コミュ障でもVtuberになれますかっ!? 作:ゆーちゃん!!
「はぁ・・・」
「これで今日59回目ね」
「ため息なんか数えなくていいって・・・」
どうも恵です。今日はため息がいつもよりも多いです。
・・・え、理由?
実は、今日の夜、配信がお休みの代わりに、初配信の後に送られてきたメールの主である”神崎クリステル”さんとの話し合いがあるんです。
しかも二人きりで。二人で!!
音羽とか神崎さんのマネージャーさんは参加せずに、僕と神崎さんの二人だけ。
・・・これがタイマンかぁ。(違う)
「安心しなさい。カンペを用意しておいてあげる」
「楽しみだなぁ!!」
「ふっ、ちょろい」
「初めまして、神崎クリステルです。よろしくお願いしますね。・・・あ、あれ?恵くん?き、聞こえてる・・・かな?」
「あばばばばばばばば」
「感電してるっ!?」
ダメかもしれないです。
画面に映ってるのは、僕のVtuberとしてのモデルと、神崎さんのモデルだけ。
顔を合わせて話しているわけではないのに・・・。神崎さんには今度、お礼の品を音羽に持って行ってもらおう。
・・・ん?音羽がスケッチブックに何か書いてるな。
あ、こっち向けてきた。
『とりあえず挨拶返しなさい』
そ、そうだよね。神崎さんが挨拶してくれたのに、返さないのは失礼だよね・・・。
「あ、え、えっと、初めまして、光内恵です。よ、よよよ、よろろろろろろろろろ」
「吐いてない!?大丈夫なの!?」
「す、すみません・・・。ちょっと緊張しちゃって・・・」
「ちょっとのレベル超えてると思うんだけど・・・」
落ち着け。落ち着くんだ僕。そんなに緊張するなら、画面を見なければいいんだ。・・・あれ、天才では?
後ろを向いて、音羽の持つカンペ(スケッチブック)を見るんだ。
おー、意外と高いの使ってるんだな。一冊500円くらいするやつじゃなかったっけ。
「早速本題に入るんだけど」
「うわひゃあっ!!?」
「ヴェッ!?ご、ごめんね!?びっくりさせちゃってごめんね!!」
そ、そうだった・・・。神崎さんと通話してるんだった!
「あ、い、いえ!僕が勝手に驚いただけなので!お気になさらず!!」
「そ、そう?えっとね?恵くんって人と話すのが苦手・・・なんだよね?だから、ゲームをしつつ、軽く話す感じでいこうかなって思ってるんだけど・・・・どう、かな?」
「・・・すみません、僕がコミュ障なばっかりに・・・」
「ううん!気にしないで!私が恵くんとコラボしたくて誘っただけだから!嫌だったら全然断ってくれても大丈夫だからっ!」
いい人過ぎる・・・。
女神ってこういう人のこと言うんだろうなぁ。
・・・こんないい人をがっかりさせるわけにはいかないよね。
「・・・あの、コラボの件、よろしくお願いします」
「えっ?い、いいの?」
「その、神崎さんが悪い人じゃないのは配信とかを見てるのでわかってますから・・・」
「配信見てくれてるの!!?」
「いいっ!?」
「あ、ごめん」
そういえば言ってなかったっけ。
神崎さんのことは、デビュー当時から知っているんです。
・・・音羽に『見てみな。とぶわよ』とか言われてたっけ。
「えっと、いつぐらいから見てくれてる・・・のかな?」
「一応、デビュー当時から・・・」
「そんなに前からっ!?えへへ、嬉しいな」
「・・・確か、三回目の配信で寝落ちを」
「それも知ってるの!?は、恥ずかしい・・・」
神崎さんは、デビューしてから三回目の配信で、Vtuber史に残る伝説を残していた。
ファンの間では、『おやすみ神崎事件』と名付けられており、配信のアーカイブの再生回数は現時点でなんと1000万回再生を突破し、そのシーンの切り抜き動画がたくさん投稿されている。
・・・思えば、この切り抜きという文化?も、神崎さんのこの事件から始まった気がする。
「じ、じゃあ、コラボする日は随時連絡するからっ!ま、またね!」
「あっ、・・・。切られた。相当恥ずかしかったのかな?・・・まぁ、わからなくもないけど」
前半はすっごく緊張して、まともに話せなかったけど、後半は音羽のカンペを見ずに話せたし、たぶん神崎さんは大丈夫かな。
「お疲れ様。結構話せてたじゃない」
「ありがと。でも、音羽の指示がなかったら今頃はまだ喋ってなかったと思うよ?」
「あなたねぇ・・・」
神崎さんとのコラボ、楽しみだなぁ・・・。