トレセン学園はトレーナーも魔境(荒木荘風味)   作:銀能神

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日常2『ジョセフ(スカイ)の場合2』

 これはとある休日の話、ジョセフはセイウンスカイを連れて船に乗り海に沖釣りへ来ていた。

 セイウンスカイは波に揺られながらのんびりと釣糸を垂らす。

 ジョセフはカップに入れた水に波紋を流しそれをじっと見つめていた。

 

「おーい、スカイや」

 

「なぁーに? トレーナー」

 

「遠くの方からこっちに向かって魚群が来ているから準備しておくんじゃぞー」

 

「はーい……毎回思うけどトレーナーのそれ釣りの情緒とか完全にぶち壊すよね?」

 

 ジョセフがやっていたのは波紋法による生命探知。

 それを使い魚群探知機の真似事をしていたのだ。

 

「しょーがないじゃろ、お主が『隠者の紫』で直接魚捕まえようとしたら直ぐに怒るんじゃから」

 

「いやぁ、あれは流石に情緒ぶち壊しとかそういうのを飛び越えた何かだったでしょ……」

 

「だからこうしてせめて何かに波紋が使えないか調べた結果これに行き着いたんじゃよ」

 

「普通に釣りをするって思い浮かばない辺り性格出てるよね~」

 

 そしてお互いにのんびりと無言の時間が出来る。

 これは二人が釣りに来ると毎回の事で、お互いに喋りたい事を喋りきると後はのんびりと自分の時間を過ごすというものだ。

 ジョセフの探知した魚群の反応もまだ少し遠く、ジョセフが大きなあくび一つ吐いたところでセイウンスカイがまた話を切り出す。

 

「そういえばさぁ」

 

「ん~?」

 

「この前のシュトロハイム? トレーナーがミホノブルボン先輩連れてきてくれた時有ったじゃん?」

 

「あぁ」

 

「最初ちゃんと仕事の話と私のトレーニングの話をしてた時は良いんだけどさぁ……いや、ミホノブルボン先輩をかからせるトレーニングとか意味分かんないんだけどそれは良いとして、いや良くないけどそれよりもさ、あの後昔話に花を咲かせ初めてその挙げ句担当ウマ娘をほったらかしで酒盛り始めるのはどうなの?」

 

「あ゛っあー……それは……」

 

「ミホノブルボン先輩も珍しいものを見たような雰囲気で興味津々だったから無理やり止めにくかったし、私そこそこ地獄を味わったんですけどー」

 

「いやぁ、何というかすまんすまん。だからこうしてお詫びに船出して釣りに連れてきてやってるじゃろ?」

 

 そう、この船だが借りたものではなくジョセフ本人の物である。

 操縦士もジョセフ。

 とある事情から飛行機に乗れないからと手当たり次第乗り物系の免許を取り購入している。

 セイウンスカイも初めて船や他の乗り物類を見せられた時驚愕し、トレセン学園のトレーナーはそんなに給料が良いのかと思わず質問した程だ。

 無論トレセン学園のトレーナーは給料が良い方だがそんなに無秩序に使っても問題ないほど貰えている訳ではない。

 ジョセフが海外に会社を持っており、それが大成功しているから出来る芸当であった。

 

「いや、好きな時にこうして沖釣りなんて貴重な事が出来るのは素直に感謝してますけど……燃料費や仕掛け代とかも全部出して貰ってるし」

 

「まぁ、誘っておいて学生に出させる大人は居ないと言うことじゃな」

 

 格好つけて鼻をならすジョセフにまたため息を吐くセイウンスカイ。

 

「最初の方は年長者らしくしっかりとした人で、色々知らない内に手を回してくれる格好いい人だなぁって思ってたんだけどなぁ……」

 

「んー? 何か言ったかー?」

 

「何でもないですよーだ!」

 

「うぅん?」

 

 またまたため息。

 最初こそ良いかもなんて思ってしまったが現在では親戚のおじちゃんみたいな距離感になってしまっている。

 まぁ、その距離感が心地良いのだとセイウンスカイは自己分析をしていた。

 

「あっ、そう言えばなんじゃがな。お主と仲の良いニシノフラワーちゃんじゃったか担当が決まったらしいのう」

 

「えっ? うん、何で知ってるの?」

 

「ちょーっと小耳に挟んだもんでのぅ、それよかその担当について何か聞いてるかの?」

 

「私も昨日会った時にいきなり言われただけだったからなぁ。あの時はお互いに忙しくておめでとうとか言えなかったんだけど……何かあるの?」

 

 スッとセイウンスカイの表情が引き締まり真剣な表情を形作る。

 それを声色で判断したジョセフは言うか言わまいか迷った挙げ句言葉を選んで伝えることにした。

 

「先ず先に言っておくが噂じゃよ? 噂。裏取りもしてない信憑性の薄い……「早く」……はい」

 

 ジョセフはちょっと早まったかな? という気持ちと共に知っている噂を吐き出す。

 

「そのバレ何とかさんとかいう担当トレーナーの人がちょーっと小児愛……ちっちゃい子が好きな人っていう噂……おおっ!?」

 

 その続きは船の大きな揺れと瞬間的に目の前に飛んできたセイウンスカイの存在によって中断される。

 

「船出して」

 

「い、いや落ち着いて……」

 

「早く出して」

 

「いやだから」

 

「早く」

 

 完全に()()()()()()状態のセイウンスカイに大きな溜め息を吐いてジョセフは義手である方ではない右の手をセイウンスカイに突きだし。

 

「落ち着けと言うとるに」

 

「あ痛た!」

 

 デコピンをかました。

 

「トレセン学園のトレーナーにマジモンのそういう奴がいるわけ無いじゃろ。あの理事長ちゃんに会長殿もおるんじゃぞ?」

 

「ぅぅ……」

 

「全く……ワシがその話を世間話のようにしとるんじゃから安心せぇていうのに」

 

「でもぉ……」

 

「そんなに気になるなら今日の成果を持って会いに行けば良いじゃろ。今日の仕掛けなら上手く行けば鯛が釣れるんじゃろ? それを持っていったら絶対に喜ばれるじゃろうて」

 

「……そうだよね、フラワーが選んだ人なんだしそんなおかしい人の筈もないよね」

 

「そうじゃ、だから今はのんびり釣りを……ん?」

 

 ジョセフがそう言って前を向いた瞬間に固まる。

 セイウンスカイはそれを見て疑問に思い首をかしげる。

 

「どうしたの?」

 

「いやぁ、スカイや……ワシの見間違いじゃ無いならアレ……かかってないか?」

 

「えっ」

 

 セイウンスカイは勢い良く振り向き、小さな悲鳴とも歓声とも取れる声を漏らしながら釣竿に飛び付く。

 どうやらギリギリ間に合った様で、少しの格闘の後に釣り上げる事に成功した。

 

 その成果は綺麗な色をした見事な鯛であったと言う。




どジャアァァァァん

どの日常が見たい?

  • 副会長とトレーナー探索(2)
  • ナイスネイチャとゲーム対決
  • スカイのフラワートレーナー偵察
  • 三柱の男の像周辺の出来事(2)
  • 会長と黒幕トレーナー
  • 帝王とジョースター家の家長
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