[IS]運命の翼の少女   作:名無しのごんべい

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注意!!

今回は独自設定、オリキャラ、原作ISの改編などがあります!!

それらが不快に思われた方はすぐにブラウザバックだ!!


第三十一話 「開演あるいは現実」

「MS!?なんで!?」

 

空に浮かぶ数十体のMS。

ザクにウィンダム、ムラサメとまったく統一感がない。

 

(……パイロットがいない!?)

 

MSはISよりも装甲が多いが、それでも顔などはきちんと見えるようになっていた。

それはニュートロンジャマーのせいでもある。

ニュートロンジャマーの効果により、レーダーの類はあまり効果を発揮しなくなっていた。

だからこそ、戦場に出る兵士は自身の肉眼をいちばん信用していた。

ミラージュコロイドもレーダーでは全く分からないが、肉眼ならばほんのわずかな空間の揺らぎを認識できたからだ。

 

だが、目の前のMSはすべて全身装甲(フルアーマー)

人が発する殺気というものが全く伝わってこない。

 

(無人機……そういえば織斑先生が鹵獲した機体も無人機だったって……!)

 

MSの銃口が一斉にこちらを向く。

咄嗟にインパルスを展開し、一夏を抱いて後ろに飛ぶ。

 

爆発。

 

さっきまで私たちがいた高台が一瞬で焼け野原になっていた。

 

「な……なんだよ……これ!?」

 

いきなり現れたMS。

一夏にしてみればいきなり何もないところからISが現れてこちらに向けて発砲してきたのだ。

混乱するのも当然だろう。

 

「一夏」

 

逆に私は極めて冷静だった。

 

「一夏は一般客の避難をお願い。私はあいつらの足止めをするから」

 

一夏を下ろし、MSをにらむ。

 

「お、おい!進!」

 

一夏の制止の声を振り切って飛ぶ。

久しぶりの感覚。

少し前までこの緊張感が当たり前だった。

 

「こい!私が相手だ!」

 

ライフルを撃ちながら叫ぶ。

そのほとんどがシールドで防がれるが、何発か直撃。

だけど……、

 

「効かない!?」

 

MSの装甲に阻まれる。

IS用にダウングレードされたビームライフルではMSの装甲相手ではかすり傷の一つもつかなかった。

 

(確かにISとMSでは性能に差があることは知ってたけど……ここまでだなんて……)

 

なおも牽制のために撃ちまくるが、効かないことが分かった相手MSは防御も回避もせずにこちらに向かってくる。

 

(それなら!!)

 

放たれる弾幕を回避しながら役に立たないライフルを捨て、ビームサーベルを抜く。

フォースシルエットの機動性を活かしてビームの嵐をかいくぐり、一閃。

狙い通りMSの腹部を切り裂いた。

 

(ビームサーベルならいける!)

 

それでも、いつもより多くサーベルにエネルギーを送らなければ装甲に阻まれる。

何より、このビームの雨の中一体ずつ接近して処理することは困難だ。

 

「くっ!」

 

間一髪、当たりそうだったビームを盾で受け止める。

 

「!?盾が!?」

 

その一発だけで、盾が溶解している。

IS用に用意された盾ではMSの攻撃を全く防げなかった。

 

「くそぉ!!」

 

盾を投げつけ、飛び回る。

止まったらハチの巣にされる。だから動き続けるしかない!

 

だけど、フォースシルエットの機動力についてこれる機体があった。

 

(ムラサメ!?くそ!)

 

飛行形態となったムラサメだ。

パイロットがいた場合は飛行形態になったら何とも不恰好だったが、無人機ではパイロットを考慮に入れる必要がないためまるで戦闘機のようになっている。

 

ムラサメ七機と私のドッグファイトが始まる。

 

周りからは私を狙ったビームが飛んでくる。

後ろからはムラサメが追いかけてくる。

 

そしてISとMSの絶対的な性能差。

 

たまに私の前に現れて通せんぼをしてくるMSをすれ違いざまに切り捨て、その分だけムラサメに距離を詰められる。

 

(何か……何か手は!?)

 

このままフォースシルエットで戦う?

相手にムラサメがいる以上、いずれ追いつかれる。足を止められた時が私の終わりだ。

 

ソードシルエットに変える?

この状況で接近戦を挑むのは論外だ。それにソードシルエットは長時間飛べない。

 

ブラストシルエットに変える?

ケルベロスなら相手の装甲を貫けるかもしれない。だけどこの状況でスピードを落とすのは自殺行為だ。

 

デスティニーシルエットなら?

一番可能性がある。問題は殲滅するまでエネルギーが持つかどうか……。

 

 

 

「!!しまった!!きゃぁ!?」

 

目の前のウィンダムを切った瞬間、ムラサメの一機に追いつかれ体当たりされる。

衝撃で止まってしまう。

そこに向けられる無数の銃口。

 

(迷ってる場合じゃない!!)

 

すぐさま左手のソリドゥス・フルゴールビームシールドを展開。

 

ビームの雨をやり過ごし、デスティニーシルエットを展開する。

 

「こんなところで……こんなところで!私は!!」

 

頭の中で、何かがはじける。

それと同時に視界が一気にクリアになる。

翼型の推進装置を全開にして、高速で移動する。

 

「はぁぁぁああああああ!!!!」

 

背中からエクスカリバーを抜き、相手を切り裂く。

後ろから迫るビームを見ずに避け、今切り落としたウィンダムが持っていたビームライフルを奪う。

 

発砲。

 

後ろから私を狙っていたザクを撃ち落とす。

そのまま向かってくるムラサメの上に乗り、エクスカリバーを突き立てる。

エクスカリバーを引き抜き、踏み台にしていたムラサメを他の機体にぶつかるように蹴りつけながら離脱。

 

ビームサーベルを振りかざしながら突撃してきた他のムラサメを、ビームシールドで受け止める。

 

だけど、それは悪手だった。

 

後ろから飛んできたザクのトマホークをよけきれず、左翼を持っていかれる。

 

ビームが左肩の装甲をかすめ、装甲が削れる。

 

持っていたライフルが撃ち抜かれる。

 

「くっそぉぉぉおおおおお!!」

 

それでも抵抗を続ける。

MSの数はかなり減っている。

あと十機。

ザクが四機、ウィンダムが四機、ムラサメが二機。

一夏たちは逃げきっただろうか?

 

 

 

『俺がお前を幸せにしてやる!!だから俺と結婚してくれ!!!』

 

 

 

 

不意に一夏の告白を思い出す。

 

最初は冗談だと思った。

こんな私が一夏みたいな素敵な人に愛されるだなんて思いもしなかった。

 

(だけどそれは……一夏が私を……「シン・アスカ」を知らないから)

 

たくさんの人を殺してきた私を知らないから。

 

きっと、本当の私を知れば一夏は私を軽蔑する。

「人殺し」と私を罵るだろう。

 

(だから……あれでよかったんだ)

 

本当はうれしかった。

泣きたいくらいうれしかった。

 

だけど、私に幸せは赦されない。

 

私が積み上げた屍が、赦す筈がない。

 

 

エクスカリバーを構えなおす。

 

「さあ来い!絶対に護って見せる!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「護る?大した自信だな」

 

 

 

不意に声が響く。

空中にあいた穴から一機のMSが現れる。

それは何の変哲もないムラサメだ。

 

だけど、パイロットが乗っている。

 

(ここにきて有人機……)

 

今までは無人機だからこそ戦えていた。

だけどここで有人機に責められるとかなり苦しい。

 

「誰よ……あんた」

 

「初対面ではないぞ。一度戦場で会っている。まぁ、貴様は知らないだろうがな」

 

男は吐き捨てるように言う。

私も、目の前の男に覚えはない。

 

「ムラサメに乗っていると言うことは……あんたオーブ軍?」

 

そう言うと男はこちらをキッと睨む。

 

「そうだ!私が貴様を始めて見たのがクレタ沖での戦闘だ!そこで私はタケミカズチのムラサメ隊に所属していた!」

 

タケミカズチ。

 

確か私が落したオーブ最大級の空母だったはずだ。

クレタ沖海戦で私が沈める時艦橋に誰かいたが、その人の敵討ちだろうか。

 

「敵討ちってこと?」

 

「そうだ!空母タケミカズチの艦長!トダカ一佐の敵討ちだ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

思考が止まる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

トダカ一佐の仇?私が?

 

 

 

『君だけでも、生きていてくれてよかった。ご家族も、そう思っているはずだ』

 

 

 

あの人が……あそこにいた?

 

 

 

『オーブに戻るのは辛いかい?ならプラントに行くといい。そこで、亡くなったご家族の分も幸せになってくれ』

 

 

あの人が……タケミカズチの艦長?

 

 

『軍人になる……か。君の気持ちも……いや、そうだね。君ならきっと強くなれる。そしてその力で必ず誰かを守れる。私はそう思う』

 

 

私が…………あの人を…………、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

殺した?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さあ死ね!トダカ一佐の仇!!」

 

そして、無数のビームが私を貫いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「一夏は一般客の避難をお願い。私はあいつらの足止めをするから」

 

「お、おい!進!」

 

進は俺を下ろすと、無数のISのほうに飛んでいった。

 

「どうなってるんだよ……」

 

相変わらず俺の頭は混乱している。

進に告白して、進が愛される資格がないとか言って、そこから進と口論になって、そしてあのISが攻めてきた。

上空では進とあのISたちが闘っている。

 

咄嗟に白式を展開しようとして、今束さんに預けていることに気付く。

 

「くそっ!」

 

今の俺には進が言ったように一般客の避難を手伝うことしかできない。

後ろ髪をひかれながらも、俺は高台から夏祭りの会場に下りて行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「一夏!!」

 

「みんな!」

 

いきなりの爆発にパニックになっている会場で、みんなと合流する。

 

「何があったの!?」

 

「いきなりISが攻めてきた!今進が時間を稼いでる!だから一般客の避難を!」

 

「わかった!僕は学園に連絡を取るから、他のみんなは箒を中心に避難誘導を!ただのお客さんとしてきた僕たちよりここの巫女さんの箒が誘導した方がいい!」

 

「了解だ!」

 

「わかったわ!」

 

みんなが動き出す。

 

それにしてもあいつらは何だ?

あいつらが千冬姉が言ってた進を狙う敵なのか?

 

(だとしたら……進を一人で残してきたのは間違いだったんじゃ?)

 

だけどいま俺たちにはISがない。

生身で戦うだなんてことができるわけがない。

 

(また肝心な時に……俺は無力だ!)

 

一番守りたい人がピンチの時に、俺は何もできない!

 

「いた!おーーーい!!いっくーーーん!!!!」

 

一際大きな声が、俺の耳に届いた。

 

「!!束さん!?」

 

「まだセーフ!?まだ間に合う!?よし!!

お待たせ!!いっくんのが一番早くできたからね!!超特急で持ってきたよ!!」

 

そうして束さんから渡されたのは白いガントレット。

 

「白式!!?できたんですか!?」

 

「うん!これでMSにも対抗できるはず!!」

 

「MS?」

 

「敵の機体の名前!さあいっくん!それであーちゃんを助けてあげて!!」

 

そうだ。

今は細かいことを気にしている時間はない。

今ここには進を助けることができる力がある!

 

白式を展開する。

 

「これが……新しい白式」

 

外見はあまり変わらない。

ただ、武装が大幅に変更されていた。

 

「《雪片・甲》《雪片・乙》?二刀流か。雪羅も左手じゃなくて非固定武装になってる」

 

両手に雪片、右肩のほうに雪羅が浮いている。

 

「名付けて!《白式 雪羅 剛》!いけぇえええ!いっくん!!」

 

「はい!!」

 

今だにビームの光が見える高台のほうへ飛ぶ。

 

(!?は、速い!!??)

 

ただ全開で飛行しただけで瞬時加速と同等のスピードが出る。うまく調節しないと俺が機体に振り回される!

 

『そうだ!空母タケミカズチの艦長!トダカ一佐の敵討ちだ!!』

 

白式のセンサーが高台の音を拾う。

 

すると知らない男の声が聞こえた。

 

すぐにハイパーセンサーを全開にして高台の様子を確認する。

 

進が震えている。

その前でIS……束さんが言うにはMSを纏った男がいた。

 

(本当にISじゃないのか!?)

 

ISに乗れる男は俺だけのはず。

ならあいつが纏っているのはISではないと言うことか。

 

そして男が進に向けてライフルを構える。

 

だけど進は動かない。

 

「何してる進!!避けろ!!!」

 

「さあ死ね!トダカ一佐の仇!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、無数のビームが進を貫いた。

 

 

 

「しぃぃぃぃぃぃぃぃん!!!」

 

機体の各所から爆炎を上げながら落ちる進の元へ飛ぶ。

 

「進!!大丈夫か!!おい!!」

 

すぐに進の状態をチェックする。

幸い、絶対防御が働いてくれたからか、今すぐ進が死ぬような事態にはならないみたいだ。

だけど、機体のあちこちが爆発した衝撃で傷だらけだ。意識もない。

 

「チッ!仕留め損ねたか」

 

MSとやらに乗った男が近付いてくる。

 

「あんた!あんたが千冬姉や束さんが言ってた進を狙うやつらだな!!なんでこんなことをするんだよ!!」

 

「そうだな……以前の私なら「新世界のため」とでも言っていただろうな」

 

「はぁ!?」

 

「だが今は違う。シン・アスカが出てきたとなれば話は別だ」

 

そこで男は一度言葉を切る。

 

「今の私は復讐のために戦っている。そこの女……シン・アスカに殺されたトダカ一佐の仇を撃つためにな!」

 

仇?

 

「進が……殺した?」

 

「そうだ。その女はかつて戦争という大義名分の中で何百人もの命を奪った人殺しだ」

 

「う、嘘を吐くな!!」

 

「嘘ではない。こことは違う世界で、その女は何百という人を殺している」

 

進が……人を殺した?

進が人殺し?

 

 

 

『それに私は…………誰かに愛される資格なんてないから…………』

 

 

 

『一夏は本当の私を知らない!!わたしは一夏が思っているようなきれいな女の子じゃない!!誰かに好きだなんて言ってもらえるような資格がある人間じゃないんだ!!』

 

 

 

 

進の言葉を思い出す。

あの言葉は全部、自分が人殺しだからだとでもいうのか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

だとしたら………………俺は………。

 

 

 

 

「さあ、わかったらそこをどけ。その女を庇い立てする理由はお前にはない」

 

 

 

俺は………、

 

 

 

『お前たち、あいつの過去を聞いても、どうか今までと同じように友人として、クラスメートとしてあいつに接してやってくれ』

 

 

 

不意に、千冬姉の言葉を思い出す。

 

 

「どかない」

 

「何?」

 

「どかないって言ったんだよ!!クソ野郎!!」

 

右肩の上に浮いている雪羅を荷電粒子砲状態にして発射する。

 

「ぬぅ!?」

 

「そうだ。

進の過去が何だって言うんだ?

俺はあいつの友達だ。

俺はあいつの親友だ!

人殺しだなんて、その程度のこと(・・・・・・)で俺がここをどく理由にはならない!!」

 

そうだ。何を迷う必要があるんだ?

 

俺は進の親友だぞ!!

俺があいつを信じないでどうする!?

俺があいつを守らないでどうするんだよ!!

 

さあ覚悟を決めろ!織斑一夏!

 

俺は進が好きなんだろ!?

進を愛してるんだろ!?

 

なら、惚れた女くらい命をかけて守って見せろ!!!

 

「さあ来い!!進を殺したいって言うんなら、まずは俺を殺してからにしやがれ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 




オーブ軍人さんはオリキャラです。

原作シードでやらなかったトダカさん関連をやりたいがために出した!

この作品のムラサメってどうやって変形してるんだ?と思ったでしょう?
Zのウェブライナーみたいになってます。

はい、苦しいですね。
分からない人は波乗りのボードに寝転がってる状態だと思ってください。

にしてもイケメンですね、一夏君。
熱いです。熱血漢です!

そしてアンケートに参加してくださった皆さん!
ありがとうございました!

結果残留ルートで行こうと思います!
帰還ルートを希望された方は申し訳ありません!

ifルートでという要望もありましたね。
もしifルートでやるとなると番外編になりますが、今のところifルートの予定は完全に未定です!

あまりにも要望が多ければやるかもしれないですが、あまり期待はしないでください。


次回は先に一夏君視点です!
果たして本物の軍人に一夏君は勝てるのか!?



以下、次回予告!脳内BGMはvestige-ヴェスティージ- で!




進の過去を明かされ、新たに決意を固める一夏。
立ちはだかる強敵を前に、白式の雪片が真の姿を見せる!

次回!
[IS]運命の翼の少女!第三十二話 「現実あるいは決意」
少女の涙を止めるために、護り抜け!一夏!
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