[IS]運命の翼の少女   作:名無しのごんべい

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遅くなって申し訳ない。
その代り今回は長めになりました!





第四十六話 「嘲笑あるいは決戦」

 

「もうすぐ作戦エリアだね」

 

目の前に見えるのは月。

地球で見るよりも何倍も大きく見える地球に寄り添う星。

みんなその迫力に圧倒されて声も出なくなっている。

私とアスランは慣れたもので、この世界のだれの手も入っていない月に逆に感動を覚えた。

 

私が知る月は数多のMSの残骸とそのパイロットたちの死体、そして地球軍のダイダロス基地が表面にあったりするなどお世辞にも綺麗と呼べるものではなかったからなおさらだ。

 

「発信機の反応があったのはこのあたりだ。全員、いつでも出られるようにしておけ」

 

織斑先生の言葉と同時に、みんなカタパルトのある格納庫に行く。

 

もうすぐ決戦だ。

みんなそれぞれ緊張しているのがわかる。

艦内をあわただしく走るこの艦のサポートロボたち。

窓を覗くと広がっているのは人の手がほとんど入っていない宇宙。

死体が漂っていることなんてないし、MSの残骸やデブリが浮いていることも無い。

 

だけど、それも今日までだろう。

 

この戦いで、多くのMSが破壊される。

もしかしたら死人が出るかもしれない。

 

(いや、だめだ。死人なんて出しちゃいけない!)

 

誰も死なせない。

仲間も、敵も。

 

何も守れなかった私でも、今のデスティニーの力があればできるはずだ。

 

(絶対に……護って見せる……!)

 

たとえ、その結果私がみんなのもとに帰れなかったとしても。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

格納庫へと続く通路。

そこで、一夏が一人で壁に背中を預けてぷかぷかと浮かんでいた。

 

「一夏?どうしたの?」

 

「ん?ああ、進か……」

 

振り向いた一夏の表情を見て、大体察した。

 

「不安……なんだね?」

 

「あぁ……。

情けないと思うよ、自分でも。

今まで大丈夫だったのに、これで最後かもしれないって思うと……急に…な」

 

無理もないと思う。

一夏も、みんなも。

今まで戦ってこれたのが異常なんだから。

ISって言う兵器に乗っていたとしても、みんなまだ学生なんだから。

戦争を経験したことがないんだから、怖がって当たり前だと思う。

その戦争への恐怖を、一夏は「みんなを護る」って言う気持ち一つで押さえつけてきたんだから。

誰にでもまねできるものじゃない。

 

「まさか、こんなところまで来て怖気づくなんてな……。

だけどさ、やっぱり思っちまうんだよ。

もし仲間を、進を護れなかったらって思うと。

もし、俺のこの手で誰かを殺してしまったらって思うと。

どうしても震えが止まらないんだ……」

 

一夏が自分の手を持ち上げる。

そこには確かに震えている一夏の手があった。

 

だから私は、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

震える一夏の手を両手で包み込んで、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

驚いて私の方を向いた一夏の唇に、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

自分の唇を重ねてキスをした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「大丈夫」

 

唇を離して、一夏を抱きしめる。

私は今、目の前で震える一夏が愛おしくて仕方がなかった。

 

「それでいいんだよ。

怖いのは当たり前なんだから。

みんな、戦うときは同じ気持ちなんだから。

だから、何も恥ずかしいことなんてないんだよ」

 

「……ああ、こうしていると感じるよ。

進の震えも、恐怖も、不安も」

 

そっと、一夏の両腕が私の背に回される。

 

「だけど、こうしていると安心する。

勇気が湧いてくる」

 

そうして、今度は一夏の方からキスしてくれた。

 

「もう大丈夫だ。

俺は戦う。

戦って、敵を、仲間を、世界を。

進を護って見せる」

 

「じゃあ、みんなを護る一夏を、私が護るよ。

敵も、仲間も、世界も護れなかった私だけど。

それでも今度こそ、大切な人をこの手で護りたい。

この世界で、この宇宙で、何よりも大切なあなたを護りたい」

 

誰も護れなかった。

父さんも、母さんも、マユも、ステラも、仲間も、プラントも、オーブも、地球も、そこに住む人々も。

本当に、私は何も護れなかった。

 

だから、今度こそと手を伸ばす。

 

私を暗闇から救い出してくれた貴方だけは護りたい。

貴方が敵も味方も全部護るというのなら、そんな貴方を私は護りたい。

 

「「私が一夏を護るから、一夏は私が護れなかったものを護ってほしい/俺がみんなを護るから、進に俺を護ってほしい」」

 

その言葉を同時に行って、二人同時に吹き出す。

 

「言ってることがめちゃくちゃだな……」

 

「うん。

だけど、一夏にならそれができるって信じてる!」

 

「彼女にそこまで言われちゃ、彼氏としてはやり遂げないとな!」

 

そうして私たちは手をつないで格納庫へと入る。

 

私も、手をつないでいる一夏も、もう震えていなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『十二時の方向に熱源多数!ビンゴだよ!』

 

私とアスランがMS、他のみんながISを纏ってカタパルトで待機していると束さんの艦内放送が聞こえてきた。

モニターで見て見ると、今までで一番多い数の無人MSがいた。

その後ろには『ガーティ・ルー』の同型艦と思しき艦が一隻。

 

「真正面からくる気か!?」

 

「数では俺たちが劣っている。単純な物量作戦で押しつぶすつもりだろう」

 

「今度は私一人に押し付けたりしないでくださいよ?」

 

「分かっている」

 

一夏の驚きの声にアスランが答え、そのアスランへと私が軽口をたたく。

 

「これは……わたくしたちは舐められていると言うのかしら?」

 

「おそらくそうでしょうね。あたしたちなんか、数をそろえれば勝てるとでも思われてるんでしょう」

 

「なら、見せてあげないとね。僕たちIS乗りの意地を」

 

「ああ、そして見せてやる!軍人としての矜持を!わたしの意地を!」

 

『全機発艦!!有象無象を蹴散らして来い!!』

 

「「「「「「「「了解!!」」」」」」」」

 

そしてみんな順番にカタパルトから発進する。

 

「織斑一夏!《白式 雪羅 剛》、出ます!」

 

「篠ノ之箒!《紅椿 春》、出るぞ!」

 

「セシリア・オルコット!《ブルー・ティアーズ・ミーティア》、行きますわ!」

 

「鳳鈴音!《甲龍 猛虎》、出るわよ!」

 

「シャルロット・デュノア!《ラファール・リヴァイブ・カスタムⅡ・アサルト》行くよ!」

 

「ラウラ・ボーデヴィッヒ!《シュヴァルツェア・レーゲン・カニーンヒェン》出撃する!」

 

「アスラン・ザラ!《インフィニット・ジャスティス》出る!」

 

「飛鳥進!《シードデスティニー》行きます!」

 

一夏から順番に出て最後に私。

勢いをつけて一回転し、翼の出力を全開にしてみんなに追いつく。

 

前には百を優に超えるMSの群れ。

 

『結構厳しい戦いになるかもね……』

 

『だが、私たちは勝たなければならん』

 

『当然ですわ。この戦い、負けは許されません』

 

『あたしたちが勝たなきゃ、こいつら全員が地球に降り立つってことよね』

 

『既存のISでは歯が立たないMSの軍勢……地球にいる軍隊などではどうしようもないな』

 

『もともと俺たちの世界が招いてしまった種だ。本当は俺だけでカタをつけなくてはならないんだろうが……悪いが、君たちの力を貸してもらう』

 

『言われなくても、俺たちは俺たちの世界を護るために戦うよ。

世界も、仲間も、進も。

全部護って見せる!』

 

みんなの士気は十分。

アスランの言う通り、本当はこの世界に持ち込んでいい戦いじゃなかった。

だけど、みんな手伝ってくれてる。

一夏の言ったとおり、自分たちの世界を護るためだろうけど。

 

『進さんからも何か一言お願いしますわ』

 

「……え?」

 

『そうよねぇ…ここまでみんな一言ずつ言ったんだから進からも何か一言ほしいわよねぇ』

 

『私たちがやる気になる一言を頼む』

 

『可愛い一言を頼むよ!』

 

『戦場で味方の士気を上げるのは重要な役目だ。

頼んだぞ、進』

 

女性陣から一気に要望が来る。

助けを求めて一夏とアスランの方を見るけど、二人とも期待に満ちた眼差しを私に向けるだけで、助ける気はないようだった。

こういう役目は一夏かアスランの役目だと思うんだけどなぁ。

 

「……えーと…。

みんな。

多分、この戦いが最後だと思う。

随分長い時間がたった気がするけど、実際はネオ・ロゴスが攻めてきてからまだ一か月もたってないんだよね。

それでも、この少しの間だけでネオ・ロゴスはたくさんの人の命を奪ってきた。

許されることじゃないし、許していい事でもないと思う。

だから、私たちで彼らを止めよう。

これ以上、彼らが誰かを殺してしまわないように!

こんなくだらない戦いを、私たちが終わらせよう!!」

 

『『『『『『『了解!!』』』』』』』

 

「みんな!!行くよ!!!」

 

その声と同時に全員がフルスロットル。

ブーストやらPICを全開にして無人MS群に突っ込む。

 

迎撃しようとしてウィンダムが、ムラサメが、ザクが放ってくるビームをかいくぐり、《アポロン長距離射程複合ビーム砲》を照射モードで展開。

足を止めた私にビームが殺到するが、素早く私の間に出た一夏が私を護るためにシールドを展開する。

さっそく私を護ってくれた一夏に微笑んで、アポロンのトリガーを引く。

 

「落ちろぉぉ!!!!」

 

大出力のビームが敵陣に穴をあける。

そのまま砲身を横に動かすと、照射され続けるビームが薙ぎ払われる。

 

『この戦い、未来のために!!』

 

アスランが背中のリフターを射出する。

ビーム刃を展開したリフターは敵陣に突っ込み、何機ものMSを巻き込みながら直進する。

 

そのリフターを追って敵陣に単機で突っ込んだ鈴が、頭上に浮いている衝撃砲《鳳砲》を起動。

 

『こんなところで、負けてらんないのよ!!』

 

全方位への同時攻撃が可能となった衝撃砲《鳳砲》が、鈴の周囲にいたMSを一掃する。

 

『さぁ!魅せてあげますわ!セシリア・オルコットのワルツを!』

 

一斉にシールドビットを含むすべてのビットを展開したセシリアが、ミーティアの全砲門を展開。

一斉発射。

ミーティア本体に装備されている四門のビーム砲と七十七発の対艦ミサイル。

そしてセシリア自身が持っているスターライトの計八十二問の弾丸が敵陣を襲う。

撃ち漏らした敵はブルー・ティアーズで一機ずつ処理していき、ブルー・ティアーズさえも避けた敵にはフレキシブルを使い撃ったビームを曲げて追いつめる。

 

『ここが正念場だ!行くぞ椿!!』

 

『大事なところでポカするなよ主!』

 

《椿》と分離した箒の紅椿が敵陣を切り裂く。

《空裂》を振るい、展開したエネルギー刃で一振りで十の敵を切り裂いていく。

そんな箒の後ろを狙うMSを、椿が《穿千》を撃ち箒を援護する。

 

すると後ろから無数の砲撃が敵陣に浴びせられる。

両肩のレールカノン「ブリッツ」とその四本ある腕でそれぞれバズーカを二本、ライフルを二本構えたラウラと同じくライフルを二本構えたシャルからの援護射撃だ。

 

『弾切れを心配する必要はないよ!このために弾薬も銃もたっぷり詰め込んできたから!』

 

『なら、遠慮せずに行かせてもらうぞ!』

 

そのさらに後ろから、幾本ものビームが束となって放たれる。

 

『束さんたちもいることを忘れてもらっちゃ困るよ!!』

 

『敵艦に攻撃を集中する!《アウフプラール・ドライツェーン》全門斉射!!』

 

『モドキをつけ忘れてるよちーちゃん!』

 

その砲撃に後押しされて、一夏が突っ込む。

 

両手に雪片を携えて、擦れ違いざまに一太刀。

一機ずつ確実に落としていく。

高速で敵陣を突っ切りながら雪羅をクローモードで起動。

爪状の刃を発生させた雪羅を自立稼働させ、飛ばす。

一夏の動きに合わせるようにクローが動き、時に一夏の後ろから迫るMSを切り裂き、時に一夏の代わりにビームサーベルを受け止めて隙を作る。

 

『……来た!』

 

すると一夏は雪羅を手元に戻し、まっすぐに飛ぶ。

その向こう側、一夏の進行方向から高速で接近するMSが一機。

 

『織斑一夏ぁぁぁああああ!!!』

 

『カズキ・ヤマモトぉぉぉおおおお!!!』

 

大剣が二本の刀と激突する。

 

『みんなごめん!

こいつの相手は、俺がする!!

行くぞ!』

 

『来い!決着をつけるぞ!!』

 

それから二人は互いの武器をぶつけ合いながら誰もいない奥へと進んでいった。

 

『一夏さん!!』

 

『ちょっと!どうすんのよ!』

 

『……戦闘続行だ。奴はあのバカに任せておけ』

 

『織斑先生!?』

 

みんな、いきなりの展開に動揺している。

私はアポロンをしまい、レイブレードを抜くとブーストを全開にして敵陣に突っ込む。

 

「はぁぁああ!!」

 

頭を斬りおとし、腹に蹴りを入れて他のMSにぶつける。

振り向きざまにレイブレードを投げつけ、後ろから迫っていたMSを串刺しにする。

そのまま串刺しにしたMSに追いついてからレイブレードを引き抜き、シールドに内蔵されている二発のミサイルを他のMSに向かって撃つ。

着弾する様を確認する暇もなく、同じくシールドに仕込んでいるCIWSをばら撒きつつレイブレードを振るう。

左手でフラッシュエッジⅢを投げつつ、右手はレイブレードをしまいライフルを取り出す。

 

三連射。

 

全てMSを貫き、私の後ろにいたMSはエッジで切り裂かれる。

その隙にアポロンを拡散モードで展開。

広範囲に広がるビームの散弾で、またしても敵陣に穴が開く。

 

「大丈夫。行こう、みんな!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そう言った直後、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

壁と言ってもいいくらいの太さを持つ赤いビームが、私を襲った。

 

 

 

 

 

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振り下ろされる大剣を《雪片・甲》を使って受け流す。

姿勢が崩れたところに《雪片・乙》を振り下ろそうとするが、その前にPICを制御して後退する。

案の定、大剣が直角に軌道を曲げて襲い掛かってきたのでそれを躱す。

 

十メートルくらい離れて仕切りなおす。

 

しばらく睨み合って、どちらからともなくまた激突する。

俺と目の前の男の前に今言葉はいらない。

あいつは俺を殺したい。

俺はあいつを倒したい。

 

お互いがお互いに勝たないと前に進めない。

 

(そう言えば初めてだな……男同士で本気で戦うのって)

 

今まで仲の良かった男友達なんて弾くらいしかいなかった。

その弾とだってじゃれ合うことはあっても本気で喧嘩することはなかった。

IS学園は俺以外全員女子だ。

だから、目の前のこいつが俺にとって初めてのライバルだろう。

 

(だからこそ……負けられない!)

 

雪羅を飛ばす。

複雑な軌道を描きながら迫るクローを、カズキは右手でビームサーベルを抜刀して弾いた。

その隙に接近し、雪片を同時に振り下ろす。

それをカズキは大剣を片手で操り、両方とも受け止める。

 

(こんな重そうなのを……!)

 

よく見れば大剣に着いたブースターを制御して片手で操っていた。

 

(あのブースターさえ壊せば!)

 

あれさえ壊せばただの大きいだけの剣だ。

弾かれた雪羅を再び起動させ、後ろから襲わせる。

 

『!チッ!!』

 

舌打ちしながら大剣のブースターが唸りをあげる。

それに押され、俺は耐え切れずに吹っ飛ばされる。

その隙に襲い掛かった雪羅をビームサーベルで迎撃するカズキ。

 

(力勝負じゃ圧倒的に不利だ!

もっと鋭く……。

もっと速く……!)

 

スラスターとPICを全力で吹かす。

時折瞬時加速を混ぜながらカズキの周りを全力飛行。

俺の姿を見失った瞬間に斬りかかる。

だが、それも防がれる。

 

(まだだ!まだ足りない!!

もっと速く……!

もっと……もっと……!!)

 

「もっと速く!!!」

 

瞬間、白式の装甲が割れる。

腕や脚、胸の余分な装甲がはがれていき、あとに残ったのは体を最低限保護するだけの装甲のみ。

 

『!?速い!!』

 

「うおぉぉぉぉぉおおおおおお!!!!!」

 

機体が速過ぎて自分でも制御できてないのを感じる。

 

だけどまだ加速する。

 

一瞬だけカズキと切り結び、また離れる。

縦横無尽に何もない宇宙空間を駆け巡り、カズキを上下左右前後から斬り付ける。

 

『ふざけるなぁ!!』

 

その剣戟の一つを見切ったカズキが、大剣を振るう。

それを右手の《雪片・甲》で受け止めようとして……、

 

バキン

 

と音がする。

見ると右手の雪片はその刀身を半ばから叩き折られていた。

 

(構うものか!!)

 

折れた雪片を捨てつつ、お返しとばかりにカズキの背中のスラスターを斬り付ける。

返す刀でビームサーベルを持った右手のマニピュレーターを斬り飛ばす。

カズキの大剣が俺を襲う。

瞬時加速で離脱するが左足を持って行かれる。

今度は瞬時加速を使って一気に接近。カズキの機体の右足部分を切断する。

だけど、その隙を突かれ今度は《雪片・乙》を持つ左手を斬りおとされる。

 

『これで終わりだ!!』

 

武器が無くなった俺に向かって大剣が振り下ろされる。

 

「まだだぁ!!」

 

雪羅を呼び戻し、右腕に装着。

そのまま進のデスティニーのように掌に搭載されている砲身を輝かせて大剣に撃ち付ける!

 

「『うぉぉぉぉぉぉおおおおおおおおおお!!!!!!』」

 

激突。

 

爆発。

 

爆炎で何も見えなくなるが、センサーはカズキを捉えている。

そのセンサーを頼りに接近。

爆炎をまとわりつかせながら雪羅の残った二本しかないクローを起動させる。

 

そしてカズキにクローを突きつける。

 

カズキの姿もボロボロだった。

スラスターは完全に使い物にならなくなっており、右腕と右足もない。

左腕もさっきの爆発でボロボロになり、近くを漂う大剣は折れている。

 

「ハァ……ハァ……ハァ……」

 

『……』

 

お互い、無言。

 

俺もカズキも、血を流しながらもお互いを睨み合う。

 

『……殺せ』

 

「いやだね」

 

『殺せ!

トダカ一佐の仇も取れず、貴様のような子供にまで負けるのなら!

もう私に生きる意味などない!!

さぁ!殺せ!

その爪を私の首に突き立てろ!!』

 

「いやだっつってんだろ!!

生きる意味がないってなんだよ!

あんたにとって復讐だけが全てなのかよ!?

それだけの人生なのかよ!?

違うだろ!?

そんなことして何になるんだよ!!

俺はあんたのことも、そのトダカさんのこともよく知らない!

だけど、あんたの態度を見ているだけで慕われていたのはわかる!

すごくいい人だったのもわかる!!

そんな人が、復讐なんて望むのかよ!?

あんたはそれでいいのかよ!?」

 

『貴様に何が分かる!!』

 

「わかんねぇよ!!

分かりたいとも思わねえよ!!

だけど、俺は誰も殺さない!」

 

『これは戦争だぞ!!

誰も殺さないなどと、そんなことが許されると思っているのか!!』

 

「あんたがどう思っていようと……俺は戦争をやっているつもりはない!!」

 

その言葉に、カズキは驚いたような顔をする。

 

『なん…だと?』

 

「戦争なんて勝手にやってろ!!

俺はそんなものをやるつもりは一切ない!!

誰かを殺すのも、誰かに殺されるのもごめんだ!!

それでもお前が俺を……進を狙うのならいくらでも相手になってやる!

お前の気の済むまで、何度でもお前を打ち負かしてやる!

だけど覚えとけよ……。

俺は絶対に誰も殺さないし、誰かを殺させやしない!

分かったか!!」

 

唖然とした表情で俺を見るカズキ。

自分でも言ってることが滅茶苦茶だってわかってる。

俺自身の今の気持ちを全部言葉に出しただけで、何も考えずに話しているからだ。

 

だけど、おかげですっきりした。

 

「ほらよ」

 

そう言ってクローを収め、カズキに手を伸ばす。

 

『……何の真似だ?』

 

「このままほっといたら死んじまうだろ?

俺たちの艦に連れて行って治療してやるから、来いよ。

どうせ俺もこの損傷だし、一度艦に戻らないといけないしな」

 

そう言ってカズキの腕をつかみ、残ったスラスターを制御して艦に向かう。

 

『…………私にこれ以上……生き恥をさらせと言うのか?』

 

「こういっちゃなんだけど……復讐だけが生き方じゃないだろ?

ここはあんたたちが住んでた世界じゃないんだからさ、前の世界のことを全部忘れてこっちでやり直すって言うのもありだと思うぜ?

俺としても、やっとできたライバルって言うのがいなくなるのも嫌だしな」

 

『……相変わらず……ふざけた男だ……』

 

そうして俺たちはラビット号へ向かう。

 

三度にわたる俺とカズキの戦いは、俺の勝利に終わった。

 

 






ハァ~イ!皆さんおひさしぶりで~す!
作者で~す!

遅くなって申し訳ございませんでした!
え?何をしてたかって?
活動報告にも書いた通りSAOとEXVSFBとFWのインフラやってました!
正直言ってずっとSAOやってたくらいです!
し、仕方ないんや!作者は碧ちゃんボイスには弱いんや!
だからユウキを育てすぎても仕方ないや!
浮気じゃない!ただの重婚だからセーフ!!

さて、おふざけはこのくらいにして本編の話でも。

今回からついに最終決戦ですね。
そのうちの一つ、一夏君VSカズキ二尉の決着がつきました。
一夏君のライバルキャラがほしいと言う軽い気持ちで出したカズキ二尉ですが、意外と作者のお気に入りのキャラになってます。
今回一夏君がお持ち帰りしましたが、仲間にはならないですよ?
ただの捕虜です。
カズキ二尉はほんといろんなパターンの決着を考えてました。
某貴族主義の人みたいな精神が病んじゃって「一夏ぁぁ!!一夏ぁぁ!!」って叫びながら一夏君を追い回して結局一夏君に止めを刺されるENDとか、「一夏ぁぁ!!貴様は私のぉぉ!!」とか叫びながら機体が制御不能になってガーティ・ルー型の敵艦に突っ込んでいって死んじゃうENDとかですね。
まぁ結局今回の決着で落ち着いたんですけどね。

そして一夏君。
シンちゃんとイチャイチャしたかと思ったらまたしても男前度が上がった我らが主人公!
今回のアーマーパージとか雪羅装着とかはISの自己進化です。
もともとビットみたいに飛ばすのが不得意な一夏君に合わせて雪羅が進化した形ですね。
アーマーパージも速さを求める一夏君に白式が応えた形になります。
ご都合主義?こまけぇことはいいんだよ!
自己進化って便利な設定があるんだから使って何が悪いんだよ!

そして出撃前のイチャイチャ。
最近思い出した武装錬金のリスペクトです。
あっちは「俺がみんなを護るから、だれか俺を護ってくれ」っていう武藤カズキ君の悲痛な叫びでしたね。
彼にも救いはありましたが、一夏君にも寄り添ってくれる人がいるんですよ!
予告もなしに砂糖成分を読者の皆さんに投入する作者……まさに外道!

次回は金色ですね。
最終話まで、あと四話!







以下、次回予告!脳内BGMはLife Goes On で!

一夏とカズキ。
今、一つの戦いに終止符が打たれた。
一方そのころ、進たちの前に黄金のMAが現れる。
その圧倒的な性能を前に、一人、また一人と追い詰められていく仲間たち。

次回![IS]運命の翼の少女 第四十七話「決戦あるいは死闘」
今…………最後の扉が開く。
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