[IS]運命の翼の少女   作:名無しのごんべい

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第五話 「原罪あるいは相棒」

「織斑君ってホントに人気者なんだね」

 

 IS学園の屋上で息を切らせて座り込む織斑君に声をかける。

 

「ゼェ……ゼェ……別に……そんなんじゃ……ゼェ……ないぞ……ウーパールーパーみたいに…ただ物珍しいだけだよ」

 

 と、織斑君は私の言葉を否定する。

 それにしても…………ウーパールーパー?

 

「なにそれ?」

 

「知らないのか? ……って、確か異世界から来たんだったな」

 

 現在私が異世界から来たということを知っているのは目の前の織斑君と織斑先生(学校ではこう呼べって言われた)、束さんに担任の山田先生と保健医の桜井先生だけだ。

 

「それよりもなんで逃げてるの?」

 

「あぁ、今日来たばっかで知らなかったな。実は来週から学年別のタッグトーナメントがあるんだよ」

 

「タッグトーナメント?」

 

 何かの大会かな?

 

「飛鳥が来る前に一度あったんだけどな、その時はトラブルがあって一回戦の第一試合しかできてないんだ。だからもう一度やろうってことになってな」

 

 織斑君の話ではほかにもクラス代表トーナメントや臨海学校など主だったイベントはすべてトラブルによってつぶれてしまっているらしい。

 だからせめてこのタッグトーナメントと臨海学校はもう一度やるらしい。

 

 織斑君と話をしていると階段のほうからどたどたと足音が聞こえてくる。

 

「やべぇ! もう来た! 飛鳥悪い! うまくごまかしてくれ!」

 

 と言って織斑君が物陰に隠れるのと同時に数名の生徒が屋上に入ってきた。

 

「ここか!」

 

「ねぇ! キミって確か転校生の飛鳥さんよね! 織斑君見なかった?」

 

 物陰からこちらに拝むような姿勢で懇願してくる織斑君が見える。

 

「(仕方ないなぁ……)見たよ。」

 

「ホント!? どこにいったの?」

 

「さっきまでここにいたけど足音が聞こえてきた瞬間にIS展開してどこかに行ったよ」

 

「ISまでつかったの!?」

 

 女子生徒が驚愕している。

 そういえば校則にもISの無断使用は罰則って書いてたっけ。

 

「ところでなんで織斑君を探してるの?」

 

「あ、そっか知らないんだっけ? 来週のタッグトーナメントで織斑君とペアになるためよ」

 

 そこで私は笑みを作る。

 

「あ! ごめんね? さっき織斑君とその話してて私織斑君と組むことになったんだ」

 

 

「「「「えぇ~~~~~~~!!!!」」」」

 

 屋上に来ていた女子生徒全員の声が重なる。

 

「織斑君が「転校してきてまだ知り合いとかいないんだろ? だったら俺が組んでやるよ!」って言ってくれて」

 

 女子生徒たちが肩を落としながら屋上を後にする。

 

「というわけでよろしくね? 織斑君」

 

「お、おう」

 

 こうして私のパートナーが決まった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 放課後。

 

 私たちはISの訓練のためにアリーナへ向かっていた。

 

「そういえば飛鳥はISどうするんだ?」

 

「うーん……打鉄かなぁ。ラファールでもいいんだけど私はどっちかと言ったら接近戦のほうが好きだし」

 

 そんな話をしていると、

 

「おーーーーーーーい!! あーーーーーーちゃーーーーーーん!!」

 

 と、ここ数日間で聞きなれてしまった私を呼ぶ声。

 

「束さん!?」

 

「いっしょにいるのは箒か?」

 

 こちらに来るのは束さんとクラスメイトの篠ノ之さんだよね。そういえば束さんと同じ名字だ。

 

「どうしたんですか? 束さん」

 

「実はあーちゃんにプレゼントがあるの!ちーちゃんに頼んで第3アリーナ貸切にしてもらったから行こう!」

 

 プレゼント?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 第3アリーナ。

 

「じゃじゃーん! ご開帳!!」

 

 その言葉と共にアリーナの格納庫が開く。そこには私の嘗ての相棒が鎮座していた。

 

「…………インパルス」

 

 ZGMF-X56S インパルス。

 かつての私の相棒で、シルエットシステムを搭載したセカンドステージの集大成ともいえる機体。

 

「これの性能テストをしたいからいっくんは相手をお願いね? 箒ちゃんは観客席で見ててね?」

 

「あ、ああ」

 

「わ、わかりました」

 

 織斑君と篠ノ之さんが格納庫から出ていく。

 残された私は束さんに疑問をぶつける。

 

「どうやってこれを?」

 

「デスティニーにデータが残ってたんだ。だからそれを復元しただけ。もちろんISとしてね?」

 

 いまだに頭が追い付いていないが、理解できたことはある。

 

 

 

 なれない量産機を使う必要はないってことね。

 

 

 

「飛鳥 進! インパルス出ます!」

 

 掛け声とともにカタパルトから射出される。

 それと同時にモノクロだった私の機体は青、赤、白のトリコロールカラーになる。

 

(VPS装甲まで再現されてる……)

 

 そのままアリーナの地面に着地、織斑君の正面に降り立つ。

 

「専用機持ってたんだな」

 

「うん。私が一番驚いてるけどね」

 

 束さんはいつも唐突だ。

 

《じゃぁ性能テスト始めるよー! カウントー!》

 

 束さんの間延びした声が聞こえる。

 そして気を引き締める。

 

《10!》

 

 いつでも飛び出せるように覚悟を決めて、

 

 

 

 

《0!!》

 

 

 

 

「はや!?」

 

 驚きで硬直している織斑君にライフルを撃つ。

 

「うわ!?」

 

 織斑君がそれをギリギリでかわす。最初から当たるとは思ってなかった私はさらにライフルを連射、数発が織斑君のISの装甲をかすめる。

 

「ちょ! 汚ねぇ!」

 

《戦場では合図なんてないのだよ! いっくん!》

 

 姉さん! とどこからか叫び声が聞こえるがすべてを意識の外に追い出し目の前の敵に集中する。

 

 織斑君がビームを躱しながらこちらに近づいてくるのを確認すると、私は腰のウェポンラックを展開しておく。織斑君が私に近づき、その手に持つブレードを上段から振り下ろす。

 それを盾で防ぐと同時に右手に持つライフルを捨て《フォールディングレイザー対装甲ナイフ》を取り出し、空いた右手に装備。

 

「はぁぁぁぁぁあああああ!!!!」

 

 気合とともにナイフを振りぬく!

 だが当たる直前に逃げられる。

 

「あっぶねぇ!!」

 

 機体は良好。しかしわずかながら動作にラグがある。

 私の反応についてこれてない。

 

(初期設定が終わってないとか言ってたっけ)

 

 だがそれは些細な問題だ。整備がちゃんと終わっていない状態で戦闘に出た時もあった。

 泣き言は言ってられない。

 

 胸部装甲についている《7.92㎜CIWS》をフルオートで連射。

 威力は低いがそれでも牽制になる。

 案の定、一発当たるたびに減っていくシールドエネルギーに焦りを覚えたのか、織斑君がジグザグに動きながら接近してくる。

 右手のナイフを織斑君に向かって投げつける。

 それに彼が気を取られている隙にさっき捨てたライフルを拾う。

 今度はシールドを投げつける。

 当然それを躱そうと織斑君が右に体をずらす。

 そしてシールドの位置と角度、織斑君の位置、私のライフルの射角を一瞬で計算しライフルを一発発射。

 

 放たれた閃光は狙い通りに盾に吸い込まれていき、

 

 盾に当たった瞬間ビームが右にずれる。

 

「なに!?」

 

 見事に直撃。

 

 

 

 したかに見えたが、

 

「……バリア?」

 

 織斑君が展開したバリアに私の渾身の射撃ははじかれる。

 

「何とか間に合ったか……」

 

 そういって織斑君が不敵に笑う。

 

「今度はこっちの番だ!」

 

 織斑君がこちらに突っ込んでくる。

 ライフルで牽制するもバリアによってすべてはじかれる。

 

(まずい!)

 

 相性が悪すぎる。

 相手はビームが聞かないのに対してこっちはビームライフルくらいしか牽制に使えるものがない(CIWSはさっき撃ち尽くした)。

 

(このまま近づかれたらやられる!)

 

 

 

 そう思った瞬間、

 

 

 

《初期設定終了》

 

 

 

 それは起こった。

 

 

 

《第一形態に移行します》

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 突然転校生の飛鳥のISが光に包まれるのを、私………篠ノ之 箒は観客席から見ていた。

 

 今日やってきた転校生の飛鳥 進(男のような名前だ)はどうやら一夏の知り合いだったらしく、来週のタッグトーナメントに二人で出ると聞いたときは驚いた。

 さらに飛鳥は姉さんとも知り合いらしく、姉さんが彼女のために専用機を用意したと聞いたときは本当に訳が分からなかった。

 そして一夏と飛鳥の模擬戦が始まる。

 

《じゃぁ性能テスト始めるよー! カウントー!》

 

《10!》

 

《0!!》

 

《ちょ! 汚ねぇ!》

 

「姉さん!」

 

 我が姉ながらなんてふざけた人だ……!

 

 そうしている間にも戦闘は飛鳥が有利に進めていく。

 

 一夏がよけるのがうまく、なかなか当たらないがそれでも私や一夏よりも射撃の腕は上だ。それにかなり奇抜な戦い方をする。

 投げた盾にビームを当てて軌道を曲げるなんて誰が思いつくのだろうか?

 

 だが次第に一夏が押し返していく。

 やはり相性が悪すぎるのだろう。一夏が《雪羅》に組み込まれているバリアフィールドを使いだしてからは完全に一夏のペースとなっていた。

 

 そしてついに一夏が懐に入ったと思った瞬間、

 

 

 

《初期設定終了》

 

 

 

 それは起こった。

 

 

 

《第一形態に移行します》

 

 

 

 

 

 

 

 光がはれると飛鳥のISの姿が変わっていた。

 赤と青と白のトリコロールカラーは赤と白のツートンカラーに。

 捨てたはずの盾は一回り小さくなった状態で左手に戻っており、背には羽のようなものがついている。

 そして何といっても特徴的なのは背負われている二本の大きな大剣。

 

《っ! はぁ!》

 

 先に我に返った飛鳥が気合いとともに背負う大剣を左手で抜き一閃。

 一夏はそれを後ろに飛んで回避する。

 すると飛鳥は持っていたライフルを腰の後ろに仕舞い、両手に二本の大剣を抜き放つ。

 

 それを目の前で連結させ両手で頭上に持ち上げくるくると回転させ、

 半身になって正面に構える。

 

《行くよ織斑君! ここからが本番よ!》

 

 飛鳥が叫ぶ。

 

《ああ! 来い! 飛鳥!》

 

 ここからが本番。

 そう、戦いはまだまだ始まったばかりだった。

 

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