トレセン学園はトレーナーも魔境(荒木荘風味)   作:銀能神

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日常3『シンボリルドルフの場合1』

「ねーカイチョー!」

 

「何だい?」

 

「カイチョーのトレーナーってどんな人ー?」

 

 トレセン学園の昼休み、皆が集まる食堂でシンボリルドルフとトウカイテイオー、エアグルーヴが昼食をとっていた。

 事の発端はトウカイテイオーが自分のトレーナーが決まらずどうすれば良いか相談していたところから始まった。

 

「私のトレーナーかい?」

 

「うん! カイチョーのトレーニングは見たことあるけど何時も一人でやってるからそういえばトレーナーって見たことないなーって」

 

「テイオー、会長が困っておられるじゃないか」

 

「えぇー! でもでも気にならないー? エアグルーヴも見たこと無いんでしょ?」

 

「それは……っ、確かにそうだが」

 

 ずっと生徒会で一緒なのにもかかわらずエアグルーヴさえも見たことがないと言う生徒会長であるシンボリルドルフのトレーナー。

 折角なのだからとそれを聞けるかもしれないこの機会にトウカイテイオーは張り切っていた。

 

「色んな噂だけはあるんだよなー。曰く、カイチョーのトレーナーは存在せず架空の人物だけが存在するとか、他にも夜の時間だけ姿を表すとか、決めつけはカイチョーのトレーナーは人間じゃないとか!」

 

「最後のはただの悪口じゃないのか……」

 

「で! どうなのカイチョー!」

 

「ふむ……別に隠している訳じゃないんだが」

 

 シンボリルドルフは目の前のキラキラと目を輝かせるトウカイテイオーを見てどう答えたものかと顎に手を当てて考える。

 

「そういえば私のトレーナーの事を知っているのはマルゼンスキーぐらいか……彼は余り表に出ようとはしなかったからな」

 

「えっ! じゃあ存在するの!?」

 

「するに決まってるだろう! 会長がどうやってレースに出てると思ってたんだ!」

 

「それでそれで!? どんな人なの? 会いに行って良い?」

 

 この様子のトウカイテイオーを見てシンボリルドルフは直接トレーナーの事を紹介するという選択肢を消した。会わせれば彼の人となりを知らずして担当トレーナーを願い込むと確信したからだ。

 それがトウカイテイオーの心の底からの願いなら止める理由は無いがシンボリルドルフのトレーナーだからという理由になってしまってはいけないと考えた。

 

「いや、彼も忙しいからな。彼を良く知っている人を紹介しよう。その人もベテランのトレーナーだから直ぐに会いに行けるか分からないが……ちょっと待っててくれ」

 

「ちぇー仕方無いかー」

 

 なので妥協点を作った。

 それを聞いたトウカイテイオーは少しでも憧れのシンボリルドルフのトレーナーの情報が得られると、表面上は拗ねているが耳の動きで喜んでいるのが丸分かりだ。

 

 それを横目で見ながらエアグルーヴはシンボリルドルフに小さく耳打ちする。

 

「良いのですか?」

 

「あぁ、その方も年が年で最近は後進の育成に力を入れているようでね。見た目はまだまだ若々しいのだが。人は見かけにはよらぬとは良く言ったものだと感動してしまった程だ」

 

「迷惑でなければ良いのですが……」

 

「うん、大丈夫だろう。それよりもエアグルーヴ、君のトレーナーの件なのだが」

 

「彼が何か?」

 

「私のトレーナーからの言伝だがどうやら最近食生活かストレスからか、どうやら凄く不味いと言っていたから気を付けてやってくれ」

 

「……会長のトレーナー殿は私のトレーナーと友人関係にあるのですか?」

 

「彼が言うには弱肉強食の関係にあるらしい」

 

「それは一体……? いえ、ご忠告ありがとうございます。お手数を煩わせてしまい申し訳ありません」

 

「構わないよ。私も今思い出したというだけだ……と、テイオー」

 

「どんな人なのかなー……ってなになに!?」

 

 シンボリルドルフのトレーナーに想いを馳せトリップしていたトウカイテイオーが帰ってくる。

 そこにシンボリルドルフがスマホをチラリと見てから口を開く。

 

「どうやら向こう方も君に会いたいらしい。テイオー、君が良ければ今からでも大丈夫らしいぞ」

 

「え! ホント!?」

 

 

 ▲▼▲▼▲▼▲

 

「ということがあったんだ」

 

 学生は皆帰宅し、生徒会のメンバーもとっくの前に帰宅した誰も居ない夜の生徒会室。

 月明かりに照らされた真っ暗な部屋の中で皇帝シンボリルドルフは暗闇に向けて今日あった出来事を語る。

 

「君は私のトレーナーであるがその露出はほぼ零と言って良いほどに少ない。だからこそ起きた珍事というか何と言うか……これについて貴方はどう思う?」

 

 シンボリルドルフの問いかけに、闇の奥に居る人物が動いた。

 ゆっくりと、小気味良い足音を響かせながら姿を表したのは恐ろしくも美しい白い肌をした妖しい魅力を持った金髪の男。

 

 この男こそがシンボリルドルフのトレーナーであるDIOである。

 

「そうだな、トウカイテイオーとやらは少し気になるが……私が全面に出ないようにしているのはこの学園との契約でもある」

 

「確か、私が貴方に契約を頼み込んだせいで掛けられたのだったか」

 

「フンッ、実の所そんなことはどうでも良いがこの学園には奴等が居るからな……忌々しいジョースターの血統めがなッ!」

 

 DIOは音も立てずに備え付けられたソファーへと腰を掛ける。

 

「次は確実に勝利する。その為の布石はもう打った、その為の舞台も手ずから用意した。プッチの方も調整は万全だと言っていたからな……」

 

「あぁ、貴方が私を通して理事長に上げたあの企画か」

 

「そうだ、そこで私は……俺は勝利する。万全で最高の状態のジョースターを打ちのめし今度こそ宿敵を超越するのだ」

 

「ふふ、そのように高ぶる貴方を見るのは久しぶりだな。しかし訂正して貰おう、俺、ではなく俺達だと」

 

「フハハハ! 良いだろう、我が愛バ……このDIOの最高傑作よッ!」

 

 グッと拳を握りしめ不適に笑うDIOを見詰めるシンボリルドルフ。

 最高傑作と呼ばれたその心境は如何なものか。

 優しく口端を緩めて己のトレーナーを見詰める。

 

 やがて気分が落ち着いたのかDIOは気になっていた事を聞こうと口を開いた。

 

「そう言えば、だ。ルドルフ」

 

「……」

 

 返事がない事に疑問を覚えるDIO。

 何故かと目線を向ければ何かを訴えるような視線を感じ、思い当たる。

 確か愛称で、こう呼べと言われていたな、と。

 

「ルドルフ? ルドル……ルナよ」

 

「何だい?」

 

「むぅ……いや、トウカイテイオーとやらには誰を紹介したのかと思ってな」

 

「あぁ、その事だね」

 

 シンボリルドルフはちょっとした悪戯が成功したような気持ちで言った。

 

「ジョナサン・ジョースターさんだよ」

 

「ほぉ……ッ!」




アンケートは内用弄って前の数字を残して置いているので投票されたポイントは加算式です。
*追記*アンケートって消さないと表示されないんですね……

どの日常が見たい?

  • 副会長とトレーナー探索(2)
  • ナイスネイチャとゲーム対決
  • スカイのフラワートレーナー偵察
  • 三柱の男の像周辺の出来事(2)
  • 会長と黒幕トレーナー
  • 帝王とジョースター家の家長
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