「うぉぉぉぉぉぉおおおおおおお!!!!」
気合とともに《エクスカリバーレーザー対艦刀》を袈裟懸に一閃。
後ろへ引いて躱され、エクスカリバーがアリーナの地面をえぐる。
返す刀で切っ先で地面をえぐりながら切り上げる。
織斑君が持っていたブレードで防御するが、かまわず振り抜き織斑君を弾き飛ばす。空 中で体勢を立て直そうとする織斑君に向かって背中に取り付けてある《フラッシュエッジビームブーメラン》を投げる。
直撃。
回転する刃が織斑君のシールドエネルギーを容赦なく削る。
ブーストをふかして一気に接近する。
途中で落ちてきたエッジを回収しながら片手でエクスカリバーを横薙ぎに振るう。
だがただでさえ重い刃を二つくっつけた状態では相当な重量になり、逆に体が振り回される。
「もらった!!」
そのスキを逃さずに織斑君が上段からの一閃を私に見舞う。
「まだよ!!」
だが、私もタダでくらってやる義理はない。
振り回された体を無理に立て直そうとせずその場で一回転。
そして距離が空いたら有利なのは遠距離武器を持った私だ。
エッジをしまい、ビームライフルを腰のラックから左手で引き抜くと彼に向けて三連射。
バリアに防がれるがそれこそが私の狙い。
素早く両手を空にして背中のエッジを二つとも引き抜き、エクスカリバーのようにつなげて投げつける。
実体剣を投げつけるのは予想外だったのか、バリアを張ったまま硬直する彼に向けてエッジが迫る。
間一髪我に返った彼がエッジを躱すが、よけきれずにISの翼の一部をエッジがさらっていく。
(今だ!)
エクスカリバーを回収し、連結を解除する。
左手に持った方を態勢の崩れた
回転しながら敵に向かっていくエクスカリバー。
それを敵はブレードで叩き落とす。
エクスカリバーが叩き落されるのを確認した瞬間にもう一方のエクスカリバーを今度はやり投げの要領で投げつける。
それを今度は右に半歩ずれることで敵はやりすごす。
だが敵の注意はそらせた。
左手で残っている唯一の武装である《フォールディングレイザー対装甲ナイフ》を引き抜きつつ敵に向かって飛び蹴りを放つ。
顔面に直撃。
いくらシールドに守られているとはいえ顔面は急所のうちの一つ。そこに衝撃が来ると人は無意識のうちに目をつむってしまう。
そのスキを利用し敵を押し倒しナイフを突き立てる。
搭乗者の危険を察知したISが《絶対防御》を発動させる。
それでもかまわずにさらにナイフを突き立てとどめを刺そうと両手に力を入れて……………
《試合終了~!!》
束さんの声で我に返る。
「ったぁ~~~~~! 負けたぁ~~~!! 強いなぁ~飛鳥は!」
「ぁ…………うん、ありがとう」
織斑君の惜しみない賞賛の言葉に、私はどうにか答える。
(今……………私は…………)
彼に何をしようとした?
「ハイ! これ!」
格納庫に戻ると束さんから何かを手渡される。
「なんですか? これ?」
「インパルスのカタログ! 性能も知らないまま扱うのは不安でしょ?」
「……ありがとうございます」
確かにどんな武装があるのかわからない状態で不安なのでありがたく受け取る。
「なぁ飛鳥、どっか具合でも悪いのか?」
織斑君が聞いてくる。
「大丈夫だよ。まだ少し怪我が痛むだけだから」
「え!? うそどっか痛いの!?大丈夫!?」
と、束さんが詰め寄ってきて本気で心配してくれる。
「大丈夫ですよ! 大丈夫!」
と言って誤魔化す。
信じてくれたのか束さんは私から離れてくれる、
「ホントに大丈夫?」
と、なおも聞いてくる束さんに対し、
「だから大丈夫ですよ! ホントに大丈夫……」
と、私は自分に言い聞かせるように「大丈夫」と言い続けた。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「腕は衰えていないようだ」
「やはりあのシン・アスカで間違いないのでしょうか?」
部下の一人が聞いてくる。
「間違いないだろうな。長い黒髪に燃えるような紅い瞳、そして《インパルス》。ここまで条件がそろっておいて奴ではないと言われる方が信じられんよ。
それに、C.E広しといえども投げつけた盾にビームを当てて軌道を曲げるなんて神技は奴意外にできんさ」
「さすがは《自由堕とし》ですね」
「それで?」
と、今まで一言もしゃべらなかった仮面の男が口を開く。
「いくらあの《フリーダム》を堕としたと言っても、わざわざ15、16の小娘のために計画を中止するとは言うまいな」
「それはもちろんですよ。我々がここに来てどれほどの時を待ったか………それをまだ20にも満たないションベン臭いガキ相手に逃げるわけにはいきませんよ」
そう答えると仮面の男は口元に笑みを浮かべる。
「そういうと思っていたよ。では私は一足先に戻らせていただく。後のことは任せるよ」
そう言い残すと仮面の男は音もなく消え去った。
「やっぱり気味が悪いですね、あいつ」
部下が愚痴を漏らす。
「そう言うな、あんな奴でも俺たちの最大戦力だ。しっかり御機嫌を取らないとな」
視線を戻す。
そこにはこのIS学園の制服を着たどこからどう見ても平和な世界の学生にしか見えない少女が、心なしか肩を落としながら歩いていた。
「平和な世界は居心地が悪いだろう?
同じ穴の狢同士仲良くやろうぜ?《鬼神》ちゃん」