モルガンと行く冬木聖杯戦争   作:座右の銘は天衣無縫

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いやぁ、各戦闘の前口上とかいう1番筆の乗りやすいところだったからね
今回も早かった


18話

「…………来たか。

待ちくたびれるところだったぞ雑種ども。」

 

円蔵山の奥、天然の洞窟のその奥に設置された大聖杯

その奥でギルガメッシュが来訪者に気付く

柳洞寺へと続く参道を上がってくるただならぬ気配の一団

サーヴァントとそのマスター達

 

「まずは露払いだ。

さあ、木端とは言えど英霊ども、その勇姿魅せてみるが良い。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

参道を上がりきり、山門を潜った先に待ち構えていたのは3人

監督役であったはずの言峰綺礼

ランサー、アルスター神話に名高いクランの猛犬、クー・フーリン

アヴェンジャー、ブリテンに君臨した最強最悪の白き龍、ヴォーティガーン

 

「ようこそ諸君。

今日は良い夜だな。」

 

「言峰……アンタ本当に……」

 

「悪いが時間が限られてるんでな、遮らせてもらうぞ。

ランサーの相手はライダーが、アヴェンジャーの相手はセイバーとアーチャーが。

そしてお前の相手は俺だ。

それ以外は通させてもらうが、構わんな?」

 

あらかじめ決めておいた通りにそれぞれの相手に対して向き合う

それを見ても言峰綺礼は笑みを浮かべるだけだ

 

「ああ、数的不利は知っての上。

あくまで私達は数を減らすのが役目。

だが、その前にだ。

令呪をもって命ずる。

ランサー、これより一切の反逆を禁ずる。

重ねて命ず、目の前の敵を殲滅せよ。

さらに重ねて命ずる、それが出来なかった時には即座に自害せよ。」

 

「っ……用心深ぇ野郎だ。

ったく、世界を滅ぼす側じゃなけりゃ最高の聖杯戦争になりそうだったのにな。

それじゃ、やるかいオッサン。」

 

「おうともよ。」

 

「魔力を回せ、始めるぞリン……!」

 

「ええ、行くわよアーチャー、衛宮くん、セイバー。」

 

2騎の英霊、そこから重厚な魔力が立ち上る

 

「来れ、我が朋友達!

此度の戦は我らが駆け抜け、そしてこれからまた我らが征服せんとする世界を守る戦いである!

生前にも成し得ず、古今東西の英雄といえど成し得たものはいない世界全てを救う為の戦い!

まさかこれに心振るわぬ者はいるまいな!?

死してなお、ここに我らの新たな伝説を築き上げる!!

準備は良いな我が無双の『王の軍勢アイオニアン・ヘタイロイ』よ!!!」

 

I am the bone of my sword. 体は剣で出来ている

Steel is my body, and fire is my blood. 血潮は鉄で 心は硝子

I have created over a thousand blades. 幾たびの戦場を越えて不敗

Unknown to Death. ただの一度も敗走はなく、

Nor known to Life. ただの一度も理解されない

Have withstood pain to create many weapons. 彼の者は常に独り 剣の丘で勝利に酔う

Yet, those hands will never hold anything. 故に、生涯に意味はなく

So as I pray, UNLIMITED BLADE WORKSその体は、きっと剣で出来ていた……!!」

 

魔力が最高潮に高まると同時に英霊5騎と3人の姿が掻き消える

それを確認した後、武器を手に取る

 

「あとで追いつく。

だからそれまでは頼んだぞ。」

 

「ええ、任せておいて下さい。

貴方も気を付けて。」

 

モルガンとの短いやり取りの後、俺と言峰綺礼以外にこの場に残っていたモルガン達は先に進んでいく

その姿を見送り、改めて言峰綺礼と向かい合う

 

「それじゃあ俺達も始めるとするか。」

 

「その前に1つ、良いだろうか?」

 

いよいよ俺の戦いを始めようとしたところで、言峰が此方に手のひらを向けて制止してくる

出鼻を挫かれたのを意識しつつ、体の力を抜いて話に付き合う事を示す

 

「10年前、最後に残っていたのは私と君、そして衛宮切嗣の3人だったな。

実はあの日以来、少し気になっていることがあった。

10年前の聖杯戦争、聖杯は穢れ、そして選ばれたマスターもまたその胸の内に多かれ少なかれ歪みを抱いていた。

特に最後まで残った私達の内、私と衛宮切嗣はその最たるものと言っても良いだろう。」

 

そう前置きを語ると、言峰はゆっくりと横に歩き始めた

 

「では、君はどうなのか。

最後に残った内、たった1人だけが大した歪みが無いと?

そんな訳は無い。

聖杯戦争は参加者の内から1人の勝者を勝ち抜く儀式であると共に、聖杯が己を使うに値する人間を選び取る儀式でもある。

穢れた聖杯には歪んだ願望の持ち主が必要だ。

では、君の歪みとは何か。

 

君について多くの事を調べさせて貰った。

中々に難解な問題だった。

だが、答えは至って簡単だった。

名は体を表す。

名前とはこの世に生まれ出た命に最初に与えられる祝福であり呪いだ。

 

カイとは即ち勝利。

そして貴様の起源は付与あるいは付加といった所だろう。

ならば貴様の持つ歪みもそれに起因すると想像がついた。

 

貴様は自分の価値を求めていた。

だが魔術師としての価値は完全に無くなり、代わりに魔術使いとしての価値を求めた。

だから戦場に身を置き、勝利という価値を己に加えていった。

どこまでも貪欲に、強欲に。

 

……だが、今回貴様に令呪が出なかったあたり、この10年で腑抜けた様だ。

聖杯戦争の表向きの覇者、そして神代の魔術師の中でも3本の指に入るモルガンという女の夫。

2度と誰も手に入れられないであろうトロフィーを貴様は手に入れた。

それで満足したのだろう?」

 

「満足してたら何だ?」

 

「譲れ。

我が願い、我が祈りは未だ実現に至らず、実現させる為には大聖杯の呪いを撒くほかにない。

貴様は満足したのだろう?

少なくとも、貴様に願う祈りは無いはずだ。

だから私に寄越すが良い……!」

 

その予想、その心の底からの渇望を聞いた

ああ、確かにその通りだ

奴の言ってる事は概ね間違っていない

武器で両手が塞がってなければ拍手でも送りたい程には

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「固有結界……ねぇ。

一面の砂原、オレの時代、オレの生きてた世界には無かった光景だ。

ホンット、良い戦場だな聖杯戦争ってのは。

なあ、アンタもそう思うよなオッサン。」

 

軍勢から少し離れた場所で槍を担いで辺りを見回す

遮るもの一つない戦場

これがライダー、いやアイツら全員の心象風景なんだろう

赤枝の騎士の連中でも…………いや、アイツらに心象風景を一致させろったって無理な話か

 

「正しくその通り。

これもまた聖杯戦争の醍醐味、本来なら我らがまみえる時など獣狩りに駆り出された時程度であろうが、この聖杯戦争ある限り、時代も土地も超え、あらゆる英雄があい見えることが出来る。

余も残念だ、クランの猛犬。

貴様とは一切の柵無く、心ゆくまで争ってみたかった。

 

だが生憎と今回は我らに義がある。

世界を救う戦い!

まずはその前哨戦!

相手は不撓不屈という言葉をその身に宿した世界最高峰の戦士!

約定に縛られ、半身の自由を、その槍を、そして生涯の好敵手との争いすら奪われて尚、死するその時まで軍勢を相手に戦い続けた漢!!

 

我らはその漢を殺す事なく征服する!!

無理だと笑うか!? 無茶だと怖気付くか!?

否!! 断じて否である!!

無理無茶無謀は知っての上!!

それすら踏み越え、不可能を征服してきたからこそ我らは英霊となったのだ!!!

いざ、我らが覇道を見せつけん!!」

 

怒号を上げ、土煙を立てながら迫ってくる軍勢

それを前にしてクー・フーリンはただ槍を構える

思い出すのは己が死んだ戦場の光景

ゲッシュによって嵌められ、多くの弱体化を受けながらメイヴの軍勢と戦い、最後の最後には腹から飛び出た腸を柱に巻き付け、それを支えに戦場に立ち続けた

その終わりに悔いは無い

運もゲッシュも全て含めてオレの人生、オレが選んだ道だ

 

だが……何も思う事が全く無いと言えば嘘にはなる

 

「へっ、本当にありがてぇ話だ。

……我が名はクランの猛犬、クー・フーリン!!

全身全霊をもって貴様らの相手となろう!!

命のいらねぇ奴から、かかってこいやァ英雄共ォ!!!」

 

思わず笑みが溢れる

言峰、この戦場を用意してくれた事だけは感謝しておいてやるよ

視界を埋め尽くす戦士達

そこに身一つ、槍一つで飛び込んだ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一面に剣の刺さった荒野

空は夕暮れの様に赤く、遥か遠くでは巨大な歯車が廻っていた

そして4人の前に立つのは真っ黒な鎧に身を包んだ1人の騎士

その口から嗄れた老人の声が響いてくる

 

「…………なんともはや醜い心象風景か。

己が世界の歯車であり、剣であり、何処までも道具である事を心という道具ならざる事を証明する人の心が認めているとはな……」

 

「それが力も無いくせに力を求め、世界と契約した守護者の末路だ。

だが、何も知らない貴様に言われる筋合いは何処にも無い。」

 

「人の世はどこまで行っても変わらぬな。

そうは思わぬか赤き龍、滅びに抗い、更なる滅びを呼び寄せた王よ。

理由や規模は違えど、戦争だけは無くならぬ。

そして、その悲劇を認められぬ愚か者が己の領分を遥かに超えて人や国を救おうとする。

諦めて滅びを受け入れた方が良い事もあるとは考えもせずに。」

 

「黙れ、滅びに屈するのならまだ分かる。

だが貴様は滅びを加速させる道を選んだのだ。

島の意思に呑まれたとは言えど貴様も元は人の王であった筈だ。

そこにあった責任を全て投げ打ち、そして捨てたものを踏み躙った。

確かに貴様の予見は合っていた。

私は結局ブリテンを滅ぼした。

だが、その過程には救われた民がいた!

国どころか人すら残さず滅ぼそうとした貴様が!

滅びを諦めて受け入れろとどの口が言う!」

 

風の鞘を解いて顕になった聖剣をヴォーティガーンに向けて吼える

 

「……ああ、やはり貴様は眩しいな。

だが、何度でもこの口は同じ事を語ろうとも。

我が生まれた理由は滅びをもたらす為が故に。

そして此度もまた同じ。

誰か1人でも滅びを、終焉を望むものがいるのなら、全てを平等に無に堕とそう。

我はブリテン島の代弁者、そして世界を終わらせる終末装置であるが故に。

……再び抗ってみるか騎士王。

世界の終焉に、何もかもを落とす底無しの奈落の穴に、我という滅びの形に。」

 

まるで炎が吹き上がるかの様にヴォーティガーンの体から黒く、向こう側も見えない魔力が立ち上る

敵意、殺意は時間を追うごとに強く厚くなっていく

 

「無論だ白き龍!

もう一度我が聖剣の輝きで貴様の昏き絶望を照らしてくれる!」

 

そのセイバーの返答と共にヴォーティガーンの体が大きく変容していく

鎧を着た1人の人間から真っ白な邪悪な龍へと

感じるプレッシャーは底なしに高まり続け、その足元から呪いが伝播し始める

そして大きく口を開けば、その奥、焔の詰まった喉のその更に奥から常人であれば聞くだけで心を折らせる咆哮が放たれた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「流石は宗教屋、話が上手い。

それに人の事を調べ上げてその内を見透かすのは大の得意の様だ。

ああ、だが2つ、いや3つ間違えてるな。」

 

「なに?」

 

合っている

己の内にある勝利への渇望

魔術師として生まれ、しかし魔術師として生きる事を諦めなければならなかった事

無価値となった俺が、価値勝ちを積み上げようとしていた事も

 

「俺は誰かに譲られた価値勝利を己のものとは認めない。

トロフィー?

笑わせるなよ、寧ろ惚れさせられたのは俺の方だ。

表向きの覇者なんぞに興味はない。

誰かに譲られるのではなく、己の手でこそ掴まなきゃ意味がない。

人の強欲さをそしてプライドを侮ったなクソ神父。

満足なんざしちゃいない。

ただこの10年前から続く聖杯戦争の決着に執着し続けただけだ。」

 

「バカな、それほどの歪みを持ちながら聖杯は貴様をマスターだと認識しなかったと言うのか……!?」

 

ハッ、とその言葉を笑い飛ばす

その言葉は、その予想はお前にも言える事だろう?と

 

「それをお前が言うか?

他人からマスター権とサーヴァントを奪ったお前が。

俺はマスター権にそこまで執着はしてなかったからな。

それがあろうが無かろうが、俺は聖杯戦争には参加する。

どっちでも良かったから聖杯も選ばなかった、それだけの話だろうさ。

 

さあ、楽しいお喋りもこれで充分だろ?

良い加減、始めよう終わらせよう……!」




クー・フーリン、知名度補正込みで地元召喚されると間違いなく最強格に入る英霊だからね
それだけ逸話がヤバいって事なんだわ
調べれば調べるだけあまりのしぶとさにいっそ引く
カルナさんとどっこいか、下手すりゃそれ以上に弱体化受けて尚中々死ななかったんだからね?
本来間違っても「ランサーが死んだ!」とかのネタに出来ないんだけどなぁ……まあ面白いし良いか

という訳で最終決戦開始
あと前話で少し話した主人公の歪みも説明
信じられるか?こんな伏線回収でございみたいな展開だけど、一切プロット練ってないんだぜ?
奇跡のウルトラCかましてしまった

これ物書き的には良いのか……?

ではいつもの事ですが、感想、評価お待ちしていまァす!
てっきり主人公の歪みについて考察が1つくらいは来ると思ってたのに完全にスルーされたのマジで悲しかったんだからな!?
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