’を思い出すぞこれ。

 絶対香織に「ゴリランダー、でんこうせっか!」とか言われそうなんだが? 

 いや、でんこうせっかできるゴリランダーとかねえわ……いたら怖いわ。

 

 ・縮地

 魔力を放出して一瞬で自分の間合いに飛び込める技能。槍術とかなり相性が良いのは言うまでもなく。人によっては、残像を残しながら一撃離脱戦法も可能だという。

 

 ・高速魔力回復

 魔力の消耗に対して、即座にマナを取り込める能力。回復力はポーション系のアイテムを使わずとも数分後には回復するレベルだ。無限リソースは滅びるべき悪い文明……と思う。

 

 ・気配感知

 生物の気配を感知できる技能。どちらかと言うと第六感が増設されたような感じだと思う。どこに香織がいるかとか南雲くんや雫の居場所がわかるとか? 

 説明しにくい能力である。

 

 ・魔力感知

 魔力の出どころや残滓を辿れる技能。魔法とか魔力による事象の変動を感知して迎撃あるいは回避行動を取り行えるようだ。

 

 ・限界突破

 身体能力を3倍にできる技能。制限時間は3分ほどでその間自身のステータスを3倍に引き上げる事が可能な能力。

 現在なら筋力が1500になる……と言った具合だろうか? 

 

 ・言語理解

 私や香織、つまりはクラスメイトが全員が保有する技能だ。読み書きができるのは最高です。

 

 ・ノルンの瞳

 本来は近い将来に起こる未来を1日に[10秒]間だけ見れる北欧に住う高位ヴァルキリーが持つ共通技能なのだが、私の場合は未来予知が可能な精度になっている。

 あまり使わないからかなりの魔力を消費するとなると、使う必要はないと思われる……だって殴れば障害を排除(物理)できるでしょう? 

 竜騎戦乙女の天職の影響ではなく……私が保有する固有技能だと思われる。

 

 ・擬/赤龍帝の籠手(シャドウ・ブーステッド・ギア)

 私固有の能力筆頭その2

 ドライグの魂が「半分」封じられた神器(セイクリッド・ギア)神滅具(ロンギヌス)だ。機能は倍加(Boost)譲渡(Transfer)

 その名の通り倍加は10秒毎に私の能力を倍にしていく力を持ち。実質無限に倍加する事ができるので……1024倍とかも可能だと思われる。

 ただし、私のキャパシティを越えれないので、8倍が現在の最大値だと見ている。

 8倍とて、現状の筋力500が4000になるわけなのでその凄まじさはさもありなん。

 譲渡は倍加の効果を味方に与えれる機能であるが、そのコストは私が払うのでお手軽に味方を強化する手段だろう。

 また、神滅具とは……神すら屠れる神器のことで聖書の神によって創られたと見られており、[神造兵装]と呼ばれている。ただ、過去から現在まで。私の魂と共に転生を繰り返しているみたいだけどその辺は記憶がないからなんとも言えないわけだが。

 

 ・擬/白龍皇の光翼(シャドウ・ディバイン・ディバイディング)

 私固有の能力筆頭その3

 アルビオンの魂が同じく「半分」封じられた神器(セイクリッド・ギア)神滅具(ロンギヌス)だ。機能は半減(Divide)反射(Reflect)

 半減は触れる必要があるが、対象にした存在から力の半分を奪い取り、自分の力にする能力だ。余剰分の力は光翼部分から放出する。

 反射は相手に対して物理、無形状エネルギーだろうが問答無用で跳ね返す。

 

 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 やっぱり……ぶっ飛んでるな? オーバースペックすぎてほんとに笑う。

 

 チートや、こんなもん! チーターや! 

 とみんなに言われそうなんだけども、仕方ないじゃ無いか。私はその、なんだろう? 

 母は「ブリュンヒルデ」の称号を持つ現役のヴァルキリー。

 父は「とある機関」に所属するエージェント。アンダーグラウンドなんだけどそうじゃない世界に住う人たちなのだからしゃーないわな。

 私自身は戦いの場に赴くようなことはなかったが、祖母もヴァルキリーだったので訓練は見てもらっていたし。ただ、オーディン様側仕えのヴァルキリーにはなりたく無いなぁ……あの人ド助平だし。ドライグやアルビオンがこんな神は滅ぼすべきだって覇龍になりかねないと思うから。

 まぁ、チートだのなんだのに関しては。二天龍をその身に宿してる時点でチートなのだよワトソンくん。まだ、禁手化(バランスブレイク)もできないけどね? 

 

 レポートもまとめたし、訓練の時間だから行くとしましょうかねえ。

 

 □noside

 

 レポートを提出するために双葉がメルド団長の元へと行く前に時間を戻す。

 ハジメは彼女に作って欲しいと頼まれたものを作成して渡しに行くべく、合流するために訓練場へと赴いていた。

 

 作成したのは槍で、よくあるショートパイクと呼ばれるものだ。というのも、ハジメに戦闘の才能はないということは重々承知していることであり、彼はできることから伸ばすべきだと双葉や香織に提案されたのである。

 それからはこの2週間の間ずっと武器を作ったり盾を作ったり。色々と夢中になって作成した。

 何より錬成の魔法陣の描かれた手袋をもらってからはずっと独学で武器を作り続けていた。

 

「僕の戦う場所は違う……天龍さんの勧めた通りだったな」

 

 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 南雲ハジメ 17歳 男 レベル:5

 天職:錬成師

 筋力:20

 体力:20

 耐性:20

 敏捷:20

 魔力:20

 魔耐:20

 技能:錬成[+鉱物系鑑定][+精密錬成]・言語理解

 

 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 錬成に派生技能が芽生え、レベルも上がっていたのである。

 そして、気合を入れて自分に作れる最高の槍をお礼も含めて双葉に渡そうと作り上げた物を持参して訓練場へと赴くが彼女はおらず。とりあえず待つことにした……のだが。

 

 ハジメは人目のつかない場所でひっそりと自主練でもするか、と細身の剣。レイピアの柄を握ると抜剣する。

 最初の頃は重くて持てなかったが、今なら軽々と持てる。

 軽く振り、具合を確かめる。悪くはない……そう思っていた矢先に、背後から衝撃を感じると同時に。

 転倒しかけるがなんとか踏ん張り。うんざりしながら後ろを見ると、予想通りの面々……檜山とその取り巻きがいた。

 

「よぉ、南雲。なにしてんの? お前が剣持っても意味ないだろが。マジ無能なんだしよ~」

「ちょっ、檜山言い過ぎ! いくら本当だからってさ~、ギャハハハ」

「なんで毎回訓練に出てくるわけ? 俺なら恥ずかしくて無理だわ! ヒヒヒ」

「なぁ、大介。こいつさぁ、なんかもう哀れだから、俺らで稽古つけてやんね?」

 

 ニヤニヤと下衆の笑みを浮かべる4人はハジメを取り囲むように陣取り、逃げ道を塞いだ。

 

「あぁ? おいおい、信治、お前マジ優し過ぎじゃね? まぁ、俺も優しいし? 稽古つけてやってもいいけどさぁ~」

「おお、いいじゃん。俺ら超優しいじゃん。無能のために時間使ってやるとかさ~。南雲~感謝しろよ?」

 

 そんなことを言いながら馴れ馴れしく肩を組み人目につかない方へ連行していく檜山達。それにクラスメイト達は気がついたようで、慌てて別方面に走っていく。

 

「いや、一人でするから大丈夫だって。僕のことは放っておいてくれていいからさ」

 

 一応、ハジメは差し支えのない言葉で断ろうと試みるが……。

 

「はぁ? 俺らがわざわざ無能のお前を鍛えてやろうってのに何言ってんの? マジ有り得ないんだけど。お前はただ、ありがとうございますって言ってればいいんだよ!」

 

 そう言って、脇腹を殴ろうとした檜山の手を見てハジメは堪えるべくキツく目を瞑るが、痛みも衝撃もなく。不審に思いながら、目を開けると……

 

「だったら、あたしが南雲くん……いや、ハジメくんに稽古をつけるから、あんたらは下がっていいわよ」

「いでででで!!?」

 

 檜山の手を掴み、捻り上げる双葉がそこにいた。

 

「なっ、天龍!?」

「コイツいなかったんじゃねえのかよ! 礼一!」

「見てたって! まだ来てなかったのも確認してだじゃん!」

 

 放り出すように檜山の手を離し、無様にも彼は地に這いつくばるように腕を押さえてうずくまる。

 

「親切なクラスメイトがいていいわね。教えてくれたからすっ飛んできてあげたのよ。あんた達バカに指導するために……一応弁明は聞いてあげるけど?」

「毎度毎度、邪魔しやがって……俺たちが優しくしてりゃつけ上がりやがってヨォ!」

 

 見下す彼女の目、それは檜山にとってはいつもの眼光だ。しかしそれがもう我慢ならないとばかりに彼は鞘に収まったままの剣を構えた。

 

「はぁ、忠告してあげる。あたしはいま猛烈にキレかけてるの……いい、変な行動は慎みなさい? ハジメくん。下がってて……巻き込まれたくなかったら」

 

 呆れた目で檜山と中野、斎藤、近藤を見る双葉の目は完全に笑っておらず、口元には歪な微笑みを張り付けていた。

 それを見た4人は身の危険を感じると、中野、斎藤は無意識に詠唱を零し。魔法を発動した。

 

「ここに焼撃を望む──‘火球’」

「ここに風撃を望む──‘風球’」

 

 避ける動作もなく。その場にただ立っているだけの双葉に向けて魔法が飛来する。

 

「天龍さん! 避けて!?」

 

 避ければハジメに直撃するコースに躊躇いなく放ったその魔法に対して。双葉は目を細め……

 

「……忠告を無視したわね? なら、血祭りはやめたげるけど……手加減はしないわよ?」

 

 炎の魂が、不可視の風の塊が彼女に直撃した。ごうと炎が爆ぜ、風が強かに打ちつける。土煙が巻き起こり、視界を阻害した。

 

「こんなもんじゃおわらねぇぞこらぁっ! 礼一っ!」

「くたばれクソアマ!」

 

 檜山と近藤が躍りかかる。鞘に収まった剣を頭に向けて振り下ろし、石突が彼女の腹目掛けて突き出される。

 ごすっ、ドス。重い感覚を覚え手応えを感じた彼らはニヤリと笑う。しかし

 

「初手は受けてあげる。これは正当防衛だし……仕切り直しにまずはご挨拶♪」

「余裕こいてるのも今のうち……っ!?」

「う、わっ!?」

 

 突如として巻き起こる強風があたりを吹き散らし、その風に弾き飛ばされるように檜山と近藤は武器を手放してしまいつつ5m後方に飛ばされるが、最近の訓練の賜物か、なんとか受け身を取りつつ着地していた。

 土煙が晴れると双葉は左手で剣の鞘を掴み、右手で槍の石突を掴んで止めていた……全くの無傷で。

 

「なっ……!?」

「直撃しただろてめぇ!? なんで無傷で……!?」

「じゃあこっちの番ねー?」

 

 双葉は武器を檜山と近藤の前に放り投げると、左手を天にかざすように突き出し。そして……

 

「なんだっけ、魔法陣は無しだけど。こうすりゃいいのかな?」

「は? ……ウソだろ!?」

 

 なんてことない、と言わんばかりの表情で直径3m(・・・・)ほどの‘火球’を詠唱もなく作り出す。その様に中野は驚愕の表情を晒すが、双葉は微笑みながら解説する。

 

「私は全ての属性を使えんだよ? これくらい造作もないよ」

「ちきしょうっ!!」

 

 双葉はそのまま巨大な火球を中野に向けて投げ放ったがその速度は大きさ通りかかなり遅い──が、その火力は半端な物ではなかった。

 中野が逃げ出して誰もいない場所に着弾と同時に高さにして6mの火柱が立ち上がり、炸裂音と共に爆風が檜山達に襲いかかる。

 咄嗟に顔を庇うように腕を前に出して、なんとか踏ん張る。

 そんな檜山と近藤に対して後衛である中野と斎藤は無様に吹き飛ばされ、ごろごろと地を転がる。

 

「かーらーのー‘ガンド’」

 

 中野に人差し指を向けて彼女は初めて呪文を唱えた。そして、彼女の指先には真っ黒な魔力の塊が収束する。

 

「これは‘ガンド’って言うんだけど、ルーン魔術においての初歩中の呪いなんだけどね? だだし、私の場合は《フィンの一撃》にまで至ってるんだよね」

「がぁぁっ!?」

「中野……?」

 

 双葉は言いながら、中野に向けてその漆黒の塊は射出された。直後、彼は3mほど吹っ飛ばされて気絶した。

 すかさず、自分に人差し指を向けられていることに気がついた斎藤は。すぐ様背を向けて逃亡を図るが……

 

「私の視界内から逃げ切れると思わないことだね。‘ガンド’」

 

 すぐに、斎藤目掛けて漆黒の弾丸が飛翔。彼の頭に直撃し……走りながら倒れていったので盛大にコケてごろごろと地を転がっていった。

 

「さて、武器を拾って逃げないの?」

 

 後衛2人の意識を刈り取り、ニヤニヤと檜山と近藤に顔を向ける双葉。彼らは隙だらけに見えて全くの隙がないという絶望的な相手を見ている気がした。

 

「まぁ、逃がさないし逃げれないよ?」

「くそがぁぁ!!」

「……あらあら、女の子に刃物を突きつけるなんて、やーんこわーい」

「死にくされ!」

 

 双葉に穂先を向けて、近藤は彼女に槍を突き込んだ。ひらりと躱す双葉に追撃をかける檜山の剣を首を傾けることで避ける。

 

「やれやれ。ソレ、アーティファクトでしょ? 人に向けるもんじゃないと思うんだけど?」

「大介、ちゃんと合わせろよ!!」

「お前こそもっと突けって!!」

「はいはい、こっちだよー? ほらほら、無駄な努力だけど当てれるかもしれないから頑張れ頑張れ♪」

 

 なかなか連携の取れた、様になった剣筋と槍使い。しかし、双葉を捉えるには至らない。喧嘩の勘だけでどうにかできる相手ではないと未だ理解できず懸命に得物を振るう檜山と近藤に対して無駄な努力だと一蹴する双葉。

 

「やっぱ飽きた。もう踊らなくていいよ」

 

 剣を人差し指と中指で挟みホールドしつつ、穂先の付け根を掴み、2人の動きを阻害しながら双葉は檜山と近藤を蹴飛ばした。

 

「ぎゃっ!?」

「のわっ!?」

「えーと、20倍返しにしたいけど、流石に死んじゃうかもね。だから……」

 

 双葉の左手から肘のあたりまでを覆う無骨な籠手が突如として彼女に装備されるのを見て、檜山は引き立った笑みを見せる。

 

「まずは2倍!」

 

 倍加(Boost)!! の音声とともに双葉の存在感が今よりももっと大きくなる。対峙しているだけで逃げ出したくなるような威圧感を双葉はその身に纏っていた。

 

「これが今の限界、か。ほら、武器なんて必要ないでしょ? ──かかってきなよ」

 

 挑発の笑みを浮かべ、指で来いこいと合図する。ノせられた近藤が殴りかかるが手を払いながら左手で顔面に一撃を! なんていうのは望んでいないのだろう。

 寸止めで彼の顔を殴ることはなかったが、拳圧までは考慮していなかったのか。触れていなくとも近藤は吹っ飛ばされて気絶していた。

 

「どうすんの? 檜山。あとはあんただけよ?」

「助けてください! お願いします!」

「は? 知らないわよ? ──あんたはぶん殴られるべきだからさ」

「えっ……」

 

 土下座をしようとした檜山の腹目掛けて拳を繰り出したが、流石に殺すのはまずいか。と双葉はそう判断して寸止めに。檜山は鳩尾を拳圧を用いてそれはそれは強く殴られたような感覚を覚え、嘔吐しかけ。吹っ飛ばされ、気絶した。

 

「はん、くだだらないお遊戯に付き合う時間はないのよ」

 

 そう言い残し、ほぼ‘片手間’で片付けられた小悪党組。それを見てハジメは畏敬を双葉に対して抱いてしまうのも無理もないだろう。

 

「怪我はない? ハジメくん」

「うん、おかげさまで。さっきのすごかったね」

「まぁね……さっ訓練も始まるし、向こうに行こう」

 

 ハジメの手を取り引く双葉。その場に残された小悪党組に関しては彼女の預かり知らぬ事だろうか? 

 

 そして。明日……彼らは運命の日を迎えるのであった。

 

 ──

 

 to be continued .


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