熊ガヤさんと一匹の熊   作:こねずみ

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子ネズミです。これからよろしく(*゚∀゚*)♪



プロローグ

 熊。それは何人たりとも敵わない強者足り得る獣。

 一度歩きければ、その獣道足り得る爪跡を残し、一度鳴き等ならば、山々は阿鼻叫喚。日頃とは違う姿を醸し出すだろう。

 一重に強大。

 一重に絶対。

 何人たりとも寄せ付けないその覇気は、まさしく野生の帝王指し示すものだろう。

 では、野生でなければその内なる獣性が劣ると言えるだろうか?

 答えは非である。

 野ではなく畜だとしても、その強情なる鉤爪や、見に余る凶悪な牙は残るのであるし、内にある獣性がいつ始まりのゴングを鳴らすのかはわからないからである。

 したがって、熊という生き物の本来人間と切り離して生活しなければいけない獣であって、たとえ如何なる理由があろうともペットととして飼うというのなら、そいつは今世紀最大の大馬鹿ものか、傍迷惑な自殺志願者のどちらかだろう。

 

 ふと、横目に奴を見る。

 余程安心しきっているのか、口元から涎を垂らしている。その姿は何処か親しみがあってとても愛嬌がある顔であろう。

 しかしながら、口元からチラチラと見える三日月の様な鋭利な牙は、先程の愛おしい表情を相殺せしめ、軽くマイナス方面へカンストしそうなほどの恐怖を与えてくるのは、酷く当然の帰結だと奴を知り得るものならばそう思うだろう。つまり、今こosi…

 

 「クゥ〜」

 まだ、生えてきてまもない己の毛では傲慢足り得るその身を包むには些か不相応であったのだろう。

 夏の夜にしては幾分も寒々しい夜風に当てられ、ぶるりと奴は悩ましい声と共にその身を震わせた。

 

 ピクリとその姿に俺の体が反応する。

 それは本能が自分に対して何かを訴えているようで、事態に逆らっても無駄だと何処か暗示している様だった。

 浮ついていた思考が少し冷静になる。

 

ーーはぁ〜まどろっこしいことを考えるのは止そう。事態から目を背けたとしても好転的になることはないことは俺自身が一番理解しているだろ?

 

 離していた目線を上げ、奴を見る。

 幸せそうに眠るそれは、これからの獣性になんの憂いもないかの様な表情をしながらも、何処か物欲しそうに、その小さな手をヒクヒクと忙しなく動かし、何かを探していた。

 

 再び、胸の奥にある本能が囁いてくる。

 赴くままに抱きつけと。

 自分のものとは思えないほど、肥大化した毛むくじゃらの手が疼いていた。

 再度奴を見る。そして、自分の奇怪な腕を見る。

 5度ほど続けた頃だろうか。演算処理のロボットであるかの様に、同じことを繰り返す俺に奴が寝返りをうって抱きついてきた。

 

 「クゥー♪」

 目的のものが見つかったからであろうか?

 こちらの気を知らないで眠ているであろう奴は、とても幸せそうだった。 

 喜びに満ち溢れているとは、このことを指すのであろう。屈託のない普遍の笑みで奴は寝ていた。

 

 ーー仕方ねーな。

 そんな姿に絆されたのだろう。

 俺は本能に従って奴を抱きしめ返して、迫り来る睡魔に身を任せるのだった。

  

 

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今日も比企谷八幡は間違っていく。

 それが如何なる理由であろうとも、捻くれ者の彼は、自らを否定し続けるであろうから。

 この物語は、そんな面倒さい少年と一匹の熊が織りなすサクセスストーリーである。

 一匹と一人のぼっちのシナジーは如何ほどか、是非最後まで、見ていって欲しい。では、そろそろ始めるとしよう。いずれ忘却される一つの物語を。はたまた永遠に語り継がれる一つの御伽話を。では、始まり。始まり。

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始まるかなぁ〜

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