トレセン学園はトレーナーも魔境(荒木荘風味)   作:銀能神

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日常6『三柱の男達の像前の出来事1』

 ここは日本ウマ娘トレーナーセンター学園、通称トレセン学園。

 ここでは常日頃から選りすぐりのエリートとも言うべきウマ娘達が切磋琢磨し、その才能をトレーナーと共に磨き上げている。

 

 そんなトレセン学園の中央広場にあるのが名物でもある三女神の像と名物(にしたくない)三柱の男達の像である。

 

 三女神の像は想いを託す場所であり、三柱の男達の像は(表向き)その美しい肉体美に想いを馳せる場所である。

 

 結構近くにこの二種の像は存在するのだが、その二つの像の近くを通る通行人の数は大幅に片寄っていた。

 当然三柱の男達の像が少ない形で。

 

 今日はその三柱の男達の像周辺の出来事を語りたいと思う。

 

 case1『悪徳記者』

 

 勿論この世界にも記者は存在し、雑誌が存在する。

 月間トゥインクルやその他にも様々な会社が出す記事があるが、やはり手頃で多く売れるのは選手のスキャンダルという事か、無断で潜入したり、表向き違う題目で入場が許可された記者達が隠れ潜みその瞬間を伺っている、という事件があった。

 

 当然いち早くその存在に気づいた学園側が対処。

 秋川理事長とその血族でありスポンサーでもあるとある財団の総力を持ってその記事を駆逐、会社を事闇に葬り去った。

 

 これは噂だが、皇帝と呼ばれるシンボリルドルフの私生活を激写したと言う記事を書こうとした記者がおそれ多くも存在し、実際にそれを実現まで持っていこうとしてその夜に何者かに襲われて逃げるように自首してきた事件があったと言う。

 その時の記者は吸血鬼だ殺されるだとか何だか言って錯乱していたようだったが、その取材方法が違法には違いなかったのでそのまま逮捕された。

 

 まぁ、そんな感じで悪徳記者は一括一掃されたのだが、こんな今でも命知らずで無謀な若手記者が一発当ててやろうとして希に侵入してくることがある。

 

 予め学園の周りの立て札に『無断侵入者、ここから先一切の希望を捨てよ』と書かれているのにも関わらずご苦労な事である。

 

 そして、今日もまた捕まった悪徳記者がこの三柱の男達の像の前にドナドナされてきたのだった。

 

「やめろ! 俺を何処に連れていく気だ!?」

 

「何処って……オマエみたいな奴の行く場所は一つしかねェに決まってんだろ!」

 

「ナランチャ、無駄に話す必要はありません。ブチャラティとジョルノの決定通りにやってさっさと帰りましょう」

 

 ドナドナした二人の少年。

 一人は緑の服をした金髪の聡明で大人そうな少年、パンナコッタ・フーゴ。

 そして、記者を引っ張っているのは小柄で勝ち気に溢れていそうな外見をしている少年、ナランチャ・ギルガ。

 二人とも『パッショーネ』というチームに所属しているトレーナーとそのサブトレーナーである。

 

「くっそォ~、早く帰らないとマヤノと出掛けるって約束してるんだよなァ」

 

「ではさっさと済ましましょうか、僕も早く戻って練習を見なければいけませんし」

 

「糞ッ何なんだよこいつら!」

 

 可哀想に、一番対応が過激な『パッショーネ』に捕まってしまった記者の嘆く声に耳も貸さず二人は三柱の男達の前にたどり着く。

 

「それで今日はどの三柱の男サマだっけ?」

 

「前にカーズ様は補給されたようだから……エシディシ様だ」

 

「何だ、この像に何があるって言うんだよ!」

 

「それは今から分かりますよ、名前も知らない記者さん。安心してください、今回は未遂で済みましたからね……一晩で解放される手筈です」

 

 次の瞬間、大きな悲鳴があがる。

 そして二人が去った後、そこにあったのはただの三柱の男達の像だけであった。

 

 

 case2『焼きそば屋』

 

「あぁ~焼きそば~焼きそばは要らんかね~ゴルシ印の焼きそばだよ~」

 

「なぜ私までこんな事を……」

 

 今日の三柱の男達の像の前に何故か屋台があった。

 そして、その屋台の看板にはこう書かれてあった。

『ゴールドシップ印の焼きそば』

 

 何をどう考えたのかは分からないがゴールドシップは何故かこの三柱の男達の像の前でいきなり焼きそばの屋台を始めたのだ。

 何処からか連れてきたメジロマックイーンを引き連れて。

 

「すみませーん! 一つくださーい! マヨネーズマシマシで!」

 

「すまない、今焼いている分全部貰えないだろうか」

 

「ふむ、一つ貰ってもいいかな?」

 

 大盛況だった。

 メジロマックイーンの従業員姿も何故かサマになっており、途中から違和感を感じなかった程だ。

 

 夕方程になってゴルシ印の焼きそばは売り切れた。

 トドメを刺したのは本日二度目のご来店であった葦毛のウマ娘とそのトレーナーであったことをここに明記しておく。

 ゴルシの楽しそうな声とメジロマックイーンの絶句顔が非常に印象的であった。

 

「いやぁ! 助かった助かった! マックイーンもありがとな!」

 

「はぁ、はぁ、はぁ……何とかやり遂げましたわ……」

 

「トレーナーがよぉ? 執筆作業に忙しいからって構ってくれねぇんだよ! 酷いとはおもわねぇか!?」

 

 そう言ってゴルシは五つのパックに入った焼きそばを取り出す。

 

「だから私の巻き込むのは意味が分かりませんわ……」

 

「まぁ、そう言うなよぉ~。ほら、これやるからさ」

 

「これは……焼きそば? まさか、私にですの?」

 

「おう! トレーナーとマックイーンそれぞれ一つずつな!」

 

「それは……ありがとうございます。あの、その三つはどなたに渡すものですの? ゴールドシップさんとトレーナーさんに渡すにしても一つ多いような」

 

「うん? 私は食べねぇぞ? トレーナーも要らないって言うだろうしな」

 

「では、どなたに……?」

 

 首をかしげるメジロマックイーンを見て、ゴールドシップも何で分からないだろうと首をかしげる。

 

「そんなの決まってるだろ! 今日私達は誰のお世話になったと思ってるんだよ!」

 

「…………私?」

 

「違うだろ~! ほら、メジロマックイーンの後ろに!」

 

「後ろ……と言いますと」

 

 メジロマックイーンの後ろには誰もおらずただ無音で三柱の男達の像があった。

 

「いやいやいや、ゴールドシップさん!? 石像は焼きそばを食べませんわよ!?」

 

「はぁ!? 何言ってんだよ! 今日一日お世話になったのを忘れたのかよ!」

 

 ゴールドシップが大きな動きで今まで使っていた鉄板に指を向ける。

 

「三柱の男達の像様が居なけりゃ、私達鉄板を熱することも食材を斬ることも焼きそばの匂いを遠くに届けることも出来なかったんだぞ!!?」

 

「はい……はい!?」

 

 ゴールドシップは三柱の男達の像の前に焼きそばを三つ置く。

 そして、混乱をするメジロマックイーンを連れて屋台を撤収するのだった。

 

 そしてここに証言として、ゴールドシップは今回の屋台でガスやそれに類ずるもの、更には包丁やまな板等を使っておらず、その焼きそばの美味しそうな匂いはあり得ないほど遠く、トレセン学園の半分程までに漂っていたことを記しておく。




尚その後焼きそばが入っていたパックは中身だけが綺麗に無くなっていたという

どの日常が見たい?

  • 副会長とトレーナー探索(11)
  • ナイスネイチャとゲーム対決(7)
  • スカイのフラワートレーナー偵察(12)
  • 会長と黒幕トレーナー(6)
  • 帝王とジョナサン2
  • 踊り子と新入りと車椅子(12)
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