「この前は本当にすまなかった!!!」
一夏が起きて、なぜこの部屋に来たのかを聞こうとしたら篠ノ之さんがいきなり謝ってきた。
「お前の携帯を移動させるように指示したのは私だ!
お前の携帯が壊れた責任は私にある!!
本当にすまなかった!!」
「私からも言わせてくれ。
お前の携帯が壊れたのは私がこけたせいでもある。
本当にすまない」
「僕もだよ。
僕がラウラの浴衣のすそを踏んずけたからラウラが転んじゃったんだ。
本当にごめんなさい」
いきなりのことで呆気にとられて硬直している私の背中を生徒会長がやさしく押してくれる。
「私も……私もごめんなさい。
みんなに銃を向けて……。
もう少しで……私は取り返しのつかないことをしてしまうとこだった。
本当にごめんなさい」
謝罪合戦が終わって、室内に沈黙が流れる。
その静寂を破ったのは会長だった。
「はい!これで仲直り完了!
喧嘩して、仲直りしたからあなたたちはもう友達よ」
「そうだな」
「なんか疎外感感じるんだけど」
「まぁ今回の主役は進さんと箒さんたちだから仕方ありませんわ」
友達……?
顔を上げてみんなのほうを見ると、みんな私に笑顔を送ってくれていた。
友達……いいのだろうか?
私なんかがみんなの友達で。
「そういえば疑問でしたけどなぜ進さんと生徒会長が同じ部屋で暮らしているんですの?」
私が自問していると、セシリアが聞いてきた。
まずい、どうやって誤魔化そうか……。
まさか理由そのままいうわけにも行けないし、ここは適当にごまかすしかない。
「それはいきなり会長が「飛鳥さんの護衛のためよ」押しかけって、え!?
何言ってるんですか!?会長!!」
何考えてるんだこの人は!!
「護衛?」
「どういうことですの?」
ほら食いついてきた!
心配性の二人にそんなことを言ったら問い詰めてくるに決まってるじゃないか!
「実はね……」
「ちょっと会長!どういうつもりですか!?」
「この子たちが貴女の友達なら、貴女と一緒にいる機会が多くなる。
そうなったら奴らに襲われたとき何も知らない状態では足手まといになる。
だから説明する。いざというときにあなたを守れるように……」
確かに何も知らないのと多少なりとも知っているのとでは大きな違いがある。
「じゃぁ改めて説明するわ。
今現在、飛鳥さんは何者かに狙われている状況よ。
敵の規模は不明。目的は織斑先生と飛鳥さんは知っているようだけど、私は聞いていない」
淡々と会長が説明していく。
「進さん……その敵に狙われる心当たりが?」
「…………ごめん。教えられない」
「どうしてですの?」
教えられるわけがない。
まだ推測の域を出ない状況だが、敵の狙いは明らかに私の持つ異世界の技術が目的だろう。
だけどそんなこと言えるわけがない……。
「ごめん。だから私と一緒にいない方がいいよ。
私はいつ狙われるかわからないし、私と一緒にいると危険だし。
それにまたこの前のように私はみんなに銃を向けてしまうかもしれない。
だからみんなは私から離れ「ふざけないでくださいまし!!」っ!!」
私の言葉を遮ってセシリアが叫ぶ。
「危険だからなんだと言うのですか!?
わたくしたちとあなたは友達でしょう?
友達とはお互いが困っている時に助け合うものでしょう!?
ならどうしてわたくしたちに助けを求めないのです!?
わたくしとあなたは友達だとあの日おっしゃったじゃないですの!!
それともあの日の言葉はすべてウソでしたの!?」
目に涙を浮かべながらセシリアが叫ぶ。
「わたくしはあなたを友人だと思っています。
一度銃を向けられた程度であなたから離れると思いまして?
もしそう思っていたのならそれはこのセシリア・オルコットに対する侮辱ですわ」
「言おうとしてたこと全部セシリアに言われちまったな」
一夏が言う。
「セシリアが言ったこととかぶっちまうけど、俺ももっと進に頼ってほしいと思ってる。
お前は何でもかんでも一人で背負いすぎだ。
もっと友達を……俺たちを頼れ。
ここにはセシリアも、箒も、鈴も、シャルも、ラウラも………俺もいる。
だからもっと頼ってくれ。一人で背負い込まないでくれ」
そこで一夏が一度言葉を切り、
やがて決心したように口を開く。
「俺は!もっと進と仲良くなりたいと思ってる!
友達よりももっと進と深い仲になりたいんだ!!」
その言葉に部屋にいたみんなが驚いていた。
それと同時に私の持つ端末が着信を告げる。
「………はい?どうしました?織斑先生?」
『飛鳥か?今から束の研究所に一人で来てくれ。
外出許可は取ってある』
「分かりました」
そして私は立ち上がる。
「会長。
織斑先生に呼ばれたので行ってきます」
「……え、ええ。
私もついていった方がいい?」
「一人で来いと言われたので」
そして入口の方に歩き出す。
今から言うことはかない恥ずかしいので顔が見られないようにみんなに背を向ける。
「みんな。
ありがとう。
私は、みんなの友達でいていいんだよね?」
「当たり前だな」
「愚問ですわね」
「聞くまでもないわね」
「これからよろしくね?進」
「また私に稽古をつけてくれ」
「ありがとう。
それと一夏。
すっごくうれしかった。
これから、
親友として
よろしくね!」
そう言って私はダッシュで部屋を出ていった。
多分この時の私の顔は恥ずかしさで真っ赤だっただろう。
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『これから、親友としてよろしくね!』
『親友としてよろしくね!』
『親友として』
『親友として』
『親友』
『親友』
俺はその場に崩れ落ちた。
「ぷっ!あははははははははははっははははははは!!!!!!」
生徒会長が腹を抱えて笑い転げているがこっちは突っ込む気力もない。
周りを見渡せばこの部屋にいる全員が笑いをこらえている……または遠慮なく笑い転げていた。
「あそこでああ返してくるなんて!!ホントあの子はおもしろいわ!!」
「にしても、ああいうってことはやっと気づいたのよね?自分の気持ちに」
鈴が問いかけてくる。
自分の気持ち……。
ああそうだ。
「俺は進が好きだ。
仲間としてでも、友達としてでもない。
一人の女の子として」
臨海学校で、あいつについて考えまくった。
進の過去。
進の気持ち。
そしてふと気が付いた。
俺は進が好きなんだと。
多分一目惚れなんだろう。
俺が気付かなかったこの気持ちは、保健室のベッドで気を失っている進を見た時から持っていた気持ちだ。
だから、告白のつもりだった。
それが……。
『親友として』
「どんだけ鈍感なんだよ………」
「「「「「お前が言うな」」」」」
「え!?なんで!?っ!!??」
なぜか一斉にツッコミをもらったと思ったら、何かに唇をふさがれた。
目の前に鈴の顔がドアップである。
「あたしはあんたのことが大好きです。
異性として、大好きでした」
呼吸が止まった。
「深い意味はないわ。ただけじめをつけたかっただけ。
あんたのことが大好きな女の子がここにいたって知っていてほしかっただけだから」
「なら次は私だな」
「ほ、箒?」
そしてまた唇をふさがれる。
「一夏。
お前が好きだ。
お前が私を助けてくれたあの時からずっと好きだった」
「次は私の番ですわね」
今度はセシリアにキスされる。
「一夏さん。
あの時、わたくしと初めて戦った時。
貴女のあの凛々しい姿に惚れてしまいましたわ。
以来、ずっとお慕いしていました」
「なら次は僕かな?」
そうしてシャルにまでキスされる。
「一夏、僕は、ううん。
私は君が好きでした!
君が私の居場所を作ってくれたあの時からずっと好きでした!」
そして今度は無言でラウラにキスされる。
「私はずっと貴様に好意をさらしてきたつもりだったのだがな?
いつまでたっても気付いてくれなくて愛想をつかしてしまったよ。
まぁ、最後に一度くらい思いっきり気付くようにしてやっただけさ」
えーっと………?
事態についていけていない。
みんなが俺のことを好きだと言いながらキスしてきた。
つまり、そういうことなのか?
俺が今まで考えていた仲間としての好きではなく、
異性としてのすきだったということなのか?
その考えに至った瞬間に今までの出来事が全てつながる。
弁当を作ってくれたのも、
毎日酢豚を作ってやると言うのも、
あんなに親身になってISの訓練に付き合ってくれたのも、
全部そういう意味だったんだ。
「……………俺は!」
みんなが俺を見つめている。
攻めるような視線ではなく、やさしい目をしている。
俺がこれからいうことがわかっているから。
「俺は進が好きだ。
だから……みんなの気持ちには答えられない!!」
言いきった。
謝ることだけはしないでおこうと思った。
俺が謝れば、その分彼女たちを貶めることになるから。
「あ~あ、ふられちゃった!」
「まぁ、そうだろうとは思っていたがな」
「応援しますわよ、一夏さん」
「一夏以上の朴念仁っぽいしね」
「……ふん」
胸を張ろう。
彼女たちが好きだと言ってくれた自分に。
彼女たちが俺を好きになってよかったと思えるくらいの自分になろう。
この日、俺は新たに決意した。
真面目な展開もシリアスと呼ばれるのである。
うん。ごめんね!
鬱展開でと言う意味でシリアスを期待してたみんな!ごめんね!
でもいいよね!みんなこっちの方がいいよね!
と言うより展開が少し駆け足になってしまった。今度から気を付けます!
ではまた次回!
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「遅くなりました」
「来たか」
「あーちゃん!!ひっさしぶり~ん!」
研究所に付くと、織斑先生と束さんに出迎えられた。
「どうしたんですか?」
「まずはこれを見てくれ」
そうして織斑先生の前にあるモニターにあるものが映された。
それを見た瞬間、
私の頭は真っ白になった。
「ザク!?ウィンダム!?なんで!?」
ニゲラレナイ
ウンメイカラハニゲラレナイ
ケッシテニゲラレナイ