今年もモルガン様をよろしく
イベントとかイベント(リアル)とかイベント(FGO)とか色々と忙しかったので遅くなりましたが、なんとか正月の三が日中に更新できました
これが自分からのお年玉って事でいいですね?
嵐の如く武器の雨が降り注ぐ
その嵐に立ち向かうのは3人の英雄
襲い掛かる武器を弾き、逸らし、凌いでいく
だが可能なのはそこまでだ
理由は攻勢に出る必要がないからだ
この戦いは元から防衛戦だ
攻勢に出て此方の一騎でも倒されれば、その瞬間に最終的な負けが確定する
とはいえ、それだけなら命知らずな英雄達が一時的にでも攻勢に出る事で有利な状況を作ろうとする事はあり得る
だが、彼らの後ろには守るべき対象がいるのだ
下手に動けばそちらに被害が向くかもしれない
だから動けない
対する英雄王のスタンスはあくまで遊びだ
セイバーとの再会にテンション上がっているのは確かだが、それでも遊びというスタンスは崩れない
武器の豪雨で足を止めつつ、時折「これにはどうする?」と対処の難しい、しかし対処しなければならない一手を打つ
英雄達も舐められている、手を抜かれている事に気付きつつも命を賭けるのは今では無いと胸の内に沸き立つ怒りを抑えている
目の前の黄金の波紋から放たれる武器を弾く
明らかに外れるコースのものは見逃し、自分達に当たりそうなものは避け、後ろのモルガンとイリヤに当たりそうなものを率先して弾く
ヘラクレスが数本の武器を纏めて薙ぎ払い、その大ぶりの隙を埋めるようにセイバーとイスカンダルが続けて飛んできた武器を弾き、逸らす
邪魔にならないように前に出たり、後ろに下がったり、横に避けたり、縦横無尽に動き回りながら凌いでいく
「ハ、ならこれはどうだ?」
ギルガメッシュのその言葉と共に3人の足元に波紋が現れる
何が出るにせよ、対処する必要がある以上3人は後ろに跳び、出て来た鎖に足を取られてバランスを崩しながら着地する
即座に鎖を破壊しようとするがその腕すら絡め取られる
ヘラクレスが力尽くで引き千切ろうとするが、鎖はびくともしない
「無駄だ。
これは天の鎖。
貴様の様な神の血を引く者ならば絶対に逃れる事は出来ん。」
「チッ、世話の焼ける。」
前衛が纏めて捉えられた状況に流石に黙っている事は出来ず、モルガンが魔術陣を構築していた手を止めて斬撃を放つ
それと同時にギルガメッシュが剣を放った
モルガンが剣に変わった杖を振り抜くと同時にギルガメッシュの剣がその脇を通り、モルガンの魔術陣を破壊した
モルガンは一瞬だけ視線を砕けて跡形もなくなった魔術陣に向け、完全にしてやられた事を理解して苦い表情になる
対するギルガメッシュは薄ら笑いを浮かべながら語った
「貴様が手を出してくるくらいは予想の範疇だ。
その妖精眼も直接視なければ何を考えているかは分かるまい。
まだまだ飽き足りん、満足いくまで踊って貰うぞ。」
ヘラクレス、イスカンダル、セイバーを縛っていた鎖は破壊出来たが、その代わりに帰還の要であった転移の為の魔術陣を破壊されてまた一から始める事になった
漏れ出そうになった激情を飲み込み、モルガンは一瞬だけ考えを巡らす
ギルガメッシュにとっては今の状況は戦闘や遊び混じりの蹂躙ですらない
本当にただの遊びだ
故に対処の難しい手を打っては来るが、対処の不可能な手は打ってこない
何せその気になればあの宝具、『王の財宝』の出口である波紋を前衛を無視して今いる足元にでも出せば良いのだから
となれば、魔力の続く限り防戦は可能だろう
1番魔力消費の激しいバーサーカーのマスターはここにおり、マスターが近くにいるとは言えど多少は距離の離れているイスカンダルとセイバーは宝具を使用しなければそう大した魔力消費も起こさないだろう
つまり時間はあるのだ
魔術陣の構築を再開し、手を動かしながらも別の手を考える
マーリンを使う
ナシだ
守り手の薄い今、自宅と大聖杯を守れるのはアレしかいない
今動かせる駒じゃない
無理を通して撤退戦に移る
ライダーの宝具を使用しても4、5人が限界だろう
霊体化による人数調整もバーサーカーのみ可能
足りなさすぎる
無理だ
転移門にした鏡は……衛宮邸に持って行っていた筈だ
ここにはない
となればやはりもう一度初めから作るしかないか
……いや、全部が全部壊れているわけでは無い
破壊された部分とそこに繋がる重要な回路をカット
狙いが荒くて助かったな
4割程度からやり直せる
だがここで問題が1つ
セイバーのマスターだ
ここで何とか奴から逃れたとしても、セイバーのマスターが捕まって殺されでもすれば何の意味も無くなる
可能ならば合流、あるいは撤退する様に伝えておきたいところだが……
セイバーの思考を覗けばアーチャーとそのマスターと一緒に私達と合流する前に別れた様だ
となれば近くに潜伏して機を伺っていると見るべきだが……流石にどこに隠れ潜んでいるかまでは知らない様にしているな
こんな時にまで要らない警戒をしてくれるとはな
状況が分かっていないにも程があるぞ愚妹め
この状況を見ているのなら、何か策があると見て合流、あるいは撤退しようとしてきても良いはずだ
そうでないのならどうする?
キャスターと念話は多少の無理をすれば繋げられる様にはしておいた
千里眼で確認させるのも1つの手だ
念話と千里眼なら時間も取らないから、警備が甘くなるとしても数秒
ランサーではその間に宝具の圏内に飛び込んで一撃で仕留めるのは不可能だろう
スペックだけで考えれば可能かもしれないが、マーリンとてバカじゃない
予め幾つかのデコイをばら撒いているはずだ
幾ら使いようによっては万能にもなる原初のルーン魔術を修めているとはいえ、数秒の間に偽物と本物を見極め、本物に接近し、宝具を放ち確殺するのは無理がある
1つ可能性があるとすれば正体不明の七騎目のサーヴァントだ
そういったスキルないしは宝具を持っていたのなら話は変わる
完成度が凄まじいとはいえ、所詮は魔術でしかないし幻術でしかない
本人も自覚しているように有無を言わせぬ大規模攻撃には弱いのだ
それでも生きていれば無茶を通して世界を騙し、それすら夢だった事にするという鬼札もある
生き汚なさに関しては私の知る限りでは世界一だ
こちらの世界のマーリン諸共、一回本当に死んでくれないだろうか
となれば、魔術陣を書き上げながら術式を起動、マーリンとの念話のチャンネルを開ける
念話の繋がる感覚と共に言葉を送る
(マーリン。
セイバーのマスター、アーチャーのマスター、アーチャーの3人がどこにいて何をしているか見ろ。
アインツベルンの城の中あるいは付近にいるはずだ。)
『ああ、それなら君らの上だよ上。
2階の回廊に上手く潜んで様子を伺っている様だね。』
その返答の速さに娯楽代わりに見ていたな、と悟る
だが都合はいい
2階に続く階段はギルガメッシュの背後にあるが、サーヴァントの尽力を使えば2階に飛び上がる事くらいは容易い
持ち上げなければならない身体能力の足らない人間の数も人を1人2人つかんで飛び上がれる身体能力の持ち主よりは少ない
ライダーのマスターが戻ってき次第動きたい
願わくばそれまで奴らには下手に動いて守るべき対象を増やさないで貰いたいが……
ギルガメッシュが既に気付いていてもおかしくはない
そう考えていると、背後の通路から足音が聞こえてくる
数は2人
相当な速度だが2人の足音は全く同一で一定だ
ホムンクルスの2人か?
ならライダーのマスターはどうした
「セラ!リズ!」
「お嬢様、お待たせいたしました。」
どうやらホムンクルスの2人らしいと判断して視線をそちらに向ける
同じ衣装で片方だけが巨大なハルバードで武装している
そしてもう片方はライダーのマスターを肩に担いでいた
少し思考を覗けば、探すのに手間取り、説得するのに物理的に手間取り、結果体力を使い果たした様だ
「前衛3人。
隙を作るから2階にいるアーチャー主従とセイバーのマスターを捕まえて連れてこい。
術式は7割出来ている、移動しながらでも構築は可能だ。
それで撤退する。」
「ほう、そりゃあいい知らせよ。
防戦一方で飽きてきた所だったわ。
ならば先にこの豪雨をどうにかせねばなるまい。」
「それは私が……!
『風王ーーー!?」
セイバーが風の鞘を解き、その風圧を攻撃へと転化しようとしたその瞬間、ギルガメッシュの攻撃の手が止んだ
それに戸惑い、セイバーの手も止まり、アインツベルン城に数十分ぶりの静寂が訪れる
「チッ、本当に遊びのつもりか英雄王。」
「初めにそうと言った筈だぞ、妖精姫。
此度の遊びは貴様らが撤退の準備を済ませた事で終いだ。
真に決着をつけるべきは今でもこのような場所でもない。
こちらも抑えるべきものは抑えた。
準備ができたのなら何時でも仕掛けてくるが良い。」
最後に放たれた言葉にモルガンが目を見開きギルガメッシュの思考を読む
対するギルガメッシュはそんなモルガンに対して不快感を覚えるどころかニヤニヤと笑いながらそのままでいるだけだ
「っ!
マーリン!」
思考を読み取ったモルガンがマーリンに念話を繋げようとするが、相手のマーリンが答える事はなかった
大聖杯を取られた
そしてマーリンもやられた可能性が高い
そう理解するのに時間はかからなかった
「フフフハハハハハハハ!!
千里眼持ち同士での策のかけ合いは中々に歯ごたえのあるものであった。
まあ我が本気を出せばこの通りよ。
ああ、安心しろ奴は死んではいない。
アレのしぶとさは貴様も知る通りだ。
ではな。
次に会う時には決死の覚悟を抱いて挑んでくるが良い。
それとセイバー、貴様も次に会うまでに答えを用意しておけ。
まあイエス以外には無いだろうがな。」
そう勝ち誇った表情で告げたギルガメッシュはモルガン達に背を向けて去って行った
その姿が見えなくなると同時にその場にいた全員から漸く力が抜け、戦闘態勢が解除される
「取り敢えず上の3人は降りて来い。
大聖杯を取られた。
キャスターもやられた可能性が高い。
立て直す必要がある。」
キャスター、マーリンが最初の脱落者であった場合でも支障はない
座を通しての召喚ではなく、この世界線に存在しない=この世界では死んでいるという屁理屈を通しての召喚に過ぎない存在だからだ
世界とすら契約せずにこの世界のマーリンとモルガン、そして並行世界のマーリンの3人による世界すら騙した召喚だ
故にマーリンがやられても大聖杯の餌となる事はない
だからこそ、最悪の場合捨て駒にできる唯一の人員だったのだ
故にたとえ死んでいようが最悪の結末にはならない
無論、死んでいない方がありがたいが
苛立ち混じりに魔術陣を組み上げ、繋げる
そこを通って集団はルフェイ邸の地下へと帰還した
「無事だな。
やはり生き汚なさだけは群を抜いているな貴様。」
「うん、この通り生きているとも。
無事……とは流石に言い難いと思うけどね。」
「うるせえ、怪我人は黙ってろ。
俺は他の奴らの対応をしてる。
桜は最悪令呪を使って回復させるだろうから手伝いながら気を配っててくれ。」
「はい。
母さん、薬は何を?」
モルガン達が戻ってきてから暫くしてマーリンは左腕と右脇腹、そして頭に傷を負いながらもルフェイ邸へと戻って来た
その様子にモルガンが呆れながら治療の用意を始めると、マーリンは笑顔でそう答える
カイが今家にいる他の陣営と話しに行き、桜はその場に残ってモルガンの手伝いを始める
「最悪の相手だったよ。
幻術じゃ誤魔化しきれなかった。
傷も幾つかは幻術をかけて誤魔化している。
霊核も少し傷つけられたし、その他の傷も放っておけば退去は有り得るくらいのものだったからね。
取り敢えずの応急処置だ、君の合図で解くから後はよろしく頼むよ。」
「……桜、薬はこのリストの物を頼みます。
…………見間違えではないだろうな。」
治療用の術式を作り上げながら幾つかの常備している薬を桜に頼んで取りに行かせる
それを取りに行く為に桜が部屋を出たのを確認してからモルガンは妖精眼で見た相手について確認する
その真面目な様子にマーリンも微笑みを消して真面目に答えた
「残念ながら。
流石に見間違えようがない。」
「…………手が足りん。
予想外にも程があるぞ。」
モルガンにとってはあまり使いたくない、セイバーと手を組むということを入れてすら手が足りなくなるという事実に頭を悩ませる
唯一可能性があるとすれば、まだモルガンが奥の手を知らないアーチャーだ
それが刺さる宝具を持っていれば話は別になるが……可能性は低いだろう
現代の英霊が神代の最上級の英霊に真正面から抗える何かを持っている事などそうそう無い
「ブリテンの白き龍ヴォーティガーン。
我らとの縁、そして聖杯にすらこびり付く強い呪いとの相性か?
何にせよ性質が厄介すぎる。
星の聖剣を数発飲み込ませて漸く攻撃が通り始め、そしてとどめの一撃は聖槍。
その性質は十中八九宝具になっているはずだ。
流石に本物のロンゴミニアドを愚妹に使わせる訳にはいかん。
引っ張られて女神の方が降臨しかねんからな。」
桜が戻ってくるまでの数分間、モルガンは術式構築の手を止めてまでずっと対抗策を練っていた
ここにおいて事前に用意していた策は無意味と化していた
はい、と言うわけで7騎目は色々と予想のあった通りヴォーティガーンです
だけどオベロンではないよ
オベロンの説明文とか引っ張って来て読んでもらうと分かるけどオベロン・ヴォーティガーンは異聞帯におけるヴォーティガーン(3回目の姿)だからね
こっちのヴォーティガーン(CV:小山剛志)はウーサー王の兄であり、アルトリアとモルガンの叔父
軍の騎士達を一撃で蒸発させ、聖剣の光を飲み干し、日中状態のガウェインを一撃で昏倒させ、色々な宝具フル装備であろうアルトリア(完全体)と一対一で渡り合い、聖剣2本で動きを止めて聖槍で心臓をぶち破るまで死ななかった化け物だよ
どうやって勝つんだこれ
汎人類史のヴォーティガーンの出番はドラマCD、『Garden of Avalon』だけなので気になる人はチェック!