トレセン学園はトレーナーも魔境(荒木荘風味) 作:銀能神
解説
荒木荘 ジョジョバージョンのイチゴ風味(二次)みたいなもの
「この書類を渡してきてくれ」
そうトレーナーに言われたのがつい5分前、私は三つの封筒を抱えながら校舎の廊下を歩いていた。
それぞれ別のチームに宛てられた封筒、私のトレーナーはこれをただ無造作に投げ渡し自分の仕事に戻っていってしまった。
仮にもトレーナーの仕事であろうこれを自分の担当者ウマ娘に委託するのはいかなるものか、そう考えながらもこの適度の雑務でトレーナーの負担が軽くなるのならと足を動かす。
まぁ、帰ってきたらご褒美に甘くて泥々の珈琲をせがむことくらいは許されるだろうと考えながら校舎を後にする。
『スタークルセイダー』『ダイヤモンド』『パッショーネ』
この三つのチームを今からまわっていかなければならない。
まずはどこから行くべきか……
いや普通に近い順でいいだろう。別に『パッショーネ』が一番遠いからとか言う理由で決めたわけではない。
決してあそこのトレーナー集団が怖いわけではない。
といった理由でこの中で一番近いチーム、『ダイヤモンド』の部室へ向けて歩き出した。
見付けた。
と言うには語弊があるが丁度向こう側から歩いてくる二人組がいた。
小柄で可愛らしい容姿をしたウマ娘と長身でいかにも不良ですと言った外見のトレーナー、名前をハルウララと……
「あっ! スー先輩だ!」
「お? こっちに来るなんてめずらしーなァ! オイ!」
「なになに? おしごとー? それとも遊びに来たのー?」
「暇なら暇でウララの併走お願いしてェんだけどよォォ~~……なんか用事っポイか?」
ハルウララの為ならば練習に付き合うのはやぶさかでは無いが……今は頼まれ事途中だ。
私は二人にチームのリーダーがどこにいるか知っているかどうかを聞いた。
「あァ、あの人なら確か……」
「ウララ知ってるよ! 裏庭で二人でお昼寝してた! 気持ち良さそうだったなぁー私も今度一緒にお昼ねしたいなー」
「エッ!? 俺の聞いた話じゃあの人今日ミーティングってのがあるって聞いてたんだが」
嘘ついてサボりやがったな。
あの爺さんならやりかねん。
私に直接害がないから全く持ってどうでもいいけど裏庭か……もう少しで無駄足に成るところだった。
そう思った私は二人に礼を言う。
「全然構わねぇぜ! また遊びに来てくれよなァ!」
「じゃあまたね! ばいばーい!」
二人は元気良くコースがある練習場に向かっていった。
手を振ってから私も裏庭に向けて歩き出す。
今思ったが授業が終わったこの夕方手前の時間帯に昼寝していたらそれは怒られないのだろうか。少なくとも私のトレーナーならば容赦なく血祭りに上げてるだろう。
裏庭に近づいていくと何やら口論のようなものが聞こえてくる。
どうやら誰かが怒られているらしい。
面倒臭いことにならなければ良いのだがと一抹の希望を持って現場を覗き込む。
「
「そうは言ってものぅワシもいい加減年じゃし? 少しくらい寝てても許されると思うんじゃが?」
「スカイさん? 良いこと、今日という今日こそは貴女のそのサボり癖を叩き直して差し上げますわ!」
「うへぇ……キングがやる気まんまんに成ってる……」
ダメみたいだった。
因みに今正座させられているあの見た目初老の大男こそがチーム『ダイヤモンド』のリーダーでありベテラントレーナーであるジョセフ・ジョースター。
名門ジョースター家の問題児である。
いや、問題児というよりは異端児と言った方がいいかもしれない。
それは置いといてその横で正座……いやもう完全に崩してジョセフトレーナーに寄りかかっているのがセイウンスカイでそれを見て引き剥がそうと奮戦しているのがキングヘイロー、そしてそれを呆れた目でため息を就いているダンディな男はシーザー・A・ツェペリという名前で、こちらも名門ツェペリ家の血を引くエリートでありこのチームの副リーダーという役割を持っている。
この光景を見ていると何故シーザートレーナーではなくジョセフトレーナーがリーダーなのか疑問が沸くがチーム内での不満は無いらしい。
まぁ、そんな事はどうでも良い。
必要なのはあのジョセフトレーナーに私が用があるということ。
つまりはこの書類を直接届けねばならない。
数十秒程考えて、今渡した場合の労力の方が後回しにした時の労力よりも高そうだったので体を反転させようとしたその時。
「おっ!」
見られた。
ジョセフトレーナーがニヤリと笑って、それに気付いたシーザートレーナーも此方を見た。
「おや、あれは確か……」
「いやー丁度良いところに来てくれたのぅ! ワシに用事があったんじゃろ? 察するにその書類かの?」
四人の視線が一斉に此方へ向く。
私は諦めの溜め息を吐きながらとぼとぼとジョセフトレーナーのもとへと歩く。
「げっ! スー先輩……」
「ちょっとスカイさん!?」
「あぁ、君か。トレーナーは元気かい?」
元気と言えば元気です。
つまりはいつも通りと、そう答えてチラリとセイウンスカイとキングヘイローの方を見る。
周りをキョロキョロと見渡して逃げ場を探しているセイウンスカイとその態度を咎めるキングヘイロー。
私としてはどうしてそこまで怖がられているかはわからないが怖がられている相手に態々絡みに行く理由もないので放置する。
見ればキングヘイローの方も何を口にすれば良いのかわからないのか口をパクパクさせている。
二人とも可愛い後輩なのだけど、何故か怖がられるのだ。
「いやぁー良いところに来てくれた!」
ジョセフトレーナーが満面の笑みで左手の義手をカシャカシャ動かして近づいてくる。
ちょっと気持ち悪かったので蹴り飛ばしてしまいそうになるのを我慢しながら頼まれていた書類を渡す。
「助かった助かったって、んん?」
「どうしたJOJO」
中の紙を取り出し数秒眺めた後何かを考えだし首を捻る。
その紙に何が書いているのかはわからない。
だがジョセフトレーナーは何かを思い付いたようにピンと指を跳ねさせた。
「いや何、んー……シーザー、キングにスカイの併走トレーニングを頼んでもいいかの?」
「えっ」
どうせこの場から逃げられないためか、どうにかして書類を覗き見ようと試行錯誤していたセイウンスカイの動きが止まる。
「それは構わないが、それよりも何て書いてあったか教えてくれないか」
「いやちょっとトレーナー!?」
「後で話す。キング、スカイの事を連れて行ってくれ。今日は三番コースの予約が取れてるからの」
「ま、任されましたわ! それではスー先輩、ご機嫌よう!」
「ちょっ! 待ってキング引っ張らないで! のいうかトレーナー話と違うんだけどぉ~!」
「……良いのか?」
「良いんじゃよ、たまにはのぅ。それよりも、じゃこれ届けに行くのワシの所だけじゃないんじゃろ?」
私としては頼まれただけなので全容は把握してないので何とも言えないが取り敢えずあとニチーム届け先があるとだけ伝えた。
「そうかそうか、引き留めて悪かった」
時間的にも問題はないことを伝えて私は次の目的地である『スタークルセイダー』の部室と向かった。
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