「もうすぐね」
授業が終わり、生徒会の業務を終わらせた生徒会長が、かえって来て一番にそう言った。
「………なにがですか?」
「一年生が臨海学校から帰ってくるのが……」
口元を「帰還」と書かれた扇子で隠しながら言う。
みんながもうすぐ帰ってくる。
そう考えると嫌でも思い出すのはマユの携帯のこと。
粉々になった携帯がフラッシュバックする。
そして自分がやってしまったことも思い出す。
殺すつもりで撃った。
幸い誰も大きな怪我はしなかったみたいだけど、私が銃を向けたことには変わりない。
今更どんな顔をして会えばいいのか……。
そもそも会えるのだろうか?
あの一件で私は完全に愛想をつかされたはずだ。
そんな私に会ってくれるだろうか?
(無理だろうなぁ……)
自分を殺そうとした人と仲良く話し合えなんて無理に決まってる。
私だってフリーダムや連合、オーブの兵士たちと仲良くしろだなんて言われても絶対に無理だろう。
「どうする?会いに行く?」
そんな私の内心を見透かしたように生徒会長が問いかける。
「今なら私が許可を出せば寮の外に出られるわよ?」
「……………遠慮しときます」
「…………そう」
今更私なんかに会いたくもないだろう。
沈み込んでいく気持ちを何とかするために、シャワーを浴びることにした。
翌日。
いつも通りの悪夢とともに起床。
学校に行く生徒会長を送り出し、日課の筋トレとテスト勉強で時間をつぶす。
それが終わると束さんに作ってもらったダイブ型のシュミレーターを使ってトレーニング。
明らかにオーバーテクノロジーであろうものを作れるのはさすがは束さんと言ったとこか。
ISコアの技術の応用で作られたシュミレーターでのトレーニング。
これがC.Eにあればフリーダムをもっと楽に倒せただろうし、アスランにも後れを取ることはなかっただろうが、それはさすがに無い物ねだりと言うものだろう。
相手は生徒会長。
こうやってシュミレーションで戦ってみて改めて分かったが、やはり私は手加減されていたようだ。
牽制とは言え弾が切れるまで打ち続けるなんて正直素人がやることだ。
(なかなか強い……!)
こちらの進路を妨害するように的確に撃ってくる。
さらに生徒会長の周りには水蒸気の霧ができており、姿が見えにくいので射撃がレーダー頼りになり、接近戦を挑もうとすれば水蒸気が爆発して近づけない。
防御に回れば鉄壁。
(だけど……!)
このままで終われない!
拡張領域から新たな武器を呼び出す。
セカンドシフトしたことによって増えた拡張領域には新しい武装を追加してある。
現れたのはバズーカ。
PICとブーストを操作し、生徒会長のほうを向いたまま生徒会長の周りをまわる。
そして《7.92㎜CIWS》を連射しながらバズーカを発射。
7.92㎜弾は霧のせいで狙いが定まらず数発しか届かない。
バズーカのほうは生徒会長が霧を爆発させて相殺してしまう。
その爆炎に隠れてバズーカの弾頭を変え、もう一発発射。
同じようにバズーカを相殺しようと霧を集める生徒会長を見て、私は作戦がうまくいったのを確信した。
霧に接触する直前に弾頭が爆発。
散弾の雨が生徒会長を襲う。
それを防御するために水のヴェールで身を隠した瞬間にブラストに換装。
ケルベロスを最大出力で照射。
水蒸気の霧をビームで引き裂き、そのまま生徒会長を狙う。
ヴェールによって阻まれるが、
(このまま押し切る!)
ビームの熱で少なからずダメージを与えているはずだし、何より水も無限ではないはずだ。
こちらのエネルギーが切れるか相手の水が無くなるかの勝負。
そこでアラートが鳴る。
それと同時に背中が爆発する。
(なに!?)
いつの間にか水蒸気を私の背中に放っていたようだ。
すぐに各部チェック。
ブラストシルエットは使い物にならない。
ブースターもいかれてる。
そこへ槍を構えた生徒会長が迫り、
シュミレーションはあっけなく終わった。
(まさかあそこから負けるなんて………)
追い詰めたと思って追いつめられていたのは私のほうだった。
悔しくもあるが、目標とする人がまた一人増えたのはうれしく思う。
織斑先生に支給された端末を見て時間を確認する。
一六時三十分。
もう授業が終わり生徒会の業務も終わっている時間だろう。
いつの間にか生徒会長がいるのが当たり前になっている私の生活に苦笑しながらも、また汗臭いとか言われてお小言をもらいたくないのでシャワーを浴びることにした。
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「では各自解散!」
千冬姉の一声で臨海学校の終了が宣言された。
「待ってくれ、一夏」
そのまま寮に………進の部屋に向かおうとして、呼び止められる。
「箒か。どうした?」
「今から飛鳥の部屋に行くのか?」
「そうだけど……」
「私も一緒に行く」
そういった箒に少し驚くが、
「分かった。行こう」
そうしていつの間にかいつものメンバー全員で進の部屋に行くことになっていた。
「進の部屋に付いたぞ!」
「誰に行っているんだ?一夏?」
ラウラに突っ込まれるがなんとなく言いたくなったんだから仕方ない。
どこかから「でもそれって根本的な解決になりませんよね?」と聞こえてきた気がしたが、気にしないことにして呼び鈴を鳴らそうとして、
「あら?何か御用?」
いきなり後ろから声をかけられた。
「いや私たちがようがあるのはこの部屋なんだが」
「だから聞いたんだけど?何か御用?」
俺がどういう意味か聞こうとすると箒に腕を引っ張られる。
周りを見れば他のみんなも箒とセシリアに腕を引っ張られていた。
「どうしたんだよ?二人とも?」
「どうしたんだじゃありませんわ!」
「この人は生徒会長だぞ!」
生徒会長?
「それがどうしたんだよ?」
「この学園で一番強い人だってことだ!」
「フーン………へ!?」
この学園で一番強い!?
生徒会長ってそんなに強いのか!?
「あら、紹介ありがとう。
でも一応私からも自己紹介を。
更識 楯無よ。この学園の生徒会長をやっているわ。
以後よろしく」
「夜露死苦!」と書かれた扇子を広げて不敵に笑う生徒会長からは威厳のようなものが感じられた。
「さて、その様子だと用があったのは飛鳥さんのようね。
ついてらっしゃい」
そこで生徒会長は鍵を開けて部屋に入っていく。
それにしても『用があったのは飛鳥さんのようね』か。
ようがあったよう。
「「「「「面白くない(からね)(からな)(ですわ)」」」」」
なぜばれたし。
気を取り直して進の部屋に入る。
前と一緒で何も置かれていないのかと思ったら物が増えて生活感が出ていた。
「あまりに何もなかったから私がふやしたのよ」
俺の表情で察したのか生徒会長が答えてくれた。
みんながもの珍しそうにあたりを見回していると、
「あれ?会長帰ってきてたの?」
「だからたっちゃんって呼んでほしいわね」
「やだよそんなの。会長で十分でしょ?」
俺のすぐ横の扉の向こうから進の声が聞こえてきた。
どうやら俺たちが来たことは気づいてないようだ。
ここで少し整理しよう。
寮の部屋はすべて同じ形をしている。
そこから当人たちが内装を変えたり家具を増やしたりするが、部屋の間取は変えられない。
入り口にキッチン。奥に行くとリビングとベッドが二つ。クローゼットもふたつ。
そして入口のキッチンを超えた先に扉が一つある。
それがいま俺の横にある扉であり、
バスルームに続く扉だったりする。
ガチャリと扉が開き、
現れたのは一糸まとわぬ姿の黒髪の天使。
程よく引き締まった肉体。
お尻の近くまで延ばされた黒髪。
手のひらにすっぽりと納まりそうな胸。
その谷間に吸い込まれていく水滴。
キョトンとこちらを見る紅い瞳。
吸い込まれそうな幼い表情。
その顔がみるみる赤く染まっていき、
この後の運命を悟った俺は視線を進に固定したまま心の中で手を合わせた。
「きゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
(前にもこんなことがあったなぁ……)
進の蹴りを食らう直前に、ハイキックしたせいでその足の奥にある何かが見えた気がした。
今回はシリアスにしようと思ったのにどうしてこうなった?
そしてやっとできた束さんのチートアピール。
シンちゃんはSAOのフルだいぶみたいにバーチャル空間でトレーニングしています。
個人的にミストさんの声は内山さんのイメージ。
そして一夏君……。
ヨウラン「こぉのラッキースケベ!」