トレセン学園はトレーナーも魔境(荒木荘風味) 作:銀能神
さて、これから行く事になる『スタークルセイダー』はトレセン学園でも屈指のウマ娘保有率を誇る。
当然そうなればトレーナーの数も多く成る筈なのだが並外れた育成力を持つ副リーダーの存在が中堅程度のトレーナー人数での大規模チームの存在を維持している。
その男の名前は、
凄まじい観察力と分析力でそれぞれのウマ娘にあったトレーニングをつけることが出来、そのデータを学園側に提出することでそれによりトレセン学園の全体的な底上げにも成っているらしい。
私のトレーナーも(表向きは)何て事無さそうに「彼のトレーニング理論は参考になる」と言っていた。
そんな花京院トレーナーはその腕前でチーム内の実に七割のウマ娘を受け持っている。(その内半分は教官の名目で受け持っている)
そしてチームの予算はそのウマ娘の数と実績に比例するため『スタークルセイダー』は常に貸切状態のコースがあるらしい。
前置きはさておき一先ず言いたいのは『スタークルセイダー』はかなり大規模なチームであり、このトレセン学園でも一クラスに数人以上は必ず所属している程に顔、というよりは認知度が高い。
そんなチームの部室が一つの部屋で収まる筈もなく一体どこの部室に行けば目的の人物に会えるのか途方にくれているのである。
これは別に私が最初から考え無しに部室を訪ねてまわるという手段を取ったのではなく一応の当たりをつけていた上でその場所が全滅したからである。
そんな私は今、三女神の像と三柱の男達と呼ばれるオブジェの前にあるベンチに座っていた。
別にサボっている訳ではなくここは良くウマ娘やトレーナー達が通るのでその中に『スタークルセイダー』のリーダーの居場所を知っていそうなウマ娘を探そうと考えた。
今も多くのトレーナーとウマ娘のペアやウマ娘のグループが通りすぎていく。
「すごい色のちょうちょまてー!」
「くそなかなか追い付かねぇーなァ!!! ヤベェ飛んでっちまう! ……ザ・ハンドォォ!」
何かさっき見た、というかコース場に行った筈のピンク髪と不良っぽいトレーナーのコンビ。
練習はギャグいいのだろうか? というか今蝶々がウララの方へ瞬間移動したように見えたような……うん気のせい気のせい。
「今度のレース、作戦どーする?」
「そりゃ爆逃げ一択っしょ!」
レースの時毎度の如く先頭を走りレースを縦長にする常習犯のウマ娘コンビ。
「やめろ!! 離せこのバカどもが!!!」
「おい、そっちをしっかり押さえろ」
「スタンドで押さえ込めばどうせ逃げれん」
「どうして私がこんな事を……」
三柱の男達の像に押し込められる不健康そうの極みみたいな髪色をした男とそれを押さえ込んでいる複数の男達。
段々と男の抵抗が弱くなり完全に押し込まれるとその体は何故か柱の男達の像に取り込まれて行ったように見えたのは気のせいだろう。
トレーナーも面倒事は眺めるだけで充分でスルーするに限ると言っていた。
何人かは見たことあるような気もするが気がするだけだろう。
三柱の男達の像から目を離して……視界の端に映る鹿毛。
私はついにお目当てのウマ娘を見付けた。
柱の男達の像に取り込まれている(推測)男の図を見ながら携帯片手に通報するか否かを考えている彼女の名前はナイスネイチャ。
前述した花京院トレーナーが指導するウマ娘の中でも個別指導して貰うことの出来る才能溢れるウマ娘だ。
本人はそんなことはないと否定しそうだけど。
今は休憩中なのかそもそも今日が休日なのか一人で居るので遠慮無く声を掛ける。
「ひぃ! 何も見てない、何も見てませんから!!」
遺憾である。
「って、スー先輩かぁ……良かった……てっきり……見てはいけないものを見た一般ウマ娘が消される! みたいな流れかと」
ナイスネイチャの中でトレセン学園はどうなっているかと聞いてみたい。
「人外魔境(トレーナー含む)」
偏見が過ぎる。
「いやいやいや! 普通150を越えたトレーナーさんとか超能力使えるトレーナーさんとか何ならサイボーグのトレーナーさんとか普通に考えておかしいでしょ!」
ビシッと音の鳴りそうなツッコミが冴え渡る。
確かにそう言われてみればそうかもしれない。
「で、ですよね!」
ただその場合ナイスネイチャに目をかけてくれている花京院トレーナーも人外に位置すると言外に言っているのでは?
「イヤあの人は普通で普通なアタシのトレーナーさんデス」
同時に何十人といるウマ娘を観ることが出来るのは人外と称されても仕方ないのでは?
これ以上つついても終わりが見えなさそうなので切り上げて早速目当ての情報を聞き込む。
「えっと、承太郎トレーナーの居場所?」
不健康そうな男の最後の断末魔を聞き遂げながらナイスネイチャに『スタークルセイダー』のリーダーである人物の居場所を問う。
何を隠そう名門ジョースター家の血を引く者であり、もうこれがジョースター家のデフォルトなのか? というくらいの気性難であった。
あったと言うのはもう過去形で今はコミュニケーション能力に難があるだけで相性の良いウマ娘を見付けた際はその才能を遺憾無く発揮する。
その承太郎トレーナーの居場所がわからないのなら花京院トレーナーの居場所でも可。ナイスネイチャなら知っているだろうし。
「いや、知ってるちゃ知ってるんですけど……今お邪魔したら怖いなーって思ってたりしているわけでして」
それはどういう……思い出した。
確かあの承太郎トレーナーが一人のウマ娘を指名したとかで噂になっていた。
ナイスネイチャの話しぶりからして今はそのウマ娘に付ききりで練習しているのかもしれない。
同じジョースター家の出身でも承太郎トレーナーはガッツリと練習させるタイプだろう。だとすると今渡しに行くのは集中の妨げに成るか。
「そうそうそう言うわけでして、ちょーっとアタシとしては? 行きたくないな~って……」
いや、やはり私には関係無いので案内して貰うことにしよう。
「あ~ダメですかそうですか……」
ということでナイスネイチャに快く協力して貰い承太郎トレーナーが居るであろう場所に案内して貰う。
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ナイスネイチャに先導して貰い、連れていかれた場所は普通に部室の一つだった。
「いやアポ無しで突撃とかアリエマセンし?」
成る程、先導するふりをして携帯を弄っていたと思っていたがそういう事かと納得する。
「えっバレてた? じゃなくて、別に隠してた訳じゃありませんヨ?」
そんな緊張しなくてもなにもしないのだけど、どうして皆私の事を異常に怖がるのだろうか?
「ア、アハハ~取り敢えずこの中で承太郎トレーナーが待ってますので! ではネイチャさんはこれで!」
じりじりと後ずさりを繰り返して少しずつ距離を取るナイスネイチャ。
まぁ、残っていても後でお礼をしようと思っていたくらいだし、彼女にも予定があるだろう。
今まで付き合ってくれた事を感謝して手を振る。
そして私は目の前の部室の扉を……ノックする。
コンコンコンと小気味良い音が響いて少し、中から返事があった。
「入ってくれ」
私は遠慮無く扉を開いて中に入った。
まだだ……まだ抑えるんだ……!
豆知識『三柱の男達の像』
トレセン学園の中央広場にいつの間にか出来てた謎の像。
恐ろしいまでの肉体美と何故か毎日変わるポージングに一部のウマ娘に熱狂的な人気がある。(勿論怖がられてもいる)
害悪でしかない悪徳記者はこの像に連れていかれ世にも恐ろしい罰を受けるという。
どの日常が見たい?
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副会長とトレーナー探索(2)
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ナイスネイチャとゲーム対決
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スカイのフラワートレーナー偵察
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三柱の男の像周辺の出来事(2)
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会長と黒幕トレーナー
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帝王とジョースター家の家長