[IS]運命の翼の少女   作:名無しのごんべい

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第十話 「開催あるいは決意」

「賭けは私の勝ちだね!」

 

一回戦の全試合が終了し、今はお昼休憩中。

私と織斑君は、食堂で昼食をとろうとしていた。

 

「はいはい、奢らせてもらうよ」

 

小さく嘆息しながら織斑君が答える。

 

「て言ってもうちの食堂は学園の生徒なら無料で利用できるから奢りようがないんだよなぁ」

 

そこで織斑君が何かを考えるそぶりをし、

 

「と…ということで、今度町まで遊びに行かないか?」

 

「遊びに?」

 

織斑君の提案に私は首をかしげる。

 

「あ…あぁ!飛鳥はここにきて日が浅いしこの辺のこと知らないだろ?だから案内がてらな……」

 

確かに私はこの世界にきてまだ一月もたってない。

織斑君の提案は願ってもないことだ。

 

「じゃあお願いするね?」

 

「おう!任せとけ!」

 

織斑君が自分の胸をたたき、

 

 

強くたたきすぎたのか咳き込んでいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『勝者!織斑ア~ンド!飛鳥ペア!』

 

司会の宣言とともに会場が歓声に包まれる。

 

二回戦はチームワークを駆使して戦った私たちは、ついに三回戦にコマを進めた。

 

「次の相手は誰だろ?」

 

「まぁ順当にいけばラウラとシャルのペアだろうな」

 

ボーデヴィッヒさんとデュノアさんか……。

 

「強い……んだよね?専用機持ち出し」

 

私が聞くと織斑君は苦い顔をしながら答える。

 

「まだあの二人には勝ち越したことがないな」

 

織斑君が負け越している相手。

 

(気を引き締めないと……!)

 

最初から油断する気はないけど、今までのように楽に勝たせてはくれないのだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして二回戦のすべての試合が終わる。

 

『本日の試合はここまで!一年生のみなさ~ん!勝ち残った人は明日の試合どうしようかと不安に枕を濡らしてくださ~い!負けちゃった人はあそこでああしていればよかったと枕を濡らしてくださ~い!それではまた明日~!』

 

そんなふざけた司会の声で今日の戦いが終わる。

 

「じゃあ帰ろっか!」

 

私が言うと織斑君が驚いた顔をする。

 

「帰るのか?今から特訓するんじゃなくて?」

 

「今からすると明日疲れが残った状態で試合することになるでしょ?強敵みたいだし万全の状態で挑まないとね」

 

「いや……そうだけど……」

 

私の言葉に織斑君がなおも渋る。

やっぱり不安なのだろう。

 

「じゃあ疲れないで明日のためになることをしようか?」

 

私の提案に織斑君はキョトンとした顔になる。

 

「私の部屋で作戦会議だよ」

 

織斑君がすごい勢いでむせた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お、お邪魔しま~す……」

 

「はい、どーぞ」

 

織斑君が妙に縮こまりながら私の部屋に入る。

考えてみればこの部屋に誰かを招くのは初めてだ。

 

(そこまで緊張されると私も恥ずかしいんだけどなぁ)

 

そこでふと思い出す。

向こうの世界ではどうだっただろうか?

 

軍事学校(アカデミー)でもミネルバでも個室だった。

理由は簡単だ。

 

 

 

誰も私と一緒の部屋になりたがらなかったから。

 

 

 

軍事学校(アカデミー)時代は《狂犬》と呼ばれていた。

 

ミネルバ時代は《鬼神》とか呼ばれてたっけ?

 

(そういえば……)

 

確かアスランとレイに裸を見られたこともあったっけ?

原因はルナで、ノックもせずに入ってくるせいで一緒にいた二人に着替え中の私をばっちり見られたことがあったはず。

 

(あの時はおもしろかったなぁ……)

 

アスランは慌てふためいてあたふたしてたところをルナに蹴られてたっけ。

レイは無言で後ろを向いてたなぁ……。

 

「飛鳥……?」

 

織斑君の言葉で我に返る。

 

「あ…ごめん、ちょっとボーっとしてた」

 

「大丈夫か?」

 

「大丈夫だよ。織斑君は優しいなぁ」

 

そんな会話をしながら部屋の中へ入る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「やっぱり私がボーデヴィッヒさんの相手をした方がいいと思うんだ」

 

「けど飛鳥のISだって相性がいいとは言えないんだろ?」

 

私と織斑君が意見を言い合う。

 

「それでも織斑君よりはマシだよ。フォースシルエット……高軌道形態で何とか撹乱しながら砲戦形態で戦えば時間は稼げると思う。だから織斑君はその間にデュノアさんを倒してほしいんだ」

 

「シャルと一対一か……」

 

織斑君が渋い顔をする。

 

「厳しいのはわかるけど何とか頑張ってほしい。ボーデヴィッヒさんを確実に倒すためにも……」

 

これは一種の賭けだ。

私がボーデヴィッヒさんの注意をひき、その間に織斑君がデュノアさんを倒す。

そして二人でボーデヴィッヒさんを叩く!

 

織斑君がデュノアさんに負けてもダメ、私がボーデヴィッヒさんの足止めをできなくてもダメ、そして私がボーデヴィッヒさんに負けてもダメ。

正直穴だらけの作戦だけどこれくらいしか勝てる案が思いつかない。

 

《AIC(慣性停止結界)》

対象を任意に停止させることができる反則に近い兵器。

複数の対象やエネルギー兵器には効果が薄いらしいが、これに捕まれば終わり。

こちらは遠距離戦でしか対応できないが、そんなことは相手もわかってるんだから当然手を打ってくる。

 

(勝負のかなめは織斑君がいかに早くデュノアさんを倒すか……)

 

そうして夜は更けていった。

 

 

 

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眠れない……。

 

ベッドから抜け出して部屋を出る。

 

明日は一夏と飛鳥さんとの試合だ。

大事な試合の前なのに眠れない。

 

(飛鳥さん……)

 

突然現れた転校生。

 

一夏の知り合いで、あの束博士の助手で、織斑先生の出席簿を止めることができるくらい強くて、

 

 

 

たぶん一夏の■■な人。

 

 

 

仕方ないと思う。

それが一夏の本心なら、僕たちが口を出す資格はない。

 

 

 

だけど……。

 

 

 

(負けたくない!)

 

一夏を取られたくない!

 

箒や鈴、セシリアやラウラならまだあきらめもつく。

 

だけどいきなりやってきた彼女にとられるのは納得いかない。

 

(負けたくない!)

 

「負けたくない!」

 

「ああ、そうだな」

 

驚いて後ろを振り向くと、そこにはラウラがいた。

 

「ラウラ……」

 

「負けられないな、明日は」

 

何があっても……。

 

そう付け加えるラウラ。

 

「明日は勝つぞ!シャル!」

 

「もちろんだよ!ラウラ!」

 

そして夜は更けていった。




再投下分はここまでとなります。

本当に申し訳ありませんでした!
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