[IS]運命の翼の少女   作:名無しのごんべい

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今回は久しぶりにちょっと短いです。


第四十四話 「宇宙へあるいは旅立ち」

目を覚まして、目の前にあった一夏の顔を見た瞬間悲鳴をあげそうになった。

次に昨夜自分たちが何をしたのかを思い出し、別の意味で悲鳴をあげそうになる。

多分私の顔は今真っ赤だろう。

 

着替えようと思って、替えの服がない事に気付く。

流石に何も着ないで私の部屋まで戻るのは勘弁願いたい。

 

(進~?進ちゃ~ん?起きてる~?)

 

(刀奈さん?)

 

刀奈さんからのISを使ったプライベート通信が入る。

 

(服持って行ってあげようか~?)

 

(!?どうして!?)

 

(いや、私たち相部屋よ?帰ってこなかったら気付くでしょ)

 

迂闊だった。

一番ばれたくない人にばれてしまった。

 

(…………お願いします)

 

(はい任されました~!)

 

数分後、部屋に来た刀奈さんから服を受け取った後言われた「昨夜はお楽しみでしたね!」の言葉を聞いた瞬間、恥ずかしさで死にそうになった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

刀奈さんに用意してもらった服に着替える。

少しすると一夏も起きたのか、ベッドから声がする。

 

「おはよう」

 

そう声をかけると一夏はベッドから跳ね起きてそのまま転げ落ちた。

 

「な!な!な!なん!なんで!?」

 

寝起きだからかかなり混乱してるみたいだ。

時計を見て見ると時間は十時半。

そろそろ動かないと時間が無くなってしまう。

 

「えーと……あらためておはよう」

 

「お、おう。おはよう」

 

……。

 

気まずい!

どうやら一夏も一緒のようで何を話したらいいのかわからない。

 

これは一度時間を置いた方がいいかも…。

 

「ね、ねぇ一夏」

 

「お、おう」

 

「ちょっと今から行きたいところがあるから行ってくるね」

 

「わ、わかった」

 

「じゃあ、時間に遅れないようにね」

 

「そっちもな」

 

そのまま一夏の部屋を出る。

時間がたてばこのぎくしゃくした雰囲気が元に戻ればいいんだけど……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

正午の少し前。

今、私は学園の治療室の前にいる。

一度深呼吸し、覚悟を決めて治療室の扉を開く。

中に入ると同時に視線が突き刺さる。

目れば私より幼い、年も十を過ぎたくらいの子供が二人私を怯えた目で見ていた。

 

「二人の具合はどうですか?」

 

子供たちの前に座っていた桜井先生に聞いてみる。

 

「経過は順調よ。じきに投薬無しで生活することができるようになるわ」

 

それを聞いて安心する。

もう一度子供たちの方を見る。

エクステンデット。

薬物によって強化された生体CPUと呼ばれる少年少女たち。

この子たちを見ているとステラを思い出す。

私が護れなかったあの子は、今の私を褒めてくれるだろうか?

この子たちを助けたところで、私の罪が消えるわけではない。

私はこの子たちの仲間を何人も殺しているのだから。

だけど……。

 

子供たちにゆっくりと近づいていく。

少女を護るように背中に庇う少年。

それだけで私が警戒されているのがわかる。

それでもゆっくりと近づいていき、手を伸ばす。

そのままゆっくりと二人の頭をなでる。

 

「助かって……よかった。生きててくれてよかった」

 

それだけ言って私は治療室を後にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

正午。

予定通りに首なしラビッツ全員がラビット号の前に集まった。

 

「ではこれより!「カウンター・アタック」を開始する!各員乗船しろ!」

 

人員は私を含めてたったの十人。

戦艦に乗り込む人員にしては少なすぎる。

 

「織斑先生。いくら何でも人数が少なすぎませんか?」

 

「そこは問題ないらしいぞ。なんでも、中に自立行動できるAIが組み込まれたロボットが何機もいるらしい」

 

「そのとおり!中にいるのは椿ちゃんの兄弟たちだよ!

全てのAIを統括する「キャレット」ちゃんと、その弟妹たち!因みにキャレットちゃんと椿ちゃんは双子ね?」

 

『彼女と会えるのですか?椿も生まれたばかりのころの一度しか会ったことがないので楽しみです』

 

「どんな奴なんだ?」

 

『温厚な性格をしていますね。普段のデュノア嬢に似ていますね』

 

「普段のシャルか……なら期待できるな」

 

「だな」

 

「うんうん」

 

「三人とも?……まるで僕がまともじゃないみたいに言うんだね?」

 

「乗船一番乗りは俺がもらったぁー!!」

 

「あたしが先よ!一夏!」

 

「待て一夏!鈴!おいていくな!」

 

「待てーー!!一夏!鈴!ラウラ!説明してよ!!」

 

賑やかだな。

 

「賑やかだな」

 

私が思ったこととまったく同じことをアスランが言う。

 

「まぁ……お通夜みたいな雰囲気よりましじゃない?」

 

「まぁな」

 

他のみんなが乗り込むのを見て私たちも乗り込む。

こうして戦艦に乗るのはすごく久しぶりだ。

実際は2か月くらいしか経ってないのに。

 

「少しいいか?」

 

そこでラウラが話しかけてくる。

見ればいつものメンバーの全員が私たちの方へ来ていた。

 

「どうしたの?みんな」

 

「いや、さっきそこで話をしてな。この船にもVR訓練機があるらしい。

それでふと疑問に思ったわけだ」

 

「疑問?」

 

「ああ。私たちは全員進ともアスランとも模擬戦をしたことがある。

だが進とアスランが戦ったところは見たことがないのでな。

実際、どちらが強いんだ?」

 

私とアスラン。どちらが強いのか?

そんなの決まってる。

 

「「俺だ/私だよ」」

 

空気が凍った。

 

 

 

 

 

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あたしたちは、今更ながら開けてはいけない扉を開けてしまったのだと思う。

 

「おいおい、お前は俺に負けっぱなしだろう?」

 

「あの時とは状況が違うじゃない?今ならあんた相手でも負ける気がしないわよ」

 

ラウラの一言で一触即発の空気になってしまった。

アスランが皮肉気に口元を歪め、進がそれにこめかみを引き攣らせながら笑顔を作る。

私たち相手では絶対に見せない表情ね。

 

「大体、あんたはフリーダムにあっけなく落とされたじゃない。だけど私はフリーダムを倒したわよ?」

 

「お前が言ったことをそっくりそのまま返そうか?あの時とは状況が違う。

もともと近接戦を得意にしている俺に高軌道射撃型のセイバーは無理があったんだよ」

 

「あれぇ~?天下のアスラン・ザラともあろう方が機体のせいで負けたって言うんですか~?

私は性能で負けてるインパルスでフリーダムを落としましたよ~?」

 

「あれはインパルスの換装システムがあったからこそだろう?

俺だってあのときジャスティスがあれば負けなかったさ」

 

「見苦しいですよアスラン。素直に負けを認めましょう」

 

「お前も直接対決で俺に負けたと言うのを認めろ。二度もな」

 

「どっちもほとんど不意打ちじゃないですか。正々堂々と正面から戦った結果じゃないですね。

大体、私もあんたに一度勝ってるんですが?」

 

「それは俺がグフに乗っていたのと脇にメイリンを抱えていたからだろう?

あの戦闘はノーカンだ」

 

「あれ?自分の負けは認めないんですか?」

 

「お前も理由をつけて負けを認めていないだろう?」

 

にらみ合う二人。

と言っても睨み合っているのは目だけで表情はどっちも笑顔だから余計に怖いわね。

 

「(ラウラはどう思うのよ?)」

 

「(実力は互角だな。格闘も射撃もどちらも教官クラスだ)」

 

「(それってどちらもブリュンヒルデになれるってことですわよね……)」

 

「(僕たちが一対一で挑んでも一蹴されるね)」

 

「(って言うよりもうやめてほしいんだが……)」

 

「(この二人の前でこの話は禁句だな)」

 

「何をやっているバカども。

早く配置につけ。すでに各々の部屋や通常時の配置場所は伝えているはずだぞ」

 

この時ばかりは千冬さんが女神に見えたわ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ハッチ解放!マスドライバー展開!」

 

束博士の声とともに、目の前にジェットコースターのレールのようなものが現れる。

 

「マスドライバーまで作ってあるのか……すごいな、彼女」

 

「言っておくけど年上だよ?」

 

「そうだったのか」

 

「エンジン始動!出力全開!」

 

「トライドライブシステム正常!ISコア全機正常稼働!」

 

エンジンの唸る低い音が響く。

目指すは宇宙。

戦いを終わらせて、平和な日常を取り戻す。

 

「セーフティー解除!」

 

「ラビット号!はっしーん!」

 

艦長席に座った千冬さんと操舵席に座った束博士の号令で艦が前進する。

みるみるスピードが上がり、一気に最高スピードまで上がったラビット号はレールに従って上昇。

 

あたしたちはそのまま宇宙に飛び立った。

 

 

 

 

 

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「どうやら彼女たち、こちらに来るようですな」

 

「ふん。問題あるまい。この私と、アルヴァトーレがあればな」

 

そう言いながら、ネオ・ロゴス代表のマスター・ジブリールは目の前にある黄金のMAを見る

ザムザザーによく似た形状をしているが、その大きさはザムザザーよりも一回り小さい

 

「このプロトユニットを積んだアルヴァトーレがあれば奴らなど恐れるにたらん。

全て無に帰してくれよう」

 

「フフフ……期待しております」

 

そう言いながら、仮面の男はジブリールに見えない角度で口元を歪めた

その二人の様子は、さながら悪魔との契約で力を手に入れた愚者と愚かな獲物を見つけた悪魔のようだった

 

 

 





一夏とシンの甘々な事後を期待してた人はごめんよ!
途中で作者の部屋の壁がなくなったから書けなかったよ!

今回は本当に準備会。
宇宙入りするだけの話です。

最後の二人の会話。
ジブリールさんには素敵なプレゼントをあげました。(ニッコリ)
やったねジブリール!これで大使と一緒のラスボスだよ!(満面の笑み)

そしてラビット号の動力。
シードデスティニーの動力を解析して作ったトライドライブシステム。
シードデスティニーはプロトユニット、ハイパーデュートリオン、ISコアですが、ラビット号はISコア三つです。
シードデスティニーの理論上無限のエネルギーはプロトユニットの副産物なのでラビット号にはありません。

なんかシンちゃんとアスランの掛け合いが書いてて楽しくて仕方なかったりする。
どうしてこうなった?






以下、次回予告!脳内BGMは笑点のテーマで!


突如一夏宛に送られてきた大量のお赤飯!
放っておくわけにもいかず、食べることになった一夏!
だがそれは、何者かが仕組んだ巧妙な罠だった!

次回![IS]運命の翼の少女 第四十五話「旅立ちあるいは赤飯」
狂った嫉妬の全てを、受け入れろ!一夏!
















嘘です。
一度してみたかった嘘予告。
だけど次回予告何も思いつかないのでこれで行きます!
まぁ次回は久々のPHASEシリーズなんですけどね。
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