[IS]運命の翼の少女   作:名無しのごんべい

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結構難産。


PHASE-5 「消えぬ傷痕」

「どうだった?」

 

「ああ。やっぱりだ」

 

キラの言葉にアスランは答える

 

目の前に広がるのはMSの生産工場

そこには無数のデスティニーが安置されていた

 

「言え!こんなところでこんなものを作って何をしようとしていた!!」

 

「ひぃ!!」

 

イザークが研究者の一人を締め上げている

 

「おいおい、とりあえずはそいつらを縛り上げてさっさとエタニティへ戻ろうぜ?」

 

「そうだな、あまり長居する必要もない。後はオレンジショルダー隊に任せて帰還しよう」

 

ディアッカの言葉に同意するアスラン

 

「……ああ。わかった」

 

オレンジショルダー隊とは、ハイネ・ヴェステンフルスの死後、彼を慕う者が部隊にかかわらず乗機の肩をオレンジショルダーにしたことからつけられた者たちである

その実力は高く、オレンジショルダー隊の全員がユニウス戦役を生き残ったと言う

そのことからも、同じザフト内での信頼も高い

アスランたちも彼らを信頼している者たちの一人であった

 

「にしても、ここまで大量に用意されてるとはなぁ?何機倒したよ?俺ら」

 

「数えるのも億劫になるほどだな」

 

イザークとディアッカが軽口をたたきながらヘリオポリスからの離脱準備を始める

 

「僕は……どうしてこんなところに……来てしまったんだろう?」

 

キラの口からそんな弱音が漏れる

彼は現状を憂いていた

長い戦争は終わった

ラクスが指導者の立場になり、誰も運命に縛られない自由な世界が来ると思っていた

 

だが現状はどうだ?

目の前にあるデスティニーのようにいまだに兵器の開発は進められている

争いの源である力は今も生まれている

 

『君は私を倒した後どうするのかね?世界はまた混迷の闇に逆戻りだ』

 

不意に、デュランダルから言われた言葉がよみがえる

 

(…………僕は……)

 

覚悟はあると言ったはずだ

戦うと誓ったはずだ

 

(でも……僕は…)

 

本当にこのままで世界は平和になるのか?

戦うだけで平和は勝ち取れるのか?

 

『わたくしたち人は、闘わなくてもよかった存在』

 

『それが人だよ!!』

 

『キラ・ヤマト……お前は消えなければならない!俺たちと共に!!』

 

(僕は……)

 

 

 

『いくらきれいに花が咲いても……人はまた吹き飛ばす』

 

 

 

何時になったら、平和は来るのだろうか?

 

(みんな…同じ夢を見ているはずなのに……)

 

キラ・ヤマトは葛藤する

 

スーパーコーディネーターである彼の優れた頭脳をもってしても、戦いを終りに導く方法はわからなかった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ジュール隊長から入電!製造工場を制圧、研究員を捕縛しこちらに帰投するようです!MSの回収はオレンジショルダー隊に任せるとのこと!」

 

「よーし!オレンジショルダー隊は発艦準備!中はデブリの海だ!気を付けろよ!」

 

「「「「「了解!」」」」」

 

バルトフェルドの号令でオレンジショルダー隊が発艦準備に入る

 

「何かわかりますかね?」

 

「それはキラたちが帰ってきてからでないと何とも言えんなぁ~?ま、よくないことには違いないだろう」

 

コーヒーを飲みながら静かに笑うバルトフェルドにダコスタが笑いかける

 

「ま、艦長の失恋より悪い知らせはないでしょう」

 

「君も言うようになってきたねぇ、ダコスタ君」

 

「誰かに似たんですよ。人をからかうところがね」

 

二人が笑うも、ブリッジは微妙な空気で満たされていた

 

(失恋!?艦長って好きな人いたのか!?)

 

(ちょっと!今チャンスじゃない!?)

 

(ていうかなんでこんな話を堂々とできるんだよあの二人は!!)

 

(艦長×副館長……ハァハァハァハァ!!)

 

そんな空気になっているとはつゆ知らず、二人は雑談を続ける

 

「まったく……死んだと思ったのに生きて帰ってくるとは卑怯だよなぁ…」

 

「そんなこと言って、隊長もアイシャさんが生きてたらうれしいでしょう?それと一緒ですよ」

 

「アイシャのことを持ち出すのは卑怯だと思わんかね?ダコスタ君?」

 

「艦長がとっとと決心つけなかったからこうなったんですよ」

 

さらに重くなる艦内の空気

 

『帰投したぞ!』

 

その空気をぶち壊すように、イザークの大声が聞こえてきた

 

「お!もう帰投したか。ようし!では今回の重要参考人を締め上げるとするかぁ!」

 

「ほどほどにしてくださいよ!」

 

「分かってるよ」

 

そうしてバルトフェルドはブリッジを後にした

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「それで、あそこであんなものを作って何をするつもりだったんだ?」

 

「し、知らない!ただあれを作れって言われてただけだ!」

 

「なにぃ!?」

 

「落ち着けってイザーク。それで?誰に言われたんだ?」

 

すでにイザークとディアッカの尋問が始まっていた

イザークが相手を威圧し、ディアッカがやさしく語り掛ける

 

見事な飴と鞭の使い分けであった

 

「顔は知らない。いつも仮面をつけてた。デュランダル議長の命令だから作り続けろ、できたら取りに行くって」

 

「そいつは来たのか?」

 

「まだ来てない」

 

『キラ様、アスラン様』

 

イザークとディアッカの尋問を傍聴室で見ていたキラとアスランの二人に通信が入る

 

「様はいらないってば。それで、どうしたの?」

 

『はい、こちらで資料を見つけました。紙の媒体ではなくデータですのでそちらに贈ることもできますが…』

 

「じゃあお願い」

 

『畏まりました。データはところどころ破損しております。ご注意ください』

 

そう言って通信が切れるとすぐに二人の端末にデータが送られてきた

 

「異世界への渡航と理想郷の建設?」

 

「なんだこれは?」

 

そこに書かれていたのは途方もない絵空事

 

「プロトユニットを使っての空間跳躍を利用した異世界への渡航……そこへの量産型デスティニーと無人MSを使った武力介入?」

 

「他は……ダメだ。破損してる」

 

「こっちもだ……だが、こんなことが本当にできるのか?異世界だなんて……」

 

「空間跳躍……ワープの時点で眉唾物なのにね」

 

到底信じられない内容

だが、アスランの直感がこれを無視するなと騒ぎ立てる

できないことだと切り捨てるなと

 

「プロトユニットのデータ、DSSDからもらえないだろうか?」

 

「アスラン?これを信じるの?」

 

「一応な。検証しておいた方がいいかもしれない」

 

ありえないことだ

異世界など絵空事もいいとこだ

だけど、アスランは否定を続ける理性を押さえつける

自分の直感を信じる

 

(この先に……シン、お前がいるなら)

 

もし、生きているのなら

 

もし、異世界で生き延びているのなら

 

(戻ってきてくれ、シン。お前がいないとこの世界はもうどうにもならない。

今、緩やかに滅びへのカウントダウンが始まろうとしている。

このままではラクスとキラに抑えつけられた平和は崩壊する。

だけど、俺とお前がいれば、またやり直せる。

今度こそこの世界をいい方に導ける!)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

最強の騎士と呼ばれた男は、静かに壊れていく

 

その果てに何があるのか……

 

それはまだ、誰も知らない

 

 

 

 

 

 

 

 




ここまで時間がかかってしまった。

今回は連投です。

番外編も一緒に投稿します!
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