ありふれない天龍姫と魔王の異世界無双   作:ゆきほたる

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トラブルとのお付き合い

 ■双葉side

 

 フューレンに到着したあたしたちはモットーさんと別れる際に依頼書へ証印を貰い、ギルドへ向かう。依頼書の提出もあるけど、ブルックで貰ったような街のガイドブック見たいなものでもないかと尋ねたわけだ。

 が。ギルドの受付さんはこの街に初めてきたあたしたちに対して、案内人の存在を教えてくれた。

 

 まず、フューレンは四つの区間に分かれている。この都市における様々な政の中心である中央区。数多の娯楽施設が集まる観光区に、職人たちが鎬を削り合うように活気あふれる職人区と繋がるように併設されたあらゆる業種の店が並ぶ商業区。

 この街で全ての区間が連なるメインストリートの中心部に近いほど信用のある店が多いというのが常識らしい。

 メインストリートからも中央区からも遠い場所は、盗品発掘品、墓荒らし品などなんでもござれなブラックな商売が、言い換えれば闇市的な店が多いらしく。闇市には時々とんでもないアーティファクトなどと出るらしく、冒険者や傭兵のような荒事に慣れている者達がよく出入りしているそーな。

 

 ギルドのカフェにて軽食を摂るあたしたちに、そんな話をつらつらと語ってくれたのは目の前の女性。あたしたちが雇った案内人のリシーさんで、料金を払いまずはこの街を知ることから始めるべきだとタメになる話をしてくれた。

 あたしたちはこの世界からすれば上澄も上澄み連中だろうし、強いって言ったって土地勘という敵には勝てないのだよトムソンくん。

 

「そういうわけなので、一先ず宿をお取りになりたいのでしたら観光区へ行くことをオススメしますわ。中央区にも宿はありますが、やはり中央区で働く方々の仮眠場所という傾向が強いので、サービスは観光区のそれとは比べ物になりませんから」

「なるほどな、なら素直に観光区の宿にしとくか。どこがオススメなんだ?」

「お客様のご要望次第ですわ。様々な種類の宿が数多くございますから」

「そりゃそうか。そうだな、飯が美味くて、あと風呂があれば文句はない。立地とかは考慮しなくていい。あと‘責任の所在’が明確な場所がいいな」

 

 ハジメの要望。責任の所在が明確、ねぇ……リシーさんが可哀想に一時停止する。その言葉の意味を推し量れていないのかもしれない。ので、私が補足する。

 

「簡単に言えば、襲われても正当防衛を保証してくれるとか。そんな感じかなぁ?」

「お、襲われる!? そ、そんな事態はありえないのでは?」

「ウチのシアは兎人族だし。しつこい交渉とか何度も経験してると、ね?」

「あー、そういう。と言いましょうか。ハジメさんの一党はその……美女が多いですものね」

 

 納得されてしまった。彼女の頭では条件に当てはまりそうな宿をリストアップしてくれているのだろうか、とても真剣な顔で考えてくれているのは目に見えて明らかだし。

 

「それなら警備が厳重な宿をご紹介いたしましょうか? そういうことに気を使う方も多いですし」

「ありがとー、リシーさん」

「欲望に目が眩んだヤツってのは、時々とんでもないことをするからな。警備も絶対でない以上は最初から物理的なお引き取りを考慮した方が早いってわけだよ」

「ぶ、物理的……」

 

 苦笑しながら、話すハジメにも遠い目のリシーさん。まぁ、気持ちはわからないでもないが、これがあたしたちの……目立つ集団の普通なのだろう。敏腕案内人としての矜持か、アレコレ要望を応えてくれる。

 ユエはキレイなお風呂、香織とシアは大きなベットを頼んでおり。その意図を理解した彼女がチラチラとハジメを見る。頬を染めながら野次馬根性でポツリと一言。

 

「い、意外と性豪なんですか……?」

「……ノーコメントで!」

 

 まぁそりゃその返答だわなーとか思っていた時である。ハジメに対して大勢の男連中が「口に出さすとも殺せたならば」なんて呪詛を吐く中で……嫌な視線をひしひしと感じた。例えるならば、ねっとりとした粘着質な視線。

 あたし、香織、ユエとシアに無遠慮で不躾な気がする。どんなことにも動じないあの香織ですら、真顔になってるあたり相当な嫌悪感を抱いているに違いない。

 ……そちらに目線を這わせると、豚がいた。脂ぎってべっちょりした薄い金髪の頭にぎとぎとと肌がテカる豚鼻の小柄な横に広い体を持つブタ男だ。服飾から判断すると身なりはいいから、貴族か何かなのだろうけど服に着られているのがツボに入って笑いかけた。

 欲望で染まる濁った目をシアに対して向けているのがわかり、あたしは天を仰ぎ。「また、トラブルかぁ」と口に出して、それ(ブタ男)に気がついたリシーさんはというと。

 

「げっ……プーム・ミン!?」

「その反応を見るに、あまり良くない噂が多そうですね?」

 

 お淑やかな雰囲気が翳るほどに、それはそれは嫌悪に満ちた視線をブタ男に向けているのがわかる。それほどに嫌われ者、相当な女の敵だと思うんですけど?

 

「ええ。何人も妾を取るし強引にお金で人の奴隷を買い上げようとする最低な男爵家のボンボンです。注意しておくべき貴族の一人として槍玉に挙げられる人物ですわ」

「あー、街のいい点を優先してくれてたわけか」

「はい……注意が遅れてすみません」

「……構わない。実害が出るなら、排除するだけ」

 

 ハジメがその意図を汲み、ユエがリシーさんをフォローして。こちらにゆっさゆさと贅肉をゆらし歩いてくるブタはシアに相当ご執心のようで、まぁ気持ちはわかりたく無いが理解はできる。

 心底めんどくさいと思いつつもあたしは立ち上がり、彼の前に出た。

 

「ごきげんよう、プーム・ミン様。私の奴隷にご執心なご様子ですが、まさか探し回っておられましたか?」

「わ、わかっているならは、はなしが早い。ひゃ、百万ルタやる。この兎を、わ、渡せ。それとそっちの金髪はわ、私の妾にしてやる。い、一緒に来い」

「お断りします。二人とも私の大事な連れですので」

「うんうん、あまり。調子にならないで欲しいですねー♪」

 

 その要求に対しては即座に断り。ユエも妾にすると宣ったブタ男に対してあたしとハジメは、ニコニコして彼の隣に控えている香織からも威圧(殺気)が飛ぶ。あたりの空気が一変するほどの濃密な殺意を突きつけられれば……「ひぃ!?」とブタ男は情けない悲鳴を上げると尻餅をつき、後退ることも出来ずにその場で股間を濡らし始めた。

 

 一人に対して叩きつけるには過剰かもしれないが、なぜか周りの男どもも怯えている。あ、さてはハジメが先手必勝と雇われの冒険者にも牽制してるってところかな。あるいは、ついでにギルドの男連中に対して。香織とユエに無遠慮な視線を送っていたのにキレてるとか。

 

「さて、場所変えて色々教えてもらってもいいですか。リシーさん?」

「えっ、あの」

「ここで落ち着いて話せねぇよ。ブタが汚物撒き散らしてるところで、くせぇところで話なんてできるとでも?」

 

 ハジメも立ち上がり、あたしたちはギルドを出る準備をする。この状況に困惑しているリシーさんが可哀想だが、彼女を逃すつもりはない。他の案内人を探すのも面倒なんだし、最後まで付き合ってもらう所存だし。

 なお、あたしと香織は目の前でへたり込むブタに威圧を放ったけど。ハジメは周囲で聞き耳を立てていた冒険者たちだけに威圧を放ったらしい。器用にリシーさんは対象から外したそうな。

 

 このままギルドのカフェから出ようとしたあたしたちの前に、あのブタとは違ってガタイの良い筋肉だけで100キロはありそうな巨漢が立ちはだかる。いかにも歴戦の冒険者って風貌で腰にはロングソードを佩ているし、おそらくは……雇われの冒険者かな?

 

「そ、そうだ、レガニド! そのクソガキどもを殺せ! わ、私を殺そうとしたのだ! 嬲り殺せぇ!」

「坊ちゃん、流石に殺すのはヤバイですぜ。半殺し位にしときましょうや」

「やれぇ! い、いいからやれぇ! そ、そこの兎と、き、金髪のお、女は、傷つけるな! 私のだぁ!」

「了解ですぜ。報酬は弾んで下さいよ」

「い、いくらでもやる! さっさとやれぇ!」

「ちょっといいかな?」

 

 醜いやり取り、心底うんざりしたあたしは亜空間より大槍を抜いた。威圧のため、そして相手に見せつけるため。片側、金の瞳に燐光を宿す。

 

「やり合うってなら、決闘と見受けるけど? あんたがどれほどのやり手冒険者だとして、勝てるつもりならかかってきなよ……言っとくど、あたしは手加減しないわよ?」

 

 ごう、振い。ズン、と石突で床を撃つ。それだけで床が割れれば40センチほどの深さの亀裂になり、それを見た巨漢は引き下がる。

 

「……坊ちゃん、やめときましょう」

「レガニド!? な、なぜだ!」

 

 ブタ男は当然喚く。が、その後にレガニドと呼ばれた冒険者は言う。ブタ男の首根っこ掴みながらカフェから出ていくのを見送る。

 

「割りにあわねぇんだよこの仕事は」

 

 そう言い残して去るのを見るに、護衛の任務を全うするようだ。その後二度と契約しないだろうけどね。

 

「お、おい、〝黒〟のレガニドが退いたぞ? いや、アレは相手したくねぇな」

「〝暴風〟のレガニドが割りに合わないって……てかなんでアレの護衛なんか?」

「金払じゃないか?〝金好き〟のレガニドだろ?」

 

 周囲のヒソヒソ声で大体目の前の男の素性を察したけど、アレが〝黒〟かぁ……天職持ちなのかどうかは分からないが冒険者ランクが〝黒〟ということは、上から三番目のランクということで相当な実力者ということになる。

 

「半殺しにしときゃあもっとスマートになるんじゃねぇか?」

「蛮族じゃ無いんだし、対話で解決できるならそれでいいじゃん」

「武力誇示して威嚇したら蛮族でしょ?」

 

 足元の亀裂を指差しながら香織が指摘してくるが、魔力を通して床の亀裂を修復させる。無機物の復元ができるようになったからできる荒技だった。

 

「……やはり暴力、暴力は全てを解決する」

「……あの、帰っていいですか?」

 

 明らかにヤバい連中だとリシーさんに引かれているが、笑顔でハジメは応対する。「逃がさないぞ?」と笑顔で言ってる気がするが……そうして、不憫なリシーさんにはナムナムと手を合わせてフューレンの観光はこれ以上の混乱なく終えることができるはずだった。

 

「ちょっと、いいですか?」

 

 亜空間に槍をしまいつつ、話しかけられたことに気がついたあたしが振り向くと。騒ぎを聞きつけてかやってきていたギルド職員が数人、他の男連中にも話を聞いてるあたり裏取りもしっかりか。

 

「はい、なんでしょうか?」

「先ほどの騒ぎについて事情を話していただけないかと思いまして」

 

 営業スマイルで職員さんは逃がさんと口に出さずとも語る。ハジメもめんどくさそうな雰囲気を隠すつもりはないらしく。

 

「悪いが、こっちは連れを奪われそうになったんだ。流血沙汰にしなかっただけでもこっちは譲歩してるんだが?」

「だとしても、です。後ほどミン男爵様に抗議するためにも」

「……断る、俺たちは急いでるんだ」

 

 そこへメガネをかけた、明らかにデキそうな男がやってくる。背筋がピーンとしていてキビキビ歩いてくる。て言うか結構若いな?

 

「ドット秘書長! 実は……」

 

 秘書長と呼ばれた彼はギルド職員から話を聞くと。私たちにギルドの非を認めて、改めてお茶を振る舞いたいとのこと。つまりはまぁ、お茶をしばきながら話をしようとのお誘いだった。

 

「ハジメくん、この辺は折れとこう?」

「香織、どう言う事だ?」

「今後、ギルドの後ろ盾は得たいし相手が幹部クラスだから無視するのもどうかって感じかな」

 

 香織の提案にハジメが折れて、仕方ないが手短に頼むとドットさんに頼み、あたしたちはギルドの奥の部屋へと案内されるのだった。

 

 □noside

 

 ドット秘書長の要求である、身分証の提示。つまりはステータスプレートの提示を行う3人に対して、ユエとシアの身分の保証はどうするのかとなる。

 

「長旅の間で魔物に追っかけられたことがありましてぇ、その時に落っことしたんじゃないかなーって……あはは……」

「……シアと私が旅をしてた頃の話。ステータスプレートを入れていたカバンも放り出して逃げたからない」

 

 シアとユエが後から合流した連れであることは違いなく、多少の虚言を交えた真実なのだ。と前々から打ち合わせていた内容である。

 

「なるほど、それでハジメ君たちと出会いフューレンまで組んで来たわけですか。兎人族である以上目をつけられるから強いフタバ君の奴隷として過ごしているのですね?」

 

 でっちあげたカバーストーリーではあるが、ドットもそう言う状況ならばステータスプレートを無くしても仕方ないだろう、と一応納得した。

 

「身分の保証としては、コイツを預ける。ブルックのギルド職員から困った時にギルドに見せろって言われた手紙だ」

「これは……」

 

 手紙の内容を把握していないが、使い所はすぐだったなとハジメはトラブルに見舞われることを見越してこれを託した姐さんに心の中で頭を下げる。彼の頭が上がらない女の一人が増えた気がした。

 

「この手紙が本当なら確かな身分証明になりますが……この手紙が差出人本人のものか私一人では少々判断が付きかねます。支部長に確認を取りますからもう少し待っていただけませんか? そうお時間は取らせません。十分、十五分くらいで済みます」

「わかった、待たせてもらう」

 

 なお、この場にリシーはおらず。ハジメが料金をさらに積んで待たせてあり、不憫である。茶を飲みながら時間を潰して過ごし、十分ちょうどほどでドット秘書長と共に部屋に新たに入ってきた新顔が一人。

 何処かエレガントな閣下を彷彿とさせる三十代の男性だった。

 

「初めまして、冒険者ギルド、フューレン支部支部長イルワ・チャングだ。ハジメ君、カオリ君、フタバ君、ユエ君、シア君……でいいかな?」

 

 ハジメに握手を求めるのは支部長のイルワで、フタバが控えてあるが臆することもない胆力の持ち主だ。それに応じるべく、ハジメも握手と返事で応えた。

 

「ああ、構わない。俺たちの名前は、手紙に?」

「その通りだ。先生からの手紙に書いてあったよ。随分と目をかけられている……というより注目されているようだね。将来有望、ただしトラブル体質なので、出来れば目をかけてやって欲しいという旨の内容だったよ」

「あっはっは……合ってるからなんとも否定しずらいなぁ。あれ、先生っていうのはどういう」

 

香織を制しつつ、それを聞いて真顔になるハジメ。本当に足を向けて寝れないな、と小さく嘆息した。それは他の面々も同様で、ジーンとした雰囲気である。

 

「トラブル体質……ね。確かにブルックじゃあトラブル続きだったな。まぁ、それはいい。肝心の身分証明の方はどうなんだ?」

「ああ、先生が問題のある人物ではないと書いているからね。あの人の人を見る目は確かだ。わざわざ手紙を持たせるほどだし、この手紙を以て君達の身分証明とさせてもらうよ」

「有難うございます。でも、増々謎だなぁ……何者なの姐さんって」

 

 双葉が腕を組み、小声で疑問符を浮かべつつ。イルワが応じる様に説明をしてくれた。

 

「彼女は、王都のギルド本部でギルドマスターの秘書長をしていたんだよ。その後、ギルド運営に関する教育係になってね。今、各町に派遣されている支部長の五、六割は先生の教え子なんだ。私もその一人で、彼女には頭が上がらなくてね。その美しさと人柄の良さから、当時から僕らのマドンナ的存在、あるいは憧れのお姉さんのような存在だった。その後、結婚してブルックの町のギルド支部に転勤したんだよ。子供を育てるにも田舎の方がいいって言ってね。彼女の結婚発表は青天の霹靂でね。荒れたかな……ギルドどころか、王都が」

「はぇ、そんなにすごい人だったんだ」

「……キャサリンすごい」

「只者じゃないとは思っていたが……思いっきり中枢の人間だったとはな」

「まぁ姐さんだしね」

 

 何処か自慢げな双葉にイルワは成程、と漏らす。彼女の人選であればあるいは、と話を切り出した。

 

「実は、君達の腕を見込んで、一つ依頼を受けて欲しいと思っている」

「場合と報酬による。俺たちにはやらないといけないことがあるからな」

 

 即応したハジメに目を見開くイルワ。勿論ハジメも内心でメリットとデメリットを天秤に賭けて出した答えであり、相手がギルドの支部長だからと言う物もある。打算無く彼が話には応じないとイルワも内心で把握していた。

 

「分かった。今回の依頼内容だが、そこに書いてある通り、行方不明者の捜索だ。北の山脈地帯の調査依頼を受けた冒険者一行が予定を過ぎても戻ってこなかったため、冒険者の一人の実家が捜索願を出した、というものだ」

「ありきたりな行方不明者の捜索だな……だが、北の山脈地帯といやぁ」

「相応に強力な魔物がいる地帯だし、それなりの実力者じゃないと危険だって言われてる場所だね」

 

 香織がさげている鞄から地図を取り出してそう呟き、それに頷いたイルワは話を進める。彼が語った話をまとめると、だ。

 最近、北の山脈地帯で魔物の群れを見たという目撃例が何件か寄せられ、ギルドに調査依頼がなされた。北の山脈地帯は、一つ山を超えるとほとんど未開の地域となっており、強力な魔物が出没する危険性も加味した上で高ランクの冒険者が派遣されることが決まったのだが。

 この冒険者パーティーに本来のメンバー以外の人物がいささか強引に同行を申し込み、紆余曲折あって最終的に臨時パーティーを組むことになった。この飛び入りが、クデタ伯爵家の三男ウィル・クデタ。

 クデタ伯爵は、家出同然に冒険者になると飛び出していった息子の動向を密かに追っていたそうなのだが、今回の調査依頼に出た後、息子に付けていた連絡員も消息が不明となり、これはただ事ではないと慌てて捜索願を出したそうだ。

 

「伯爵は、家の力で独自の捜索隊も出しているようだけど手数は多い方がいいと、ギルドにも捜索願を出した。つい、昨日のことだ。最初に調査依頼を引き受けたパーティーはかなりの手練でね、彼等に対処できない何かがあったとすれば、並みの冒険者じゃあ二次災害だ。相応以上の実力者に引き受けてもらわないといけない。だが、生憎とこの依頼を任せられる冒険者は出払っていてね。そこへ、君達がタイミングよく来たものだから、こうして依頼しているというわけだ」

「前提として、俺達にその相応以上の実力ってやつがないとダメだろう? 生憎俺は、いや。香織も双葉も〝青〟ランクだぞ?」

 

 ハジメは、言外にそこまでの実力はないと伝える。しかし、イルワは何を言ってるんだと言わんばかりの視線を寄越しながらそれに対してハジメも周りを見渡す。

 

「ライセン大峡谷を余裕で探索出来る者を相応以上と言わずして何と言うのかな?」

 

 そう、イルワは切り出すのだった。

 

 ──

 

 to be continued .

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