(チートとか)ふざけんじゃねえぞ!
な人や、
貴様ら貴様ら!(チートとか)馬鹿野郎!
な人や、
お前(チート)は死んだんだぞ!ダメじゃないか!死んだやつが出てきちゃぁ!死んでなきゃぁ!
な人はいますぐ撤退を!
コシュンカンヲ(チートを)マッテイタンダー!
な人はこのままお進みください。
と言っても次回までチートのお披露目はないがな!
体が軋む。
ISとは比べ物にならないGが病み上がりの体をむしばむ。
鋭い痛みを脇腹に感じてそこをデスティニーの掌で拭うと赤い液体がついた。
(……あはは)
よく見れば体中にあった傷が開いている。
このまま飛び続ければ……戦えば私は死んでしまうだろう。
(……)
目の前には漆黒の巨躯。
かつて私が救えなかった少年が最後に乗っていた悪魔。
ベルリンをたった一機で地獄に変え、ザフトの地上部隊を十分と立たずに壊滅に追い込んだ連合最強の兵器。
その周りをいくつかの光が飛び交っている。
今は人型になっているが、その防御力はかつてとまったく遜色ない。
セシリアの物であろういくつものビームが巨体を襲うが、そのどれもが陽電子リフレクターのせいで届かない。
《エネルギー残量62%》
残りは少ない。
武装はIS用にデチューンされたビームライフルとありあわせで作った盾、そして唯一無事だった《フラッシュエッジⅡビームブーメラン》のみ。
ライフルはMSには効かないのは実証済み。
盾は一回もてばいい方だろう。
(これは……詰んだかな?)
デストロイ一機なら何とかなった。
だけど周りには量産型の装備が違うデスティニーが四機。
一夏たちは連戦で疲れもあるし、エネルギーも心もとないだろう。
そんな中、死にぞこないが一人行って何になる?
冷静な私が頭の中で必死に叫ぶ。
だけど、行かなければならない。
せめて、みんなが逃げるだけの時間は稼がなければならない。
私が行けば、敵は私に攻撃を集中するだろう。
その隙にみんなをさがらせて、せめてデストロイとだけは相討ちに持ち込む。
(……はは)
ずっと、死に場所を求めていたのかもしれない。
あの日から……何もかもを失ったあの日から。
ただ死ぬのが嫌で、誰かを守りたくて。
それでも、いつも家族のもとに行きたがっていたのかもしれない。
戦争を終わらせると誓ったのは嘘じゃない。
だけど、戦争のない世界を作ってくれるなら、誰でもよかった。
ただ議長の未来が一番戦争が起きないと思ったから、私はザフトの兵士だからザフトで戦っただけだ。
思い出すのはこれまでの人生。
奪われてばかりだと思った人生も、うれしいことや楽しいことはたくさんあった。
あの日より前はずっと幸せだったし、この世界に来てからは忘れていた少女らしさを取り戻せたと思う。
だから、私を取り戻させてくれたみんなのために……。
たとえ、この命がここで尽きようとも……。
「守ってみせる……絶対に……」
左手でフラッシュエッジを抜き、目の前の戦場に飛び込んだ。
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戦況は劣勢か……。
目の前の蒼い翼の機体と交戦しながら思考を巡らせる。
シャルは戦闘機を背中につけた機体と交戦中。
光学迷彩で翻弄しているがそれでも互角とみていい。
一夏は箒とともにビット搭載機二機と交戦中。
一夏は以前セシリアとの戦いや進の心の中でレイという男と交戦した経験から何とかしのいでいるが、箒はギリギリだ。
あの椿というAIの罵倒が戦場に響き渡っているが、この際それは置いておこう。
鈴とセシリアはあのデカブツを相手取っている。
鈴はともかく、セシリアの攻撃がすべて無効化されると言うのは痛い。
鈴の機体では攻撃力に欠け、セシリアの攻撃はそもそも届かない。
あのデカブツに効率よくダメージを与えられるメンバーが全て抑えられてしまった。
「なかなかしぶといな。このデスティニーフリーダム相手にここまでくらいついてくるとはな」
上段から振られるサーベルを身をひねって躱し、ワイヤーブレードを射出する。
六本のうち三本が切り払われる。
二本が交わされるが一本がその翼をとらえた。
「とらえたぞ!」
「甘いな」
電撃を流そうとした瞬間、男の機体から翼が外れる。
「な!?」
そのまま翼のない状態で接近してきた男はサーベルを振り下ろす。
驚きで硬直して動けなかった私はシールドでそれを防ぐ。
「それは悪手だ」
サーベルを受け止めているシールドがどんどん溶解していく。
「まだだ!」
こちらには腕が四本ある!
プラズマ手刀を起動させた腕を男に襲わせる。
確実にとらえたと思った私の一撃を、男は私が思わなかった方法で躱した。
「…!?私のワイヤーを!?」
回収する暇がなく、そのまま翼をとらえていたワイヤーを男は盾にした。
ワイヤーがちぎれ、翼が自由になる。
男はその翼を回収し、もう一度機体に装着した。
「さぁ、仕切り直しだ」
「……くっ!」
このままでは私たちはじわじわと嬲り殺される。
誰かがこの均衡を崩せれば……。
そう思った瞬間、センサーに反応。
《未確認機接近中》
《警戒せよ》
『ラウラ、聞こえる?』
ディスプレイに表示されたアナウンスとともに、通信が入る。
「…!進か!?」
『私が敵を引き付ける。その間にみんなを連れて後退して!』
「な!?」
「ほう……まさかあちらから来てくれるとは思わなかったな」
目の前の男が目を向けた先には、大きな翼を広げたMSに乗った進がいた。
「マティアス!本命が来たぞ!」
「お!ホントだシン・アスカジャン!ごめんねーお嬢ちゃん!俺らの本命の御到着だからさ、あとはほかの奴らに遊んでもらってね!」
目の前の男の声に反応したシャルと戦っていた男がそのままシャルを蹴り飛ばし、男とともに進のほうに向かっていった。
「レア、雑魚は任せた。グレイ、フィリアのコントロールは任せるぞ」
「人使い荒い……」
「了解した。レア共々こちらで面倒を見よう」
その声とともに無数のビームがこちらに向かって降り注ぐ。
二機のデスティニーとデストロイに足止めされる。
「進!?クソ!邪魔するな!」
進が来ていることに気付いた一夏が焦りだす。
「鈴さん!進さんの援護に回れませんか!?」
「そんなこと言ったってあんただけでこのデカブツを抑えきれないでしょうが!」
「僕がその大きいのをやる!セシリアはこの中で一番速いから進の援護に……!」
「行かせん」
「仕事……する……」
「椿!ここを抜けられないか!?」
『主の腕がもう少し上なら椿単機で抜けることもできたがな、今椿のサポートが無くなると主の被弾率が35.7%上昇する』
「分かるように言え!」
『主が弱いのが悪い』
「すまない!私が悪かった!」
誰も進の援護に回れない。
均衡は進が来たことで崩れた。
ならあとは一刻も早くあのビット搭載機二機を落とし、何人かデストロイ迎撃に残して進の援護に回らなければならない。
(クソ……進!どうして出てきた!)
焦りは被弾を呼ぶ。
ただでさえ連戦でエネルギーを消耗し、集中力が切れかけていた状態でこの予期せぬ乱入。
「どうする……どうすればいい!?」
焦りばかりがたまっていく。
「進!?返事しろ進!!進!!!」
一夏の声が響く。
状況は今最悪の状態へと移ろうとしていた。
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「ラウラ、聞こえる?」
戦闘空域までもうちょっとというとこで、一番近くにいたラウラに通信を入れる。
『…!進か!?』
「私が敵を引き付ける。その間にみんなを連れて後退して!」
『な!?』
それだけ言って通信を切る。
迫りくるのはフリーダム型とジャスティス型。
「シン・アスカ……《鬼神》と謳われたその力、見せてもらうぞ!」
「なかなかのかわいこちゃんじゃないか~!もったいないね~」
ライフルを撃つ。
当然躱される。
「いきなりだな!」
「撃ち合いがお望み?なら付き合ってやるよ!」
無数のビームが飛び交う。
(こっちのエネルギーは残り少ない……撃ち合いは不利)
『君だけでも、生きていてくれてよかった』
頭の中で声が響く。
その声を無視してライフルで牽制しながらジャスティス型に接近。
「お!来いよシン・アスカ!ファントムペインの弔い合戦だ!」
ファントムペイン。
かつてステラが所属していた連合の部隊。
《シン……ステラ……守る…って……》
フラッシュエッジを振りかぶる。
だけど、それは余裕をもって避けられる。
「どうした《鬼神》!?この程度かぁ!?」
「……ふむ」
ロックオン警報。
急いでその場を退避すると無数のビームが私がいた場所を薙ぎ払う。
《力を手にしたその時から、今度はだれかを泣かせることになる》
「そんなサーベルだけで俺たちを相手取ろうってか!?」
フラッシュエッジを投げつける。
その隙にライフルを捨てて右手にもフラッシュエッジを持つ。
「ミネルバの《鬼神》も、しょせんこの程度か」
いつの間にか近くまで来ていたフリーダム型に、左腕を切り飛ばされる。
《いくら吹き飛ばされても!僕らはまた、花を植える!》
「もらい!」
後退しようとして、すれ違いざまにジャスティス型に足を切り落とされる。
「逃がさん」
フルバースト。
よけきれずに両肩に被弾。
「そりゃ!」
ジャスティス型に翼をもぎ取られる。
《俺たちのような子供を二度とふやさないために……強くなれ、シン》
なおもフラッシュエッジ一本で抵抗する。
ジャスティス型が近付いてきた瞬間に一閃。
リフターの左翼を切り落とす。
「うお!こえー!」
「獣は手負いの状態が一番危険だと言う。この分では遠距離武器はない。ライフルで仕留めるぞ」
「ま、無駄な怪我はしたくないしねー」
《大きな力は、また争いを呼ぶ!》
無数のビームが迫る。
翼をもがれ、左手と右足を失った状態ではバランスが取れず、被弾が増えていく。
そして、一本のビームが私の左わき腹を貫いた。
《はい、マユで~す!でもごめんなさい。マユは今電話に出られません》
(私は…)
堕ちていく。
機体をチェックするまでもない。
今、機体が爆発していないことが不思議なくらいだ。
(私は……)
「ダメ押しのもう一発ってね!」
「これで終わりだ」
とどめの一撃が迫る。
「私は……!」
ここで……!
《私も、あいつには借りがある。だから守る!》
それは、聞いた覚えのない言葉。
《進さんを守りたいのはここにいるみんなが同じ》
だけど、どこかで聞いたと思える不思議な言葉。
《あたしもいるってこと忘れないでよ!》
いや、本当はわかってる。
《友達だしね!》
私はこれを聴いていた。
《今までよりあいつを近くに感じるよ!》
耳をふさいでいただけで、ちゃんと聴こえていた。
《たとえ異世界から来たんだとしても、今は大切な我が校の生徒で私の友人よ!守らない理由がない!》
この世界でできた、掛け替えのない私の友達の言葉。
大好きな人たちの言葉。
《確かに俺は弱い。俺一人で進を守るなんて絶対に無理だろう。だからこそ!俺たちには仲間がいる!
独りでできないことも、仲間と一緒なら乗り越えられる!
ここにいる俺たち全員で進を守る!誰一人欠けることなく、進を日常に迎えて見せる
これが、俺の覚悟だ!!》
(そうだ……)
みんなはこんな私を何回も助けてくれた。
友達になろうって言ってくれた。
大好きだって言ってくれた!
愛してるって言ってくれた!!
(私は……!死ねない!!)
ビームの雨が私を貫き、爆炎に包まれた。
『進!?返事しろ進!!進!!!』
「…………聞こえてるよ、一夏」
ちゃんと聴こえてる。
翼を広げる。
それだけで爆炎がはれる。
「……なに?」
「あっれー?さっきまでボロボロだったよなー?」
そう、先ほどまでいつ爆発してもおかしくない状態だったデスティニーは、傷一つない新品同然の状態にある。
《ISコア 機体とのフィッティング完了》
《ヴォワチュール・リュミエールシステムとの接続 完了》
《ハイパーデュートリオンエンジン 正常稼働》
《ミラージュ・コロイド 正常稼働》
《武装形成 完了》
《パイロットの治療 完了》
《システムオールグリーン》
《Gunnery
United
Nuclear-
Deuterion
Advanced
Maneuver
Infinite
Stratos System Ver.1.0 Rev.00 起動》
《シードデスティニー 起動完了》
傷も治っている。
武器もある。
体は動く。
頭も働く。
生きてる。
戦える。
守れる!
誰かに、背中を押された気がした。
『がんばれ』って言われた気がした。
『お前ならできる』って言われた気がした。
「行くよ!デスティニー!」
ここからが、私とお前の本当の戦いだ!
シンちゃん復活。これがやりたかった!
この作品を書き始めてからずっとやりたかったデスティニー復活シーン!
前書きにも書きましたがチートスペックを予定しております!
本当はこの話でデストロイ撃破まで行きたかったのは内緒。
……………名前は突っ込んじゃダメよ?作者のネーミングセンスがばれるから。
にしてもとうとうここまで来れました。
プロローグから苦節48話分。
とうとう再びデスティニーの実戦シーンが書けます!
作者、もう思い残すことないかも。
最近なぜか椿さんが書きたくて仕方がなかったりする。
束さん視点ももう一度書きたいですねぇ。
番外編4の用意でもするか。
以下、次回予告!脳内BGMはvestige-ヴェスティージ- で!
決意は固めた。覚悟は決めた。あとは自らの意志を貫くのみ。
新しい翼を得た進は再び戦場を舞う。
勝つためではなく、守るために。
次回![IS]運命の翼の少女 第三十六話「運命あるいは飛翔」
新たなる力で、守り抜け!進!