モルガンと行く冬木聖杯戦争   作:座右の銘は天衣無縫

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はい
またまたお久しぶりです


8話

 

一夜が明け、遠坂が起床した後、挨拶もそこそこにセイバー、アーチャー陣営は去っていった。

その様子を自室の窓からそっと見ていた桜は、彼らが帰って行ったのを見て漸く自室から出てきた。

 

「桜。」

 

出て来た瞬間に突然父親であるカイに後ろから話しかけられ、内心ビックリしながらなんでも無いかの様に振り返る。

 

「父さん。」

 

「少し話すことがある。

ついて来い。」

 

そうしてカイについて行った先は地下の工房の一室。

カイが普段使っている部屋だ。

 

「……何となく言いたい事は分かるな?」

 

「……はい。

遠坂先輩、いえ、姉さんとの事ですよね。」

 

「そうだ。

と言っても叱るわけじゃ無い。

ただ、どうなっても後悔しないようにしろって話だ。

 

少し昔の事を話そう。」

 

そう言って話し出したのはまだカイが名門魔術師家系の次男だった時の話だ。

 

「俺には双子の兄がいたって話は以前したことがあるな?

正直に言っていけすかない兄だったし、なまじ才能がある分、確執もあった。

 

だけど家督を懸けた決闘の後、俺は『優秀なお兄上の事だ。 お家は発展、俺は汚点として居なかった事になるんだろうな。』と言ったんだ。

まあ、嫌味だな。

それに対してアイツは『本当に発展させたいならお前が当主になるべきだった。

俺じゃあ真の意味では発展させられない。』と返してきた。

その時は嫌味だと思ってたんだが、この10年で度々時計塔に行っていた事でアイツが俺宛てに残した遺書を手に入れたんだ。

 

ざっくり言うとアイツは天才だからこそ何かに執着するという事があまり良く分からなかったらしい。

だから精神的に探究には向いていない事を考えれば、努力で食いついてきた俺の方が良かったのだと。

全くもって今更な話だった。

だが、それを知って色々と言いたい事が出来た。

しかしだ。

当の本人はとっくに土の下。

言えるとしたら俺が死んだ後だろうな。

 

俺の場合、元は魔術師でその上男兄弟、更に何年も会ってないほぼ他人の様な間柄だ。

それはそれで仕方ないと割り切れた。

だが、桜。

お前は俺と同じ様に考えられるか?

もし明日、いや今日にでも遠坂凛が聖杯戦争の戦闘で死んだとして後悔しないか?

 

そうじゃ無いなら、自分の中で決着を付けるためにも話し合え。

もし気にしているのに話す機会を永遠に失えばそれはずっとお前の心を蝕む。

 

正確には異なるが、戦場にはそうやって心を病んだ奴が半分は憎い敵を殺すため、もう半分は死にたいが為に喜んで死地に飛び出す奴らが居た。

 

そんな事をする様な人間だけには絶対になってほしく無い。」

 

「はい……」

 

実感のこもったその言葉と、考えないようにしていたあり得る未来を突き付けられ、眉間に皺を寄せた思い悩んだ表情をする。

 

「……とは言ったが、マスター殺しもさせる気はないからな。

存分に思い悩め、その間守ってやるのが大人の、そして親としての仕事だ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……それで、態々道化になってまで隙を晒した結果はどうだった?」

 

「少なくとも7騎目はボクでも確認不可だという事が分かったよ。

ランサーが衛宮邸を襲った時の言葉とキミの妖精眼の結果を加味すれば、ボクらにとっての7騎目は既に存在する。

けれど、ボクの千里眼では影も形も確認できない。

それは態々隙を晒してすらだ。

例え、アサシンが気配遮断を使っていても存在するかどうか程度は分かると思うよ。

それなのに、存在するかどうかの確認すらできない。

 

よっぽどボクと相性が悪いか、凄腕で名を馳せたアサシンか、だね。」

 

「そうか……

心当たりは?」

 

「無いわけでは無いけど、聖杯に与えられたものを除いたらボクの人物に関する知識は平行世界のものだ。

何が違うかをすり合わせるのすら面倒だからね。

アテにしない方が良いと思うよ?」

 

「使えんな。」

 

「ハハハ、手厳しいなぁ!

まあ、大聖杯の防衛だけは任せたまえよ。

守る、時間を稼ぐ、惑わす、そこら辺は大の得意さ。」

 

まあ、有無を言わせぬ大規模攻撃には弱いんだけどね!と、続けようとしたところで何かを感じたマーリンは言葉を切る。

 

「……どうした?」

 

「……いや、気のせいだったみたいだ。

とにかく各陣営の監視と個々の防衛は承った。

君たちは後ろを気にせず、存分に動いてもらって良いよ。」

 

それでモルガンとの通信を終わらせたマーリンはその瞬間、浮かべていた笑みを深めた。

 

「ふふふ……

英雄王が相手だから多少は面白い展開になるかなあ、と思って蓋を開ければ、ほぼ全ての陣営が協力しそう。

これは接戦にはなっても勝ちは揺るがないかなと考えてたけど……

なるほどなるほど、聖杯はそう来たのか。

 

確かにボクたちとの縁と今の聖杯そのものに対する相性を考えればありえないことじゃない。

あの少年を主人公に据えて楽しもうとは思ってたけど、少し予定変更が必要かな。

やっぱりどう転ぶかわからない物語を間近で見られるのはいいなぁ。

とはいえ、ボクは依頼を受けた側、やるべきことはやらないとね。

ボク自身が演者になるのはあまり好きじゃないけれど、存分に躍らせてもらおうか。」

 

タッ、と音を立てて山門から飛び降りたマーリンは両手を広げてクルクルと踊る様にその場を回る。

いつの間にか、回る手に導かれる様に花びらが舞い、そして花びらがマーリンを覆い隠した次の瞬間、その場からマーリンは消えていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「クハッ、大聖杯だったか。

アレも中々味な真似をする。

良かろう、貴様も我の走狗として使ってやる。

 

貴様はもう少し隠れていろ、その方が面白くなる。

さて、我も少し動くか。

あの半神、単体ならまだしもマーリンと半妖精の支援があっては中々に面倒になる。

そろそろアレにエサもやらねばな。

 

言峰、少しの間出てくる。

夕餉は麻婆豆腐以外で頼むぞ。」

 

微妙に締まらない状態ではあるが、ついに英雄王が動き出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「!

父さん!

マーリンから念話です!

ギルガメッシュが動いた、と。」

 

「チッ、何処を狙ってる!?」

 

「……アインツベルンです。

ヘラクレスを落とすつもりだと。」

 

それを聞いてカイは思考を回す。

工房の中だ、モルガンも聞いているだろう。

マーリンは動かせない。

 

即時撤退させるならモルガンは必要だ。

まだ深夜とは言い難いが、アインツベルン城は山奥にある。

大規模戦闘は可能だ。

 

ライダーとバーサーカーで時間を稼がせてモルガンの転移で撤退……手が足りるかどうかは微妙だな。

せめてもう1人、セイバーを借りるか?

モルガンとの事は平気だろうが、アインツベルンがどう動くかが分からない。

ならアーチャー。

 

撃ち落とさせる位なら出来るだろうが……

いや、アーチャーもセイバーもまだ同盟を組んでいない。

そこで助けてと言おうものなら、士郎はまだしも他3人は確実に貸し一つにしてくる。

それで不利になるかもしれないのならそう易々とは戦力を借りられない。

 

「知らせるだけにしろ。

アーチャーのマスターは分からないが、お人好しのセイバーのマスターなら確実に動く。

セイバーも渋々だろうが動く筈だ

勝手に助けさせろ。

それで事足りる。」

 

思考を読んだのかモルガンは準備をしながらそう伝えてくる。

 

「桜と貴方は家で待機していなさい。

魔力供給も必要なければ、言峰綺礼がいるわけでも無い。

これが陽動の可能性もあります。

屋敷の防御機構があればランサー程度なら撃退は可能でしょう。

マーリンから他の報告があればすぐに連絡を。」

 

それに頷いて、すぐに衛宮邸に電話をかける。

ワンコール、ツーコール、スリーコール目で電話に出た。

 

「はい、衛宮です。」

 

「カイだ。

何やら因縁がありそうだから伝えておくぞ。

アインツベルンに敵襲だ。」

 

「アインツベルンに……!?

分かりました!

ありがとうございます!」

 

ガチャッ!と大きい音の後に電話が切れた。

それを聞いた何とも言えない顔でカイは受話器を置く。

 

「扱いやすすぎるな……

まあ、楽だから良いんだが。」

 

その後、桜に電話がかかって来ても出ない様に伝える。

恐らく遠坂やセイバーに突っ込まれてかけ直してくるだろうが、ここで馬鹿正直に答えれば、貸しを作るような言質を取られるかもしれない。

なら、アインツベルンに向かったと思わせて判断を急かす様にするのが良いだろう。

 

その様子を見ていたモルガンは結果を確認すると、すぐにライダーとエルメロイ2世を連れて出て行った。




次回、ギルガメッシュVSバーサーカー&ライダー&セイバー&モルガン
ッファイ!

なお、バーサーカーは既にストックの大半を削られ、イスカンダルは神性持ちで相性が悪く、モルガンは撤退のために戦闘にはあまり参加できず、セイバーは考えすぎで微妙にパフォーマンスが落ちているものとする

ギルガメッシュ?
セイバーが来たおかげで絶好調だよ
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