モルガンと行く冬木聖杯戦争   作:座右の銘は天衣無縫

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ニトクリス・オルタが性癖にブッ刺さったので30連したら爆死でした
やっぱりモルガン殿下の絆石で別の女引こうとしたのがダメじゃったか
オルタみたいな悪堕ちっぽい感じが刺さる人間なので今回の第7章は大満足っすわ
カマソッソ大先生!
一生付いて行きます!
なので私にニトクリス・オルタを!!


11話

「待たせた。

キャスターの治療は済んだ、それと同時に聞きたくもなかった報告を受けたがな。

先にはっきり言おう。

いがみ合っている場合ではなくなった。

 

私達が事前に考えた策ではギルガメッシュ、そこに多少なりともサーヴァントが加わったとしても、それだけなら切り札を切らせても完封して勝つ方法はあった。

それは向こうにクー・フーリンという最上級クラスに食い込むサーヴァントがついても可能な物だ。

だが、今回キャスターが確認した7騎目のサーヴァント1人だけで全部壊された。」

 

ルフェイ邸地下にある広間

その中心に作られた円卓を囲む5つの陣営においてモルガンはそう口を開いた

マーリンから読んだ記憶を転写して円卓の中心に画像が浮かび上がる

黒いモヤに覆われた黒ずくめの鎧で身を固めた人物

その鎧を見ると同時にセイバーがその正体に気付いた

 

「そんな…………まさか……」

 

「冗談だったらどれだけ良かっただろうな。

これほど遠く離れた異国の地で何百年も前の因縁がまた巡るとは、因果なものだな。

知らぬ者は頭に入れておけ。

奴こそが我が前任者にして、ブリテン島の意思そのもの。

島を守る為に人を呪い、国を滅ぼそうとした邪竜……ヴォーティガーンだ。」

 

『ヴォーティガーン!?』

 

モルガンから告げられた名前に素早く反応したのは遠坂凛とエルメロイ2世の2人だった

驚いた様子で席を立ち、身を乗り出す

同じようなリアクションを取った2人が顔を見合わせてからゆっくりと席に戻った

 

「えっと……ヴォーティガーンって確か……アレだよな?

アーサー王伝説の……」

 

「アーサー王伝説においてアーサー王の叔父にあたり、龍となって国を滅ぼそうとした邪龍にして邪王だ。

アーサー王に討伐され、それによってアーサー王は拠点となるキャメロットを手に入れたとされている。」

 

「一般的な認識であればそれで十分だ。

だが、魔術的な話となれば話は別だ。

奴は龍であり、奈落そのもの。

太陽の聖剣ガラティーンの光を完全に奪い、星の聖剣エクスカリバーの光すら呑み込み、無効化した。

聖槍ロンゴミニアドによって心臓を突き破られるまで死にそうにもなかった化け物そのものだ。

サーヴァントになって多少弱体化はしているだろうが……手が足りん。」

 

何となく覚えていた記憶を頼りに士郎がワードを捻り出し、カイがそれに簡単な説明を加え、そしてそれにモルガンは補足を加えた

補足したモルガンは手を振って円卓上に画像を更に出す

それは対ギルガメッシュ用に作り上げていた擬似神造兵器とでもいうべきもの

その完成した代物が写っているものだった

 

「これが私がこの10年で作り上げた奥の手、『偽・霊脈閉塞型兵装ロンゴミニアド』だ。

本物の聖槍を解析、研究し、結局間に合ったのはこの1基のみ。

これだけではギルガメッシュかヴォーティガーンのどちらかを倒せる程度だ。

奴らを同時に倒すのは高望みが過ぎる。

どちらか片方はリソースを削られた上で何とか実力で倒すしかなくなる。」

 

「ほ、本物のロンゴミニアドがあるのよね?

それを使えば。」

 

「無理だ使えん。

サーヴァントとは言え、愚妹がここにいてそれでロンゴミニアドを起動してみろ。

あまりに繋がりが強くなりすぎて本物の女神ロンゴミニアドが愚妹を依代に降臨しかねん。

この時代に本物の神霊がダウングレードもほぼ無しに降臨するというその意味が分からんとは言わせんぞ。」

 

遠坂凛から挙げられた意見はモルガンがバッサリと切り捨てた

それはそうだろう

科学世界という1枚のテクスチャに地球全体が覆われている今、女神、それもテクスチャを縫い付けている最果ての塔の女神が降臨すれば最悪の場合、人理崩壊すらあり得るのだ

故に本物は使わせられない

使うとしても聖杯戦争でこちらの陣営の敗北が確定し、セイバーがこの時代からいなくなっていた時に被害を抑える為に例えこの地諸共であろうが大聖杯を破壊する為

つまりは最悪の場合に備えての打たないに越したことのない最後の一手だ

 

「正直言って現状では策がない。

だが不幸中の幸いとでも言うべきか、英雄王は待ち受ける姿勢をそうは崩さんだろう。

タイムリミットは……1週間かそこらだ。

それを越えれば奴は痺れを切らして攻め込んでくるか、こちらが攻め込まなくてはならない状況を作り上げるだろう。

故にこの猶予期間を使って何とか対策を立てなければならん。

貴様らもこの間に対策を考えておけ。

 

進展があったならこちらから使い魔を飛ばせて知らせる。

策に関しては考えてさえいれば思い付かずとも文句は言わん。

そもそも期待していないからな。

好きに過ごせ。」

 

そう言って部屋を出て行ったモルガンに続き、カイも席から立ち上がる

 

「まあ、これが人生最後の安息のひと時になるかもしれないからな。

ゆっくり過ごすといいさ。

ああ、生き残る確率を少しでも高くしたいのなら今すぐ聖杯戦争を降りてどこか遠くにでも行くんだな。

幸いにもマスター権限を受け継ぐ相手が少なくとも3人はいるから気にしなくても良いぞ。」

 

軽い口調で告げられた言葉に反応はなく、続けて立ち上がった桜と共にマーリンのいる奥の部屋へと去って行った

次に立ち上がったのはイリヤだった

 

「あーあ、城も聖杯戦争の前提も崩れちゃったし。

セイバーにもシロウにもちょっかいかけられなくなっちゃった。

行こ、セラ、リズ、バーサーカー。

仕方ないし今日はここで泊まらせてもらいましょ。

 

じゃあまたね、お兄ちゃん。」

 

従者とサーヴァントを連れてこの家の主に泊まることの許可を貰いたいが、他人の工房に足を踏み入れることがどういう事かを理解して取り敢えず上で待とうと階段へと向かって行く

バーサーカーの肩に乗り、士郎に無邪気に手を振って去ろうとするイリヤを士郎は呼び止めた

 

「あ、ちょっと待ってくれ。」

 

「なぁに?」

 

「今は……ちょっと色々と頭がこんがらがってて何て言えば良いのか分からないんだけどさ。

イリヤと話したいんだ。

俺がここに来るでも、イリヤがウチに来るでもどっちでも良いからさ。

また会って話してくれるか?」

 

「……しょーがないなぁ。

良いよ、明日来なかったら明後日行くからね。

じゃあ今度こそバイバイ、お兄ちゃん。」

 

そう言ってバーサーカーのズシンズシンという重い足音と共に去って行った

 

「……俺たちも一度帰ろうか。

舞弥さんに藤ねえの誤魔化しを頼んであるけどずっとは悪いし、色々と話したい。」

 

「え、ええ、それが良いでしょう。」

 

「まあ、そうね。

毎日毎日、受け取る情報量が多くてそろそろ一回休みたかった所だわ。」

 

もう完全にくたびれた様子の遠坂が少しは休まないとやってられないわ、と愚痴を吐きながら席を立てばアーチャーにその態度を咎められる

だが、それを「うっさい、そもそもアンタが1番最初の予想外よ。」と返せば「おや、それは自業自得だろう。恨むのはお門違いだと思うがね。」と言われ、ぐぬぬと唸りながらも返す言葉がなかったようでそのまま黙り込んだ

 

その様子に苦笑しながら士郎は少し遅れて席を立ち上がったセイバーの手を取って歩き出す

 

「ほら、セイバーも。

なんか色々と複雑だってことだけしか分からないけどさ。

一度帰って、食べて、しっかり休んでから考えよう。

力になれるかは分からないけど相談には乗るからさ。」

 

その士郎の言葉にセイバーは何だか分からない気持ちのまま、心配してくれたという事だけは理解し、余計な心配をかけさせまいと薄く微笑んで答えた

 

「ええ、この時代の……いえ、シロウのご飯は絶品ですからね。

楽しみにしておきます。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから数時間後

士郎達が家へと戻り、襲われる心配も戦いが起こる心配も全くない夜を数日ぶりに過ごす事になった

姉役である藤村大河の追及を躱し、矛先を変え、夕食で釣って何とか有耶無耶に誤魔化した

 

そして夕食を食べた後に隣の藤村組の家に戻った藤村大河を見送り、家の中は聖杯戦争を知る5人だけとなった

 

「じゃ、少し話し合いましょ。

どうするか、よね。

敵はクー・フーリン、ギルガメッシュ、ヴォーティガーンのサーヴァント3騎、そして多分あのクソ神父も敵よね。

常々胡散臭いとは思ってたけど、まさか敵だったとは。

これまでの色々な分も含めてボコボコにしなきゃ気が済まないわ。」

 

「舞弥さんとしてはどんな手があると思う?」

 

怒りを燃やしている遠坂を横目に士郎が舞弥にアドバイスを求める

 

「……正直な所なんとも。

クー・フーリンとヴァーティガーンについてはサーヴァントとしての戦闘を知りませんので。

ですが、彼らはこの日本では大した知名度を持たない英霊と反英霊です。

サーヴァントになった事による弱体化はそれなりに期待できます。

相性はあるでしょうが、こちらのサーヴァントの質も高く、2人までなら確実に数の差によって押し切る事は可能でしょう。

 

そして敵の出方、こちらの作戦次第ではありますが、残った1人とは消耗した状態で対峙する可能性は高いです。

問題はその後。

こちらは相手を倒し切ってはいけないという条件がある以上、残った1人によって抑えた2人を回復させられる様な事があればジリ貧という他ありません。

理想は3人を大聖杯から引き剥がし、その間に大聖杯の浄化を行う。

これが1番現実的な策でしょう。」

 

「となれば、ステップは2つだな。

1つ、敵サーヴァント3騎を大聖杯から引き剥がす。

これは大聖杯から遠ければ遠いほど良い。

2つ、モルガン・ルフェイとキャスターによる大聖杯浄化の邪魔をさせない。

どれくらい掛かるかは現状不明だがね。」

 

アーチャーが舞弥の言うことを纏める

方向性が固まったことでそれぞれの思考が回り始める

 

「多分だけど、数人がかりなら倒さずに時間稼ぎはどうにかなるよな?

ならどうやって移動させるか…………

ライダーのあの戦車で引き摺るとか?」

 

「いえ、ライダーなら固有結界を宝具として所持しています。

それなら失敗するリスクは低く、その場から動かすことは可能な筈です。

ですが相性を考えれば……引き剥がすのはランサーが良い。

時間稼ぎもライダー1人で充分でしょう。

問題は後の2人です。」

 

ライダーの宝具、『王の軍勢アイオニオン・ヘタイロイ』は自身の配下達と心象風景を同じくするが故に一面の砂漠という固有結界を作り出し、そこに己の配下達を召喚する宝具

だが、軍勢に対して強く出れる広範囲攻撃を持つサーヴァントが相手では一撃で軍勢を蹴散らされ、最悪の場合単に魔力を消耗してしまうだけになってしまう

その点、継戦能力と1対1での戦闘に強いクー・フーリンならば数で勝れるこの宝具は時間稼ぎにはうってつけだ

 

故にライダーの相手はランサーで決まる

だがその後が決まらない

何せ味方の手札もまだ分かり切ってはいないのだ

無論、味方といえど知られないに越した事のない手札はあるだろうが、最低限の情報共有が出来ていない今、出せる案は少ない

そんな中で口を開いたのはアーチャーだ

 

何かを決心した様子でその言葉を口に出す

 

「……私に手がある。

残った2人のどちらか一方は私が受け持とう。」

 

「アーチャー?

出来るの?」

 

「やるしかあるまいよ。

令呪は欲しいがね。

必要とされる時間次第ではもう1人ほど欲しいが……」

 

そこまで言えばセイバーは動かざるを得ない

アーチャーの言葉を聞いてすぐに自ら立候補した

 

「ではその場合は私が。

バーサーカーは見る限りではかなり継戦能力に特化しています。

令呪の切り方次第ではありますが、1人で長時間抑え込むことは可能でしょう。

相手の移動は……不安が残りますがモルガンに。」

 

「仮の案が決まったのなら近いうちに他陣営と話し合った方が良いですよ。

余裕があるのなら明日にでも。」

 

「早い方がいいわよね。

衛宮君は明日アインツベルンのところに行くの?」

 

「ああ、そうしようと思ってる。」

 

「じゃあ一緒に行くわ。

先にこの案について話し合って、その後に用を済ませたら良いんじゃない?

と言う訳で今日は解散。

ここ数日の疲れを取るためにもさっさと寝ましょ。

適当な部屋借りるわよ。」

 

「では私が案内します。

士郎も今日は寝るように。」

 

こうして取り敢えずの案が決まった以上、今日やれる事はもうない

泊まっていくアーチャー主従と、彼女らを客室に案内する為に舞弥がリビングから出て行った

 

「桜の家で言ってた事だけど、今なら誰もいないし存分に相談に乗れるんだけど……」

 

「いえ、相談なら明日でも出来ますから。

今は体を休めてください。」

 

「いやでもさ。」

 

「しつこいですよ。

優先順位を間違えないで下さい。

明日寝不足の状態で頭を酷使する話し合いが出来るのですか?」

 

「うっ…………そう言われると……自信はない。」

 

「なら寝て下さい。

異論は認めませんよ。」

 

肩を掴まれ、半ば無理矢理に自室へと連れて行かれ、すでに敷いてあった布団に押し込まれる

そして当然のように枕元で正座をするセイバー

 

「……いや、セイバーさん?

何でまた枕元にいるんですかね?」

 

「寝るまでは監視しておきます。

私がいなくなってから布団から抜け出されても困るので。

なので気にせずに寝て下さい。

ほら、目を閉じて。」

 

そう言われては従う他ない

渋々目を閉じればすでに襲いかかってきていた疲労感と共に一気に睡魔がやってきた

意識が落ちそうになっているなか、セイバーが何か言っていた様な気がした




1週間の猶予
またの名をセイバーさんのメンタル急速復活期間

決戦を前に諸々の人間関係修復していきましょうねー
zeroは元から救いのない物語だったからそれを加速させた
なら救いを与えるstay nightならそれもまた加速させねばなるまいて
やっぱり型月主人公はヒロインに対して言葉と態度でクリティカル連発させなければならない宿命にあるのだ

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