物語に詰まったら一度頭空っぽにして好きなように書いたらいいって作者の守護霊が言ってた。
「いらっしゃいませー!!」
元気のいい声が響く
「なぁ、スコール?」
「なに?オータム?」
「一つですねー?五百二十円になりまーす!」
その声を聞きながら、元亡国企業の幹部スコールとオータムはむせ返るような熱気の中話を続ける
「どうしてオレ達はこんなところでこんなことをしてるんだ?」
「仕方ないでしょう?組織があのネオ・ロゴスとかいうのにつぶされてISも修復不能。
仕事を探そうにも私たちはお尋ね者なんだからまっとうな職に就けるはずないじゃない」
「千円お預かりしまーす!四百八十円のお釣りになりまーす!」
「だからって……」
そこでオータムは手を震わせて持っていた棒を握力に任せて握りつぶす
目の前にはアツアツに熱された鉄板
隣にいるスコールもオータムと同じく棒をもって鉄板をつついている
鉄板にはくぼみがついており、そのくぼみの中には薄力粉や卵を混ぜて作った液体が流し込まれる
ある程度熱されたらタコの足をその液体の中に入れて固まった液体をそのままひっくり返す
「なんでオレ等がたこ焼きなんか焼いてんだよーーーー!!!」
「はいエム。焼けたわよ」
「ではこちら一つどうぞ~!ありがとうございましたー!」
叫ぶオータムを無視してたこ焼きを焼き続けるスコールとにこやかな笑顔で接客を続けるエム
今、元亡国企業の三人はたこ焼き屋台を営んでいた
「な!ん!で!オレ等がたこ焼きなんて焼かなきゃいけないんだよーーー!」
「黙りなさいオータム。客が逃げるわ」
「…………はい」
「いらっしゃいませー!」
時折思い出したように叫ぶオータム
そのオータムをたった一言で黙らせるスコール
そんな二人を全く気にせずに接客を続けるエム
たこ焼き屋台SMOはそんな漫才のような光景が日常化し、一部の特殊な人たちにひそかな人気を持っていた
お昼時を過ぎ、客足が遠のいてくる時間帯
「で?いつまでオレ等はこうしてるんだよ?
このままずっとたこ焼き焼いてるわけにもいかないだろ?
そろそろ組織の再興とか考えてんだろ?スコール」
そう、今こうしてたこ焼き屋台などをしているのは伊達や酔狂でも何でもなく、亡国企業を再興させるための地味だが大切な資金集めという名の第一歩
こんな事を続けていてはいつまでたっても亡国企業再興などできないが、この屋台で稼いだ金を使ってスコールは何か考えているはず
そんなことを考えてオータムはスコールに問いかけた
「え?」←スコール
「え?」←エム
「…え?」←オータム
……念のためもう一度言っておこう
この三人は元亡国企業の幹部である
「いや!「え?」って!何も考えてないのかよ!?」
「いやだって……」
「だってなんだよ!?」
そこでスコールは両手の人差し指を合わせてもじもじしながら口を開いた
「たこ焼き作るのも楽しいかな……って」
「 」
絶句するオータム
これが亡国企業の幹部として恐れられたスコールだとでもいうのだろうか?
こんなにかわいらしい生き物があのスコールだと言うのだろうか?
「ハッ!そうだエム!お前はどうなんだ!?」
鼻から迸る赤い情熱を垂らしながらエムに問いかけるオータム
「あれ!?千冬姉!?こんなところでなにを!?」
「ちふゆねえ?すいません人違いです」
「あれ?
そ、そうか。こんなところで千冬姉がたこ焼き焼いてるはずないか……。
そうだ。
すいません、たこ焼き一つください」
「はい!五百二十円になります!」
「あ、ちょうどで」
「ちょうど頂戴いたします!こちらたこ焼きお一つになります!」
「おう!ありがとう!」
「ありがとうございましたー!」
「 」
再び絶句するオータム
ジーっとエムを見つめているとエムと目が合う
「?なんだ?」
「なんだじゃねぇだろぉーーーー!」
再びオータムの叫び声が響く
「あいつ織斑一夏だろぉ!!お前あいつが殺したいほど憎いとか言ってなかったかぁ!?なんでにこやかに接客してんだよぉ!!」
「?客なんだから当然だろう?」
何を言っているんだ?と言わんばかりの眼でオータムを見るエム
その眼がさらにオータムの神経を逆なでするが先ほどからスコールがにらみを利かせているので叫ぶこともできず、オータムのストレスは溜まる一方である
「そんなに焦らなくても大丈夫よオータム」
「スコール……」
優しく語り掛けてくるスコール
(そうだ。スコールはいつもオレじゃあ想像もつかないことを考えている。
今までのも何かの布石で実はこの状況を打開する秘策をもう考え付いているんだ!)
期待を込めてスコールの言葉を聞くオータム
「やってみればたこ焼き屋台も結構楽しいじゃない」
だが、現実はいつも残酷である
「 」
「む?スコール。また客が来たぞ。」
「分かったわ。今用意するわ!」
そうこうする間に新たな客が来て、二人はたこ焼き屋台の店員としての仕事を再開する
(もう…………いいや)
―オータムは―
二度と亡国企業へは戻れなかった…
たこ焼きを焼く仕事を続けるスコールと接客を続けるエムの中間にはさまれる存在となり、永遠にたこ焼き屋台で働き続けるのだ
そして辞めたいと思ってもスコールには逆らえなかったので
―そのうちオータムは考えるのをやめた
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『ドウシテ、アナタハワラッテイルノ?』
真っ暗な空間で、黒い私が問う。
肌も、纏っているデスティニーも塗りつぶされた様に真っ黒に染め上がった目の前の私が聞いてくる。
『アナタハ、イママデタクサンノヒトノ、イノチヲウバッテキタ。
ナノニ、ナゼワラッテイラレルノ?』
「簡単だよ」
目の前の私の問いに答える。
「確かに、私は今までたくさんの人を殺してきた。
戦争だったからだなんて言い訳をするつもりはないよ。
だけどね?
こんな、どうしようもないくらい最低な私を「好きだ」って、「愛してる」って言ってくれた人がいるんだ。
その人はね?
私が今までどれだけたくさんの人を殺してきたか知ってるのに「お前を独りにしない」って、「一緒に背負ってやる」って言ってくれたんだ」
『ソンナノ……ソンナノデ、アナタノツミガ、キエルワケジャナイ』
「うん。だけどね?私は笑うよ。
一夏はこんなどうしようもない私を選んでくれた。
こんな私を好きだって言ってくれた。
だから、私は今笑うんだ。
私が手に入れちゃいけなかった幸福をくれた一夏に報いるために。
一夏が好きだって言ってくれた私のために笑うんだ。
それは、きっと本当なら私には赦されなかった幸福だから。
それを、一夏は赦してくれたから。
なにより、私が護れなかった人たちが私の背中を押してくれたから。
ステラは私に昨日をもらったって言ってた。
レイは私は昨日のために戦ってもいい、だけど最後はちゃんと明日を見ろって言ってくれた。
マユはもう私には素敵な仲間がいるからマユたちは必要ないって言ってた。
みんな、私にまた明日って言ってくれた。
だから、いつかみんなとまた会う日まで。
その日に私が笑ってみんなと会うために、今笑うんだ。
それが、私が笑う理由」
薄情だと、人は言うだろう。
人殺しが何をと、誰かが言うだろう。
私が殺してきた人たちは、私のことを許さないだろう。
それでも、私は笑い続ける。
みんなと一緒に、笑顔を浮かべ続ける。
大切な仲間たちに胸を張るために。
私の背中を押してくれた三人に恥じないように。
私を「愛してる」と言ってくれた彼のために。
『……イイナァ。
ワタシニモ、ソンナナカマガ、イタラナァ』
「いるよ?だって、貴女は私なんだから。
私は貴女で、貴女は私。
私の仲間全部が、貴女の仲間なんだよ?
だから、貴女も胸を張ろう?
私も一緒に笑おう?
私は、私のことを赦すから」
瞬間、真っ暗だった空間に光が差す。
光が黒い私を照らし、黒い私から黒い部分が無くなっていく。
気付けば、目の前にいるのは私だった。
『やっと、赦してくれたね』
「うん。遅くなってごめんね?」
『人は、いつまでも自分を赦さないままでいてはいけない。
どこかで自分を赦さないと、いつか心が壊れてしまう。
一夏に感謝しなきゃね。
一夏がいなかったら、きっと私は壊れてたから』
「そうだね。
全部、一夏のおかげだね」
光は広がっていき、周りの景色がどんどん明るくなっていく。
『そろそろお目覚めの時間だね。
夢は覚めなきゃ』
「うん。私を赦せてよかった」
『赦されてよかったよ。じゃあ、「また明日」ね?』
「うん。「また明日」」
目を開ける。
いつも通りの私のベッド。
変わったところは何もない。
だけど、ハッキリしているのは一つ。
私は、ちゃんと私を赦すことができたようだ。
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一年一組には問題児がいる。
私がその噂を聞いたのは二回目のタッグトーナメントが終わった後。
その時の私は打鉄弐式がまだ完成しておらず、訓練機の打鉄を使って出場していたけど途中の一組の代表候補性のセシリア・オルコットさんに負けて打鉄弐式作りを再開していたところだった。
いわく、オルコットさんとの試合中にいきなり叫びだし、鬼のような強さでビットをすべて斬りおとしたとのこと。
いわく、戦闘終了が宣言されたにもかかわらず、オルコットさんに斬りかかったとのこと
いわく、織斑一夏が止めていなければ確実にオルコットさんは死んでいたとのこと
打鉄弐式の開発をしていたのでその試合は見に行っていないが、それだけを聞くととても怖い人に思える。
そしてその噂に追い打ちをかけたのは二回目の臨海学校の時。
いわく、生身の人にISの武装を撃った。
いわく、六対一の戦いで圧倒し、織斑先生が止めに入らなければ怪我だけじゃすまなかった。
彼女はその後謹慎処分を受け、期末テストが始まるまで学生寮の自室から出ることを禁止されていたらしい。
六対一で圧倒する。
そこで少し興味がわいた。
生身の人に平気でISの武装を向け、あまつさえ撃つ人など恐ろしくて近寄りたくない。
だけど、そこまで強いなんていったいどんな人なんだろう?
会ってみたい。
だけど会いたくない
そんな相反する感情が、私の心を渦巻いていた。
だけど、会う機会が無くなってしまった。
その人は姉さんと相部屋になってしまった。
本音が「あっすーは悪い子じゃないよ?だけどみんなが怖がってるから会長が一緒に住んで危険がないか確かめるってー」と言っていたので確実だろう。
私は自分で言うのもなんだが姉さんに対して苦手意識を持っている。
私がどんなことをしても、どれだけいい結果を出しても、それは「更識楯無の妹」としてしか見られない。
それが嫌で、いつの間にか大好きな姉さんに対しても距離を取るようになってしまった。
私は、私が好きじゃない。
というより、ハッキリ言って嫌いだ。
何もできない自分が嫌い。
弱い自分が嫌い。
姉さんの影で震えていることしかできない自分が嫌い。
だから、こんな私を変えたかった。
何でもできる自分になりたい。
強い自分になりたい。
姉さんの後ろじゃなく、隣で対等な立場でいる自分になりたい。
だから、圧倒的な力を見せてきた転校生、飛鳥 進さんと話がしてみたかった。
強いってどんな気持ちだろう?
彼女に会えば、それがわかるかもしれない。
その時の私は、意味もなくそう思った。
これは、弱い私が彼女と出会って少しずつ、本当に少しずつだけど変わっていったお話。
強いと思っていた彼女が、本当は誰よりも繊細で、やさしい女の子だったことが分かった。
これからの人生で、私の一番の親友だと胸を張って言える。
そんな大きな素敵な出会いのお話。
「簪って言うんだね。私は飛鳥 進。よろしくね?」
「…よ、よろしく」
[IS]運命の翼の少女 外伝 『救われた運命と自身のない私』
本編終了後 更新予定
あとがきという名の解説コーナー!
まず第一番!
うちの作品でたったの数行でネオ・ロゴスにやられていることが判明した亡国企業三人娘の行方。
本編ではこれからまったく出番がないので番外編で登場!
作者は原作を六巻までしか読んでなく、あとはWiki知識のみなのでキャラの崩壊とか著しいかもしれませんね。
そして第二番!
ホントは本編でやるはずだったシンちゃんとシャドー・進との会話シーン!
今後本編でできなさそうだったのでこっちで投下!
こんな感じで事情があって本編に載せられなかった話とかも番外編で出すかもね。
そしてラスト!
本編後の外伝予告!
あえて言おう!
「予定は未定!」
正直本編終わったらシンフォギアかなのは×アスラクラインの小説書いてる可能性大!
もしあげるとしてもかなりの亀更新になるかも……。
以上!本編がまだ時間かかりそうなので番外編でお茶を濁した作者からでした!