[IS]運命の翼の少女   作:名無しのごんべい

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可愛いだろう?


第二十六話 「決着あるいは幸福」

「では本日をもって一学期期末テストを終了する。

一週間のテスト休みの後終業式、その後は夏休みになる。

実家や祖国に帰省するものもいるだろうが各員絶対に問題をおこすな!いいな!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ………!!!

終わったぁぁぁぁぁぁ………」

 

一夏が絶望の声を上げている。

 

期末テストが終わり、もうすぐ夏休みが始まる。

私の謹慎も会長が言った通りテスト前には解除され、暇つぶしの勉強のおかげで問題なくテストを片付けることができた。

だけどそうはいかない人も中にはいるもので………。

 

「大丈夫?一夏?」

 

「全然大丈夫じゃない………」

 

一夏はここ最近ISの操縦はかなり上達したが、やはり座学はからっきしでテスト中も頭から煙を出していた。

 

「だからあれだけ教えてやっただろう?」

 

「まったく……もう少し頑張ってほしいですわ」

 

「やっぱり一夏はだめねー」

 

その言葉にプルプルと震えていた一夏が立ち上がる。

 

「お前らのせいだろ!勉強とか言いながら思いっきりからかってきやがって!!

おかげで全然集中できなかったっつーの!」

 

あの三人に教えてもらってたのか……。

前までの一夏のISの訓練風景を見る限り一番教官役に向いてなさそうだったけど……。

というより、

 

「一夏?からかわれたってどうしたの?」

 

「ヴぇ?!」

 

どっから出したんだろう?その声。

 

「あー進?それはねー?一夏が「ストーップ!!」…はいはい、わかってるっての」

 

鈴が教えてくれようとしたら一夏に遮られた。

まぁ誰にでも隠し事はあるから無理に聞く気はないけど。

 

「それより、みんなはどうするんだ?この夏休み」

 

一夏が聞いてくる。

そう、この学園には長期休暇が三回もあるのだ。

しかもこの夏休みは約二か月間という長い休みだ。

オーブの学校に通っていた時はこれくらい普通だったのに、二年間のアカデミー生活では一度も長期休暇がなかったので正直どうやって過ごせばいいのかわからなかったりする。

 

「私は実家に帰る。思えばここ数年間帰れていなかったからな」

 

「わたくしもイギリスへ帰りますわ。実家の様子も気になりますし……」

 

「あたしも一度中国に帰国かなぁ……。お偉いさんが報告しろってうっさいし」

 

「僕はここに残るよ。帰ろうにも帰れないしね」

 

「私は一度帰国し、部隊の様子を見に行かねばならない。

まぁすぐに帰ってくるつもりだがな」

 

みんな大体は帰省するみたいだ。

箒とシャルは何か事情があったみたいだけど、無理に聞く必要はないかな?

 

「進さんはどうしますの?」

 

セシリアが聞いてくる。

と言っても帰る場所がない私の答えは決まっているんだけど。

 

「ここに残るよ。束さんから手伝ってほしいって言われてるしね」

 

あのMSの研究。

あれを見るまで私たちは勘違いをしていた。

 

私たちは私を狙う組織は私がC.Eからこの世界に来たのを偶然見てしまい、異世界の技術をほしがって私のことを狙っているのだと思っていた。

だけど奴らが使ってきたのはC.Eの技術が使われた向こうで最も有名な量産機のうちの二機だった。

 

『奴らはお前の持つ異世界の技術ではなく、お前自身を狙っているのかもしれん。

そして奴らはお前と一緒の世界の出身の可能性がある』

 

私以外にもこの世界に来ている人がいる。

そしてその人はこの世界で何かをたくらんでいる。

 

(私が何とかしないと……)

 

これは私がこの世界に持ち込んでしまった私の問題だ。

私が終わらせないと………。

 

私が考え込んでいると、一夏が唐突に口を開いた。

 

「なら進、お、俺の家に来ないか?

束さんの手伝いがないときとか一人じゃ暇だろ?」

 

「一夏の家?」

 

「おう、ここからそう離れてないしさ!

そのあと箒の神社によって夏祭りも見に行こうぜ!」

 

一夏の家で遊んで……夏祭りか……。

お祭りなんてオーブで家族全員で行ったっきりだ。

 

「うん!行こっか!

みんなで!!」

 

 

 

そういった瞬間、一夏が凍り付き、他のみんなが一斉に噴き出した。

 

 

 

「クックク!そ、そうだな!みんなで、ククッ!行こうか!」

 

「フフフッ!そうですわね!行きましょうか!みんなで!」

 

「プププッ!そうね、それも面白いかもね!みんなで行きましょうか!」

 

「み、みんなダメだよ笑っちゃ!フフッ!」

 

「クックック!いいな!行こうか!」

 

「畜生……」

 

私にはなぜみんなが笑っているのかわからなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

帰り道。

と言っても、校舎から寮に帰るまでの短い間だけだ。

そこをみんなで歩く。

 

自然と笑みが漏れる。

 

「どうした、進?何かいいことがあったのか?」

 

ラウラが聞いてくる。

うん。いいことあったよ。

 

「私ね、この学園で友達を作る気がなかったんだ」

 

心の中に秘めていた思いを、少しづつ吐き出していく。

 

「ここに来る前の私はずっと戦ってばかりで、私は幸せになれない。幸せになっちゃいけないんだって思ってた」

 

こんなに自分の思いを吐き出すのはいつ以来だろう?

 

「だけどね?この学園に来て、一夏と出会って、一夏とセシリアと友達になって、会長が背中を押してくれて、織斑先生と束さんが守ってくれて、今はこんなにも友達がいる」

 

胸の奥があったかい気持ちでいっぱいになる。

 

「それがね?うれしいんだ……」

 

この幸福を、私は受け入れてしまった。

あの日、みんなが謝って、みんなに謝った日。

私たちは友達になった。

 

一夏とは親友になれた。

 

それが堪らなくうれしかった。

 

「もう幸せすぎて怖いくらいだよ」

 

この幸福が続けばいい。

ずっと続くと言うのは無理だ。そんなことはわかっている。

だけどせめて………。

 

私がC.Eに帰るまでは…………。

 

それまではこの幸福を望んでもいいよね?

 

「夏祭り楽しみだなぁ………」

 

そうして、私たちは笑い合いながら寮に帰って行った。

 

 

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「すごいね、MSって」

 

改めて感心する。

このMSを作った人は天才だ。

おそらく兵器を作る才能は私よりも上だろう。

 

「そこまでの物なのか?確かにスペックは高そうだったが……」

 

「高いなんてものじゃないよ。全部紅椿以上のスペックがある」

 

「なに……?」

 

そう。あーちゃんから聞く限り、今私たちの目の前にあるMSは量産機。

生産性を考慮して一機だけではそこまで強くはない。

だがその量産機ですら紅椿を上回る性能を持っている。

 

「正直向こうの技術をなめてたかなぁ?

戦闘記録ではあーちゃんがバッタバッタとなぎ倒してたからそこまで強くないのかと勘違いしちゃってたよ」

 

「確かに、侮っていたわけではないがそこまでの性能を持っていたとはな」

 

「ちーちゃんが相手にしたのが無人機でよかった。

もしこっちの国家代表クラスが乗ってたらいくらちーちゃんでも危なかったもん」

 

それほどまでにこのMSは脅威だった。

どうにかしてこいつらに対抗する手段を作らないと………。

 

「束」

 

「何?ちーちゃん」

 

「今一番危険なのは飛鳥のすぐ近くにいるあいつらだ」

 

そう。奴らの狙いはあーちゃんだ。

なぜ狙うのかはまだ推測の域を出ていないが、このまま放っておけばあーちゃんだけでなく一緒にいる箒ちゃんやいっくんにまで被害が及ぶ。

それだけは避けなければならない。

 

「私もお前も、いつもあいつらを守ることはできん。

だから自分の身を守る力は自分でつけてもらわねばならん」

 

「うん。でも、その手助けはできるよね?」

 

「そういうことだ」

 

この場合、手助けの方法は私たちには一つずつしかない。

 

ちーちゃんはその立場を活かして鍛えてあげればいい。

そして……、

 

「任せて!出血大サービスで箒ちゃんたちのお友達の分も仕上げてあげるから!」

 

目の前のモニターに目を移す。

 

そこには六つの名前があった

 

『白式 雪羅 剛』

 

『紅椿 春』

 

『ブルー・ティアーズ・ミーティア』

 

『甲龍 猛虎』

 

『ラファール・リヴァイブ・カスタムⅡ・アサルト』

 

『シュヴァルツェア・レーゲン・カニーンヒェン』

 

 

 

「絶対仕上げて見せるから!」

 

 

 

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「幸せそうだな」

 

「ですね」

 

「あれが《鬼神》だって言っても誰も信じてくれねぇだろうな」

 

男たちが口々に言う

その眼の奥は確かに憎悪の炎がともっていた

 

「あんまり穏やかじゃねぇよなぁ?」

 

「仕方あるまい。彼ら元連合と元オーブでは彼女は仇も同然だ。

そんな彼女があんなに幸せそうにしているのは、心中穏やかではないだろう」

 

「そういう意味では、俺らも彼らの仇になるんですが?」

 

「分かりきったことを聞く者を、私は部下にしたいとは思わんな」

 

「失礼しました。少し冗談が過ぎました」

 

その様子を見て、周りの男たちが忍び笑いを漏らす

 

すると、仮面をつけた男は眼下で友と笑い合う幼い少女に目を向ける

 

「やはり君にそんな顔は似合わない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

いずれ、その顔をまた絶望に染めてあげよう。

シン・アスカ」

 

そうして男たちの気配は消える

音もなく、気配もなく

 

元からそこに存在しなかったかのように消えていった

 




結構前に感想で書いた原作ISの強化形態のお披露目(名前だけ)です!

どうなるかは楽しみに待っててください!

今回はシンちゃん可愛いという意見があったので今まで悪夢にうなされたり後悔してばかりだったシンちゃんに幸福をプレゼントしました!

そこ!死亡フラグとか言わない!

そして今明かされる衝撃の真実!

あの謎の組織はC.Eの人達だったんだよ!

ΩΩΩ(*´ω`*)<な、なんだってー!


次回はPHASEシリーズ!
みんなお待たせ!グレイトおじさんの登場だよ!

また見てくれよな!



*冒頭のテスト休みとかは本作独自の設定です!
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