[IS]運命の翼の少女   作:名無しのごんべい

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第三話 「絶望あるいは確信」

「どこって…………IS学園だけど?」

 

 私の問いに、彼は私が全く知らない場所の名前を答えてきた。

 

 

 ………IS学園?

 

(聞いたこともないわよ!? そんな学校!?)

 

 この答えに私はますます混乱する。

 

 さらに問いただそうとして…………体に痛みが走る。

 

「ッつ!」

 

「お、おい! 無理に動くなよ! 大怪我してるんだぞ!」

 

 そんなことはわかっている。だけど確かめなくてはならない。

 私が地球にいるということはあのメサイアでの戦いからかなり時間がたっているということでもある。

 誰が、どうして私を地球におろしたのかは定かではないがそれはこの際どうでもいい。あの戦いはどうなったのか? レイは? ルナは? ミネルバは? 議長は?デスティニープランは?

 頭の中を疑問だけが支配していくとガラガラとドアの開く音がした。

 

「どうしたの? さっきすごい悲鳴が聞こえてきたけど大丈夫?」

 

「あ、先生! 山田先生も!」

 

「織斑君、おいたしてないですか?」

 

「なんですかおいたって!? しませんよそんなこと!!」

 

「あら、もう起き上がって大丈夫なの? 話は出来るかしら?」

 

 白衣を着た医者らしき女性に話しかけられる。

 

「だ、大丈夫です………」

 

「本当に? 顔色が悪いけど…」

 

「大丈夫ですッ!」

 

 焦っているからか、思わず怒鳴り声で返してしまう。そのせいで男の子ともう一人の女性がびっくりした顔でこちらを見ている。

 

「それだけ大きな声を出せるなら大丈夫ね」

 

 言いつつ白衣の女性が私から半歩距離をとり、

 

「それで? 織斑君。さっきの悲鳴は何だったの?」

 

 と、男の子(おりむらという名前らしい)に問いかける。

 

「いやぁ…その子が寝てる最中に苦しそうな顔をしてましてね? それで熱を測ろうと体温計をとったらそれが壊れてまして、手で測っても全然わからなかったんで額を額にひっつけて………」

 

「そこでちょうどこの子が起きて痴漢に間違われたと」

 

「…………ハイ」

 

 そこで白衣の女性が一度ため息をつき、

 

「織斑君は後で織斑先生にお仕置きしてもらうとして「それは勘弁してください!」黙ってなさい!! …………コホンッ! 私の名前は桜井了子、このIS学園の保険医をやっているわ。あなたは?」

 

 と、自己紹介をしてきた。

 

 そしてまた出たIS学園。

 やはりどこかの学校のようだ。

 

「シン・アスカです……」

 

「シンちゃんね? 単刀直入に聞くけど、あなたはどこから来たの?」

 

 どこから来たか……。

 

 これを聞いてくるということはどうやらこの人たちが私をこのIS学園とやらに運んできたわけではなさそうだ。

 

(どうしよう? 正直に話そうか? だけどこの人たちがナチュラルだったら?)

 

 そう思った瞬間に悪寒が走る。

 地球でオーブ以外にいたコーディネーターが、ナチュラルにどんなことをされてきたのかは耳に入っている。

 もしここで私が「ザフトの兵士でFAITHやってます!」なんて言ったらどうなるだろうか? 袋叩きで済めばいい方だろう。

 

(だけど……もしこの人たちがコーディネーターだったら?)

 

 そうだった場合は何の問題もない。通信機を貸してもらって付近のザフト軍基地に連絡を取ればいいだけ。

 

(ぁあ! もう! こうなったらヤケよ!)

 

 もとより私は頭脳労働に向いていない。こういう駆け引きみたいな難しいことを考えるのはいつもレイやほかの私より頭のいい人たちで、私はその指示道理に動くだけ。

 だが考える人が誰もいないのなら私には正直に答える以外に道はないのだろう。

 

「私は!」

 

 

 

 

 ガラガラッ!!!

 

 

 

 

 せっかく意を決して正直に話そうとした瞬間にまた扉が開く。

 今度はさっきよりも勢いよく。

 

「桜井先生、少しいいですか?」

 

「あら織斑先生? どうしました?」

 

 すると新しく入ってきた目つきのきつい女性はこちらを一瞥し(睨まれた気がしたから睨み返してやった!)、

 

「起きていたか。目つきが気にイランがちょうどいい。それくらい元気があれば話くらいできるだろう」

 

 と、こちらの事情を無視するような言葉。

 

「束! 大丈夫なようだ! 好きに話すといい!」

 

「マジで!? ちーちゃん太っ腹ー!」

 

「しばかれたくなかったらとっとと来い!」

 

 その会話のすぐ後に、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ウサギが病室に入ってきた。

 

「…………は?」

 

 いやウサギじゃない。ウサギの耳をつけた人間だ。

 

「やーやー君があの正体不明の機体の………名前なんだっけ? 「デスティニーだ」そうそれ! デスティニーの搭乗者?」

 

「あ、はい……」

 

 正直に答えてからしまった! と思った。

 

 私個人の顔が割れてなくてもデスティニーの名前を知らない人は赤子かテレビを見る気のない人たちだけだろう。

 

 《デスティニープラン》

 それはデュランダル議長が掲げた人類救済手段。

 人の遺伝子を解析し、その人があらかじめどんな仕事が向いているのかを生まれる前から知ることができるある意味夢のようなプラン。

 私のデスティニーはそのプランの旗印になる予定だったのだ。

 

(これでごまかすことはできなくなった……)

 

 だがちょうどいい。思っていた展開とは違うがどうせ正直に言うつもりだったのだ。

 

(どこからでも来い!)

 

 痛む体を無視してすぐに動けるように気づかれないように身構える。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 だがここでまたしても私の予想は裏切られた。

 

 

 

「あれだれが作ったの!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 ………………………………は?

 

 

「………………………………は?」

 

「だーかーらー! あのデスティニーはだれが作ったの!?」

 

「いやそれは開発班の人たちと議長が……」

 

「議長!? 議長って誰!」

 

「デュランダル議長だけど……」

 

「知らない名前だー!」

 

「お前は元から他人に興味はないだろう。しかしデュランダルか……山田先生。聞いたことはあるか?」

 

「すいません私も聞いたことは……」

 

 と、メガネで巨乳の女性が答えると桜井という女性も首を横に振った。

 

「私も聞いたことがないわ」

 

 

 

 デュランダル議長を知らない?

 そんなことがあり得るのか?

 あんなに大々的に全世界に向けてデスティニープランの発表をした人なのに?

 

 いやな予感がする…………。

 

「……………あの!」

 

「ん? どうしたの?」

 

 目の前の白衣の女性に聞く

 

「ザフトとかプラントとか地球連合とかオーブとか、あとMSとか聞いたことないですか?」

 

「…………? ごめんなさい、どれも聞いたことがないわ」

 

「プラントはあれじゃないですか? 食糧プラントとか」

 

「ああ! そいうのもあったわね。意外に物知りね? 織斑君」

 

「いやいやそれほどでも……」

 

 

 

 再び背筋に悪寒が走った。

 

 ドレモキイタコトガナイ?

 そのありえない言葉を、あってはならない言葉を聞いて……

 

 

 そこが私の限界だった。

 

 

 

 

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「今度はこちらの質問に答えてもらおうか」

 

 と千冬姉が少しドスを聞かせた声で少女……アスカに問いかけた。

 

「お前は何者だ? 何が目的でこの学園に来た?」

 

「………………」

 

 アスカは答えない。

 いや、答えないというよりこれは…

 

「お、おいアスカ?」

 

 不安になった俺はアスカの名前を呼ぶ。

 

「……………なに?」

 

 と俯きながら返事を返してくる。

 

「なにって……千冬ね………じゃなくて織斑先生が聞いてるじゃないか。早く答えた方がいいぞ」

 

「何者………」

 

 そしてアスカが緩慢な動作で顔を上げる。

 

「ザフト軍……ミネルバ隊……所属……特務隊FAITH……MSデスティニー専属パイロット……シン・アスカ……です……」

 

 ザフト軍? そんなのあったっけ?

 

「聞いたこともない部隊だな。国籍は?」

 

 千冬姉がさらに問いかける。

 

「……国籍……プラントだっけ? ……あはは……」

 

 やっぱりそんな国聞いたことがない。

 

「ふざけているのか?」

 

 千冬姉の言葉にアスカがピクリと反応した。

 

「ふざけてる? ………ふざけてるのはどっちよ………連合も、ザフトも、オーブも、MSも知らないなんて………そんなのありえないじゃない!!」

 

 アスカが叫ぶ。

 知らない俺たちのほうがおかしいのだと。

 だけどやっぱり俺たちはそんなの聞いたことがなくて、

 

「ねーねーアーちゃん!」

 

 そこで束さんがアスカに問いかける。

 

「アーちゃんは気を失う前はどこにいたの?」

 

「………気を失う前? 月にいたわ。メサイアの前で、アスランと戦ってたわ」

 

 ………月?

 今、月って言ったか?

 

 いくら何でもISで月まで行けるはずがない。

 だがそこで束さんは、

 

「わかった!! やっぱりアーちゃんは異世界から来たんだよ!!」

 

 と、いきなり突拍子もないことを言い出した。

 

「おい束、ふざけるのもいい加減にしろ」

 

「ふざけてないもん! ちゃんと証拠があるもん!」

 

 と言って、束さんが千冬姉に何かを手渡す。

 

「これは?」

 

「さっきのデスティニーの戦闘記録! ここからハッキングして引っこ抜いた!」

 

「あ……重要機密……」

 

 とアスカが声を漏らす。

 

 そして千冬姉がその記録を眺め、

 

「どうやら束の言ったことはあながち間違いではないらしいな」

 

 と言い放った!

 

「ええ!? 織斑先生!? いくら何でも突拍子もなさすぎですよ!?」

 

「山田先生、桜井先生、織斑、少しこの少女と……アスカと話したいことがある。席をはずしてくれるか?」

 

 と、問いかけてきたが俺には分かる。あれは邪魔だからさっさと出て行けと言っている眼だ。

 

「「「分かりました」」」

 

 二人の先生たちも同じものを感じたのだろうか、きれいに声がハモる。

 

 そして俺たちはそそくさと保健室から出て行った。

 

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