トレセン学園はトレーナーも魔境(荒木荘風味)   作:銀能神

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チーム『スタークルセイダー』

「入ってくれ」

 

 遠慮無く扉を開いて中に入った私の目の前にはデスクで書類仕事をしていたのかデスクに向かって何かを書き込んでいた承太郎トレーナーの姿だった。

 私が入ってから頭を上げその手を止める。

 

「ナイスネイチャから用件は聞いてる、その書類がそうだな?」

 

 そう言われ手元の封筒を見詰める承太郎トレーナー。

 まぁ、確かにその通りなので封筒の中から『スタークルセイダー』宛のを取り出し手渡した。

 

 それを受け取り中身を見る承太郎トレーナーは無言ながらも眉を潜める。

 まぁ、中に何が書いていようが私はもう一か所行かなければ行けない場所があるのです退出することにしよう。

 

 そう思って振り替えると丁度一人のウマ娘がお茶を持って扉を開けたいたところだった。

 

「あら? もしかしてもうお帰りですか?」

 

 彼女の名前は確か……グラスワンダー。

 いかにも凛とした佇まいでそれでいてほわほわした印象を与える彼女は少し困ったように笑って首をかしげていた。

 

「トレーナーさんにお客様がいらっしゃると聞いていれてきたのですけど……」

 

 手元のお盆に見えるお茶の数は二つ。

 彼女の様子を見るにおそらくは承太郎トレーナーと客である私の分だけいれてきたのだろう。

 気持ちはありがたいが直ぐに出ていかないと行けないので丁重にお断りしてから歩き出す。

 それに二つあるのなら丁度良いではないか、承太郎トレーナーとグラスワンダーで飲めば良い。

 

「ですがお客様の為にいれたものを私が飲むの言うのも……」

 

 それでもまだ遠慮するグラスワンダー。私は承太郎トレーナーの方をちらりと見る。

 

「……はぁ、グラス」

 

「はい」

 

「丁度休憩したかった所だ。付き合え」

 

 え? と固まるグラスワンダーの横を通りすぎて部屋を出る。

 承太郎トレーナーが私の意図を読んでくれて良かったと思う。

 人の好意を無下にするのは忍びないしせっかくいれたお茶が無駄になるのも勿体無いしでこれならば両得である。

 

トレーナーさんが私をお茶に誘った……!? 

 

……グラス? 

 

 ウマ娘特有の聴力でこれ以上盗み聞きをしてしまう前に立ち去ろうと足早に去る。

 しかし流石『スタークルセイダー』と言うべきか、スポーツジムのある直ぐ近くの部室を借りれるのには驚いた。

 私達のチームはかなり小さいから学園の端の方にしか部室を借りれていないのに……

 

「走れマジシャンズレッドォォ!!」

 

「エルコンドルパサーデェェェスゥゥゥウウ!!」

 

「おいアヴドゥル! 熱いからスタンド出すのやめろ! てか何でお前まで走ってるんだよ!」

 

 近すぎてジムからの声も聞こえてくる始末である。

 ……騒音被害を考えたら近すぎるのも問題なのかもしれない。ウマ娘の中にはあれ以上にうるさいのも存在するわけだし。

 バクシンとかバクシンとか。

 

「うわぁ!」

 

 騒音から逃げるため足早に去ろうとしたその時誰かと肩をぶつけてしまう。

 体格は自分よりも大きかったが声が男の声だった。

 早足とはいえウマ娘の力でぶつかってしまった以上相手の怪我が心配だ、それほどまでにウマ娘と人間の身体能力はかけはなれている。

 急いで謝りながら転んでしまった相手に手を差し出す。

 

「す、すみません。不注意でした!」

 

 どうやら相手は少年ともとれる外見の男だった。

 頬にそばかすがある無害そうな少年だ。

 

 私は彼に見覚えはないがおそらくどこかのチームに新しくサブトレーナーとして入った新人だろうかと思う。

 こちらの手を握り起き上がった彼はそのままキョロキョロと辺りを見渡し警戒を始めた。

 誰かに追われているのだろうか? 

 たまにあるウマ娘に気に入られ過ぎてほぼ日常的に拉致られる生活になってしまったトレーナーの動きに良く似ている。

 

 ひとしきり見渡して安心したのか彼はこちらに向かい合い口を開いた。

 

「すみません、何処か身を隠せる所に心当たりはありませんか?」

 

 あっ……(察し)

 

 可哀想だがそういう事なのだろう。

 相手がウマ娘かそれ以外かは分からないけれど見捨てるのも何なので自分の知ってる隠れ場所を教えることにした。

 

「ありがとうございます! ボス……じゃなかったぼくが助かります!」

 

 そう言って彼はかなりの速度で教えた場所に向かって走り出した。

 

 私も最後の目的地へ向かうことにしよう。

 

 トレセン学園の左右に植木がある道を通る。

 まだ夕方前なだけあって騒がしく様々な会話が聞こえてくる。

 

「チィ……! あの食料は何処に行ったのだッ!」

 

「もう帰って良いか? 暇じゃないんだ貴様らと違ってな」

 

「並行世界から私を呼んできて手分けして探すか?」

 

「やめたまえ、面倒になるのが透けて見える」

 

「そこの君達、私のトレーナーを知らないか? こう、常に死に続けていそうな男なのだが」

 

「知らん」

 

「知るか」

 

「知らないな」

 

「すまないが心当たりはない」

 

「そうか……」

 

 少なくともあそこだけには関わりたくない。

 というかあの男達はさっき三柱の男達の像でヤバイことをしていた奴らなのでは? 

 何故あの大男は常に日傘をしているんだろう。

 

「ん? 電話か……トレーナー!? 貴様今何処にいる!」

 

 というかあの声の主は副会長か。

 少し前はトレーナーと揉めて契約解除を繰り返していた様だがやっと収まりの良い相手を見付けたという噂は本当だったらしい。

 顔を赤くし怒っているように見えて楽しそうなのでそのトレーナーとの相性が良いのだろう。

 

 少し心配していた事だったので安心しながら私は植木通りを過ぎていった。




後二話くらいこのウマ娘視点でその後それぞれのトレーナーとウマ娘の話をやる予定

出てくるジョジョキャラはほぼ専属ウマ娘が存在するので良かったら予想してみてね!

どの日常が見たい?

  • 副会長とトレーナー探索(2)
  • ナイスネイチャとゲーム対決
  • スカイのフラワートレーナー偵察
  • 三柱の男の像周辺の出来事(2)
  • 会長と黒幕トレーナー
  • 帝王とジョースター家の家長
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