[IS]運命の翼の少女   作:名無しのごんべい

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第十二話 「焦燥あるいは決闘」

「次の相手はセシリアとそのルームメイトの子か……」

 

「セシリアさんってビーム兵器が主体の遠距離タイプだっけ?」

 

「ああ、俺との相性は比較的いい方だな」

 

三回戦が終わった後のお昼休み、私たちは次の試合に向けての作戦会議をしていた。

 

「にしても知り合いとの戦闘が続くな……」

 

「仕方ないよ、そういう運も含めての勝負だから」

 

「運も実力のうちってことか」

 

言いながらお昼ご飯を食べ終える。

この学食のごはんは無料なのに本当においしい。

 

しかしビットか………。

 

ビットと言われて思い出すのはレイのドラグーン。

あの数のドラグーンをレイは自分の手足のように扱っていた。

 

もしオルコットさんがレイと同等か、あるいはそれ以上にビットを扱えるのだとしたら……。

 

(少し厳しい戦いになるかも……)

 

だが幸いにも織斑君は最近オルコットさんに勝ち越しているらしいし、私も対ドラグーン戦闘の訓練はレイを相手に嫌というほどやってきた。

 

相手がレイと同等の使い手か、それこそあいつ(・・・)以上の使い手でない限りは私も遅れは取らない。

そんなことを考えていると、件のオルコットさんがこちらに近づいてきた。

 

「よう!セシリア!どうした?」

 

織斑君があいさつし、それに倣って私も軽くお辞儀をする。

 

「こんにちは、一夏さん。そして飛鳥さん。

今回は飛鳥さんに用事があるんですの」

 

「私?」

 

少し驚く。

オルコットさんもそうだが、私にはこの学園で友人と呼べる存在は織斑君以外いない。

「いつものメンバー」との昼食も、織斑君が強引に誘うから同席しているのであって、いつかこの世界を去るつもり(まだ目途すら立っていないが)の私はあまり人付き合いというものをするつもりもない。

 

もともとが大勢で騒ぐのが苦手な部類に入るのだ。

こうなって当然だろう。

 

そんな私に、オルコットさんのほうから用があるというのだ。

 

(なんだろ?)

 

いい試合をしましょうとか?

     それなら私だけに言う必要がない。

 

デュノアさんとボーデヴィッヒさんの仇は私が討ちますとか?

                    逆恨みもいいとこだ。

 

その疑問はすぐに解決した。

 

 

 

 

 

 

「飛鳥 進さん!貴女に決闘を申し込みますわ!」

 

「………………………………………え?」

 

予想外の答えに驚き、硬直する私。

 

「これは手袋の代わりです。受け取りなさい!」

 

と言ってハンカチを投げてくるオルコットさん。ってちょっと待って!

 

「は?決闘!?なんでいきなり!?」

 

「日時は四回戦第一試合!そこでわたくしと一対一で戦ってもらいますわ!」

 

「だから待ってって!」

 

少し大きな声を出してオルコットさんを止める。

当然学食内の注目を集めることになるが構わず続ける。

 

「なんで決闘!?っていうか今回タッグトーナメントだよね!?一対一とかできないわよ!?」

 

「相方の子とは話はつけています。あとはあなたが私の決闘を受け、一夏さんがわたくしたちの戦いに手を出さないと誓ってくださるなら準備は完了しますわ」

 

「いやちょっと待ってくれ、セシリア!」

 

と、織斑君。

 

「そもそも決闘の理由は何だ?お前もシャルもラウラも妙に飛鳥を敵視しているけど、俺が見る限り飛鳥はお前たちの害になるようなことは何もしてないぞ?」

 

と、織斑君がかばってくれる。

というかうすうす感じてたけどあの二人やっぱり私のことを私怨で狙ってきてたのか。

少しショックだ。

 

私が涙目になりながらこの三人に何かしていないかと必死に過去の記憶を探っていると、

 

「………たが………なだか………」

 

と、ほとんど聞こえないほど小さい声で言い、

 

「さぁ!飛鳥 進さん!わたくしとの決闘、受けますの!」

 

どうしようか?

 

受けるメリットはない。二対二の複数戦から一対一の単機戦になるだけだ。

受けるメリットもデメリットもない。

それなら………。

 

「分かった。受けるよ、その決闘」

 

「飛鳥?」

 

織斑君が疑問の声を上げるが無視する。

 

「受けてくださいますのね?なら司会の黛先輩に話をつけてきますわ」

 

「分かった。ルールは?」

 

「わたくしかあなたどちらかかが勝った方が次の五回戦に駒を進める、時間は制限時間いっぱいまで。

他もトーナメントのルールと変わりありませんわ。

もちろん相方のサポートは無しです」

 

了解と言った意を込めて片手を上げる。

 

「では、楽しみにしていますわ」

 

そういってオルコットさんが食堂を後にする。

 

そして今まで黙っていてくれた織斑君が聞いてくる。

 

「よかったのか?」

 

「うん、なんでか知らないけど目が本気だったしね」

 

それに、と付け加える。

 

「お祭りなんだから盛り上がった方がいいでしょ?」

 

「お祭りって……お前……」

 

と、織斑君があきれたような声を出す。

 

そう、ほかの人にとってどんなにこの大会が大事でも、私にとってはお祭り騒ぎでしかない。

身勝手なようだけど、そうでも思わなければやってられないのだから仕方ない。

 

 

 

 

そう思わなければ、本気でやってしまいかねないのだから

 

 

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決闘を受けてくれた。

身勝手なお願いだというのはわかっている。

彼女は何も悪くはない。

 

ただ突然現れて、

 

     この戦いの均衡を崩し、

 

            一夏さんの横に望まれて居るだけ。

 

だから何も悪くない。

 

(そう、悪いのはわたくしたち)

 

こうやって戦うことでしかこの胸のもやもやを解消できないわたくしたちの弱い心のせい。

こうすることでしか彼女を認められないわたくしたちのせい。

 

奪われるのが嫌なら早く行動に移せばよかった。

 

わたくしたちがいつまでもあの心地よい均衡を保とうと行動を起こさなかったから、一夏さんの心は動いてしまった。

 

(さすがに分かりますわ、いつも見ているのですから)

 

一夏さんが私たちを恋愛対象としてみていないことくらい。

 

一夏さんが彼女に心を動かされたことくらい。

 

一夏さんが彼女を■■だということくらい。

 

(だからこそ!これはセシリア・オルコットとしての最後の意地)

 

彼女と戦い、自分の心に区切りをつける!

 

一人の女としての誇り(プライド)をかけた戦い!

 

もし一夏さんと飛鳥さんがそのような関係になったとしても、いつものセシリア・オルコットとして、一人の友人として祝福するための儀式。

 

だからこそ!

 

(全力で行かせてもらいますわ!このセシリア・オルコットの全てを賭けて!)

 

 




あれ?俺オルコッ党員じゃないのに、どしてこうなった?
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