[IS]運命の翼の少女   作:名無しのごんべい

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 わーい! 前回の投稿から二ヶ月もたったぞー!

 などと作者氏は供述しており、後書きにて謝罪会見が開かれる模様です。




第五十話 「決戦あるいは終戦」 前編

 

『それでも、護りたい世界があるんだぁぁぁ!!』

 

 青い翼の天使が、剣を構えて迫る

 天帝はそれを後退しながら己の僕とその手の銃を操り迎撃する

 腕を天使に斬りおとされ、天帝はなおも下がりながら僕を操る。

 足を、肩を、胸を撃ち抜いてもなお止まらない天使は、その手の剣を天帝に突き立てる

 

 やがて天使はその場を離れ、天帝を終焉の光が包もうとする

 

 それでも天帝は止まらない

 

 否、すでに止まれないところまで天帝は来ていた

 放っておけば今にも消え去る命

 それでも、このまま消えるのを天帝は良しとしなかった

 

 全力でこの場を離れる天使を見ながら、天帝はあるスイッチを押す

 瞬間、天帝の体は分解され、男はその場から音速に近い速度で排出される

 体がバラバラに引きちぎられそうな感覚を、己の体を覆うスーツと天帝の装甲の一部を信じて耐える

 

 すぐ傍を、終焉の光が通り過ぎる

 

 その中で分解されていく自身の愛機を見ながら、男は傷だらけの体を引きずって宇宙を泳ぐ

 その身に刺さっていた剣はすでにエネルギーが尽きて棒切れになっている

 その剣を握り、男は果てのない宇宙を旅する

 

 

 

 男の理解者と弟のような存在がその死を聞きつけたころ、男はあるコロニーにたどり着いた

 

 そこで男が見たのは、MSが消えた瞬間、全く別の場所に現れる姿だった

 

 それからしばらくして、男は理解する

 

 この世に生を受けたのも、宇宙を翔ける鷹と出会ったのも、天使に討たれたのも、ここにたどり着いたのも

 

 全ては、運命だったのだと

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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『……決死隊とはこのことっスかね~』

 

 宇宙を、総勢七十機のISが飛翔する

 この戦力は、本来なら国一つを一日足らずで落とせる戦力だ

 そんな過剰とも言える戦力をもってしてもなお、今から行うのは決死となる作戦だった

 

『本来なら贅沢と言えるの戦力なのに……決死隊』

 

『ま、米国での戦いを見ればこれでも少ないと思えちゃうんだけどねー』

 

 宇宙を翔ける少女たちは、軽口をたたき合いながら月へと向かう

 

 天災、篠ノ之束から通信が来たのが十時間前

 すぐに各国合同会議が開かれ、対応を話し合った

 

 最初に始まったのは責任の擦り付け合い

 時間がないのでブリュンヒルデの一喝でその場は収まったと言う

 最後の希望である天災率いる『首なしラビッツ』は度重なる戦闘で今すぐは動けない

 そこで各国のISとIS乗りを集めて精鋭部隊を作り、宇宙へと上がったのが四時間前

 以降はラビット号で一度補給を受け、そして一万発あると言う核ミサイルの確認をしに行く

 

 簡単に言えば、彼女たちの任務は偵察だった

 ミサイルを確認した場合は持てる武器の最大火力をもってミサイルを破壊

 相手から応戦された場合はすぐに退却

 詳細を首なしラビッツに伝えた後そのままラビット号に同乗

 約二日後に行われると言う戦闘に参加する

 

『参加したとして、何の役に立つんスかね~』

 

『囮か盾にはなるだろう。

運が良ければ、天災特製の対MS用兵器をもらえるかもな』

 

『そんなものがあるんならぜひ譲ってほしいね』

 

『補給を受ける時に交渉する。ブリュンヒルデも同乗していることだし、悪いようにはならないだろう』

 

 軽口をたたく彼女たちだが、その顔は一様に悲壮感が漂っていた

 彼女たち自身、彼我の戦力差は弁えている

 ISが最強の兵器と言うのは、すでに過去の話になってしまったのだ

 MSの圧倒的な性能は、今までの戦闘資料からでも容易に想像できる

 ISよりも固い装甲、ISよりも強大な火力

 ISが勝っているのは速度のみ

 だがその速度も、攻撃につながらないのであればただ逃げ足が速いだけだ

 

(それでも、やらねばならん)

 

 決死隊の隊長に選ばれた彼女は、その命をすでに捨てる覚悟でいる

 

(祖国を……地球を焼かせはしない! 絶対に!)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『招待状のないものはご退場願おうか』

 

 その覚悟は、あっけなく宇宙の藻屑となった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『ふむ……』

 

 仮面をかぶった男……クルーゼは、辺りを見回して声を漏らす

 彼の周りには、無数の残骸

 無残に破壊されたISと宇宙を漂う女性たちの骸

 先ほどまで宇宙を埋めていた七十機のISは、全て残らずクルーゼによって破壊されていた

 

『なかなかの性能だ。ブースターが少し邪魔だが、まぁ許容範囲内だろう』

 

 今回、クルーゼは完成した『デスティニー・ルーラー』と『ディスベアー』の試運転をしていた

 そろそろ戻ろうかと言ったところでセンサーが無数の熱源を感知

 確認してみると、姦しい集団が月に向かって行軍していた

 邪魔者の排除と武装の試運転のために襲撃

 二十分ほどの戦闘で殲滅した

 

『これで、彼女を迎える準備が整った。私の同類よ。共にその身を食らい合い、殺し合おう』

 

 クルーゼはそう言うとその場から消える

 後には静寂だけが残った

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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 ふと、気が付く。

 あたりを見回すと紅葉によって紅く染まった木々が並び立つ並木道。

 

「……なにしてたんだっけ?」

 

 思い出せない。

 何か、とても大事なことがあったはず。

 

 必死に考えながら並木道を歩く。

 

「そう言えば、ここ何処?」

 

 懐かしい感じがする道。

 向こうを見ても白くかすんで見えないし、後ろを振り返っても今来た道が続くだけ。

 

「……どうしよう?」

 

 何時、何故、どうしてここに来たのかわからない。

 やることも無いのでただ歩く。

 

 ――――どうして歩いてるの?

 

「……立ち止まりたくない」

 

 やがて、景色が変わる。

 立ち並ぶ木々が消え、代わりにMSが並び立つ。

 奥に進めば進むほど傷一つなかったMSはボロボロの残骸に変わっていく。

 ボロボロのMSの向こうに炎が見える。

 

 それでも、歩くのはやめない。

 

 ふと、空を見上げる。

 MSが飛び回り、戦っている。

 いつの間にか私はインパルスを纏っていた。

 

 それでも、MSで作られた道を進み続ける。

 両脇にそびえるMSはどんどん新しいものに変わっていく。

 私が纏うMSも、インパルスからデスティニーに変わる。

 

 歩いて歩いて歩き続けて、次第にデスティニーもボロボロになっていって、月にたどり着く。

 それでも歩くと場面はがらりと変わり、両脇がMSからISに変わる。

 ボロボロのデスティニーからまたインパルスに変わる。

 

 やがて、右側がIS、左側がMSになった道を歩く。

 ISの奥にはIS学園が見えて、MSの奥は相変わらず炎が見える

 

 だけど、いい加減歩くのも疲れてきた。

 今までずっと歩き続けてきた。

 だから、もうやめよう。

 そう思って歩くのをやめる。

 

 その時、手を誰かに掴まれた。

 私の手を掴んだ人―――― 一夏は、私を引っ張って歩かせる。

 いつの間にか、私の周りにはいろんな人がいた。

 

 一夏と一緒に手を握ってくれるセシリア。

 歩くのをやめようとした私の背中を押してくれる箒、鈴。

 私の前に立って、私がちゃんと歩けるように先導してくれるシャル、ラウラ。

 箒と鈴のさらに後ろ、私を見守ってくれる刀奈さん、織斑先生、束さん。

 私のはるか前にいて、時々私の方を振り返ってはドンドン先に進んでいくアスラン。

 

 もう一度、後ろを振り返る。

 

 織斑先生たちのさらに後ろ、もうかすんで見えないくらいの位置にいて私をしっかりと見てくれているマユ、ステラ、レイ。

 みんな、私が歩く早さに合わせてゆっくりと歩いてくれる。

 だから私も、みんなに引っ張られるんじゃなくて、しっかりと自分で歩く。

 

 私が纏うインパルスが、シードデスティニーに変わる。

 みんなも自分のISを纏って、一緒に歩く。

 

 目の前に見えるのは月。

 私の道を阻もうとするのは、敵。

 

 だけど――――。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「大丈夫。もう間違えないよ」

 

 目を開く。

 ここ数日で何度かお世話になったラビット号の医務室の天井。

 私はもう間違えない。

 もう、誰も殺させやしないし、誰も殺してなんかやらない。

 

 ベッドから出て掛けてあったIS学園の制服に着替える。

 改造も何もしていないスタンダードな形。

 この数か月間ですっかり馴染んでしまった制服。

 

 私はもうザフトの軍人じゃない。

 この平和な世界のただの学生。

 戦いを終わらせて、残りの人生を大切な人たちと静かに過ごす。

 

 モニターに目を向ける。

 

『三日たった。今から我らと君たちの決戦の時だ。この一戦に君たちの世界の命運がかかっている。せいぜい頑張りたまえ』

 

 いつか見た仮面の男。

 あの男が黒幕と言うことなのだろう。

 

 艦内が騒がしくなる。

 アラートの音は第一種戦闘配備。

 

『行ってくる……絶対勝ってくるからな、進』

 

 扉の向こうから、一夏の声が聞こえる。

 

「勝手に置いていかないでよ」

 

 だから、声もかけずに突然扉を開けて目の前で言う。

 驚いた一夏の顔を見て、いたずらが成功したことを確信する。

 

「進……お前、起きて……」

 

「行こう、一夏」

 

 医務室を出る。

 向かう先はもちろん格納庫。

 たどり着いた場所には、塗装が剥げ、装甲も傷だらけだけど、それでも完璧な状態で佇むシードデスティニーがあった。

 

「進!?」

 

「進さん!? 起きて大丈夫ですの!?」

 

「ちょっと一夏! なんで連れてきたのよ!」

 

「俺が連れてきたわけじゃ……おい進!」

 

 一夏に肩を掴まれて、そのまま振り向かされる。

 

「アスランから聞いた……お前があの機体に乗り続けたら死んでしまうって。お前……それがわかってて、それでも行くつもりなのか?」

 

 ああ、知られたのか。まぁあれだけ派手に倒れれば当然かな?

 だけど、行かなきゃいけない。私がやらなきゃ。

 

「大丈夫だよ、一夏」

 

「大丈夫なもんかよ! このままじゃ本当に……!」

 

「私ね、後悔してたんだ」

 

 いきなり喋りだした私に、一夏が怪訝な顔を向ける。

 

「あの時、織斑先生からこの制服を受け取らなければよかったって。あの時、一夏に出会わなければよかったって、ずっと思ってた。そしたらこんなに苦しむことも無かったし、一夏が私を心配することも無かったのにって」

 

「おい、それは!」

 

「だけどね、今はこれでよかったって思う。みんなと一緒だと楽しいし、一夏と一緒だとうれしい。だから、私もみんなと一緒にいたい。一夏と一緒に飛びたい。

 お願い一夏、みんな。私の最期のわがままだから」

 

 頭を下げて、お願いする。

 こうでもしないと私はデスティニーに乗せてもらえないだろう。

 最後の最後で寝たきりでみんなを応援するだなんて、そんなのは嫌だ。

 

「……約束してくれ、進」

 

「……なに?」

 

 一夏の声に顔を上げる。

 何時になく真剣な顔をした一夏が、そこにいた。

 

「俺達は全員生きて帰る。お前も、俺たちも……そしてあそこで世界に喧嘩を売ったやつらも全員だ。いいな?」

 

「!! もちろん!」

 

「よし! 行くぞ!」

 

 急いで更衣室に駆け込んで制服からアンダースーツに着替える。

 ちらりと一夏を見ると箒やセシリアたちに詰め寄られているのが見えた。

 その背中に手を合わせ、軽く謝罪しながらデスティニーを纏う。

 

「……行こう、デスティニー。私たちの正真正銘、最期の出撃だよ」

 

 おそらく、いや、確実に。私はこの戦いの後MSを纏うことはできなくなるだろう。

 それが命を落とす結果になるのか、それとも一命を取り留めるのかはわからない。

 だけど、これがシン・アスカの……飛鳥 進の最期の出撃。

 

「いいのか?」

 

「……いいよ。後悔はない」

 

 隣で同じようにジャスティスを纏いながら訪ねてきたアスランに返す。

 そう、後悔はない。

 

 辛いことも、苦しいこともたくさんあったけど、今は楽しかった事しか思い出せない。

 

「無理はするなよ、進」

 

「背中は護りますわ」

 

「まったくお前というやつは……」

 

「帰ったら説教をくれてやるわ!!」

 

「そうだね。帰ったらお仕置きだよ!」

 

「私が盾になる。存分に暴れろ」

 

 いつもと同じ、みんなが勇気をくれる。

 

『帰ってきたら補修をくれてやる。覚悟しておけ』

 

『帰ってこなかったら束さんがデスティニーを好き勝手改造するからね! 覚悟しておくんだよ!』

 

 織斑先生と束さんの声を聴きながら、一歩を踏み出す。

 

「飛鳥 進! シードデスティニー! 行きます!」

 

 そうして私は、最後の戦場へと飛び出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 






 ……orz(土下座)

 本当に申し訳ありませんでした。
 ここまで書いては消し書いては消しモンハンしてゴッドイーターやってフリーダムウォーズしてキンハやって新しい小説に浮気してたらこんな時間になりました。

 だけどここまでだ! 後編はバトルパートなので作者の本領が発揮される場面! ノンストップで突き進んで見せる! うけろよぉ!! 俺の速さをッ!!

 と、言うわけで次回でクルーゼ戦の最終決戦、その次でエピローグです。
 かませにしたIS部隊の皆さんには悪いことをしたと思います。だけどクルーゼの力を一度見せておきたかった。

 あまり長々と語るのも何なのでこの辺で。

 本当にすいませんでした!
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