トレセン学園はトレーナーも魔境(荒木荘風味)   作:銀能神

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日常5『トウカイテイオーの出会い2』

 今日はトレセン選抜レースの日、新人ウマ娘がトレーナー達に向けてアピールするウマ娘にとってもトレーナー達にとっても大事な日である。

 今日の数あるレースの中でも一つ、群を抜けて注目されているレースがあった。

 その理由はただ一つ、トウカイテイオーが出走するからだ。

 

「ニッシッシ!」

 

 その注目の的であるトウカイテイオーは緊張なんてどこ吹く風、むしろこうであるべきと言う一種の自然体すら感じさせる佇まいであった。

 

「トウカイテイオーか……どう思う?」

 

「今までの模擬レースでの戦績は全戦全勝してるんだよな」

 

「それにこの状況でもあの落ち着きようだもんな……これはやっぱりトウカイテイオーかなぁ」

 

 眼鏡を掛けたガタイの良い男とその横に居る単髪の男が話し合っているその後ろでそのトウカイテイオーの様子を眺める一つの影があった。

 

 その影の正体はジョナサン・ジョースター。

 普段は選抜レースを見るのは現役トレーナー達の役目であり特権であると見ないようにしていたのだが少し気になる事がありこのレースだけを見にきていた。

 

 先日トウカイテイオーと出会い、それから調べ始めたジョナサンはデータだけでは一部しかわからないと判断したのだ。

 

「やぁ、そこの君達……ぼくも一緒にレースを見てもいいかな?」

 

「「え?」」

 

 だから自分以外の視点も聞いてみようと、何かいつも居る二人組の男性と一緒に見ることにした。

 

 

 レースが始まり、結果は……トウカイテイオーの4バ身を付けた圧勝であった。

 選抜レースと言えど中央トレセン学園のウマ娘達のレース、デビュー前のウマ娘にしては非常に高いレベルレースが繰り広げられ観客とトレーナー達はそれぞれ口々に感想を言い合う。

 

「最後凄いノビだったよな!」

 

「だな! 一度先頭集団を追い抜いて前についたと思ったらそこから更に加速するなんてな!」

 

「うん、あの動きがトレーナーが付く前に出来るウマ娘が居るなんてね。流石は無敗の三冠を目標に掲げるだけはある」

 

「他の娘も追い付こうと最後まで諦めなかったけど……」

 

「流石にな……見ろよ、トウカイテイオーもうあんなに沢山のトレーナーに囲まれてるぞ」

 

「当然だろうね。あんな良いウマ娘、磨かれる前から光輝く才能の原石の様なものだ。誰もが欲しがるよ、割れ無いように磨き上げれるかは別としてね」

 

「割れる……?」

 

「それってどういう?」

 

 ガタイの良い眼鏡と短髪の男が振り返る。だがそこには既に先程まで話し合っていた偉丈夫の姿は無かった。

 

「何だったんだ……」

 

「俺、あの人見たことある気がするんだけど……どこでだっけなぁ」

 

「それは俺も思った。けど思い出せないんだよな……?」

 

 

 ▲▼▲▼▲▼▲

 

 

 トウカイテイオーは多くのスカウトに囲まれ口説き文句を受ける中で、自然と一人のトレーナーを目で探していた。

 それはあの時、シンボリルドルフに紹介して貰い会うことの出来たジョナサン・ジョースターという超の付く程のベテラントレーナー。

 トウカイテイオーはあの後、今日の模擬レースの為の練習があった為に会いに行く事はしなかったものの空いた隙間時間で友人に聞いたり、ネットで調べたりしてジョナサン・ジョースターの情報を調べていた。

 

 その結果、どうにかして最近ではシンボリルドルフの活動時期とほぼ同じ時期に活躍したウマ娘を排出し、それから後進の育成の為にと自分ではウマ娘のスカウトをしなくなったと知った。

 その他にも自分が産まれる前であろう時期に撮ったであろう写真が出てきたのにも関わらず姿がほぼほぼ一切変わっていないという事実の方が驚愕を感じたのは横に置いておこう。

 

「んー……居ない? 絶対ボクの才能なら居ても立ってもいられずにスカウトに来ると思ったんだけどなぁー」

 

 レースを見られてないという前提はまるで考えておらずトウカイテイオーはぷくーっと頬を膨らませる。

 

 もしジョナサン・ジョースターがスカウトに来たのならばそれで決めようと考えていたトウカイテイオーはようやく真面目に目の前のトレーナー達に向かい合おうとして……それも吹き飛んでしまう人物を見付けてしまった。

 

「カイチョー!」

 

 全てを置き去りにちらりと見えたシンボリルドルフの元へと走るトウカイテイオー。

 シンボリルドルフは少し困ったような表情をしながらも苦笑しながらトウカイテイオーを出迎える。

 

「テイオー」

 

「カイチョー! 今日のレース見ててくれた!?」

 

「あぁ、素晴らしい良い走りだったぞ」

 

「やったー! えへへ、カイチョーに誉められちゃった!」

 

 皇帝シンボリルドルフが来てそちらに意識が持っていかれたトウカイテイオーにトレーナー達は声を掛けあぐねていた。

 そのトレーナー達に申し訳なさそうな表情を返しながらシンボリルドルフはどのようなトレーナーがスカウトに来ているかを見ていた。

 

(……居ない、か)

 

 何か確認したシンボリルドルフは少し考え込んで、意識が他に散っていると思ったトウカイテイオーがシンボリルドルフに必死にアピールする。

 今日、トウカイテイオーのトレーナーはついぞ決まることはなかった。

 

どの日常が見たい?

  • 副会長とトレーナー探索(11)
  • ナイスネイチャとゲーム対決(7)
  • スカイのフラワートレーナー偵察(12)
  • 会長と黒幕トレーナー(6)
  • 帝王とジョナサン2
  • 踊り子と新入りと車椅子(12)
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