コミュ障でもVtuberになれますかっ!? 作:ゆーちゃん!!
「ヒッヒッフ―、ヒッヒッフー・・・」
「なんで音羽がそれしてるん?」
どうも、恵です。今日は、僕のVtuberデビューの日です。
どうしよう、僕、何をしたらいいのか全く分からない。・・・音羽に聞こうにも、さっきから、ラマーズ法とかいう呼吸法してるし。いや、ほんとになんで音羽が僕よりも危ないの?
「はぁ、バカね。あなたの緊張をやわがれ・・・和らげようと思ってやってるに決まってるじゃない」
「今噛んだ?」
「噛んでない」
「・・・。まぁいいや。そろそろ始まるんだけど、何すればいいの?」
「はあ?全く・・・。簡単に説明するわよ?まず、簡単に自己紹介をするの。次に、自分が動かすことになるキャラクターの設定とかを伝えて、その後にキャラクターを作ってくれた人・・・所謂、”ママ””パパ”ってやつね。その後にリスナーさんの呼び名を決めたり、挨拶なんかを決めたりしていたら時間は過ぎてると思うわ」
「ほえー・・・」
凄い・・・。音羽がマネージャーっぽい。
それにしても・・・。思ったよりもやることが多いな。一時間くらいを予定しているけど、過ぎちゃうかもな。
「・・・それにしても、あなた、意外と緊張していないのね」
「何言ってるのさ。緊張でバクバクですよ。ぶん殴りますよ?」
「・・・コレ」
「ウブハァッ!!?」
僕のボケ兼煽りにイラっとした音羽に見せられたのは、僕の配信を待ってくれている人たちの数だった。
・・・その数、約1万人。
うん、これアカンわ。僕の胃が持たないわ。
画面に向かって話すだけだから、人と会話するよりはマシだけど、この数は聞いてないよ。
僕みたいなコミュ障の人じゃなくても緊張するでしょコレ。
「あー、僕の設定の紙とかある?少しでも練習しておきたいんだけど・・・」
「何言ってるの?本番までのお楽しみよ」
「なんで!?」
ダメだ・・・。音羽のSの部分が出てきてる・・・。
鬼!悪魔!!モデル体型!!
そうこうしているうちに、ついに、配信を始める時が来てしまった。
「あら、もう時間ね。・・・準備はいい?」
「全然大丈夫に見えますか?」
「はい、始めるわよー」
「ちょおおいっ!!?」
ポチ。
音羽が配信を開始するボタンを押した。
ええいっ!こうなりゃヤケだ!勢いで何とかしてやるぅ!!
「・・・あ、・・・は、はじぃめましてぇ・・・,≪ゼロイチ≫三期生・・・の、光内 恵・・・です」
コメント:キター!!
コメント:男の娘ってマ?
コメント:めっちゃ緊張してて草
コメント:罵倒しながら踏んでください
コメント:リアルに鼻血出てきた
コメント:いきなりヤバい奴いる件
ちょっ!?コメントの流れ早すぎ!全然読めないんだけど!?
「さささ早速、自こここここ紹介の方をしていきたいと思います」
コメント:壊れたロボットで草
コメント:お持ち帰りしたいです
コメント:これは将来有望の予感
えっと?
・・・・はっ?
僕は、設定が書いてある資料を読んで固まった。
・・・これを、読むの?
ホントに?
初配信で黒歴史作っちゃうけどいいの?
【設定】
『コミュ障を改善したくて、天界から降りてきた天使。天界では、一人も友人がおらず、家に引きこもっていた。一度懐くと中々離れない。天使なだけあって、とっても可愛い男の娘☆みんな、よろしくね?キャピッ☆』
コメント:最後の方にドギツイの来て草
コメント:<速報>公式が病気
コメント:初めてで黒歴史製造させるド畜生運営
コメント:もはや引退案件で草
その後も、やや怪しいところもあったが、無事、配信を終えることができた。
・・・やっぱり、人と会話するわけではないから、気持ちが結構楽だったな。
でも、これからは先輩方とのコラボとかがあるんだよね・・・。
ま、まぁ、その時は音羽に全部丸投げすればいいか。
「お疲れ様。あなたにしては結構よかったんじゃない?」
「ありがと。うん、画面に向かってるだけだったからね。思ってたよりかはできた方なんじゃないかな。・・・ん?」
ピコン。
僕の公式ツイッターから、通知が来た。
なんだろうと思い、通知をタップして開けてみると、そこには、僕にとっては地獄で、他の人からしたらとてもめでたい事が書かれていた。
『初めまして。神崎(かんざき)クリステルです。もしよろしければ、私とコラボをしていただけないでしょうか』
神崎クリステル。この人は、知り合いではないけど、名前は知っている。
・・・確か、Vtuber界隈を大きく盛り上げた凄い人だったような。
えっ?
「どうかしたの?」
不思議そうに聞いてくる音羽に、先ほどの画面を見せる。
「・・・ブフッ!!」
「笑うなバカ」
書いてある文章を読んでいる途中から、段々と声を震わせていき、読み切った後、堪えきれなかったのか、ついにふきだした。
「あ、あなた、・・・クク、よかったじゃない」
「無理やろコレ」
コミュ障の僕に、超大物Vtuberからのコラボのお誘い。
しかも、先ほどデビューしたばかりの新人に。
・・・今のうちに、遺言を言っておいた方がいい気がする。
緊張で死にそう。
「まぁ、出来る限り、私もサポートするから。・・・が、頑張り、なさい」
「ありがとう。笑ってなければとっても頼もしかったよ」