久しぶりのタイトル詐欺だ!
宇宙で、また一つ命が散った。
「ジブリール!!」
私を振り払ったジブリールはそのまま爆発。
助け出したと思った命はまたしても私の手を零れ落ちていった。
「あ……ああ……!」
いつもこうだ。
私が助けると誓った命は、いつも私の目の前で散っていく。
ジブリールは許されないことをした。
そのジブリールを助けるのは、私のエゴだ。
自分勝手で、ジブリールに殺された人の気持ちなんて考えずに、私は助けようとした。
死んでしまったら、それで終わりだから。
償うことも、赦されることも無く終わるなんて、悲しいから。
私にだって救いがあったんだ。ジブリールにだってあってよかったはずだ。
なのに…………。
「進!大丈夫か!?」
「無事か!?シン!!」
一夏とアスランが私の方に駆け寄ってくる。
その時になって、私はいつの間にかラビット号の格納庫に降り立っていたのに気付いた。
どうやって帰ってきたのかは、覚えていない。
格納庫の入り口からセシリアたちが出てきたのも見える。
心配そうに私を見つめるみんなに笑みを返して、大破状態のデスティニーから降りる。
視界が揺れる。
気付いたら、一夏たちが横になっていた。
一夏たちに合わせようと私も無重力下で体をコントロールしようとする。
体が動かない。
一夏たちが横になっているんじゃなくて、私が横になっていた。
(……あぁ……限界か……)
ワープを使い過ぎた。
体が言うことを聞かない。
瞼が重い。
私は、まだ終われないのに。
私は…………。
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ラビット号のブリッジには、重苦しい雰囲気が漂っていた。
戦いの終結。
マスター・ジブリールの自爆。
そして、進が倒れた。
「なぁ、話してくれよアスラン。なんで進が倒れたんだ?
あんた、さっき進が倒れた時に「遅かったか」なんてこと言ってたよな?」
倒れた進を見て、アスランは確かにそう言った。
その意味が分からない。
束さんも進が倒れたのは傷と疲労だと言っていた。
「……おそらく、シンが倒れたのは機体のせいだろう」
そう言ってアスランは少しずつ語り始めた。
「俺とシンの機体……正確にはシンの機体だけだな……には、ある動力が積まれてある」
「動力?」
「あのハイパーデュートリオンってやつ?
束さんも調べたんだけど、確かに核動力が使われてるけど安全装置はしっかり働いてたよ?」
「いや、もう一つの動力。
ヴォワチュール・リュミエールユニットの方です。
正式名称はヴォワチュール・リュミエール・プロトユニット。
幾人ものパイロットを死に追いやった、悪魔のシステムです」
その言葉を聞いた瞬間、ブリッジの空気が凍った。
「ヴォワチュール・リュミエール・プロトユニット……長いのでプロトユニットで……このシステムを機体に搭載すると、理論上無限にエネルギーを使用できる。
そしてワープ機能によって単独での惑星間航行や、シンが使っていたような奇襲も可能だ。
だが、このワープ機能を使ったパイロットは、今まで誰ひとり例外なく死亡するかパイロット生命を絶たれている。
プロトユニットの開発者たちは、このことを『プロトユニットの呪い』と呼んでいた」
アスランはそこでいったん言葉を区切った。
みんな無言で、どう話せばいいのかわかりかねているみたいだった。
突拍子もない、だけど、現に進はワープなんて出鱈目なことができていた。
アスランの話は……本当だと思っていいだろうか?
そう思った時に、次に湧いてきたのは怒りだった。
「あんたは!!」
気付いたら、俺はアスランの胸ぐらをつかんで壁に叩き付けていた。
「あんたはそのことを知ってて!!
進にそんな危険なものを使わせてたって言うのか!!」
「俺だって止めたかったさ!!
宇宙に上がる前に、何度もシンを説得しようとした!!
俺だってあいつが死ぬところなんて見たくないんだ!!
だけどあいつは聞かなかった!仕方ないじゃないか!!
君たちを護りたい、戦いとは……殺し合いとは無縁だった君たちを、これ以上傷つけたくないと!!
そうシンが言ったんだぞ!?あいつは、笑って!!」
アスランも俺の胸ぐらをつかんで、怒鳴っていた。
その眼には、涙が見える。
俺の視界もにじんでいるから、きっと俺も泣いているんだろう。
俺の中の冷静な部分が、そう分析していた。
「何時発現するかもわからない呪いの症状と戦いながら、それでも君たちのために戦い続けたんだ!!
また笑って過ごすために!!
誰にも言わずに、たった一人で!!」
いつの間にか、壁を背にしていたのは俺だった。
アスランの怒鳴り声がブリッジに……俺の心の響く。
また、進を独りにしてしまった。
俺が一緒に背負うと言っておきながら、俺はまた……。
「!?ジャックされる!?」
束さんがいきなり声を上げる。
「どうした束!?」
「誰かに回線をジャックされた!!
通信が使えない!!」
束さんがそう言った直後、モニターが砂嵐を映す。
砂嵐が収まった時に、映っていたのは仮面をかぶった男だった。
「あいつは!?」
「ネオ・ロゴスの宣戦布告の時の奴!!」
みんなにつられてモニターを見ると、そこにはネオ・ロゴスの宣戦布告時に端っこに移っていた仮面の男がいた。
「…………クルーゼ……隊長…?」
アスランが俺を話しながら声を漏らす。
それについて聞き返そうとした瞬間、仮面の男から放送が始まった。
『異世界の戦士諸君。
まずはジブリール撃破、おめでとうと言っておこう。
私としてもそろそろ彼は邪魔だったのでね。
アルヴァアロンに仕込んだ自爆装置で彼女を落とせなかったのは痛いが、まあ許容範囲内だろう。
自己紹介をしようか。
私はラウ・ル・クルーゼだ。
短い間だがよろしく頼む』
そう言った直後、カメラが引いてクルーゼと名乗った男の後ろが映る。
そこに映っていたのは、十五人の男たちと右肩にⅦからⅩⅩⅡとナンバーが振られたデスティニー、そしてその後ろのⅡのナンバーが振られた黒いデスティニーだった。
『今から三日後、この部隊で君たちに戦争を仕掛けよう。
これは私からの挑戦だ。
もし君たちが私たちに敗北した場合は、この……』
モニターの映像が切り替わり、その後ろに見えるのは大量のミサイル。
「まさか……あれは!?」
『流石はアスランだ。察しがいい。
そう。この計一万発の核ミサイルを、地球上に落とそう』
ブリッジにいる全員が絶句する。
今、あいつはなんて言った?
「クルーゼ隊長……いや、クルーゼ!
なぜ生きている!?
あなたはあの時キラが!!」
『それを、わざわざ君に言う必要が見つからないな、アスラン』
クルーゼの答えに、苦虫を噛み潰したような顔をするアスラン。
『私はジブリールのようにこの世界を支配するつもりも、理想郷にも興味はない。
ここにいる十五人の男たちも同様だ。
不殺などという甘い覚悟は捨てることだ。
さぁ、私に見せてくれ。
君たちが醜く足掻く様を…。
私はその悉くを蹂躙し、この世界を壊そう』
笑い声を響かせながら、通信が切れる。
あの時と同じ、唐突な宣戦布告。
俺たちの戦いは、まだ終わっていなかった。
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「よかったんですかい?三日も猶予をやっちまって」
ザフトの黒服を着た男が、クルーゼに問いかける
「問題ないさ。私の機体の最終調整も終わってないのでな……」
「本来なら、ジブリールがもうちょっと粘ってくれる予定でしたっすからねぇ~。
隊長の顔くらい役立たずっすよね~」
「おい、もいっぺん言ってみろ」
「あ、ヤベ!」
「待ちやがれ!!」
仲の良い追いかけっこが始まったのを目で追いながら、クルーゼは整備士に問いかける
「三日と言ってしまったが、足りるか?」
「それだけもらえれば十分です!」
「頼んだぞ?」
そう言いながら、クルーゼは自らの愛機となる機体に歩み寄る
右肩にはⅡのナンバーが振られており、その装甲はフェイズシフトを展開している今でも黒い
黒を基調に赤いラインが入ったその装甲は、見るものに威圧感を与える
さらにその後ろ、カメラからは見えない位置にあった装置
その形はミーティアに似ているが、特徴的な二本の砲身がなく、ブースターも一回り小さい
その代り、ブースターの上部が開いており、そこから大量のドラグーンが見て取れた
「『支配』に『絶望』か。
大仰な名前だ」
その顔に自嘲の笑みを貼りつかせながら、クルーゼはつぶやく
『デスティニー・ルーラー』、その強化装備『ディスベアー』
彼らは牙を剥く。
その色を燃え盛るような情熱の夕日から、絶望を振りまく深淵の闇に変えて
仮面の下で、クルーゼは嗤った
おひさしぶりです。
前回から約1週間と少しぶりの投稿です。
なんというか、終わりが近づくとすっごく書きづらいです。
最終決戦の流れとかは決まってるのにどうやってそこまで持って行くかがなかなか……。
ジブリールさん、死んじゃいましたね。
そう、これで終わりとはそうは問屋が卸さない!
だってまだラウさんがいるんだから!
デスティニー・ルーラーのカラーリングは逆襲スレのデスティニーⅡがモデルです。
かっこいいですよね、あれ!
二号機は元々ハイネさんの物なんで元のカラーリングは違います。
ハイネ専用デスティニーで検索してもらえれば元のカラーリングがわかると思います!
ディスベアーは内部に十五基のドラグーンと五基のビームスパイク搭載型ドラグーンを収納しています。
ミーティアのブースターだけだと思ってもらえれば大丈夫です。
戦闘中の被弾率を下げるために小さくなっているので、あんなに邪魔そうにはなりませんけどね。
さて!次回は「真!最終決戦!」
それが終わった後エピローグです!
また次回!!
以下、次回予告!脳内BGMはLife Goes On で!
きらめく閃光。宇宙で光る爆炎。
少年は愛した少女のために剣を振るい、少女たちは友のために銃をとる。
仮面の男は不敵に笑い、紅い騎士は覚悟を決める。
あぁ、少女よ。その涙は誰のためのものだろう?
友か?敵か?戦友か?愛したものか?
翼折れても心は折れず、命尽きても闘志は尽きず。
気高き少女は一人、仮面の男と宇宙を舞う。
それは死への輪舞曲―ロンド―。
次回![IS]運命の翼の少女 第五十話「血戦あるいは終戦」
今…………最後の扉が開く。