顔真っ赤なネイチャさんに「お、お馴染み1着ぅ……」と言わせるまで   作:東京競馬場

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ネイチャさんとキラキラ

 

「これは……ちょうど、いいか」

 

 ストップウォッチの音がカチリ。音とともに呟いた青年の言葉は、風に乗って掻き消えた。

 

 たった今ゴール板を駆け抜けた少女は、ゆっくりと速度を落としていった先でUターンすると、ラチに寄りかかっていた青年のもとへと戻ってきた。

 

 近づきすぎないぎりぎりのラインは、火照る身体を落ち着けるため。そして、変な匂いがしないかと気にせんがため。

 

 世界を熱狂の渦に叩き込むウマ娘という存在は、ゴール板を境に突然その姿をアスリートから少女のそれへと変えるのだ。

 

「えっと……どうですかね、トレーナーさん」

「フォームもばっちり、体幹もブレてねえ。無理はするなと言ったのは俺。……ナイスネイチャ」

 

 なんだろ、と小首を傾げる少女は、渡されたタオルで頬を拭いながら青年を見上げる。

 思考と共にクリップボードへとペンを走らせていた彼は、ちらりと彼女――ナイスネイチャを一瞥して問うた。

 

「マイルも走ってみたいか?」

「えっ? いや、どーかな。急に聞かれてもですね」

「まあそうか。簡単に言えば、軽く鍛えればマイルでも勝てるウマ娘になれるぞって話だ」

「ええ!?」

 

 それは想像だにしていなかった提案。

 確かに、これまで何度も色んな距離を試してきた。

 短距離は元々苦手だったから、それをわざわざ伸ばそうとはしていなかったが。

 

 1600mから、果ては3600mまで。

 

 試すことは試したのだ。どっちも別の意味でしんどかったが、彼女はトレーナーの育成方針には素直だった。

 

 実際、トレーナーたる神谷自身も"試すならシリーズ手前の今しかない"との判断で。

 

 そしてその結果として案の定マイルの適性はあまり高くないというか、数字が思ったように伸びなかったのは、ほかならぬナイスネイチャ自身もよく知るところだったのだ。

 

 だからこそ、自身の担当トレーナーのこの提案は意外だった。

 

「えっと」

 

 少し悩んで、それからナイスネイチャは頬を掻く。

 

「……何を失えばいいんですかね?」

「幸せの総量に限界があるみたいな理論やめろや」

「や、だって! だってですよ!! マイルに勝てるだなんて、そんな話は今まで全然……」

「可能性の無いうちに言って変に期待だけ持たせるわけないだろが」

「うっ……」

 

 そういえば、目の前の男はそういうことをしそうな男であった。

 

 クリップボードをぽんぽんと肩叩きのように扱い、優しい目をこちらに向ける神谷。

 

 期待を抱かせるだけ抱かせて、やっぱりダメでした――なんてことは許しそうにない。

 そうした信頼感だけはもう胸いっぱいで、だからこそこのマイル戦への提案は悩ましいものとして映った。

 

「そりゃ……」

 

 勝てるレースがある、自分でも活躍できるレースがあるのだとしたら出たい。

 

「出られるものがあるなら出たいけど」

 

 でも、と唇を尖らせる。

 そんなに、美味いだけの話があるはずがない。

 そもそも自分がまともにレースで――たとえオープン戦であっても勝てると胸を張って言えるかどうかは分からないままなのだ。

 

 自己ベストは次々更新できているから、充足感こそあるけれど。

 

 神谷から、周囲の成績については聞くな話すな、と厳命を受けていることもあり。

 

 不安は未だ、胸の中に根強く残っている。

 

「ナイスネイチャ」

「なに?」

「――そろそろ、メイクデビューの日取りを決める時期だ」

「っ」

 

 メイクデビュー。

 

 言われてみれば、今回もまた多くのジュニアクラスが出走して久しい。

 この前など、あの東京レース場での観戦日に出会ったスペシャルウィークが弥生賞で輝かしい勝利を手にしたばかりである。

 

 自分の出番が、順番が刻々と近づいていることは、彼女自身にもよく分かっていた。

 

「お前がどうなりたいか、どうしたいかを俺は知ってるつもりだ。だから、これはただの"出来る"という提案だけ。何を以て、お前が"キラキラ"したウマ娘になれたと思えるかどうかだ」

「――トレーナーさんは」

「ん?」

 

 縋るような目を、神谷に向ける。

 ぎゅっとジャージの裾を両手で掴んだまま、おずおずとその口を開いて。

 

「トレーナーさんは、どう思ってるの?」

「俺は、"まずは3冠"を目標においてるぜ? お前は、それが出来るウマ娘だ」

「っ……」

 

 ぽん、と可愛らしいクリスマスカラーのイヤーカバーの間に手を置いてから、神谷は改めて腕を組む。

 

 羞恥にへたった耳と、見上げた視線が捉えたのは遠ざかっていくトレーナーさんの手。

 

「だからあとは、お前自身が後悔しない選択だ。何も俺は、クラシック3冠だけが"キラキラ"の条件だとは思っちゃいない。それは、お前だってそうだろ?」

「――うん。クラシック3冠が取れたか取れないか、じゃ、ない。でも」

「ああ、それが出来るに越したこたぁねえがな。だがそりゃ、逆に言えばお前のやりたいことは何も中長距離の重賞レースだけにあるってわけでもないってことだ」

「……」

「マイルで走りたい、何か求めるキラキラがあるというのなら。それもまた俺が導くべき代物だ。そして――その選択が出来るのは、あともう少しの間だけだ」

「今、言ったのは」

「可能性があるほどに、お前が才能に溢れていたからだ」

 

 

 少し黙って。

 ナイスネイチャは、「ちょっと考えさせて」と、この話を保留にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 思えば、選択権を委ねられたのが初めてだった。

 

「朝日杯フューチュリティステークス、阪神ジュベナイルフィリーズ、桜花賞、NHKマイルカップ……G1だけでも、まだまだいっぱい……」

 

 重賞の名を並べれば、その分だけ栄光を手にしたウマ娘の名前も出てくる。

 彼女らの得た"キラキラ"も、胸を打つ憧れだ。

 

 だからこそだろう。こうして悩んでしまっているのは。

 

 廊下を歩きながら、ナイスネイチャは独り物思いに耽っていた。

 

 ――悩んでいい、と神谷は言った。

 

 不思議なもので、あそこまで彼女の体調や精神状態を気にしてくれるトレーナーにそう言われると、意外と練習には響かない。

 

『悩んでいても練習に支障はないし、スケジュールに罅を入れたわけではない』

 

 そう言われるだけで、随分と気は軽くなるものだと知った。

 

 悩んでも構わないほどにマイルでも活躍できるウマ娘だと太鼓判を押された、そんな風に思えたことも気が軽くなる理由だったのかもしれないが。

 

 それに、誰に相談しても良い、とも言われた。

 その悩みはきっと、トレーナーではなくウマ娘に話した方がいいこともある、だなんて。

 

 夕日の差し込む窓にふと目を向ける。

 今頃多くのウマ娘が練習に打ち込んでいるのだろう――そう思うと、かつての自分は焦りに駆られて自分もと身体を虐めていたような気もするが。

 

『明日は休養日です。身体を休めると、ナイスネイチャは進化する』

『あ、はい』

 

 今は。

 自分の身体に責任を取るのは、トレーナーさんだ。

 その台詞が、彼女の胸に安心を宿していて。

 

『鍛えるってのは身体壊してるのと一緒だからな。その壊した身体が修復されて初めて強くなるってもんよ。勝手にお前の身体壊したら俺許さねえからな』

『分かったって』

『お前の身体は今俺のものだ』

『分かったってば!!!』

 

 冷静に振り返ったら、あれを"分かったってば"と返したのもちょっとどうかと思いもするが。あとのまつりである。

 

「あーもー……」

 

 少し熱くなった頬を冷ますように手で扇いで――思わず足を止めた。

 

「やあ」

「うぇ!? あ、ど、ども……」

 

 視線の先。

 はっきりと正面から見据えられて。

 明らかに自分に向けた挨拶だと、他に誰もいない廊下で意識させられて。

 

 一介のモブには相応しくない、まっすぐに1対1で向き合う状態。

 

「どこかへ向かう途中かな?」

「え、あ、いえ……」

 

 何を言っていいのか分からない。そんな彼女に、正面の人物は少し困ったように眉を下げた。

 

「そう身構えないで欲しい。これでも神谷くんとは、親しい間柄だ。キミのことも聞いているし、機会があれば話したいと思っていたんだよ」

 

 まさかその機会が、こんなに早く巡ってくるとは思っていなかったが。

 そう苦笑して彼女はナイスネイチャの目の前までやってくると、並ぶように窓へと視線を投げた。

 

 夕焼けが優しく、校舎を照らしている。

 

「改めて、シンボリルドルフだ」

「さ、流石に知ってますって、会長……」

「そうか? 初対面のようなものだろう? 挨拶は大事だ」

「あっ」

 

 そこで何かに気付いたように、そして自分に失望したように肩を落として。

 申し訳なさそうにナイスネイチャは続けた。

 

「ども、ナイスネイチャです。名乗りもせずに」

「ありがとう。とはいえ、キミが私を知らずとも、私はキミをよく知っていた」

「逆では……?」

 

 生徒会長のことをモブが知っているのは理解できても、モブのことを知っている生徒会長の概念は理解できないナイスネイチャである。

 

「いいや? ――知っているとも」

 

 その実感のこもった言い方と、向けられた微笑み。

 心当たりがなさ過ぎて、ナイスネイチャは言葉を返すことも出来なかった。

 

「キミが頑張っていたことも、今まっすぐ頑張れていることも知っている」

 

 担当トレーナーどころかチームにも引っかからず、がむしゃらに頑張ることしか出来なかった彼女のことを、シンボリルドルフが知らないはずもなかった。

 

 そして、知っていながら何も出来なかったという歯がゆさも。

 

 ナイスネイチャに限った話ではない。

 そういう、不幸なウマ娘を1人でも減らすのが、シンボリルドルフの至上命題なれば。

 

 もっとも、シンボリルドルフは既に神谷を使ってトレーナー体験講座を行い、多くの"ナイスネイチャと似たウマ娘"を片端から救っているので、その辺りは流石の手腕であるのだが。

 

 むしろナイスネイチャの方に『神谷の体験講座に行きたくない』という極めて個人的な事情があったせいで、シンボリルドルフの救済の手を逃れてしまった不慮の事故があっただけだ。

 

 そしてその先で神谷とトレーナー契約を結び、彼自身がシンボリルドルフのもとにやってきて「こいつとなら凄えことが出来る」と宣言したこともよく知っている。

 

 むしろ、いつか一緒に走りたいというシンボリルドルフの望みを知らないのは目の前の自称モブ娘プリティダービーだけである。

 

「だから、この奇遇奇貨は嬉しい誤算というものだ」

 

 緩く口元に弧を描く、穏やかな表情のシンボリルドルフ。

 話が見えないナイスネイチャは、頬を掻いて「あー」と声を漏らした。

 

「トレーナーさん、凄い人ですからね!」

「ああ、そうだね」

 

 ここで、「だから選ばれたキミにも期待している」と言っても良かった。

 ただ、シンボリルドルフは喉から出かけたソレをひっこめた。

 あのトレーナーが相当に精神状態に気を遣っている少女だ、プレッシャーになり得ることを口にするべきではないだろう。

 

 自分をモブだと思っている少女は、気づけば誰よりもお姫様のように扱われていた。

 学園で最も敬意を集める、目の前の生徒会長からでさえも。

 

「そ、それでその。そんな凄い人に担当されちゃってるアタシみたいなラッキーガールに……お話とは」

「今のところは、そう大した話題はない。ただ、親しくなっておきたいと思っただけだが……」

「えっと?」

 

 小首を傾げる彼女に、シンボリルドルフは少し目を細める。

 

 ナイスネイチャ自身に告げるつもりはないが、もともとシンボリルドルフは声をかけるつもりも無かった。

 それは神谷に気を遣ってということもあるが、ああして"いつか"を楽しみにした以上は自分という存在で相手に重圧をかけたくなかったからだ。

 

 けれど、こうして廊下を歩く中で。

 

 物思いに耽り、窓の外を眺めている可愛らしい少女を見つけては声をかけずにいられなかった。

 

 その立ち姿、憂うような表情はとても絵になるけれど――それでも浮かない顔をしたウマ娘を放っておくのは信条に反したのだ。

 

「神谷くんには言えない悩み事……かな?」

「うぇ!? あーいや、あはは。そう見えました?」

「そうだね。彼がキミの悩みを放っておくはずがないと考えれば、自然と」

 

 だから、とシンボリルドルフは努めて柔らかな笑みを見せると。

 

「もしも私で力になれることがあるのなら、話して貰えないかな」

「いえ、そんな。会長の時間を取らせるようなことじゃ」

「そうか、それは困ったな」

「え?」

「このままでは、私はキミのことで頭がいっぱいでこの後の仕事が手につかなくなる」

「……うわぁ」

 

 ナイスネイチャは、思わず口角をひくつかせた。

 なるほど、という得心があったのだ。

 

「……トレーナーさんと仲良しっていうのが、ちょっと理解できちゃった」

「それは光栄だ」

 

 はあ、と一息ついて。

 ナイスネイチャは、小さく一言目を呟いた。

 

「悩んでいいって言われたんですよ」

「……なるほど。敢えて彼が悩ませているのか。なら、私はキミの悩みに答えを出すのは控えるが……寄り添い、協力することは出来る」

「あはは、ありがとうございます」

 

 

 それじゃあ、と話すのは、マイル戦を走るかどうか。

 メイクデビュー前に決めておきたいと、そう告げられたこと。

 

 しばらく話を聞いていたシンボリルドルフは、なるほどと小さく顎を引いて。

 

「キミ自身に、"どうしたいか"というのがあまり定まっていないということかな」

「そう、ですね。……そう、なんですよ」

 

 だって仕方がない。

 そもそも、中長距離だって戦えるかどうかわからない。

 なのに、マイルにまで手を伸ばして――後悔しないだろうか。

 

 どうしたって浮かぶのはネガティブな発想。

 

 そしてもし、それらを全部神谷がカバーしてくれたとして。それだけの信頼をおいたとして。

 もし失敗した時に、神谷のせいにする自分なんて、もう、死んだ方がましだ。

 

「……なるほど」

 

 一通り、話を聞いたシンボリルドルフは一言頷くと。

 

「キミに答えを教えるのは簡単だが……ふっ。ああ、そういうことか。……ふふふ」

「えっと……会長?」

 

 嚙み殺すような笑み。

 

「よもや私が、誰かのトレーナーを羨ましいと思う時が来ようとは。ああ、本当に……」

 

 まっすぐ見つめる先には、ナイスネイチャ。

 今すぐに言ってやりたい。これからのキミに期待していると。

 

 ただ、それを言うわけにもいかない。

 メイクデビュー前に、ナイスネイチャ自身がどれだけ優れているのかを教える気が神谷には無いのだから仕方がない。

 

 マイル戦でも勝てる。それはきっと、ほかならぬ事実だ。

 もしも彼女がマイル戦も挑むのだと言えば、そちらで多くの重賞を勝利することで彼女の目標は果たされる。

 

 そして、挑まないと言えば。

 

 きっとそれは、彼女にとって"キラキラ"が明確なものとなる。

 

 

 神谷がさせたかったのは、マイル戦に挑むかどうかという二択ではない。

 

 彼女自身が、何をもって"キラキラ"とするのか。それを自覚させたいのだ。

 

 彼女が一番、勝利への達成感を得るために。

 

 トゥインクルシリーズが始まり、レースに勝利するたびに、『今、自分は"キラキラ"出来ている』と自覚させるために。

 

 何をもって彼女が心の底から喜べるのか、それをはっきりと認識させようとしている。

 

 

 もしも、その目論見が成功すればどうなるだろうか。

 ああきっと、もっともっと勝利へ、レースへ懸ける想いは強くなる。

 その想いが強くなる度に、きっと彼女は人々の目を奪う存在になる。

 

 

「神谷くんのためを思うなら、キミは確かに勝利を手にするべきだろう。だが、こう問おうか。神谷くんへの信頼を大事にして、勝てるレースを勝つのがキミの目的か?」

「……目的、ですか」

「ああ。目的だ。多くのレースを勝ったウマ娘こそが、キミの理想なのか。或いは、別の何かがあるのか。キミがなりたいのは、どんなウマ娘だ?」

「なりたいウマ娘だなんて、そんな」

 

 あのシンボリルドルフを前に、なんの実績もないウマ娘が何を言えるというのだろう。

 

 そんな風に思ってしまって、苦笑いを浮かべるナイスネイチャ。

 

 けれど、シンボリルドルフの言葉そのものは強く胸に刺さった。

 

 色んなウマ娘が持っている"キラキラ"。

 そのどれもが羨ましくて、どれもが眩しかった。

 

 でも、そのどれかになりたいかと問われたら、答えに窮するのも事実だった。

 

 

 ――あの夜、主人公になりたいと訴えた。

 

 

 その夢を叶えてくれると、手を差し伸べてくれた人が居る。

 

 でも。

 

 ああ、確かに。なりたいものも漠然としたまま、その夢さえその人に任せるのは違うだろう。

 

 

 少し瞑目したシンボリルドルフは、悩むナイスネイチャを前に言った。

 

「――テイオーは、無敵の3冠ウマ娘になると私に言った」

「うわー……流石……」

 

 それをシンボリルドルフに宣言するところまで含めて、流石だとナイスネイチャは思う。

 でも。

 

 同時に去来する感情がある。胸を突く想いがある。

 

 それはあの日、遠く遠く届かなかったあいつの背中。

 

 いつだって、その眩しさに焼かれていた自分の瞳。

 

「ああ、そっか」

 

 

 

『ボクよりネイチャを選んだことが間違ってたって教えてやるー!』

 

 

『マヤ、わくわくしてきちゃった! ネイチャちゃんのその顔好きだよ!』

 

 

 

 

「アタシ、」

 

 ずっとずっと前から。

 そして今、前よりもずっと。

 

 

「テイオーに勝ちたいんだ」

 

 

 その、思わず零れた呟きに。

 

 シンボリルドルフは、心の底から嬉しそうに笑った。

 

 

 

 

 

 ナイスネイチャのキラキラは、トウカイテイオーで。

 

 斜に構えて心に蓋をしていた彼女が、キラキラ出来たと心の底から感じるためには。

 

 あの天真爛漫な主人公に勝利することが、史上命題なのだ。

 

 

 しかしナイスネイチャは知らない。

 

 

「神谷くんに申し訳ないな」

 

 苦笑するシンボリルドルフの前に立つ、今しがた拳を握りしめた少女が。

 

 きっと彼女の担当トレーナーが見たことのあるどんな彼女よりも、"キラキラ"していたということを。

 

 

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