この作品の30%は捏造でできています!(今更)
夏休み。
いつもは人であふれている食堂も今は私しかいない。
夏休みが始まって一週間もたつとほとんどの寮生が自らの国に帰ってしまったからだ。
今この寮には私以外は数人しかいない。
いつものメンバーもシャル以外は帰ってしまったのでここにはいない。
「あ!ここにいたんだね、進!」
そんなことを考えながら食後に缶コーヒーを飲んでいるとシャルに声をかけられる。
「シャル?どうしたの?」
「部屋に一人でいても暇なだけだし、どこかに一緒に出掛けない?」
「私も暇してたし、いいよ。いこっか」
「と言うかなんで缶コーヒー飲んでるの?普通にコーヒーもらえばいいのに」
「缶コーヒーのほうが好きなんだ」
「ふ~ん?」
他愛のない話をしながら食堂を後にする。
缶コーヒーのほうが好きだと言った瞬間食堂のおばちゃんの一人からすごい目で睨まれた気がしたけど極力気にしないことにした。
着替えを済ませて寮の前で待つ。
持っている私服が以前にセシリアにもらったワンピースしかないのでそれを着ていくことにする。
「おまたせー!あれ?それ前に来てたやつだよね?」
「うん。一夏と遊びに行った時に来ていったやつだよ。
これしかなくて………」
そういった瞬間、シャルの眼の色が変わった。
「進?今なんて言ったの?」
「え?これしか持ってないって「信じられない!!」ふぇ!?」
いきなりの大声に変な声が漏れる。
「進!?女の子なんだからもっとおしゃれに気を使わないとだめだよ!?
なんで君もラウラもそういうところに無頓着なのかな!?」
そうしてシャルに説教されること三十分。本土行のモノレールに間に合わず、予定していた時間よりも大幅に遅れてしまった。
とりあえず暑い中で延々と説教できるシャルはすごいと思った。
「大丈夫?シャル?ほら、水」
「あ、ありがと~。ごめんね?僕のせいで一本乗り過ごしちゃって……」
現時刻は九時。
本来はもう少し早くに着くつもりだったが、思ったより時間がかかってしまった。
「いいよ、私を思ってしてくれたことだし。それでどこ行くの?」
「まずは進の服を見る!そのあとはお昼ご飯を食べて適当に歩こうか!」
適当に歩く?
「私の服を見るのって今考えたんだよね?」
「え?うん。そうだけど?」
「本来の目的とかあったんじゃないの?」
シャルはこの町で何か買いたいものがあったんじゃないだろうか?
そのために一人で暇そうにしていた私に声をかけたんだろうし……。
「目的?無いよ~そんなの?」
「へ?」
目的が無い?
どういうことだろうか?
「あのね?進。
女の子の買物は、基本的にウィンドウショッピングだよ。
いろんなお店をまわって、あれいいなぁ~とか、これほしいなぁ~とか思ったものを買っていくんだよ?」
「つまり、衝動買い?」
「まぁ、そうとも言うね」
なんというか……非効率にもほどがあると思う。
ちゃんと目的の物を先に決めておいて、それがどこのお店にあるのか下調べしておけば、時間をかけずに目的を達成できるし空いた時間を他のことに使うこともできるのに。
シャル曰く、ほとんどの女の子は基本的に大した目的もなく街を歩き、気に入ったものを衝動買いするそうだ。
随分非効率だと思うけど、そういえばマユも似たようなことをしていたと思う。
一度ルナに引っ張られてプラントの街で買い物に行った時も同じように当てもなく街を練り歩いていたように思う。
なるほど。言われてみれば納得だ。
「じゃぁ、いこっか!まずは進の服!」
普通の女の子の定義を考え直しているとシャルに手を引かれる。
入っていったのは大きな服屋。
店名を見た時C.Eにも同じ名前の巨大チェーン店があったのを思い出し叫びそうになったのを慌てて抑え込んだ。
異世界でも同じ名前で同じ店があるんだね………。
そしてここから始まったのは地獄の二時間だった。
「進~♪次はこれ着てみて~♪」
「もう勘弁してよ~!!」
シャルが次から次へと新しい服を持ってきては私に着替えるように言ってくる。
もう五十は超えたんじゃないだろうか?
途中から店員の人も一緒になって私を着せ替え人形のように扱っていた。
「やっぱりワンピースタイプかな?」
「そうですね、お客様は何を着てもお似合いになりますが、白い肌と長い黒髪、それとすらりと伸びた手足を最大限に引き出せるのはやはりワンピースタイプの商品になりますね」
「でもこっちのゴシックロリータも捨てがたいですよ?」
「それならこちらの………」
私は 逃げ出した !
「し~ん~?どこ行くのかなぁ~?」
しかし 回り込まれてしまった !
「ひどい目にあった………」
ベンチに座って一息つく。
シャルからの着せ替え人形の刑が終わり、現在公園のベンチで休憩中。
ダウンした私のためにシャルがアイスを買ってきてくれると言って売店に走って行ってしまった。
「……………暑い」
暑すぎる。
ここまでの暑さは経験したことがない。
ガルナハンも暑かったけどこの世界の夏は向こう以上に暑い。
ベンチに座りながら公園を眺めていると、子供たちが元気に走り回っているのが見えた。
「お姉ちゃんまってよー!」
「ここまでおいでー!」
そのうちの元気な姉妹に目が釘づけにされる。
『マユー?おいていくよー?』
『まってよー!』
もう二度と戻らない日常。
その一ページを見せつけられたような気がした。
「進?どうしたの?」
「シャル………」
両手にソフトクリームを持ってシャルが戻ってきた。
私を心配そうに見つめている。
「どこか痛むの?」
「何でもないよ。それより片方頂戴」
「あ、うん」
アイスを受け取りながら、時刻を確認する。
十一時三十分。
そろそろお昼時だ。
「これ食べたらお昼にしよっか」
私につられてシャルも時間を確認したのだろう。
アイスを食べながら言ってきた。
「そうだね。もう少ししたらどこもいっぱいになっちゃうしね」
そうしてシャルと話し合いながらお昼の場所を二人で考えた。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
お店に入る。
ネットの口コミで評判が良かったお店だ。
「いらっしゃいませー!」
そうして出迎えてくれた店員を見て僕は度肝を抜かれた。
「い、一夏!?なにしてるの!?」
「あれ?シャル?それに進か!」
「あ、一夏だ」
とりあえず席に案内してもらう。
「あらぁ~ん?織斑くぅ~ん、その子たち知りあ~い?」
奥から出てきた人を見て、僕は悲鳴をあげそうになった。
「あ、店長!同級生っす!」
「あらあらぁ~!なら接客はいいからその子たちとおしゃべりしときなさいなぁ~!休憩時間ってことにしといてあげるぅ~!」
「あざっす!」
身長は2メートルを超えているだろうか?
がっしりとした体格。
厳つい顔。
青くて長い髪。
その髪を束ねるリボン。
はち切れんばかりの胸筋。
フリルのついたスカート。
そのスカートから覗く毛むくじゃらのムキムキの足。
隣で進が青い顔をして「マユ………ステラ………ごめん………今私もそっちに………」って言ってるのが見えるけど、そっちを気にしている余裕は僕にはなかった。
「それじゃぁ~!ごゆっくりぃ~ん!」(CV.若本)
野太い声でそう言われて、全身鳥肌が立った!
「一夏?あの人?は?」
「ん?店長のことか?面白い人だぞ!最初はみんなあの姿でビビるんだけど、話してみるといい人でさ!」
嘘だ!と叫びたかった。
ま、まぁ人は見かけで判断しちゃいけないっていうし、とりあえずはあの人?のことは忘れよう。
見ると進は進でさっさとご飯を注文している。
食べて忘れる気なんだろう。
「ちょっ!ちょっと待って進!まだ僕が決めてない!」
「え?あ、ごめん。ちょっと動揺してたみたい」
分かるよ、その気持ちは。
そうしてみんなで注文して商品が届くのを待つ。
「一夏はバイト?」
「ああ、この夏休みを利用してな。いやぁ~いいところ見つけたぜ!」
果たして本当にいいところなのか疑問が尽きないがもうあまり考えないようにしよう。
そして注文が届いたときにもう一度びっくりした。
「一夏?こんなに食べられるの?」
カレーにリゾットにパスタにサラダにハンバーグにステーキに冷やし中華。
正直お昼から重すぎると思う。
「いや、俺じゃないぞ」
「へ?」
「俺が注文したのはハンバーグだけだ」
因みに僕は冷やし中華。
だとすると残りは全部………?
「いただきます!」
着た料理を片っ端から片づける進。
「……進?食べすぎじゃない?」
「う~ん。分かってはいるんだけどね。
こっちの料理はおいしいからついつい食べすぎちゃって」
(こっちの料理?進って海外の出身だっけ?)
まぁあまり詮索するのもよくないかなと思い、話題を変える。
「太らないの?」
「むしろもうちょっと体重がほしいから食べてるところもあるかなぁ……」
「ふ~ん」
体重を増やしたいなんて言う女の子は初めて見た。
そのまま他愛のない話をしながらご飯を食べていると、突然進が立ち上がり僕と一夏を机の下に押し込んだ!
抗議の声を上げようとした瞬間、お店の扉が爆発した!
「全員動くなぁ!動けば撃ち殺すぞ!」
(またぁ~!?)
この前ラウラと一緒に出掛けた時もご飯を食べていたら強盗が入ってきた。
僕は呪われているのかな?
「おい!そこの女も来い!」
「わかった。今行くから撃たないで!」
進が答える。
咄嗟に進が隠してくれたおかげで私たちはまだ見つかっていない。
どうにかしてこの状況を打開する策を考えなければ。
「ぐぁ!?」
打開策を考えていると、いきなり悲鳴が聞こえた。
慌てて状況を確認するために机から出る。
「な!?てめぇ!!なにを!?がはっ!!」
見れば進が男のうちの一人のおなかに肘打ちを叩き込んでいた。
その足元には別の男が頭から血を流して倒れている。
近くには割れた一升瓶があった。
肘打ちを入れた男をそのまま蹴り飛ばす。
「ふざけんじゃねぇ!!!」
激昂した男の一人が進に向けて銃を構える。
だけどその間に進は男の懐に入り込んでおり、腕を締め上げて投げ飛ばす。
「ぎゃぁ!!」
男から悲鳴が漏れる。
見れば腕が絶対に曲がらない方向に曲がっていた。
落ちた銃を拾う。
「くるな!くるなぁ!!」
半狂乱になって銃を撃ちまくる男が一人。
進は近くに倒れていた机を男のほうに蹴り飛ばす。
「ぐぁ!!!」
机は銃弾を遮りながら男に激突。
倒れた男に拾ったナイフを突きつける。
「どうする?降伏か、死か。この距離ならナイフのほうが早いよ?
後は私がこのナイフをあんたの眼に突き立てればいいだけなんだから」
「ひっ!まて!わかった!武器を捨てる!だからやめてくれ!!」
その後ろ。
最初に頭から血を流して倒れていた男と蹴り飛ばされた男が進に銃を向ける。
危ないと叫ぼうとしたがもう遅い。
銃声が二回。
悲鳴は二つ。
「ぐあぁああああ!!」
「ぎゃあぁぁぁ!!!いでぇぇぇよぉぉぉぉぉ!!!」
進に銃を向けた男たちの右肩。銃を持っていた右手の肩を、進は撃ち抜いていた。
両手に持ったマシンガンで。
先ほど降伏を迫った男の銃と、あらかじめ拾っておいた銃の二丁拳銃で撃ったみたいだ。
外からパトカーのサイレンが聞こえる。
「警察か。どうする?」
「おとなしく事情聴取を受けた方がいいよ。逃げたら逆に面倒になる」
銃を捨てながら進が言う。
いまだに叫んでいる男たちの声を聴きながら、僕たちは警察が突入してくるのを待った。
「馬鹿者どもが。行く先々で問題をおこしおって」
織斑先生に怒られながら歩く。
時刻は十九時。
あれからだいぶ時間を取られてしまった。
と言うのも、進の発砲はさすがに問題があったのだ。
正当防衛で片づけることができず、また、一歩間違えれば犯人を殺してしまっていたためさすがに庇いきれなかったのである。
まぁ今回は厳重注意となった。
「警察が来るまで待てんのか?」
「あの程度なら一人で制圧できると思いましたから。一般客への被害も出さない自信がありました」
「………はぁ。今日はもう遅い。うちに泊まっていけ」
織斑先生が大きくため息をつく。
そしてうちに泊まって行けと………え?
「うちって、織斑先生の家ですよね?」
「それ以外何になる?」
「晩飯の材料足りるかな?」
「一夏の家に行くの予定より早くなったなぁ」
なんでこの人たちはこんなに冷静なんだろうか?
(っていうか僕、ちゃんと寝れるかな!?)
ドキドキして眠れない自信がある!
諦めたとはいえ、それでも初恋の人の家に行くのだ。
ドキドキしないわけがない!
(大丈夫かな?僕)
これからまたひと騒ぎありそうだと思いつつ、僕らは一夏の家を目指し、帰路に就いた。
ナイフ格闘で教官を倒したのは伊達じゃねぇぜ!
一升瓶がどこから出てきたかわかった人にはジュースを奢ってやろう。
そして感想にあった着せ替えシンちゃん!
作者は服のセンスなんてないからテキトーです!
因みに時系列的には原作のシャル&ラウラのお買い物の少し後です!
その間にシンちゃんは何をしていたのか…………はい、訓練してました。
軍人だしね。仕方ないね。
あと2話くらい日常回が続き、そしてやっと章タイトルの通りになります!
ちょっと―!遅すぎんよー!
次回はプールかな?
あ、アンケートは日常回が終わると同時に締め切ります。
現在は残留が優勢!
投票はお早めに!(露骨な誘導)